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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーの価格は、品薄や終売によって需要と供給のバランスが崩れることで値上がりすることがあります。
値上がりしそうなウイスキーは、ウイスキーの販売状況からある程度予測しやすいといえるでしょう。
ウイスキーの本場スコッチウイスキーで終売した銘柄や、今人気のジャパニーズウイスキーで品薄状態が継続している銘柄は今後値上がりする可能性があるといえます。
この記事では、2024年に値上がりしそうなウイスキーを8つ紹介し、高騰の理由と仕組みも解説します。
この記事のポイント
はじめにウイスキーが値上がりする理由について簡単に解説します。
ウイスキーの製造過程には樽の熟成があり、スコッチウイスキーであれば3年以上の熟成が必要であり、平均9年の熟成期間を要するため、ウイスキー作りにはかなり時間がかかることが分かります。
もし、熟成過程のウイスキーが少ない状態で新たに原酒を供給できる見込みがなく、蒸留所の原酒が不足したらどうなるでしょうか?
十分な本数のウイスキーを販売することができない上に、製造に時間がかかるため唐突な需要の増加に対応できないので、品薄の状態が長く続くということです。
最悪の場合は、品薄により終売というケースもあります。
現在のジャパニーズウイスキーの現状は、蒸留所に残っている原酒が不足しており、新たにウイスキーを供給できる目途がたたないことから高騰しています。
なかには定価の数倍から数十倍で取引されている銘柄もありますが、上記の経緯から需給のバランスを崩すことが難しいため、値崩れの懸念が少なく、今後も価値が上昇するという予測がなされているのです。
ウイスキーの製造方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーの製造方法は? 原料からボトル詰めまでの流れを解説
ウイスキーボトルは未開封で保管に気をつけていれば、長期間保有することが可能です。
そのため、限定品や、すでに終売となったウイスキーがオークションなどに出回ることがあります。
このような入手困難なウイスキーは、高額な価格で取引されることがあるのです。
2020年、香港のボナムズオークションで、限定販売の長期熟成ウイスキー山崎55年は約8,500万円で落札されました。
ウイスキーの価格は人気や希少価値にも左右されますが、ジャパニーズウイスキーの最高峰ともいわれる高い人気を持つ山崎の限定ボトルはオークションで出品されると約数千万円の価格で取引されます。
現在では一般的に販売されていない銘柄は、時が経つにつれて希少価値が増していく可能性が高いといえるでしょう。
ウイスキーの販売元は、さまざまな事情でウイスキーの値上げに踏み切る可能性があります。
特定の銘柄の希望小売価格が上がると、他の酒店やオンラインショッピングでも合わせて値上げをするのが一般的です。
サントリーは国内の31銘柄について、2022年4月1日から希望小売価格を最大28%値上げしています。
また、販売元により終売が発表されたウイスキーも価格が高騰する傾向にあります。
それでは、2023年に値上がりしそうなスコッチウイスキーを5つ紹介します。
マッカランは、シングルモルトのロールスロイスと呼ばれる高級ウイスキーです。
2018年に、マッカラン60年が約1億2,500万円で落札されましたが、ウイスキー史上最高の落札価額を記録しました。
マッカラン60年は、24本しか生産されておらず正確な現存本数は不明ですが、2023年に再びオークションに出品されることがあれば1億2,500万円を超える落札価格を記録することが予想されます。
また、マッカランは「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」が休売しました。
シェリー樽とバーボン樽の2種類で熟成された原酒をブレンドしたこちらのボトルは、マッカランの高級な味わいにバニラのまろやかさと取っつきやすさが融合した人気銘柄でした。
マッカラン自体が人気銘柄であることから、ボトルの休売は今後の供給が安定しなくなるため、価格に大きな影響を与えそうです。
マッカランダブルカスク12年の違いとは?種類ごとの味の違いも解説
アードベッグは、アイラ島で製造されるアイラウイスキーであり、個性的なアイラウイスキーのなかでも力強いスモーク香と独特な味わいが人気の銘柄です。
日本でも広く販売されている銘柄でしたが、そのなかでも「アードベッグ アン オー」が日本で終売することとなりました。
アードベッグの個性的な味わいのなかに甘い風味が楽しめるこちらのウイスキーは、販売されている銘柄のなかでも人気のあった商品です。
日本のみの終売であるため海外では購入可能ですが、入手難易度が高まったことから値上がりの懸念があるウイスキーになります。
グレンファークラスは、イギリスの首相マーガレット・サッチャーが愛飲したウイスキーとして知られています。
クオリティの高いウイスキーを数多く販売してきたグレンファークラスですが、今年になり「グレンファークラス21年」が終売となりました。
TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2019)で金賞を受賞したこちらの銘柄は、スペイサイドらしい甘くて飲みやすい味わいで完成度の高い商品としてウイスキー好きの間でも知られています。
人気かつ20年以上の長期熟成銘柄となっているので、終売から継続した値上がりが考えられます。
ボウモアは、アイラウイスキーのなかでもスモーク香と風味のバランスが取れた完成度の高いウイスキーとして知られ、アイラの女王と称されることがあります。
今年に入り、ボウモアの主力銘柄である「ボウモア18年」「ボウモア25年」が休売することとなりました。
どちらもボウモアの代表的な長期熟成銘柄であることからプレミア価格がつき始めています。
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ブラッドノックは、ローランド地方で製造されるウイスキーですが、閉鎖と再開を歴史的に繰り返してきた蒸留所です。
2017年に再開されたブラッドノック蒸留所でしたが、主力銘柄である「ブラッドノック10年」が終売となりました。
日本での知名度があまり高くないため、価格に大きな影響が出るかは不透明ですが、今後ブラッドノックの入手が困難になることが予想されます。
次に、現在高騰中のジャパニーズウイスキーのなかで値上がりしそうな銘柄を紹介します。
山崎は、サントリーが販売する代表的なジャパニーズウイスキーであり、国内のボトルウイスキー投資の対象にもなっている銘柄です。
山崎55年の高額落札事例もあり、世界からの注目も集まっている銘柄ですが、販売元による供給が間に合っていない状態です。
サントリーは2024年4月から山崎を含むウイスキーの値上げに踏み切っており、具体的な値上げ状況は下記の通りになります。
商品 | 改定前 | 改定後(値上げ率) |
山崎(ノンエイジ) | 4,500円 | 7,000円(56%) |
山崎12年 | 10,000円 | 15,000円(50%) |
山崎25年 | 160,000円 | 360,000円 (125%) |
白州(ノンエイジ) | 4,500円 | 7,000円(56%) |
白州12年 | 10,000円 | 15,000円(50%) |
白州25年 | 160,000円 | 360,000円 (125%) |
響 JAPANESE HARMONY | 5,500円 | 7,500円(36%) |
響30年 | 160,000円 | 360,000円 (125%) |
知多 | 4,000円 | 6,000円(50%) |
碧Ao | 5,000円 | 6,000円(20%) |
参考:サントリー公式サイト
希望小売価格の値上げにより、オンラインショッピングやインターネットオークションで流通している山崎の価格にも影響が出る可能性があります。
イチローズモルトは、埼玉県の小さな蒸留所である秩父蒸留所で生まれたウイスキーであり、世界的に高い評価を受けています。
世界的に権威のあるウイスキー品評会のワールド・ウイスキー・アワードでジャパニーズ部門の世界最優秀賞を7年連続受賞し、世界最高賞を5年連続受賞している銘柄です。
しかし、イチローズモルトは世界的に高い需要がありながら、職人によるこだわりの製造方法を守り、生産量も変わっていないため、供給は変化しないにも関わらず、需要は年々増加している状態にあります。
需要に対して供給が少なすぎるため、値上がりする条件が整っているといえるでしょう。
秩父で生まれたウイスキー『イチローズモルト』とは?製法や種類をご紹介
画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/ao/
碧AOはサントリーから販売されるジャパニーズウイスキーを含む世界5大ウイスキーをブレンドしたウイスキーです。
2022年6月7日に「サントリーワールドウイスキー碧Ao〈SMOKY PLEASURE〉」が数量限定で販売されました。
こちらのウイスキーはスモーキーをテーマに、スモーク香の強い原酒をブレンドしています。
代表的なジャパニーズウイスキーの販売元であるサントリーから販売された限定ボトルであることから、今後値上がりする可能性が高い銘柄です。
ボトルウイスキーが高騰する理由は、需要と供給にあります。
例えば、あるウイスキーが終売、休売した場合は、今後入手困難になることが予想され価格が急激に上昇することもあります。
限定品のウイスキーが高額で落札される理由もコレクターからの需要があるからです。
つまり、ボトルの価格はウイスキーの需要と供給のバランスに依存するということになります。
もちろん、ウイスキーの愛好家は世界中にたくさんいるので、唐突にウイスキーの需要がなくなることは考えにくいです。
しかし、銘柄よっては需要が高まるほどの人気や希少性がないため、終売していても、限定品であっても、保有を続けることで値上がりしない場合もあるということになります。
ウイスキーボトルの値上がりを期待して所有を続けることで、必ずしも結果が期待できるとは限りません。
また、ウイスキーボトルの価値が上昇しても個人でボトルを管理する場合、いざ売ろうと考えたときに管理体制に不備がないことを証明できず、買い手が見つからない可能性もあります。
近年、流行しているウイスキーのボトル投資にはこのような落とし穴もあるので、値上がりを期待してボトルを購入する場合は、必ず上記のことを理解しておきましょう。
ウイスキーボトル投資のデメリットについて知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
今流行りのウイスキー投資のデメリットとリスクについて詳しく解説
ウイスキーボトルを購入し、値上がりを待ってから買い手を見つけるウイスキーボトル投資は気軽にできると思われがちです。
しかし、実際には銘柄選び、保存、買い手を見つける観点から実はハードルが高い投資方法です。
ウイスキーは株、債券、投資信託のような金融資産とは異なり、金融市場の暴落の影響を受けず、インフレ対策にもなります。
リーマンショックやコロナショックに続く、市場の大暴落のリスクを考えるなら保有したい資産です。
より長期の資産運用として安定した投資方法を選ぶならウイスキーはボトルで保有するのではなく、カスクで保有するのがおすすめになります。
ウイスキーは熟成によってその価値を増すお酒ですが、ボトルに詰められた状態では熟成は進みません。
ボトル詰めする前のカスクの状態で保有すれば、時が経つにつれて熟成によりその価値は増していくので、長期的に保有するだけで値上がりが期待できる仕組みです。
また、ウイスキーボトルを安い価格で購入して、高い価格で売却するというやり方は投資というよりも転売と捉えられることもあります。
ウイスキーカスクの販売は、蒸留所が行っている資金の調達手段の1つであるため、ウイスキー樽を購入することで間接的に蒸留所に貢献する活動にもなります。
ウイスキーカスクへの投資は、ボトルとは異なる視点から価格の上昇が期待され、カスクの購入は蒸留所がウイスキーを恒久的に製造を続けるための支援にもなるのです。
ウイスキーカスク投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
今話題のウイスキー投資とは?高い成長率の理由と今注目のカスク
2024年に値上がりしそうなウイスキーを紹介しました。
今回紹介したウイスキーは値上がりする可能性があるため、飲みたいと考えている方は早めに購入したほうがよいでしょう。
一方で、値上がりを期待してボトルを購入する場合は、今回の記事で紹介した注意点も理解しながらカスクの購入も検討してください。
ウイスキーカスクを購入できる国内唯一のプラットフォームには当サイト「カスクインベストメント」があります。