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【イベントレポート】WWAでワールドシングルベストを受賞したレイクス蒸留所セミナーに潜入!

2023.09.25 / 最終更新日:2024.02.08

2023年6月30日(金)、ホテルモントレ銀座2F「パルテール」にて「レイクスウイスキーセミナー」が開催されました!
レイクス蒸留所は2014年に設立され、2018年に初めてウイスキーをリリースしたという、比較的若い蒸溜所です。
若い蒸溜所ではあるものの、レイクス蒸留所の「ザ・レイクス ウイスキーメーカーズ・リザーブ No.4」が見事、WWA2022(ワールドウイスキーアワード)で「ワールドベストシングルモルト」を受賞するほど、近年非常に注目されている蒸溜所となります。!
私たちDear WHISKYは今回、現地で実際に取材させていただきましたので、その様子をお送りします!

レイクス蒸留所とは

レイクス蒸留所について

イギリスで2014年に設立され、2018年に初めてウイスキーをリリースした新しい蒸溜所です。イギリスといえばスコットランドですが、このレイクス蒸留所はあえてスコットランドではない地域に設立されています。
その理由についても今回の取材で触れられているのでお楽しみに!
レイクス蒸留所はイングランドで最も美しい地域とも言われる「湖水地方(Lake District)」に位置しています。
そんな美しい湖や自然に囲まれるレイクス蒸留所ですが、蒸溜所ツアーも行なっているそうです!イングランドを訪れた時はぜひ行ってみたいですね。
ウイスキーの製法については伝統的な手法を継承しつつさまざまな独自の取り組みも行なっており、今回のイベントでも多くのお話を聞くことができました!
伝統的なウイスキーの製法を継承しつつも新たな手法も模索しているレイクス蒸留所は今後の進展が非常に気になる蒸溜所です。日本国内外問わず世界各国からで知名度が広まっているレイクス蒸留所のウイスキーをぜひお楽しみください!

レイクス蒸留所概要

蒸溜所名 The Lakes Distillery
創業年度 2014
所在地 The Lakes Distillery, Setmurthy, Near Bassenthwaite Lake,
Cumbria CA13 9SJ
蒸溜所見学
所要時間 1時間
団体客は16名まで可
ホームページ レイクス蒸留所

レイクス蒸留所の位置する湖水地方の写真

レイクス蒸留所セミナーイベントとは

イベントについて

今回のセミナーはレイクス蒸留所のウイスキーメーカーであるサラ・バージェス氏、リージョナルマネジャーのクレア・キーン氏がイギリスからはるばる来日し、登壇しました。
レイクス蒸留所の魅力や歴史、ウイスキー造りの想いなどを説明していただきつつ、レイクス蒸留所のウイスキーを6種類試飲し、その味わいを堪能することができました。
試飲したウイスキーの中には新商品「The Whiskymaker’s Reserve No.7」も含まれており、非常に貴重な体験となりました!

レイクス蒸留所セミナーイベント概要

日時 2023年6月30日(日) 13:00~15:00
会場 ホテルモントレ銀座 2F 「パルテール」
主催 雄山株式会社 / レイクス蒸留所

 

イベントの様子

イベントの様子。シャンデリアがとてもきれいでした。

会場の前面にはスクリーンが配置されており、レイクス蒸留所の紹介動画を放映しながらサラさんが自ら説明していました。
6種のウイスキーのテイスティングを交えたセミナーに、受講者の皆様も、大満足の様子でした!

実際にイベントに行ってきました!

セミナー開始が13時だったものの、12時40分ごろにはすでに多くの受講者で会場を埋め尽くしていました!

セミナーの様子

13時にセミナーが開始しました!開始と共に埋め尽くされた会場から拍手が湧き上がりました。まずは今回の共同主催者である雄山株式会社の方が挨拶と登壇者の紹介をされたのちに、サラさんとクレアさんが登壇され、講演を行いました!
レイクス蒸留所の歴史からウイスキー造りの工夫、想いまで多くのお話をお伺いすることができました!
詳しい内容については後述します。

テーブル上に置かれた試飲用のウイスキー

お話の後は、ウイスキーのテイスティングです!サラさんの進行に合わせて左上から右下へと順番にテイスティングが行われました。6種のウイスキーと天然水ボトル一本が最初から配置されており、ストレートを楽しんだのちに適宜加水して味わいの変化を楽しむことができました!どのウイスキーも甘みがあったりスパイシーだったりとそれぞれの特徴があり、非常に美味しかったです。

 

会場に飾ってあったウイスキー

サラさんのユーモアと熱の入った講演と試飲用の非常に美味しいウイスキーが相まって、セミナー後半は質問が活発に飛び交うとても活気のある会場になりました!非常に楽しい時間でした!

セミナーの内容

レイクス蒸留所の歴史

レイクス蒸留所はポール・カリー氏によって2014年12月に設立されました。
蒸溜所の建設に適した場所を探す過程で、ポール・カリー氏は湖水地方に160年以上の歴史を持つ元農家の建物を見つけました。その建物は20年以上放置されていたにもかかわらず、とても美しくロマンスを感じさせるような佇まいだったそうです。
そこでポール・カリー氏はポットスチルが収まるように天井の高さを測定したり、樽が収まるよう、ビジターセンターが建造できるように調整したりと様々に工夫しました。こうしてレイクス蒸留所は、UNESCOの世界遺産に登録されている湖水地方の中央部に設立することになったのです。
2014年のオープンにはイギリス王女のアン王女も立ち会いました。その後は「死ぬ前に一度訪れるべき蒸溜所」と評価され、2022年にはWWA(ワールドウイスキーアワード)で「ワールドベストシングルモルト」を受賞するなどの実績があります。また、2023の東京ウイスキースピリッツコンペティションでベストディスティラリーを受賞しました。

レイクス蒸留所の造るウイスキーの特徴

製造するウイスキーの多くはシェリー樽が使用されており、特にオロロソシェリーが多いです。さらに最も特徴的な点は、「エレヴァージュ」という特殊な製法を用いていることです!
「エレヴァージュ」は熟成途中のウイスキーを別の樽に移し替えるという製法で、従来はブランデーやコニャックの製造に使われることが多く、ウイスキーに使われることは稀だったそうです。しかしこれを採用したことによってレイクス蒸留所のウイスキーは何階層にもわたる複雑なフレーバーを実現し、高く評価されるに至りました。
こうしてレイクス蒸留所では定期的に原酒のフレーバーを評価し、樽を移し替えることによって、複数の樽の風味が合わさった複雑で繊細な味わいを実現しています。

原酒のこだわり

ウイスキーの味の大元になる原酒はとても注意深く造っています。
熟成は3種の異なる種類の酵母を使用し、一般的な発酵時間に比べて長いと言われる96時間ものあいだ、発酵をしています。
また、新しい酵母も試しています。現在はフルーティーさを重視して3種の酵母を採用しているのですが、これからレイクス蒸留所がさらに進化していくにあたって新しい酵母も考えています。レイクス蒸留所は常にチャレンジをして進化を追い求めるという精神を大事にしているので、このような新しい試みも常に行っているそうです。また、ポットスチルやコンデンサー、大麦の品種にもこだわりがあります。

サラさんのお仕事について

サラさんは2023年の1月にレイクス蒸留所に入社しました。サラさんは25年間ワールドクラスのウイスキーメーカーでキャリアを積んできたベテランです。

入社してからはまず全ての樽をサンプリングしました。樽の数がとても多かったため大変な作業だったが、同時にとても楽しい作業であったそうです!
そしてそれらサンプルのフレーバーから、理想の味わいを実現するために次は何をするべきか考えます。時にはスタジオにこもり、想定しているフレーバーをノートに詳細に書き出すことでウイスキーと向き合うそうです。

「エレヴァージュのプロセスに終わりはないため、フレーバーも無限です。だからこそレイクス蒸留所のウイスキーメイキングは面白いのです。」と語るサラさん。今回の出張では日本のミズナラを持ち帰ってイギリスのウイスキーとの相性を調べたいそうです。また、他地域の木材からの樽なども、色々と探索するといいます。「あれも買いたい、これも買いたいというところでなかなか財布が苦しくなりますね。」と冗談まじりに語っていました!

テイスティングしたウイスキーの味わい

テイスティングしたウイスキーの味わいはどれも特徴があってとても美味しかったです!読者の皆様にもぜひ一度お試しいただきたいと思います。このコーナーではそれぞれのウイスキーの味わいをご紹介します!

テイスティングしたウイスキーをご紹介!

テイスティングしたウイスキーをご紹介!

①から⑥という順番でテイスティングを行いましたので、ここでもその順番で紹介していきます!

①The Whiskymaker’s Reserve No.7

まずはまだリリースされてない新商品、「The Whiskymaker’s Reserve No.7」からです!このシリーズはN0.4がWWAでワールドベストシングルモルトを受賞した実績あるシリーズです。このボトルはノンチルフィルターで度数が52%と少し高めになっています。
サンダルウッド(白檀)とフルーティーな印象の香りに加え、オレンジやチョコレート、ドライフルーツのニュアンスもあります。味はとてもしっかりしており、かみごたえのある旨味に加え、スパイシーさも感じます。
舌触りはとてもなめらかで、口の中で芳醇な味わいが広がっていきます。フィニッシュは胡椒のようなスパイシーな後味が舌に残るような印象です。とても複雑で飽きの来ない一杯でした!

②The Whiskymaker’s Editions Kairos

The Whiskymaker’s Editionsシリーズは、ウイスキーメーカーが遊び心を加えて実験的な試みを行なったものをボトルにしたシリーズです。
このボトルはギリシャの街並みをイメージして作られたもので、きりっとスパイスが効いています。
スパイシーな香りとサンダルウッドの香り、そして少し糖蜜のような甘い香りが広がってきます。味わいは甘くかつスパイシーです。フィニッシュは長く続く甘さと、暖かみを感じます。
「ギリシャの街中で沈んでいく夕日を眺めているような温かい味わいをイメージしています」をイメージしたそうですが、その通り、黒糖や糖蜜のような甘くかつ暖かい印象を感じます。

③The Whiskymaker’s Editions Resfeber

「Resfeber」という言葉はスウェーデン語です。旅や冒険に出る前のワクワクや高揚感という意味を表します。
このボトルは最終的にクリームシェリーや赤ワインの樽による熟成を経ているので、その特徴が非常によく出ています。
シェリー樽らしくしっかりとしたレーズン香と、キャラメルソースにつけたジャズアップル、火を通したスパイスのような香りも感じられます。
味わいは優しく穏やかで、とてもなめらかでクリーミーな口当たりが特徴です。ほのかにスパイシーさも感じます。フィニッシュはとてもクリーミーでいつまでも余韻が続くような印象です。加水するとフルーティーさやフレッシュさが強くなり、少し様子が変わるのでまた違った楽しみ方ができます。

④The Whiskymaker’s Editions Iris

ヒマラヤ地域を訪れた際のインスピレーションをもとに作られたボトルで、全体的に花やフルーツの印象を受けます。
熟成にはアメリカンオークとフレンチオーク、バーボンとシェリーを使用しています。
味わいは、まずは濃い赤りんごや、熟れた洋梨のようなフルーティーさを感じます。フィニッシュはしっかりしたアップルティーのようなイメージです。度数は56%ありますがアルコール感はそこまで感じさせず、高原地域らしいすっきりした清冽さもあります。
高揚感のあるような力強い後味も特徴です。飲むと元気になるような心強い一杯でした!

残りの2種類はブレンデッドウイスキーです!

⑤THE ONE FINE BLENDED WHISKY

レイクス蒸留所が最初の蒸溜を行なったのは2014年ですが、シングルモルトの製品が完成するまでしばらくかかったので、それに先立ちブレンデッドウイスキーの「THE ONE」シリーズがリリースされました!

このボトルの味わいはスタイリッシュで、ソフトなスモーキーさという印象です。ブレンデッドとしては珍しく、無着色かつノンチルフィルターで、シングルモルトでは出せないような特徴もブレンドによって引き出しているといいます。
アイラ島を思わせる少しヨードのようなスモーク感とスパイシーさがあり、なおかつ非常にクリーミーでバニラカスタードを思わせる甘味があります。ブレンデッドウイスキーの中でも飲みやすい部類に入ると思われますので、おすすめです。

⑥THE ONE SHERRY CASK FINISHED

こちらのボトルは先ほどの「THE ONE FINE BLENDED WHISKY」をさらにシェリー樽を使って仕上げたものです。先ほどのボトルのスモーキーさに加えて、シェリー由来のレーズン香とやさしい甘味がよく出ています。余韻はより甘く、まったりとした印象です。先ほどのボトルとの飲み比べもおすすめです。

サラさんにインタビュー!

イベント後に質問の時間が設けられ、そこでサラさんにより詳しいお話を直接伺うことができました!ここではその内容についてお伝えします!

受講者
サラさんはどのような経歴を経て今に至っているのですか?

サラさん:
21歳の時にディアジオに入社しました。最初は季節的なツアーガイドとして勤務していました。
その後ディアジオの教育プログラムを通じて様々な資格を取得し、20年ほど経過したのちにグレンモーレンジーやマッカランで勤務し、マッカランで一年ほど勤務してからマッカランのウイスキーメーカーのリーダーになりました。
その後マッカランを退職し、自分でスモールビジネスを一年間したのですがやはり蒸溜所の仕事が恋しいと感じ、ちょうどその折にレイクス蒸留所からコンタクトを受け、レイクス蒸留所で働くことになりました。
当初採用担当の方とやりとりをしているときは、自分の住まいから遠いしどうしようか考えあぐねていましたが、蒸溜所を見て一目惚れし、勤務を決めました。今の仕事はとても楽しくてやりがいがあると満足しています。

受講者
現在、レイクス蒸溜所ではモルトウイスキーなど原料が大麦のものを多く製造していると思いますが、これからライ麦やとうもろこしなど、別の原料を使用して新製品を出す予定はありますか?

サラさん:
十分にありえます。
レイクス蒸留所はスコットランドではなくイングランドに位置しているので、スコッチウイスキーの厳格な規約に従う必要がありますん。そのため、原料を変えるといった新しい試みも私たちは行うことができます。
こういった意味でスコットランド外に位置しているという利点を活かして、実験的な試みも行っていきたいと考えています。

受講者
今はアンピーテッドのウイスキーを多く製造していると思いますが、今後ピーテッドウイスキーを製造する予定はありますか?

サラさん:
今の在庫については秘密ですが、今までピーテッドを出さなかったからと言って未来永劫出さないということはつもりはありません。細かいことは秘密ですので楽しみにしていてください。

受講者
レイクス蒸留所は中国のマーケットにも進出していますが、白酒などのウイスキー以外の蒸溜酒が多い中国市場において、どのようなマーケット戦略をお考えですか?

サラさん:
私たちは比較小規模な蒸溜所ですので、市場を広げるより原酒をどのように確保していくかというところが大きな課題になっています。ただ、生産規模を急拡大させるつもりでもないので、市場については比較的柔軟に展開していこうと考えています。例えば白酒とウイスキーのコラボレーションなどを検討していく可能性もあるかもしれません!

受講者
白酒とウイスキーのコラボレーションというのは面白いですね!日本にも焼酎や泡盛などの蒸溜酒がありますが、これらとのコラボレーションもお考えですか?

サラさん:
可能性は大いにあります。ただ合わせたらどのような味わいになるか、何をベースにするか、どこと提携するかなど、克服しなければならない課題は多いですね。私は今回が初来日で、滞在時間も短かったのでなかなか日本の蒸溜所を回りきることができませんでした。なのでぜひまた日本に来て色々と探索したいですね。

受講者
とても楽しみです!サラさん、ありがとうございました!

最後に

以上、レイクス蒸溜所セミナーのイベントレポートでした!
テイスティングした6種類のウイスキーは、どれも美味しく、読者の皆様も見かけたらぜひ味わってみてはいかがでしょうか!
今後どんどん新しい試みも行っていくということで、とてもワクワクするようなセミナーの内容と取材会でした。レイクス蒸留所の将来が非常に楽しみです!
今後のレイクス蒸留所の動きにぜひご注目下さい!

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