シーバスリーガル 匠リザーブ 12年とは? 味わいとおすすめ飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
グレンモーレンジィは、スコットランドのハイランド地方を代表するウイスキーブランドです。
ウイスキーづくりが盛んな土地にあって、創業から約180年もの長きにわたり、世界中の人々から愛され続けるのはなぜなのでしょうか。
伝統の製法を継承しつつも、日々新しいウイスキーづくりを模索してきたからかもしれません。
この記事では、グレンモーレンジィが長年愛されてきた理由を探りつつ、種類や味、おいしい飲み方などについて解説します。
グレンモーレンジィは、スコットランドで多くの人から愛されているシングルモルトウイスキーです。
スコッチウイスキー、とくにシングルモルトウイスキーは、全体的にクセの強い銘柄が多いのですが、グレンモーレンジィは、口当たりがよく飲みやすいので女性を中心に人気があります。
スコッチウイスキー特有のスモーキーフレーバーよりも、フルーティーで甘い香りが際立っているのが特徴です。
ウイスキーをあまり飲みなれていない人でも飲みやすいので、ウイスキー初心者が飲むのにも適しています。
仕込んだモルトがある程度の熟成期間を経たら、シェリー酒や貴腐ワイン、マディラワインなど、異なる酒類を仕込んだ樽に詰め替え、追加熟成させるのがグレンモーレンジィの特長です。
複雑ながらもバランスのとれている味わいは、完璧と評価されることも珍しくありません。
グレンモーレンジィの香りや味わいに影響を与えているものが3つあります。
ポットスチルの形状、こだわりのデザイナー・カスク、硬水の仕込み水です。それぞれの要因がどのように香りや味わいに影響しているのかを解説します。
グレンモーレンジィの蒸留所には、ポットスチルが12基設置されています。
その高さは、5.14メートルに及び、大人のキリンの背の高さとほぼ同じです。
銅製のポットスチルのネックが長くなると、蒸留で湧き上がる際に、アルコールを含んだ蒸気が接触する面が大きくなります。そうなると、重たいアルコール蒸気はポットスチルの最上部まで上がり切れません。
その結果、余分な雑味が削ぎ落され、グレンモーレンジィ特有のフルーティーでフローラルな香りと味わいに仕上がります。
スコットランドには数多くの蒸留所がありますが、グレンモーレンジィ蒸留所にあるものが最高の高さを誇るものです。
ポットスチルの形状や大きさは、ウイスキーの味や香りを決定づけといっても過言ではありません。
背の高いポットスチルのネックを上り切った軽やかな蒸気に含まれるフルーティーでフローラルな成分だけです。
グレンモーレンジィの華やかな香りと上品な味わいは、背の高いポットスチルのたまものなのです。
グレンモーレンジィ特有の濃厚でクリーミーな味わいの源は、理想的に作り上げた樽・デザイナーカスクにあります。
たとえば、ホワイトオーク樽は通気性が高く、ウイスキーの熟成に用いるのに理想的です。
しかも、グレンモーレンジィでは、年輪の数や密集度を調べたうえで理想的なものを選びます。
樽板は2年の歳月をかけて自然乾燥させ、樽に作り上げた後、バーボンメーカーに貸し出します。
バーボンづくりに使ってもらうことによって、板の奥からタンニンなどの不要物が取り除かれるのです。
バーボンを作り終えた樽は、「デザイナーカスク」と呼ばれる段階になり、グレンモーレンジィを熟成させるための特別な樽として活躍を始めます。
ここまでこだわって作り上げた樽でありながら、ウイスキーの熟成に使うのはたったの2回だけです。
通常、ウイスキーの熟成には同じ樽を3回以上使います。
しかし、グレンモーレンジィが2回までにこだわるのは、若い樽の方がバーボン樽特有のバニラの香りや甘味が引き出されやすく、質感も滑らかに仕上がるからです。
グレンモーレンジィ蒸留所で使用される仕込み水は、スコッチの蒸留としては珍しいミネラル分豊富な硬水です。
グレンモーレンジィ蒸留所で仕込み水として使用しているターロギーの泉の湧き水は、石灰岩や砂岩層を100年以上の年月をかけて通過しゆっくりと湧き出てきます。
ミネラルを豊富に含む硬水を仕込みに使用することで、質感がクリーミーになり、味わいもフルーティーになるのです。
グレンモーレンジィには、通常のルートで購入できる7種類の他に、限定ボトルがあります。それぞれの特徴や味について紹介していきます。
2021年7月発売のエックスバイグレンモーレンジィは、カクテル用につくられたミキサーウイスキーです。
個性的で、ウイスキーの持ち味をそのまま味わうことが多いシングルモルトとしてはかなり珍しい部類といえるでしょう。
ハイボールやミキサーも簡単につくれます。
名前に配されたエックスは、ウイスキーの枠にとらわれない新感覚のシングルモルトであることを表しています。
上質なシングルモルトをもっとカジュアルに楽しみたいという人におすすめです。
ほのかに香るバニラや柑橘系の香り、滑らかな舌触りには、グレンモーレンジィらしさが漂います。
香りは洋ナシや爽やかなオレンジ、バニラ。
味わいはオレンジシャーベットやクレームブリュレといったスイーツ感とチョコレートファッジのような華やかにはじける甘さ。
余韻として甘味が長く続きます。
グレンモーレンジィの最もスタンダードなボトルです。
10年以上熟成させた原酒をブレンドしています。
さわやかなシトラスやフローラルの香りは樽由来のもの。
口に含んだときの蜂蜜やシロップのような甘味、パッションフルーツのような爽やかな果実感、バニラや白桃のような後味のバランスが捏妙です。
繊細かつ複雑な風味がスコットランドのみならず、世界中のモルトファンの心をつかんで離しません。
完成度の高さのわりに価格が手ごろな点も魅力です。
コストパフォーマンスに優れたシングルモルトウイスキーとして人気を博しています。
ラサンタとは、スコットランドで情熱やぬくもりを表す言葉です。
オロロソシェリーとペドロヒメネスの樽で24カ月追熟させた原酒でつくられています。
十分に追熟させることによって、温かみがあり、芳醇かつ濃厚なシングルモルトに仕上がりました。
スパイシーな香りは、シェリー樽由来のもの。アーモンドのようなナッツ系とコーヒーの香りがします。
芳醇で濃厚なシングルモルトです。
芳醇な香りとまったりとした濃厚な味わいの両方を楽しみたい人に向いています。
香りもコクも、スタンダードなオリジナルより濃くなっているので、飲み比べてみると良いでしょう。
グレンモーレンジィの味わい深さや芳醇な香りを堪能したい人におすすめです。
原酒を希少な貴腐ワイン「ソーテルヌワイン」の樽で2年間追熟させています。
サクランボやリンゴ、マスカットなど甘酸っぱく力強いフルーツ感はソーテルヌワイン樽に由来するもの。
レモンタルトのようなクリーミーな甘さと爽やか香りも同時に楽しめます。滑らかで濃厚な舌触りはスイーツのようです。
シングルモルトの中でもとくに甘くて飲みやすいので、女性やシングルモルト初心者でも抵抗なく飲めます。
誰でも飲みやすいので、贈り物にしても喜ばれるでしょう。
18年以上の時間をかけじっくり熟成させたグレンモーレンジィをブレンドした希少性の高いシングルモルトです。
メロンやパパイヤのような南国のフルーツや花の深く甘い香りと、コクのある味わいが特長です。
基本の熟成を15年間経た原酒を、部分的にシェリー樽に移し、3年間追加熟成させています。
ほんのりとした塩気は樽由来のもの。フィニッシュには力強く濃厚な焼きリンゴや白桃のような甘味と、オーク樽由来のスパイシーさが感じられます。複雑な味わいを好む人に味わってほしい逸品です。
希少な原酒を詰めていることもあり、それなりに値が張ります。
しかし、希少性だけで価格が吊り上げられているのとは異なり、品質もそれに見合ったものです。
ブラウンがかったゴールドのボディが美しいボトルに映えます。
大切な人への贈り物や、記念日のお祝いの品におすすめです。
シグネットとは、紋章の意味です。
グレンモーレンジィでは、長い年月をかけてチョコレートモルトの使用に関する研究に取り組んできました。
結果生み出された製法は、ユニークかつ革新的なものです。
深炒りしたチョコレートモルトを用いることで、深いコクと甘味が引き出されました。
ビロードのような滑らかさを味わえる贅沢なシングルモルトです。
数あるグレンモーレンジィのラインナップの中でも特に傑作といえます。特注したデザイナーカスクで熟成させます。
チョコレートモルトだけあって、カカオの芳醇な香りが強めです。
桃やオレンジピールの苦みと甘味を伴った果実感もともに現れます。滑らかな口当たりと贅沢な味わいが魅力です。
個性的なシングルモルトウイスキーを飲み慣れているウイスキー上級者におすすめします。
キンタ・ルバンのキンタは、ワイナリーを表すポルトガル語、ルバンはルビーを表すアイルランド語のルーツゲール語です。
黒ブドウを仕込んだワイン「ルビーポートワイン」の樽で追熟したことを表しています。
キンタ・ルバンはカカオ多めのチョコレートを食べたときに感じられるビターな風味と、ミントのようなメントール香は、ある程度ウイスキーを飲み慣れている人に楽しんでほしいシングルモルトです。
2014年と2015年は、イギリスで開催されるIWSCにおいて金賞を獲得しました。
完成度の高さが際立っています。
オリジナルのようなフルーティーさを維持しながら、コクの深さや口当たりの滑らかさを実現している点も魅力です。
バーボン樽で15年間熟成した原酒を、更にスパニッシュオークシェリー樽に移して追加熟成させた19年物のモルト原酒をヴァッティングした限定ボトルです。
口に含んだときのなめらかな口当たりと、香り豊かなアプリコットや爽やかなオレンジのような味わいがこのボトルの特長といえます。
甘味の奥にミントに近いメントール感と、白桃やバニラのような甘味、遅れてほのかな苦みが訪れる複雑な味わいも他にはない魅力です。グレンモーレンジィらしさを存分に堪能できる1本といってよいでしょう。
グレンモーレンジィのおいしさを味わうなら、やはりストレートがおすすめです。
それぞれのボトルの持ち味がはっきりわかります。ストレートで飲むときは、グラスに次ぐ量を加減しましょう。
グラスの3分の1程度が適当です。
チェイサーの用意も忘れずに。チェイサーと交互に飲むようにすると、一口ごとに口の中がリセットされるので、おいしさをじっくり味わえます。
水を加える場合は、少量ずつ加えるのがコツです。加水すると香りが引き立ちます。
ただし、水は水道水のような雑味のあるものでなく、ミネラルウォーターを選びましょう。
エビアン程度の硬度がおすすめです。
常温の水を加えるトワイスアップは、奥に隠れていた香りや甘味が表に出てくるので、グレンモーレンジィにピッタリの飲み方といえます。
小さじ一杯程度の水が加わるだけでも表情が変わるので、くれぐれも一度に加水しないように注意しましょう。
シングルモルトのクセを強く感じたいなら、ロックもおすすめです。
ロックに使う氷は、不純物の入っていない純氷を選びましょう。
ゆっくり溶けるので、じっくり時間をかけて飲むことができます。
新感覚のエックスバイグレンモーレンジィを試すなら、やはりハイボールがよいでしょう。
甘みの強いグレンモーレンジィの場合は、ほかの種類でもハイボールをおいしく作れます。
ハイボールや水割りは、自分好みの濃さを見つける楽しさもあります。
加える水や炭酸水の量や温度を少しずつ変えて楽しみましょう。
グレンモーレンジィは、シングルモルト特有のクセや、スコッチウイスキー独特のスモーキーフレーバーが弱めです。
そのため、ウイスキーを飲みなれていない初心者でもおいしく飲むことができます。
シングルモルトに挑戦してみたいというのであれば、グレンモーレンジィから初めてみてはいかがでしょうか。
お気に入りの1本が見つかるかもしれません。