
函館に現れたユニークな蒸留所!ディ・トリッパー蒸留所代表、澤田凌さんに独占インタビューしました!!
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- 蒸溜所(日本)
世界的に有名なブレンデッドスコッチウイスキー「Dewar’s(デュワーズ)」をご存知ですか?
今日はDewar’sの誕生時から原酒を供給し、現在ではシングルモルトとしても高く評価されている「HOME OF Dewar’s」ことアバフェルディ蒸溜所を訪問しました。
アバフェルディ蒸溜所では様々な蒸溜所ツアーが実施されていますが、今回はアバフェルディをはじめとするモルトウイスキーやグレーンウイスキーを巧みにブレンドする「ブレンダー」の仕事を体験できるブレンドセミナーに参加しました!
スコットランドのハイランド地方に位置するアバフェルディ蒸溜所は世界的なブレンデッドウイスキー「Dewar’s」のキーモルトとして知られています。
近年ではシングルモルトとしての人気も急上昇しており、日本においては定番商品の「アバフェルディ 12年」が購入困難になるほどの銘柄となっています。
Dewar’sは、1846年にジョン・デュワー氏が設立した「ジョン・デュワー&サンズ社」によって生まれたブレンデッド・スコッチ・ウイスキーブランドです。
その後、息子のジョン・アレクサンダー氏とトーマス・ロバート氏がブランドを世界的に成長させ、1899年には現在も高い人気を誇る「デュワーズ ホワイトラベル」が発売されました。
“STAY CURIOUS” 「いつも胸に、好奇心を。」をコンセプトに、170年以上に渡り世界中で愛され続けています。
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ステファニー・マクラウド氏は、2006年にDewar’sの7代目マスターブレンダーに就任しました。1846年から続くDewar’sの歴史の中で初めてかつ、業界でも珍しい女性マスターブレンダーとして知られています。ステファニーさんは、華やかでエレガントなテイストのウイスキーを造ることに長けており、International Whisky Competitionでは2019年から6年連続で、最優秀マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤーに選出されました。 |
まさに「HOME OF Dewar’s」な看板
アバフェルディ蒸溜所を訪れるとまず目に入るのがDewar’sとアバフェルディ蒸溜所の看板、その深い関係性が一目でわかります。
蒸溜所のビジターセンターに入るとアバフェルディやDewar’sをはじめ、Dewar’sのキーモルトとして知られる他の4つの蒸溜所のウイスキーがずらりと並んでいます。
生産量が少なく希少な長期熟成のボトルもあり、これらのウイスキーが好きな方にはたまらない空間です!
ブレンダーがブレンドをしていた様子
アバフェルディ蒸溜所のビジターセンターで受付を行うと、150年以上の歴史を持つDewar’sをつくりあげてきたブレンダーが実際に仕事をしていた部屋をそのまま再現したブレンダールームに案内されました。
実際にブレンダーがブレンドを行う際の雰囲気を、壁に飾られた写真や当時つかわれてきた道具などから感じる事ができます。
Dewar’sの歴史やスコットランドのウイスキーづくりについて解説
いよいよブレンドセミナーが始まります。
セミナーは実際にブレンド作業を行う前に「Dewar’s魔法の5柱」とも呼ばれるキーモルトを生み出すアバフェルディ蒸溜所をはじめとした5つの蒸溜所の紹介からスタートしました!
アバフェルディ蒸溜所以外にもクライゲラキ蒸溜所、ロイヤルブラックラ蒸溜所、オルトモア蒸溜所、マクダフ蒸溜所についても詳しく説明していただき、その味わいや特徴の多様性に驚かされます。
さらに、多種多様な個性を持つウイスキーをブレンドし、美味しいブレンデッドウイスキーをつくりあげるブレンダーの高度な技術には、感服するばかりです。
1891年に設立されたクライゲラキ蒸溜所は創業当初から現在に至るまで、近くの丘から湧き出る泉の水を仕込み水として使用し続けています。
オイルヒーティングという特別な手法で乾燥させた大麦麦芽を使用いて生み出される独特の味わいは、Dewar’sに欠かせない重要な要素となっています。
1812年に設立された、名前に「ロイヤル」を冠するロイヤルブラックラ蒸溜所は、英国王室御用達を最初に賜った蒸溜所としても知られています。
世界で最も古い蒸溜所のひとつであり、現在も伝統製法を守り続けています。特にシェリー樽での熟成への強いこだわりを持ち、Dewar’sにリッチなフレーバーを与えています。
1897年に設立されたオルトモア蒸溜所はフレッシュでドライな味わいで知られています。
オルトモア蒸溜所でつくられたウイスキーの多くがブレンデッドウイスキーの原酒として使用されるためシングルモルトとして販売される事は少ないですが、シングルモルト愛好家の間では隠れた高品質モルトとして知られています。
1960年に設立されたDewar’s魔法の5柱で最も新しいマクダフ蒸溜所は、「Dewar’s魔法の5柱」の中で最も新しい蒸溜所です。
いち早く金属製のマッシュタンを導入するなど、最新の製法や技術を積極的に取り入れている点が特徴です。
ブレンデッドウイスキー「Dewar’s」はこの魔法の5柱をはじめとするモルトウイスキーに加え、グレーンウイスキーもブレンドされています。
グレーンウイスキーはシングルモルトと比べると目立たない存在ですが、セミナーでは「最高の画家が絵を描くために良質なキャンパスが必要なように、良質なブレンデッドウイスキーをつくりあげるためには良質なグレーンウイスキーが欠かせない」と説明がありました。
Dewar’sと“魔法の5柱”について学んだ後は、いよいよブレンド体験のスタートです!
白衣に袖を通して準備が整うと、目の前にはアバフェルディ蒸溜所のウイスキーに加えて、4種類の原酒がずらりと並べられていました。
実際のブレンダーは、これよりもはるかに多くの原酒を使ってブレンドを行っているそうですが、セミナーでは、それぞれ特徴が分かりやすい5種類の原酒を厳選して用意してくれています。
この4種類の原酒には、それぞれ“地域名”が記されており、蒸溜所の名前はあえて伏せられています。これは、「名前にとらわれず、自由にブレンドを楽しんでほしい」という想いからだそうです。
原酒ごとに異なる個性を持ち、どの原酒をどのくらいの比率で加えるかによって、完成するウイスキーの味わいは大きく変化します。
ブレンドを始める前には、5種類の原酒それぞれの特徴について丁寧に解説があり、実際にテイスティングも行いました。そのうえで、「どんな味わいのウイスキーをつくりたいか?」というイメージを膨らませながら、ブレンド作業に取り掛かります!
一つ一つの作業が非常に繊細
ブレンドでは、5種類の原酒を好みの分量でメスシリンダーに注いでいきます。
メスシリンダー内で合計50mlのウイスキーをブレンドした後、一度ビーカーに移し、同じ工程をもう一度繰り返します。
このように二度計量することで、分量の誤差を抑えることができるそうです。
実際にブレンドを体験して驚いたのは、わずかな原酒の追加で、香りや味わいが大きく変化するということでした。
特に印象的だったのが、ピート香の強い「アイラ」の原酒。スポイトで数滴加えただけで、全体の味わいに力強いスモーキーさが加わりました。セミナーの担当者の方も、ピーテッド原酒のブレンドは非常に繊細で難しく、またブレンダーの技術が問われる部分だと話していました。
さらに、実際のブレンド現場では、年間を通して同じ味わいのウイスキーを提供し続けるという大きな課題に挑んでいます。異なる風味を持つ樽を巧みに組み合わせることで、一貫した味わいを生み出しているとのことでした。
ブレンダーという職業の奥深さ、Dewar’sが誇る“魔法の5柱”、そして参加者同士でお気に入りのウイスキーについて語り合いながら進めたブレンド体験。そうして完成した自分だけのブレンデッドウイスキーは、専用のボトルに詰め替え、最後にラベルを貼って仕上げます。
ラベルには、オリジナルブレンデッドウイスキーの名前や、ブレンダー名、アルコール度数などを自由に記載することができます。
こうして完成した、世界にひとつだけの自分だけのウイスキーは、思わず飲むのがもったいなくなるほど、特別なお土産となりました。
世界に1つだけのオリジナルブレンデッドウイスキー
ブレンドセミナーが終わった後は、アバフェルディ蒸溜所内にある展示スペースやBARも楽しむことができました。
ウイスキーの製造現場である蒸溜所の中にこれほど充実した訪れるウイスキー愛好家を楽しませるためのスペースが用意されている事に改めて驚かされます。
蒸溜所内の展示品
Dewar’sや魔法の5柱のウイスキーが勢揃い
アバフェルディ蒸溜所限定25年熟成のハンドフィル
実際にブレンドを体験してみて、ブレンダーの方々の技術のすばらしさを改めて実感しました。
ブレンド体験では5種類の原酒をしっかりとテイスティングしたうえでブレンデッドウイスキーをつくりましたが、実際の現場では原酒を口にすることはほとんど無く、香りだけを頼りに味わいのバランスを想像しながらブレンドしているそうです。ブレンダーは膨大な量の原酒を扱うため、すべてを飲むわけにはいかず、香りと経験もとにブレンドを行っているのだと聞いて深く感動しました。
アバフェルディ蒸溜所ではブレンドセミナーのほかにも製造設備を見学できるツアーなど多種多様なプログラムを楽しむ事ができます!
スコットランドを訪れた際にはぜひ、アバフェルディ蒸溜所をはじめとした蒸溜所のツアーやセミナーに参加してみてください!