山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
白州が好みなのになかなか手に入らなくて飲めないという人もいるのではないでしょうか。
原酒不足で手に入りにくくなり、見つかったとしても値段が高いということが続いています。
他に白州に似た味わいのウイスキーはないものでしょうか。
もしかしたら、スペサイドモルトのグレンフィディックなら、白州に近いかもしれません。
この記事では、白州とグレンフィディックの特徴を挙げ、どこが似ていてどこが違うのかを飲み比べの形で解説します。
山梨県にある、サントリーの白州蒸留所でつくられるシングルモルトウイスキーです。
白州蒸留所は、南アルプスの麓に広がる森の中に建てられています。
標高約700m、面積約82万平方メートルの大自然の中にある「森の蒸留所」です。
このような環境は世界的にも珍しく、他にはない味わいをつくり出しています。
仕込み水は、周囲の山々に降った雨や雪解け水が20年以上の歳月をかけゆっくりろ過された南アルプスの天然水です。
軟水ですが花崗岩層を通って適度にミネラルを含んでいます。
サントリーのモルトウイスキーをつくっている蒸留所には、他に山崎蒸留所がありますが、同じ作り方をしているわけではありません。
それぞれ異なる製法が採用されているので、山崎と白州の味わいは別のものになるのです。
たとえば、白州蒸留所では木桶発酵が行われています。
管理が難しいため、行う蒸留所が少なくなっている昔ながらの方法です。
乳酸菌や微生物が働きやすい環境で発酵が進むため、白州独特の風味に仕上がります。
山崎蒸留所とは形状や大きさの異なる蒸留器が採用されている点も大事なポイントです。
山崎蒸留所のものと異なる個性を持った原酒になります。熟成に用いられる樽の種類も豊富です。
材質やサイズ、形、前歴などを少しずつ変えた樽を数多く用意し、使い分けています。
自然の中で四季の移り変わりを感じながらじっくり熟成されることで、白州ならではの味わいが育まれていくのです。
白州をグラスに注いだとき、最初に感じるのは新緑のような瑞々しい香りと、爽やかな果実感です。口に含むとふっくらとした優しい甘味とコクが感じられますが、重くはありません。
クリアな味わいです。
余韻として優しい甘さとほのかなスモーキーフレーバーが現れますが、キレがありすっきりと消えていきます。
ジャパニーズウイスキーには少ない、甘味控えめのやや辛口の部類に入るでしょう。
グレンフィディック蒸留所は、スコットランドの中でも特に蒸留所の多いスペサイドにあります。
130年以上の歴史を持つ老舗の蒸留所です。
禁酒法の時代にも工夫を重ねて操業を続けた蒸留所だけあって、1963年に、いち早くシングルモルトウイスキーとして発売を始めました。
その甲斐あって、シングルモルトの代表的なウイスキーとして世界中に名を知られる銘柄となっています。
おしゃれな緑色の三角柱ボトルも特徴的です。
グレンフィディックでは伝統的な技法を守り続けています。
発酵は大麦を粉砕した後、敷地内に湧き出るきれいな水を使って発酵させるという方法です。
蒸留の管理は常駐のスチルマンが手作業で行い、ポットスチルの変形修理やメンテナンスは専門の銅職人が行っています。
樽詰めした原酒の管理も、常駐のマスターディスティラーが行っているのがグレンフィディックの特徴です。
アメリカンオーク樽、ホワイトオーク樽、ヨーロピアンシェリー樽、バーボン樽などを巧みに使い分け、多彩な原酒に仕上げています。
異なる個性を持った原酒を絶妙なバランスでヴァッティングして生み出されるのが、グレンフィディックの持ち味です。
最もスタンダードな12年物は、アメリカンオーク樽とヨーロッピアンシェリー樽の組み合わせで、開封するとほんのりと甘い香りがします。
甘ったるい甘さではなく、洋ナシや柑橘系のさわやかな甘い香りです。
口に含むとほんのりと甘さが感じられます。
舌触りも滑らかで、複雑な味わいが口いっぱいに広がりますが、クセはあまり感じられません。
スコッチのシングルモルトウイスキーというと、かなりクセのあるものが多いのですが、
グレンフィディックはクセがほとんどないので、初心者でも抵抗なく飲めます。
スペサイドのシングルモルトの特徴をすべて網羅できるようなウイスキーでありながら、飲みやすいというのはありそうでいてなかなか見られない個性です。
そのためか、スコッチウイスキーとしては世界一の売り上げを誇っています。
どちらもスコッチウイスキーの製法でつくられているので、味や香りの方向性が似ています。
また、スモーキーフレーバーが特徴のスコッチウイスキーの中にあって、スペサイド系はピート香が弱めです。
グレンフィディックはかすかにスモーキーフレーバーが感じられる程度なので、後味で感じられるスモーキーさは白州と似ています。
フルーティーな香りが強めな点と甘味が抑えられている点も、白州とグレンフィディックの共通点といえるかもしれません。
洋ナシや青リンゴにたとえられるようなフレッシュで爽やかな果実感です。
フルーティーさはどちらも強く感じますが、よく熟した果実というよりはフレッシュな若々しい果実をイメージさせます。
また、甘味を強く感じるものが多いスコッチウイスキーの中でも、グレンフィディックの甘さはライトです。
スパイシーな辛さもほどよく加わっている点も白州と似ているように感じられます。
口当たりの滑らかなのに、フィニッシュはドライという点も似ているかもしれません。
コクがないというのではなく、舌にまとわりつかないさっぱりとした口当たりというべきでしょうか。
甘味を感じるのに軽く、余韻はあるけれどスッと消えていくという点がよく似ています。
さらに、水割りやハイボールなど加水した状態でも味のバランスがあまり崩れないため、飲み方の選択肢が幅広いという点も共通している点です。
どちらも甘味を感じますが、白州の方がふっくらとした丸みが感じられます。
また、味の複雑さ奥行きも白州の方が勝っているようです。
グレンフィディックもさまざまな持ち味の原酒を厳選しヴァッティングしているので方向性は似ていますが、深みが少し違うようです。
それはスコッチウイスキーかジャパニーズウイスキーかという違いになるので仕方がありません。
産地がスコットランドと日本と離れているので、香りや味、口当たりなどは違いがあって当たり前ということを考えると、やはり両者は似ているところが多いと言えるでしょう。
あえて挙げるなら、決定的な違いはコストパフォーマンスです。
グレンフィディックはスコッチウイスキーの中では世界で最も販売数が多いというだけあって、手ごろな価格で手に入ります。
シングルモルトの先駆け的存在で、飲みやすく味のバランスもよいことを考えると、このコストパフォーマンスのよさは魅力的です。
それに対して、白州は原酒不足によって供給量が限られています。
市場に出回る量が少ないため、どうしても取引価格が高騰しがちです。
手に入りやすいか入りにくいかが最大の違いというのが残念でなりません。
白州とグレンフィディックはジャパニーズウイスキーとスコッチウイスキーという違いがありながら、かなり似たところが多いと思われます。
しかし、白州の味わいを好む人にとって、白州の代わりになるかならないかは別問題です。
個人個人の好みにも関わることなので、自分の舌で確かめてみる以外ありません。
もし、似ているシングルモルトを探しているのであれば、候補の1つにしてみてはいかがでしょうか。