山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
普段から家でウイスキーを飲みたいけれど、毎日となると懐具合が厳しいという人はいませんか。本格的な高級ウイスキーがおいしいのはわかっていても、原酒不足もあって値段が高騰しています。
香りや味わいをゆっくり堪能している暇もないから、家呑み用は、さっぱりと飲みやすく手ごろな価格のものがいいという人もいるはずです。「陸」はそんな家呑み派に向いています。
この記事では、陸というウイスキーの概要や味、おいしい飲み方などについて解説します。
陸は、3種類のグレーン原酒をメインに、少しのモルト原酒をブレンドしてつくった新感覚のウイスキーです。
一般的には、モルト原酒を中心に、少しのグレーン原酒を加えてブレンデッドウイスキーをつくります。
しかし、陸の場合は逆です。
グレーン原酒をメインにブレンドしています。
その背景には、ウイスキー業界のジレンマがありました。
今やジャパニーズウイスキーの人気は世界的なものです。
しかし、人気が高まれば高まるほどモルト原酒が不足し、主力商品のシングルモルトウイスキーやブレンデッドウイスキーを売りたくても売れないという状況に陥ってしまいます。
高級ウイスキーは長期間の熟成を要するため、一旦原酒が不足すると、増産してもすぐに出荷できるようにはならないからです。
やっと新商品を出せたとしても、数量限定販売にせざるを得ません。
希少な存在になり、更に値段が高騰してしまうという悪循環に陥っていました。
そこで新ブランドとして登場したのが「キリンウイスキー陸」です。
キリンでは起死回生を狙って、それまでのものとは異なる画期的なウイスキーづくりを模索していました。
長期間熟成させなくてもウイスキーらしいおいしさを出せる原酒の開発と、掛け合わせ方です。
同社が得意とするグレーン原酒をメインにブレンドするというのは、まったく新しい試みといえます。
その結果生まれたのが、どのような飲み方にも対応できる新感覚のウイスキー陸なのです。
陸の製造・販売を手掛けているのはキリンです。
キリンというと、ビールやチューハイのイメージが強いかもしれませんが、同社はウイスキーづくりも古くから手掛けてきました。
とくに、グレーンウイスキーの製造では、世界的に高い評価を受けています。
モルトウイスキーは大麦の麦芽を発酵させてつくるウイスキー、グレーンウイスキーはトウモロコシや小麦を麦芽と一緒に発酵させてつくるウイスキーです。
ちなみに、モルトウイスキーは、それぞれの個性が強いためラウドスピリッツと、グレーンウイスキーは穏やかで自己主張をしないためサイレントスピリッツといいます。
同社のウイスキーづくりの拠点は、1973年稼働の富士御殿場蒸溜所です。
キリンのグレーンウイスキーの評価が高いのは、この蒸留所が持つ世界的にも珍しい2つ特徴のためだといっても過言ではありません。
その特徴とは、同一の蒸留所でモルト原酒とグレーン原酒の両方をつくれることと、タイプの異なる3種類のグレーン原酒を作れることです。
グレーンウイスキーには、スコットランドを中心につくられるライトグレーン、カナダでつくられるミディアムタイプ、アメリカでつくられるヘビータイプがあります。
ミディアム、ヘビーは、一般的なスコッチタイプよりも香りが豊かなのです。
富士御殿場蒸留所には、幸いライトタイプを製造するマルチカラム蒸留器、ミディアムタイプを製造するケトル蒸留器、ヘビータイプを製造するダブラー蒸留器があります。
主張が強いモルト原酒をわき役としてしか使えない以上、ウイスキーらしい香りや味わいはグレーン原酒で出さなければなりません。
そこで、3種類のグレーンウイスキーを組み合わせることにしたのです。”
陸は、ラインナップが容量500mlサイズの1種類しかありません。
味の特徴は、開栓してすぐにわかるさわやかなオレンジや甘いバニラの香り。
奥にスパイシー香りも漂います。モルト原酒は少量なので、スモーキーな香りはしません。
樽由来の心地よいウッディさが感じられるくらいです。
口に含むとしっかりコクがあり奥行きのある甘さを感じます。
ふっくらとした余韻がありますが、しばらくするとスッと消えるので、続けて飲んでも気になりません。
陸は飲み応えのあるアルコール度数50度です。
口の中に残る余韻が心地よく、しばらくするとさっと消えていくので、また次の一口を飲みたくなるというウイスキーです。
ラベルには、色々な飲み方をお愉しみください(ハイボール以外もお楽しみください)と書かれています。
つまり、色々な飲み方で飲むことを前提に作られているウイスキーということになります。
陸の持ち味を楽しむなら、まずはストレートがいいでしょう。
ただし、アルコール度数が高いので、チェイサーは不可欠です。陸と交互に飲み進めていくと、香りも味もよくわかります。
ラベルにハイボール以外もと書かれているので、他の飲み方を試す前に、ハイボールを飲んでおくこともおすすめです。
グラスいっぱいに氷を入れたら、陸を適量入れて、よくかき混ぜます。
一度ウイスキーを氷の温度に近づけてから、炭酸を注ぐようにしましょう。
炭酸を入れたらかき混ぜすぎないことも大切です。
マドラーを底まで差し込み、氷を持ち上げるように1回かき混ぜます。
ほかにも、陸のブランドサイトにおすすめの飲み方が掲載されています。
少し濃いめのハイボールなら陸1に対してソーダが4の割合、お湯割りなら陸が1に対して60℃のお湯が3の割合という具合です。
お湯割りというと焼酎のイメージですが、グレーン原酒がメインの陸にはぴったり合っています。
変わり種としては、陸1に対してミルク4~7の割合で入れ、氷を加える大人のミルクセーキがお勧めです。
ガムシロップで甘味を加えてもおいしく飲めます。
コーラやサイダーなど甘味があるもので割ってもおいしく飲めるので、色々試してみると良いでしょう。
陸はこれまでにないタイプのウイスキーです。新感覚を売りにしているので、ウイスキーらしい飲み方にこだわらず、自分好みの飲み方を探すことができます。
ストレートやロックで陸の持ち味を堪能するばかりが正解とは限りません。甘いもので割ってもおいしく飲めます。
自分だけの新しい味を追求することを歓迎してくれるウイスキーです。