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【イベントレポート】海底熟成プロジェクトと海底熟成の魅力に迫る!

2024.01.07 / 最終更新日:2024.05.31

「熟成」という工程は、ウイスキーを語るうえで切っても切り離せない存在です。
しかし近年、一度瓶詰めしたウイスキーを海底で追加熟成させることで、元のボトルと全く異なる味わいを持ったウイスキーへと生まれ変わらせる新たな試みが生まれています。

そこで今回は、ウイスキー熟成の新たな可能性である「海底熟成」について特集します!
本稿では、海底熟成の詳細や熟成日本酒Shop&Bar「熟と燗」の社長を務める上野伸弘さんによる海底熟成プロジェクトの概要、さらに実際にウイスキーを海底熟成させた方へのインタビューをお届けします。ウイスキーの海底熟成の可能性についてご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください!

併せてお読みください!

海底熟成とは

海底熟成とは何か

海底熟成は、もともと食品や飲料品などの保存・熟成方法の一つとして知られています。今回の海底熟成とは、お酒を海底に沈めて長期間熟成させる方法です。よく沈没船から発掘されたワインが高値で取引されているように、ワインや日本酒などのお酒を海底で貯蔵・熟成することで、味わいや風味の変化を楽しみつつ年数を重ねても美味しい状態で保つことができます。これは水温暗さなどの海底環境がお酒を貯蔵するのに適しているためとも言われています。

ウイスキーの場合、海底熟成させることで通常の樽熟成とは異なる味わいや風味の変化が生じることが分かっています。海中の潮の流れや海中に生じる、ある程度の周波数の振動によって、ウイスキーが角の取れたまろやかな味わいへと変化します。

海底熟成の様子

海底熟成プロジェクトについて

海底熟成プロジェクトとは

今回取り上げている海底熟成プロジェクトは、一般社団法人刻SAKE協会の常任理事である上野伸弘さんによる南伊豆の沖合での海底熟成の取り組みです。
ウイスキーやワインなどの酒類、味噌や醤油などの食品を半年間海底で熟成させることで、味や香り、食感や見た目などに生じる独自の変化を楽しむことができます。

海底熟成プロジェクトに先立って開催された海底熟成酒のトーク&テイスティングセミナー

海底熟成プロジェクト概要

期間 2022年11月~2023年6月
熟成場所 南伊豆
SNS Facebook:海中熟成酒プロジェクト【公式】

実際にウイスキーを海底熟成させた工藤将太郎さんに独占インタビュー!

Dear WHISKYは今回2022年11月~2023年6月の半年間、南伊豆の海底でウイスキーボトルを海底熟成させた、株式会社クレア・ライフ・パートナーズの代表取締役社長 工藤将太郎さんにお話を伺いました。

株式会社クレア・ライフ・パートナーズとは

株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

「生き抜く力を共に創る」を理念とし、個人の資産運用コンサルティングサービス並びに企業向け福利厚生制度の向上サービスを提供しています。事業は多岐にわたり、個人がウイスキーを所有し、オリジナルウイスキーを作成するボトリングサービスや当メディア「Dear WHISKY」の運営も行っています。

➡HPはこちらから

工藤将太郎さんのご紹介

“お金”はあくまでも手段であり、「貯め方」よりも「使い方」であることを大事にし、 多くの人々が、資産形成を楽しみ、前向きなライフプランを描き、それらを実現してほしいと考え、 事業・サービスだけでなく、書籍の出版なども通じて株式会社クレア・ライフ・パートナーズの考え方を発信しています。

株式会社クレア・ライフ・パートナーズ代表取締役社長の工藤将太郎さん

海底熟成酒との出会い

「海底熟成」という言葉が持つ魅力

Dear WHISKY:
海底熟成の存在はどのようにして知ったのでしょうか?

工藤さん:
東京・丸ノ内にあるプライベートクラブ「OCA TOKYO」により、2022年9月に開催された海底熟成酒のトーク&テイスティングセミナーに参加した際に初めて知りました。

Dear WHISKY:
なぜこのセミナーに参加しようと思ったのですか?

工藤さん:
OCA TOKYOから今回のセミナーのお知らせをいただいた時、海底熟成酒という言葉に目を引かれました。熟成という工程がないお酒でも、海底で寝かせることで味に変化が生まれる点、そして何より海底での熟成というロマンに強く惹かれました。

Dear WHISKY:
セミナー内で「海底熟成」という単語を初めて聞いた際の第一印象はどのようなものでしたか?

工藤さん:
海底という未知の場所でお酒を熟成させることに単純に興味を持ちました。沈没船から見つかった100年以上前のワインがオークションにおいて高値で取引されることがあるように、最近になって「海底」はお酒の熟成環境の選択肢の一つとして挙げられるようになりました。酒類業界において海底熟成は、新たな試みとして以前よりも注目されているように感じます。

唯一無二のウイスキーへの憧れ

Dear WHISKY:
海底熟成させたウイスキーと通常のウイスキーでは味わいや香りにどのような違いがありましたか?

工藤さん:
今回の海底熟成プロジェクトに先立って、海底熟成酒のテイスティングイベントに参加しました。ウイスキーの他にもワインや日本酒、焼酎など多くの種類のお酒において、海底熟成させたものと通常のものを飲み比べたのですが、1年ほどしか海底で熟成させていないにも関わらず、明らかな変化が味に表れていました。特にウイスキーについては、樽熟成の年数を重ねた際に表れる角の取れたまろやかな味わいが出ていました。

Dear WHISKY:
ご自身のウイスキーボトルを海底熟成させようと思ったきっかけは何でしょうか?

工藤さん:
樽の中で熟成させたウイスキーと海底熟成させたウイスキーとの間に生じる味や香りの違いを自分の舌で感じてみて、多くの人に知ってもらいたかったというのが大きな理由です。

Dear WHISKY:
一度瓶詰めされたあとでも、味が変わる可能性があるということですか?

工藤さん:
一般的にウイスキーをはじめとする蒸留酒は、瓶詰めの前と後で熟成は起こらず、品質やアルコール度数も変化しない点が大きな特徴です。しかし海底熟成酒のトーク&テイスティングセミナーに参加した際に、こうした蒸留酒であっても海底に沈めることで通常の熟成とは異なる味わいに変化するという話を聞いて、通常熟成は起こらないと言われている、瓶詰めした様々な種類のウイスキーを海底熟成させた場合にはそれぞれ味わいにどのような変化が起こるのか非常に興味が湧きました。

トーク&テイスティングセミナーで提供された海底熟成酒

海底に沈むボトルに想いを馳せる

Dear WHISKY:
海底熟成させたボトルが手元に戻ってくるまでどれほどの時間がかかりましたか?

工藤さん:
海底熟成させたいウイスキーのボトルの選定と海底熟成を依頼する会社への発送をするだけでしたが、発送してから実際に海底熟成されたボトルが手元に届くまでには1年ほどかかったと思います。

Dear WHISKY:
ボトルを海底熟成させている間はどのような気持ちでしたか?

工藤さん:
海底熟成には半年~1年ほどかかりますが、その間ボトルの所有者は待つことしか出来ません。そのため、7月~10月にかけて日本列島に台風が来るというニュースを見るたびに内心とても焦りました。しかし同時に、海底熟成させているボトルの存在を思い出す良いきっかけにもなっていました。自分が時間をかけて選んだウイスキーが、海の底でどのような変化をしているか想像を膨らませていました。

Dear WHISKY:
海底熟成させたボトルが手元に届いた際の第一印象はどのようなものでしたか?

工藤さん:
ボトルは全て緩衝材に包まれた状態で届きましたが、一目で海底熟成させていたボトルだと分かりました。ボトルの表面にはフジツボや石灰藻が付着しており、磯のような潮の香りを漂わせていました。

五感で感じる海底熟成ウイスキー

Dear WHISKY:
実際に海底熟成させたウイスキーの味わいはいかがでしたか?

工藤さん:
今回、自社で作成したアイル・オブ・ジュラの10年熟成ボトルを海底熟成させたのですが、アイル・オブ・ジュラが持つ嫌味なく軽めで上品なプルーンやブドウなどのフルーティ感、その後に来る柑橘系のマーマレードのような雑味のない香りはそのままに、それらの芳醇なテイストと樽の熟成感が合わさることで、通常のボトルよりもまろやかでありながら、微かに潮の風味が余韻に残る味わいに仕上がっていました。

Dear WHISKY:
実際に海底熟成を行って気付いたことがありますか?

工藤さん:
ボトルを引き揚げた際、海底熟成を依頼していた会社から蜜蝋で完全に密閉状態にしていたにも関わらず、コルク栓が水圧に負けて飛んでしまっていたという連絡を受けました。ウイスキーに封をする栓がコルクの場合、長期間保管すると、コルク栓が腐る可能性があることは知っていましたが、海中という高水圧の環境でコルク部分の劣化が思っていたより早く進んだことは意外でした。

今回海底熟成させたオリジナルボトルを手にする工藤さん

細部にまでこだわり抜かれたオリジナルボトル

Dear WHISKY:
数あるウイスキーのボトルの中から、今回なぜ海底熟成用にアイル・オブ・ジュラの10年熟成ボトルを選んだのでしょうか?

工藤さん:
このボトルはもともと、株式会社クレア・ライフ・パートナーズの設立10周年を記念して作成しました。会社経営をしていく中で正念場ともいえる最初の10年間を無事に乗り越え、その喜びを社員、そして何よりお客様と共に分かち合いたいという特別な想いを込めています。

Dear WHISKY:
オリジナルボトル作成のこだわりはありますか?

工藤さん:
今回のオリジナルボトルの作成は、株式会社クレア・ライフ・パートナーズとして初めての試みでした。10年という節目で原点回帰の意味合いも込めて伝統的な形でボトルを作成することは決めていましたが、
それに加えて弊社のロゴであるパズルの形を使用した特別な外箱、弊社のカラーである黄色を基調としたデザイン、バックラベルには弊社のコーポレートメッセージである“Life is fun”という文字も入れ込んでいます。他にも外箱の凹凸のある感触など細部に至るまでこだわっています。

Dear WHISKY:
工藤さんの中で1番思い出のあるボトルなのですね!

工藤さん:
今回のデザインは、私のボトルイメージからデザイナーの方に作成していただいたいくつかの案の中から決定しましたが、今のデザインに落ち着くまでに何度もミーティングを行い、試行錯誤を重ねたことは今でも鮮明に覚えています。

Dear WHISKY:
以前からオリジナルボトルの作成に興味があったのですか?

工藤さん:
弊社はウイスキーの樽を購入してオーナーになることができるサービスを運営していますが、私は昔からウイスキーが好きで、樽の保有という魅力以外にも保有したウイスキーを楽しむことに強い魅力を感じていました。

このように自社でボトリングした第1号のボトルであったからこそ、海底熟成用のウイスキーボトルとして選ぶのに時間はかかりませんでした。

地上と海底がウイスキーに与える影響とは

Dear WHISKY:
一般的な樽熟成はどのような熟成方法なのですか?

工藤さん:
ウイスキーの樽熟成では、季節による樽の膨張と収縮をベースにした自然的な化学変化が起きます。夏の暑い時期には樽の木目が開いてアルコール分が気化して蒸散します。反対に、冬の寒い時期には樽の木目が収縮していく際に外気を取り込み、その外気と共に木の香味が原酒に移り込んでいきます。

Dear WHISKY:
それでは、海底熟成はいかがですか?

工藤さん:
海底熟成では、振動をベースにした物理的な化学変化が起こるという説明を受けました。参加したイベントの中では「緩やかな酸化」という表現が使われていましたが、水中では地上に比べて物理的な振動の影響が約800倍大きくなります。海底に沈められたボトルは海流など微弱な水の振動に絶えず晒されます。つまり、地上であれば大したことのない振動でも海中ではウイスキー内のアミノ酸の形を変えてしまうほどの影響をボトルに与えているということです。

トーク&テイスティングイベントで工藤さんが試飲された海底熟成酒の数々

海底熟成酒を使用したロマンあふれるカクテルを!

Dear WHISKY:
今回沈めた海底熟成ボトルはどのようにする予定ですか?

工藤さん:
弊社はBAR FIVE Arrowsというバーを運営しているので、バーテンダーの方に渡して海水の風味がするカクテルを作れないか打診しています。もしかすると唯一無二のカクテルが生まれるかもしません。

Dear WHISKY:
まさにオリジナルのカクテルですね。今後も海底熟成を行いたいとお考えですか?

工藤さん:
ウイスキーの海底熟成は今後も定期的に続けていきたいと考えています!海底熟成させたウイスキーが何本か揃った際には、海底熟成させる前と海底熟成させた後のウイスキーの飲み比べのイベントを開催したいと考えています。

Dear WHISKY:
なぜ飲み比べのイベントを開催したいのですか?

工藤さん:
海底熟成させたボトルだけを飲んだだけでは、なかなか味の違いに気づくことは難しいと思います。そのため、バーに来ていただいたお客様に期間・場所など海底熟成の条件を変えた海底熟成ボトルと通常のボトルの味を比べながら海という大自然の力を味わっていただく機会を設けることは、とても有意義だと思います。

株式会社クレア・ライフ・パートナーズ 10周年 オリジナルボトル

海底熟成の無限の可能性

Dear WHISKY:
今後は海底熟成プロジェクトにどのような目的をもって参加する予定でしょうか?

工藤さん:
一般的に、ウイスキーのような蒸留酒は一度瓶に入れてしまうと味の変化は起きません。もちろんこの特性は、時間がたっても変わらない味を楽しめる、保存がしやすいといった大きなメリットがあります。しかしその一方で、瓶詰めされたとしても海底に沈めることによってウイスキーの味にさらに変化を加えられる点は非常に面白いことだと思います。また一人のウイスキー好きとしても、自分のボトルの味を変える選択ができることは非常に魅力的ですし、これからも継続して様々なボトルで試していきたいと考えています。

Dear WHISKY:
自分のお気に入りのウイスキーが思ってもみないような味に変化する可能性がある点は非常に面白いですね!

工藤さん:
まさに世界に一本だけ、自分専用のウイスキーボトルを手に入れることができる取り組みだと思います。海底熟成により生じる味の変化を実際に自分の舌で感じてみるという楽しみ方も、ウイスキーを通して自らのクオリティ・オブ・ライフを高める一つの方法だと思いますのでこれからも継続的に海底熟成プロジェクトに参加していきたいです!また、周りの人にも海底熟成の魅力を共有していきたいです!

海底熟成後のオリジナルボトル

海底熟成に興味がある方へメッセージ!

Dear WHISKY:
海底熟成に興味がある方へ向けてメッセージをお願いします!

工藤さん:
昨今、様々な分野でサービスの多角化が進んできている中で、自分たちが毎日飲んでいるものの新たな楽しみ方を提供してくれるサービスの存在は非常に素晴らしいものだと思います。ウイスキーの熟成に関して、原酒にどのような反応が起きてるかといった化学的な側面が知りたい方に対しても、「海底熟成」というものに興味のある方に対しても、この海底熟成プロジェクトはおすすめできると思います。皆様もぜひ海底熟成を体験してみてください!

海底熟成ボトルを手に、今後の夢について語る工藤さん

長期熟成酒の第一人者、上野伸弘さんへの独占インタビューもお見逃しなく!

以上、海底熟成プロジェクトや海底熟成の魅力をインタビューとともにお届けしました!

一般的に、瓶詰めした後の熟成はしないと言われているウイスキーが、海底に一定期間沈めることで元のウイスキーとは全く異なる味わいに変化するという事実は、聞いていて非常に興味深かったです。吸い込まれるような群青色の海の底で、琥珀色に輝くウイスキーが時間をかけてゆっくりと熟成されている光景は、想像するだけでロマンがあふれます!

またDear WHISKYでは、今回の海底熟成プロジェクトの発起人であり、市ヶ谷にある熟成日本酒Shop&Bar「熟と燗」の社長、上野伸弘さんに「海底熟成の魅力」について伺っているインタビュー記事もございますので、そちらもぜひお見逃しなく!

併せてお読みください!

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