山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
グランツはウイリアム・グラント&サンズ社が所有する蒸留所のモルトを使ったスコットランドのハイランド地方のブレンデッドウイスキーになります。
ウィリアム・グラント&サンズ社といえばあのグレンフィディックを製造している会社としても有名ですね。
グレンフィディックといえばシングルモルトウイスキーのパイオニアと言われています。
このグランツもスコッチの売り上げではトップ10位内の常連で2020年のイギリスのDrinks Internationalのデータによるとジョニーウォーカー、バランタインに次いで第3位の売り上げを誇っています。
グランツはコスパの良い格安ウイスキーのイメージがありますが、長期熟成の銘柄もあり、バラエティも豊富。
本記事ではグランツの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
画像引用:grantswhisky.com
ウイリアム・グラント&サンズ社は、グレンフィディック蒸留所の創業者でもあるウィリアム・グラントにより、1887年に誕生しました。
創業当初はブレンデッドウイスキーの原酒のみしか造っていなかったのですが、取引していたブレンド会社、パティソンズ社が倒産するという危機が訪れました。
パティソン社は最も原酒を提供している当時では最大のブレンド会社だったため、倒産によるダメージは相当なものでした。
パティソン社と取引をしていた中小規模の蒸留所も軒並み倒産の波に巻き込まれ、ウイスキー不況が到来します。
そこで、この契機をきっかけにウィリアム・グラントは自社でブレンデッドウイスキーを造ることに踏みきったのです。
そして、ウィリアム・グラントは自ら舵をとり、ブレンダーとなってブレンデッドウイスキー第一号をリリースしました。
1898年のことです。
後のグランツの前身として「グランツ・スタンド・ファスト」がリリースされました。
こちらは人気を博して、瞬く間に倒産の危機から這い上がりました。
これを機により営業活動にも力を入れ、グランツの長女イザベラの夫、チャールズ・ゴードン氏ロンドンやグラスゴー、エディンバラなどを中心とした各都市へセールスに赴きます。
セールスは中々一筋縄ではいかず苦労した模様です。
しかし、粘り強い性格で1909年にはセールスのため世界一周もしたほどでした。
その結果、彼の努力が功を奏して1919年までに世界30カ国に60軒の代理店と契約しました。
その後アメリカの禁酒法や2度の世界大戦はありましたが、何とか乗り切り、ブランドイメージの確立に力をいれます。
そして1957年、現在の三角柱にデザインされたボトルが誕生しました。
1963年には世界初となるシングルモルトウイスキー「グレンフィディック」もリリースします。
ウイリアム・グラント&サンズ社はグレンフィディック蒸留所の他にバルヴェニー蒸留所・キニンヴィ蒸留所・アイルサベイ蒸留所を保有しており、グランツはこれら4つの蒸留所の原酒をベースに作られたブレンデッドウイスキーになります。(その他にも約25種類のモルト原酒やグレーン原酒が使用されています。)
また、創業者のウィリアム・グラントが製法の面で大事にしてきたこだわりの要素がありますが、これがグランツの特徴的な三角柱
1つは火、『石炭などの直火炊き』2つ目は水『良質な軟水の仕込み水』、3つめは土『大麦とピート』を表しているんです。
ウィリアム・グラントが大事にしてきた3つの要素、これをボトルに落とし込んでいるわけです。
熟成には「アメリカンオーク樽」、「ヴァージンオーク樽」(新樽)、「リフィルバーボン樽」(一度バーボンの熟成に使った空き樽で熟成をかけた樽)を使用しています。
ストレートで飲むと蜂蜜をかけたリンゴに隠れるようにコーヒービーンズ、麦チョコ、甘さと香ばしさが感じられ、ミントや潮っぽさは感じられません。
アルコールの刺激感も香りからは感じられません。
味わいは甘さとほろ苦さの絶妙のハーモニー。
舌にのせるとリンゴやバニラといった甘さが広がり、その甘さがゆっくりとビターなものに変化していく感じです。
喉を通るとほんの僅かなスモーキー感が感じられますが、それ以上にバーボンウイスキーの香ばしさが主張してきます。
全体を通して、華やかなフローラルさも味わいにアクセントを加えています。
アルコールの刺々しさはなく、飲みやすい仕上がりになっていながらもしっかりと多くの構成を楽しめる味わいになっています。
甘さとほろ苦さと香ばしさが三位一体となって調和が非常にとれています。
グランツのおすすめラインナップをご紹介します。
画像引用:Amazon.co.jp
グランツトリプルウッドはオフィシャルボトルのスタンダードボトル、1500円前後でありながら本格的な味わいが楽しめるという定評があります。
ほとんどのブレンデッドウイスキーは1つの樽で熟成させ、それらをブレンドしますが、前述の通り、グランツでは木材がそれぞれ違う3種類の樽で熟成させます。
バージンオーク樽はスパイシーな強み、アメリカンオーク樽は微かなバニラの甘い滑らかさ、バーボンリフィルはブラウンシュガーの甘さを加え、よりメロウで芳醇な味わいをもたらします。
3種類の樽で熟成させることで、グランツに独特の風味と複雑さを与えているのです。
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グランツ ファミリーリザーブはトリプルウッドが発売される前のスタンダードボトル。
グレンフィディック・バルヴェニー・キニンヴィーとグレーン原酒のガーバンを主として構成されているブレンデッドウイスキーです。
カラーはさえた美しいゴールドの色合いです。
ストレートのアロマは甘い飴、ハチミツ、ハーバル&フラワー、スペアミントも少し入っていて上品な感じ。
味わいは甘い感じが先に来て次にスパイシーさ、コクが力強く、ハードボイルド系といった感じ。
加水した時のアロマは濃縮された麦ジュース、麦畑のような印象・ハーバルとアルコールでこなれた香りの印象で
口に含むと滑らかでスムースな蜂蜜、お花のラベンダーやローズの後にたくましいコクがありシルキーに喉の奥を通り抜け、上品な感じが美味しいです。
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こちらはグレンフィディックやバルヴェニーを主として約20種類以上の原酒とブレンドしています。
アロマはほんのりスモーキー 麦芽本来の香り すこしこがしたような印象。
味わいはグレンフィディック由来のフルーティさもありながら、バルヴェニーのヘビーな資質、ナッツ香やオイリーさもありながら、軽やかさもあります。
柑橘の香もあり品質の高さが感じられます。
グレンフィディックやバルヴェニーの印象が色濃く表れている銘柄です。
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こちらは2014年頃にリリースされた免税店限定商品になります。
1963年に設立したガーヴァン蒸留所の労働者たちに敬意を込める目的で造られたウイスキーです。
ノンチルフィルター、つまり冷却ろ過していない製法でアルコール度も46.3%と少々高め。
アロマはフレッシュなフルーティさとモルティの甘い感じが印象的。
味わいは辛口でありながら、クリーミィさを持ち合わせており複雑。
バナナや南国系の果実のトロピカルな甘さへと移り変わっていきます。
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こちらは2016年に免税店向けにリリースされた「エレメンタリー シリーズ」の一つで、『酸素』『炭素』『銅』のうちのオキシゲン(酸素)の元素記号8番を表しています。
もちろん熟成年数も8という数字にこだわり、エクストラ・バーボン樽で最低8年以上熟成、ガーヴァン蒸留所の原酒を使用しています。
酸素を減らした状態での蒸留になので、低い温度で蒸留が出来、原酒がメロウでスウィートに仕上がっています。
シングルモルトを含まず、グレーンのみをブレンドしたブレンデッド・グレーンウイスキーです。
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こちらは、以前東南アジア向けにリリースされていたブレンデッドウイスキーですが現在は終売になっています。
8年以上オーク樽で熟成したモルトとグレーン原酒をブレンド。
アロマは、樽由来のバニラやオーク材の奥にフローラルさを感じられ、ほのかな洋ナシもあります。
味わいは、最初にバニラの甘みが口いっぱいに広がり、じわじわと青リンゴやナシのフルーティさに変化、のど越しにビターな味わいに変化します。
ピート感などは薄く飲みやすい印象です。
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こちらは18年以上熟成されたシングルモルト原酒とシングルグレーン原酒を厳選してブレンドしたウイスキーになります。
それに加えて最後にフルボディの濃厚さを加えるためにポートパイプで半年間後熟させています。
香りはフルーティな柑橘系でありながら、ピリッと来るコショウのような感じもするオレンジピールやハチミツ、スパイスが感じられます。
味わいは非常に滑らかでジューシーなブラックベリーやラムレーズン、余韻は長くエレガントでハチミツのような香りが続きます。
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こちらは酒齢25年以上のモルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたウイスキーです。
香りは、トロピカルフルーツにシェリー由来のレーズンやプラム、若干スモーキーかつオイリー、スパイシーな香り。
味わいは、コクがあり濃厚でメープルシロップやマーマレードジャムのような芳醇な風味、後半にかけてキャラメルやハチミツ、若干ミントのような清涼感が感じられ、フィニッシュはビター。
粘性が強いフルボディなので口の中には甘くフルーティな風味が残ります。
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グランツは、ブレンデッドスコッチウイスキーとしては初めて、エールを貯蔵した樽(ビールの樽)による後熟商品を発売しました。
それがこちらの『グランツ エールカスク リザーブ』です。
現在は『グランツ カスクエディション エールカスクフィニッシュ』という名前に改名しています。
エールカスクのフィニッシュについて「スコットランドのビール醸造所に頼んで、バーボン樽をエールでシーズニングしてもらった」と公表しています。
アロマはスムーズで、リッチ、クリーミーな味わいで後からクリーミーなラムレーズンバターも訪れます。
口に含むとまずバニラや麦のの甘みの後で、エール樽の苦味がかけぬけます。
しかし、えぐみのような苦味ではなく、繊細でナチュラルな柔らかい苦味です。
ハチミツ、オーク材の香りもしっかりと感じらます。
一押しはハイボールや水割りです。
リンゴや洋ナシのフルーティな甘さが感じられる爽やかな一杯に仕上がります。
フルーティな甘さとビター感、香ばしさがバランスよく感じられるのも魅力
ストレートで感じたようなスモーキーさやフローラルな風味は影を潜めますが、その他の味わいの主張はしっかりと感じられます。
味わいの主張こそしっかりと感じられますが、ボディはそこまで重くないので、ハイボールや水割りを作る際には少し濃いめで作るとうすべったくならずに楽しめると思います。
グランツはリーズナブルな価格でありながら、その値段を感じさせない上品な味わいと香りが秀逸なウイスキーです。
日本未発売の銘柄も結構ありますが、バラエティ豊富で、基本的にどんな飲み方をしても美味しくいただけるので初心者の方も是非試してみてください。