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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーやワインを嗜んでいるというと、どこか卓越した大人の雰囲気がありそうにみえたりするものです。
ただ、どちらかが好きな人も応援している野球の球団の如く好きではないほうを邪道扱いしがちですが、大きな違いはあれど、共通している部分もあるのです。
例えば、簡単な違いでいえばウイスキーが蒸留酒であるのに対し、ワインは醸造酒であり、共通点はウイスキーはアルコール度が40度位と高く、ワインは12度位であることなどです。
初心者にとってはお互いに手を出しにくいお酒ですが、ウイスキーとワインの違いと類似点を具体的に紐解くことによって飲まず嫌いをなくし、シチュエーションによって飲み物を変えられる余裕をもちましょう。
この記事のポイント
ウイスキーとワインは同じお酒でありながら原料や製造工程がまったく違います。
お酒としての種類までも違うので細かく見ていきましょう!
まず、基本的な所で、ウイスキーとワインでは原料の違いがあります。
ウイスキーは大麦、小麦、ライ麦、コーンなどの穀物を原料とし、シングルモルトでは大麦麦芽のみを原料としています。
ウイスキーの原料はモルト(大麦)だけではない! 種類によって変わる味わいとは?
アルコール発酵は、酵素が糖をアルコールと二酸化炭素に分解して発酵させています。
一方、ワインの原料はブドウのみになります。
ここで、製造工程に違いが出てきますが、ブドウは糖も水分も含んでいますが、ウイスキーの原料は穀物のため水分を含んでいません。
そこで、ウイスキーは原料を発芽させて糖化した後に水を加えて成分を煮出しその煮汁を発酵させます。
ウイスキーの製造工程の方が手間がかかります。
前述にもご紹介しましたが、ウイスキーは蒸留酒、ワインは醸造酒の種類に分類されます。
蒸留酒と醸造酒の種類の違い | |
蒸留酒 | ウイスキー・ウォッカ・リキュール・ジンなど製法からアルコール度数が高めのお酒が多いです。 |
醸造酒 | ビール・日本酒・ワインなど原料に糖分が含まれているお酒です。 |
ワインのような醸造酒は原料を酵母の力でアルコール発酵させてできるですが、その醸造酒をアルコール気化させて冷やしたのがウイスキーのような蒸留酒です。
アルコールを気化して冷やす「蒸留」の手順
ご存じのように水の沸点は100度ですが、アルコールの沸点は約78度です。
蒸留させる前のウイスキーはウイスキーは、アルコール度数7~8%程度しかなく、雑味や揮発されない成分が混じっており、味や香りもおいしくありません。
上記の工程を踏むことで沸点の低いアルコールが濃縮されるのです。
ちなみにワインは原料となるブドウ果汁の成分を全て生かして味や香り作り上げます。
お酒は適量を守って飲むことが大事であるのは前提ですが、お酒の種類によって人体に及ぼす影響はどの程度なのか気になりますよね。
ウイスキーとワインにも大きな違いがあるのでみていきましょう。
毎晩のようにお酒を飲んでいて太った、とかビール腹になった、などと聞いたことはありませんか?
お酒=太るというイメージですが、糖質やプリン体の量もお酒の種類によって違います。
太ってしまった時に
「カロリーを減らさなければ」
とよく言っていますがカロリーとは糖質、脂質、たんぱく質などのエネルギー源のことです。
糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたものですが、食物繊維にはほぼカロリーはないので、炭水化物に含まれるカロリーはほぼ糖質。
以下はお酒の種類別の糖質の量です。
お酒の種類 | 100gあたりのカロリー | 100gあたりの糖質量 |
ビール(淡色) | 39kal | 3.1g |
発泡酒 | 44kal | 3.6g |
赤ワイン | 68kal | 1.5g |
白ワイン | 75kal | 2.0g |
ウイスキー | 234kal | 0g |
日本酒(純米酒) | 102kal | 3.6g |
梅酒 | 155kal | 20.7g |
お酒が太りやすいといわれているのは上記の表のように糖質量が多いからなのですが、ウイスキーの行をみると糖質がありませんね。
ウイスキーに糖質がないのは蒸留によってアルコールや水分を抽出しているので、栄養成分がないからなのです。
ちなみにウイスキーはプリン体もほぼ0に近いです。
プリン体は内臓を動かすための大事なエネルギー物質で体内でも作られていますが、ほとんど全ての食品に含まれていまおり、過剰に摂取すると尿酸値の上昇や痛風などの原因となります。
健康面を気にする人にとってはウイスキーはありがたいお酒といえるかもしれません。
もちろん、適量やその日のコンディションに合わせての飲酒を守ってというのが前提です。
ウイスキーは太らないからウイスキーを飲めばいいと諸手を上げて喜ぶということはできません。
注意しなければならないのはアルコールにもカロリーがあるということです。
厚生労働省が定める1日の飲酒量の適量はアルコール量20gなので、この重量でアルコールのカロリーをみると、ウイスキー(60ml)が142kcalで赤ワイン(220ml)161kcalあります。
アルコール自体のカロリーはウイスキーの方がありますね。
しかし、水割りやハイボールで飲むなどするとカロリーは抑えられて1.5~2杯ほど飲めるので、ダイエットをしている方や健康に注意しているけどお酒は飲みたい方などにはウイスキーの方がおすすめかもしれません。
ワインとアルコールでは度数もかなり違うのでお酒の弱い人は注意しなければなりませんね。
ワインの平均アルコール度数は12度前後ですが、ウイスキーは40度前後もあります。
アルコール発酵を起こす酵母は菌の一種なので、一定以上のアルコールが存在する環境ではアルコールが殺菌されて不活性化します。
そのため、ワインの場合、通常15%ほどで発酵が停止しされるので、これがアルコール度数の限界になります。
しかし、ウイスキーの場合は、発酵後に蒸留によって濃縮するので、原酒を何度も繰り返し蒸留することで、97%までアルコール度数を高めることが可能となります。
実際には、消費者の嗜好に合わせて40%前後に調整しているメーカーが多いようです。
ウイスキーとワインでは開封前と開封後の保存状況によって味の落ち具合も変わってきます。
ウイスキーはちょっとやそっとでは味の変化はしにくいお酒で古くても保存状態が良ければ美味しくいただけたり、昔より価値が上がっていたらオークションなどで高く買い取ってもらえることなんかもあったりします。
ウイスキーは沸騰・冷却を繰り返す蒸留工程を経ているので安定しているので、しっかり密封状態を保って、味を変化させないように保管し、直射日光の当たるところに置かないなど基本的なことを守っていればOKです。
ただ、あまりに安定しているので、ワインと違い瓶詰め後の熟成は見込めません。
一方で、ワインは状態が非常に不安定で変化しやすい成分が多く含まれています。
そのため、開封後はで1週間以内くらいには飲み切らないと味が落ちてしまう可能性が高いです。
ワインは、開封前は保管の際には温度や湿度を厳密に管理し、光や振動などの外部刺激をシャットアウトする必要があります。
せっかく購入した高級ウイスキーやワインであれば飲み頃にいただきたいものですね。
自宅のスペースに余裕がある方はワインセラーなどに入れて保管するのがいいでしょう。
ウイスキーとワインの類似している点はいづれも長期間の熟成によって風味が向上する銘柄があるということです。
ワインは美味しく飲める時期が非常に大きく異なるお酒。
早いうちに飲んだほうがいい銘柄もあれば、少し寝かせて熟成が進んだ頃に飲んだ方がいい銘柄など様々です。
そして、長い期間熟成させたワインは、若いワインとは異なり、複雑で繊細な味や香りを放ちます。
ウイスキーは瓶詰め前、樽の中で熟成が進みます。
長期間熟成させたウイスキーは短期間のものよりも、高いアルコール度数を感じさせないまろやかな口当たりと深く芳醇な香りになります。
いづれも熟成には長い時間と労力がかかりますが、それに見合うだけの高い品質が得られるところが共通しています。
日本の国産ウイスキーは世界五大ウイスキーのひとつに数えられるほどになりました。
品質が良いうえに、他にはない繊細かつ複雑な味わいが、世界中から高く評価されているのです。
その証拠にワールドウイスキーアワード等国外のいくつもの著名な賞を受賞しています。
それゆえに、原酒が不足し、入手が難しい銘柄も出ているのが現状。
一方でワインはまだ発展途上といえるでしょう。
ワインもウイスキーも、日本では同時期の明治維新後の19世紀から20世紀にかけて作られてきました。
しかし、醸造・蒸留・熟成の技術部分が重要なウイスキーに対し、ワインは原料となるブドウの品質が味わいを大きく左右するお酒です。
しかし、残念ながら日本の気候はブドウ栽培には向いておらず、十分な品質の原料が収穫できないのです。
結果として、国産ウイスキーは国内の供給が追いつかないほど海外での需要が高まっているのに、国産ワインはまだまだ国際的な存在感を示せているとは言えません。
ウイスキーを飲んだことのない人にとって、違いや類似点をしることで、様々な利点があることがご理解できましたでしょうか。
ワインも品質の良いブドウの生産のために日々進歩してきており、日本ならではのワインを造る方針も形成されつつあります。
シチュエーションにや料理によってウイスキーとワインを両方楽しめるようにするとお酒を日常的にもっと楽しめることでしょう。