【イベントレポート】ワールド・ウイスキー・フォーラム2024<第3弾>
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2023年8月26日(土)と27日(日)、横浜の大さん橋ホールで、Whisky Festival 2023 in YOKOHAMA が開催されました!Whisky Festival(ウイスキーフェスティバル)は、世界中から集まった様々なウイスキーが一堂に会する、大迫力の試飲イベントです。
今回初めての舞台としてイベントが開催された横浜は、日本のバーカルチャーの発祥地であり、1853年にアメリカのペリー提督が浦賀に来航し、日本にウイスキー文化をもたらした場所でもあります。今年は、日本で本格的なウイスキー造りが始まって100年となる節目の年ということもあり、ウイスキーに縁のある横浜での開催です。
今回Dear WHISKYはイベントの第2部にて取材に臨みました。イベントレポート 第1弾では、マスター・オブ・ウイスキー授賞式の様子や土屋守さんへのインタビューをお伝えします!
日時 | 2023年8月26日(土) <第1部>11:00-14:30 <第2部>15:30-19:00 2023年8月27日(日) <第3部>10:30-14:00 <第4部>15:00-18:30 |
会場 | 大さん橋ホール |
主催 | ウイスキー文化研究所 |
公式HP | ウイスキーフェスティバル in 横浜 公式ホームページ |
公式Twitter | ウイスキーフェスティバル/ジャパニーズフェス |
2007年に最初の一歩を踏み出し、「Whisky Festival in 東京」や「Whisky Festival in 大阪」といった定期的なイベントが、ウイスキー愛好家たちに愛されてきました。さらには、地域の熱狂的な声に応えて、名古屋や京都などでも開催され、その規模は年々大きくなっています。
コアなウイスキーファンはもちろん、ウイスキーの魅力を知ったばかりの人、これから本格的に飲み始めてみようと思う方まで、幅広く楽しんでいただけるイベントです。蒸留所やインポーターの方々と直接お話ができ、おすすめのウイスキーの魅力をたっぷりと聞くことができます。
今回の横浜のイベントでは、ブースだけでなく、バッグやオリジナルボトルなどの販売や、マスターオブウイスキーの表彰式、さらにウイスキー文化研究所所長の土屋守さんとのサイン会など、盛りだくさんのプログラムが用意されました。
蒸溜所やインポーターだけでなく、アニメ会社や映画会社なども出展し、幅広いブースのラインナップとなっていました。実際に出典された方々は以下の通りです。
出典:ウイスキーフェスティバル/ジャパニーズフェス 公式Twitter
土屋守さん:
今年でジャパニーズウイスキーは誕生から100周年を迎えました。驚くべきことに、日本人が初めてウイスキーに触れた瞬間は、この横浜でのペリー来航のときだったのです。アメリカの提督ペリーは1853年にサスケハナという軍艦に乗って来航し、日本への開国を促しました。そして、ペリーは西洋の料理やワイン、シェリー酒、そしてウイスキーなどを日本の高官たちに振舞ったそうです。このとき、日本人は初めてウイスキーに出会いました。
ジャパニーズウイスキー100周年という節目の年に、ウイスキーフェスティバルをこの横浜で開催したいとずっと考えていました。しかし、会場の選定は難航し、会場のキャンセル待ちを巡る中で、遂に大さん橋ホールでのウイスキーフェスティバルを実現する運びとなりました。
もう既に、ウイスキーを楽しんでいる方もいらっしゃるかと思いますが、ここで正式に「ウイスキーフェスティバル in 横浜 第2部」の開会を宣言します!
2004年にスタートした『ウイスキーコニサー資格認定制度』は、ウイスキーに関心のある人すべてを対象にした認定制度です。その中でも『マスター・オブ・ウイスキー認定試験』は、ウイスキーコニサー資格認定試験の最難関資格で、一次試験の論文、二次試験の筆記試験、口頭試問、官能試験が行われます。
今回のイベントでは、「マスター・オブ・ウイスキー」2022年度合格者である山本久理子さんと青木邦晃さんの表彰式が行われました。
山本久理子さん:
普段は名古屋でウイスキーセミナーなどの講師を務めております。2013年にウイスキーコニサーのエキスパート、翌年にはプロフェッショナルの資格を取得しました。長らく、いつかはマスターの資格を受験したいと考えていましたが、論文の題材に悩んでいました。
そんな折、昨年5月に偶然「高峰譲吉」という名前に出会いました。母の実家が金沢にあったため、金沢ふるさと偉人館に立ち寄りました。高峰譲吉の名前は以前から知っていましたが、金沢にゆかりのある人物だとは知りませんでした。そこで詳しく見ていると、彼の展示の中に「ウイスキー」という文字があり、興味を持ちました。高峰博士は世界的にも有名な化学者で、アメリカで麹を使ったウイスキーの製造を目指した方です。
昨年が高峰博士の没後100年の節目だったこともあり、博士のウイスキー造りを多くの方に知ってほしいと思い、さらに高峰博士の研究にも専念したいと考え、マスターオブウイスキーの受験に挑戦しました。これからはより多くの方に高峰博士の偉業を広めていきたいと考えています。また、マスター・オブ・ウイスキーの名の恥じぬようこれからも精進していきたいです。
青木邦晃さん:
現在、サントリー白州蒸溜所でツアーナビゲーターとしての仕事をしております。2020年から白州蒸溜所での勤務をスタートしましたが、その後まもなくして新型コロナウイルスの影響により蒸溜所の見学受け入れが中止となりました。この期間を活かして、ウイスキーの知識を一層深め、2021年にウイスキーエキスパート、そして2022年にはプロフェッショナルの資格を獲得しました。
プロフェッショナルに合格した後、マスター・オブ・ウイスキーの受験に向け、勉強を開始しました。一次試験では、私の勤務先である白州蒸溜所の歴史をテーマにした論文を執筆しました。幸いなことに、一次試験に合格し、その後の官能試験対策において、家族や周囲の皆様からの支援や励ましを日々受けた結果、ありがたい事に合格することが出来ました。
今後も、蒸溜所見学やセミナーを通じて、ウイスキーの魅力や造り手の情熱をお客様に伝え、ウイスキーファンの皆様を増やしていけるよう尽力してまいります。なお、白州蒸溜所は2023年10月から見学を再開する予定ですので、ぜひ皆様にお越しいただければ幸いです。
Dear WHISKY:
横浜で初めてのイベントのことですが、お気持ちはいかがですか?
土屋守さん:
2007年からウイスキーフェスティバルというイベントを始めましたが、最初は300人程度しか入らない小さな会場でした。それが近年では、東京の高田馬場や大阪など多くの地域で行えるようになりました。そのような中で、日本人が初めてウイスキーに触れた場所である横浜の地でイベントを開催することが出来て嬉しい限りです。
Dear WHISKY:
横浜の地でイベントをする計画は以前からされていたのですか?
土屋守さん:
そうですね。10年ほど前から横浜でイベントを行いたいと考えていましたが、コロナウイルスが流行し、開催することはできませんでした。しかし、ジャパニーズウイスキー100周年の2023年に何としてでもこの横浜でイベントを行いたいという想いがありました。
コロナが収束し、イベントを行える状況になっても、横浜では会場選びが難航しましたが、大さん橋ホールでキャンセル待ちが出て開催することができたのです。
Dear WHISKY:
イベントごとに造られているオリジナルボトルはどのようにして作っているのですか?
土屋守さん:
私たちがウイスキーフェスティバル等のイベントでオリジナルボトルを作る際は、まずボトリングしたい蒸溜所に話をします。
私たちが欲しい味わいを伝え、いくつかの樽のサンプルを送ってもらいます。そこで私がテイスティングをしてそれぞれの味わいや香りを見極めます。最近はバーボン樽でのボトリングが多いですね。シングルカスクでのボトリングなので、ある程度のボトリング本数なども決めます。
Dear WHISKY:
土屋さん自らがテイスティングをしているのですね!味わいだけでなく、ラベルについてもこだわりがあるのですか?
土屋守さん:
もちろんです。ラベルはグラバー魚譜の中から選んでいます。トーマス・グラバーという明治維新に貢献した人物の息子である倉場富三郎が生涯かけて作成したグラバー魚譜は「日本4大魚譜」の1つといわれ、学問的にも非常に重要なもので、西洋の学会でも高く評価されています。
ラベルに使用する魚は、蒸溜所のある地域に関連のある魚を選びます。例えば、「ガイアフロー静岡 2018 4年」ではアカムツ、また「三郎丸2019 3年」では鰤、「嘉之助2019 3年」ではルリハタを選びました。
ウイスキー専門誌の「ウイスキーガロア」やウイスキー文化研究所オリジナルのトートバッグが販売されていました。オリジナルボトルはもちろんのこと、蒸溜所に関わりのある動物たちがデザインされているトートバッグは、売り切れてしまったものもあったそうです。
ウイスキーフェスティバル in 横浜のイベントレポート 第1弾でした。
マスター・オブ・ウイスキーの試験の難しさや論文試験のテーマなどとても興味深い内容が盛りだくさんでした。ウイスキー文化研究所出展ブースでは、ボトル販売はもちろん、グッズや試飲が非常に人気でした。
次回は、大盛況の蒸溜所やインポーターなどのブースの様子をご紹介します!
こちらもぜひ併せてお楽しみください!