【国内ニュース】2024年10月のウイスキーニュースまとめ
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クラフト蒸溜所は、世界のウイスキー業界で新しいトレンドになりつつあります。明確な定義はありませんが、クラフト蒸溜所とは、独立の資本からなる小規模の蒸溜所として知られています。スコットランドのアラン蒸留所、キルホーマン蒸溜所、日本の秩父蒸溜所などがクラフト蒸溜所の成功例として挙げられます。世界的なジャパニーズウイスキー需要の高まりにも背中を押され、日本で新たにウイスキー蒸溜所を開設する動きが広がっています。
山梨県富士河口湖町では、老舗日本酒蔵がウイスキー造りに挑戦中です。江戸末期から日本酒を造り続けてきた井出醸造店は、2021年7月、ウイスキーの製造免許を取得し、「富士北麓蒸留所」としてウイスキー製造を開始しました。来店する訪日観光客の声から、ジャパニーズウイスキーに対する関心を肌で感じ、ウイスキー製造に勝機があると考えたそうです。
資金調達のため行ったクラウドファンディングでは、500万円の目標額に対し3倍以上の約1650万円もの資金が集まりました。日本酒蔵ならではの米や清酒酵母などを利用し、独自の香りを追求したウイスキーを製造しています。
2021年11月には、本格的なウイスキー製造の先駆けとして「富士北麓蒸留所ハイボール」を発売しました。ベースのウイスキーは、自社蒸留のモルト原酒とグレーン原酒を絶妙にブレンドしたものとなっており、スッキリとした味わいの中にモルトの華やかな香りを感じる本格派向けハイボールです。
岐阜県高山市高根町では、廃校になった校舎をウイスキー蒸溜所として再生するプロジェクトが進行しています。プロジェクトの代表を務めるのは、創業200年以上の歴史をもつ舩坂酒造店の社長の有巣弘城さんです。将来の飛騨高山地域や自分たちの子や孫のため、未来の地域の価値づくりのため、ウイスキー造りを飛騨高山にて行いたいという強い思いから、ウイスキー蒸溜所開設の計画をスタートさせました。
候補地としては、市内中心部から離れた場所にある廃校になった小学校が挙げられました。残された小学校のある場所は、標高が高く自然に囲まれ、空気が澄んでおり、ウイスキー造りに最適な環境でした。校舎に残された子どもたちの思い出や温もりも決め手の一つとなり、すぐに小学校の校舎を蒸溜所として再生するプロジェクトが始まりました。
現在、三郎丸蒸留所のブレンダー兼マネージャーの稲垣貴彦氏、元キリン蒸溜所(富士御殿場蒸溜所)のチーフブレンダーで、現五島つばき蒸溜所のブレンダーである鬼頭英明氏などを協力者に迎え、万全の体制でウイスキー造りに挑戦中です。
ジャパニーズウイスキーの評価は年々高まっており、国際的なコンペティションで賞を獲得することも増えています。これらのような新たなクラフト蒸留所が増えることで、より一層のジャパニーズウイスキーの隆盛が期待できます。