ラフロイグ 10年とは? スモーキーな味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ベン・ネヴィス蒸溜所はスコットランドの西ハイランド地方で作られているスコッチウイスキーですが、その歴史は古く1825年に創業しました。
しかし、1980年代は不遇の時代で何度も閉鎖と再開という事態に追い込まれます。
1989年、それを救ったのがニッカウヰスキーの創始者である竹鶴政孝の甥である竹鶴威氏です。
ベン・ネヴィス山の清らかな雪解け水とその大自然に着目しました。
西ハイランドで現在稼働している蒸溜所はオーバンとベンネヴィスの2か所しかありません。
竹鶴威氏は日本のウイスキーの世界レベルに育てた立役者とも言うべき人物だと言われています。
竹鶴威氏が精魂込めたスコッチの味を体験してみたくありませんか?
今回はベン・ネヴィスの特徴や種類、味わい、おすすめの飲み方についてについてご紹介いたします。
この記事のポイント
イギリスで一番高い山である標高1,343mのベンネヴィス山は毎年多くの登山客でにぎわっていますが、この山のふもとに位置しているのが「ベン・ネヴィス蒸留所」です。
スコットランドは全世界のウイスキーの消費量の約6割をしめており、ウイスキー造りにプライドをかけていますが、その中でもハイランド地域は蒸留所が最も多い場所です。
しかし、ハイランド地域を東西南北に分けた西ハイランドには2件しか蒸留所がありません。
そのうち1件がニッカウヰスキーが所有しているベン・ネヴィス蒸留所です。
スコッチウイスキーにプライドをかけて造っている地域ですので、香り・味わいもウイスキー通をうならせる名品に仕上がっています。
テクスチャはシロップのようで、香りはりんご、洋なし、オレンジマーマレードのような甘酸っぱいフルーティーさが鼻を抜けていきます。
南国のフルーツのような感じと表現する方もいらっしゃいますが、香りはフルーティさが強いということです。
口に含むと香り高いバニラのような甘さ、パンケーキにレモンシロップをかけたような甘さな感じもあるようです。
ベンネヴィスはスコットランドの認可を受けた蒸留所としては一番古い歴史をもちます。
またベンネヴィスは1825年に創始者ジョン・マクドナルドにより創業されます。
ジョンは193㎝の大男であったこともあり、「スコッチの巨人」とも呼ばれていました。
ジョンの死後、蒸溜所は彼の息子ドナルドに委ねられ、1878年に2箇所目となる「ネヴィス蒸溜所」が建てられますが、こちらは1908年に閉鎖、その後、いくつかの企業により買収される混乱などに巻き込まれます。
結果的には1989年からニッカウヰスキーが買収し製造を行い、販売をアサヒビールが行っています。
ニッカウイスキーがベンネヴィスを買収する前は蒸留所は休業していましたが、買収後に再稼働され、現地の人々は大変喜びました。
実は現地の人々の反発おそれてダミー会社を使った買収でしたが、ふたを開けてみると、地元が活性化することをむしろ歓迎されたというわけです。
中心的な指揮をとったのが、ニッカウヰスキーの創始者である竹鶴政孝の甥である竹鶴威氏です。
竹鶴威氏は日本のウイスキーの世界レベルに育てた立役者とも言うべき人物だと言われています。
ベン・ネヴィスは以前はブレンデッドウイスキーしか造っていませんでしたが、ニッカウヰスキーが所有権を持ってからはシングルモルトも製造するようになりました。
ベン・ネヴィス山の清らかな雪解け水とニッカウヰスキーが培ってきた高い技術は確かなものです。
ベン・ネヴィス蒸溜所の詳細はこちらのページにまとめています。
ベン ネヴィス蒸留所 - Ben Nevis DISTILLERY
こちらはベン・ネヴィスの「オフィシャルボトル」です。
ウイスキーを製造している蒸溜所が、自分たちで製造した原酒を自分たちの敷地で熟成させ、自分たちで瓶詰して販売するものを「オフィシャルボトル」と言います。
軽やかで爽やかなフルーティな酸味と乳酸菌のような甘酸っぱさ、それに麦芽の香ばしさがプラスされたような香りが印象的です。
口に含むと南国のフルーツ、パイナップルのような甘さからはじまり、ヨーグルトやホットケーキ、バタークッキーの甘さがじんわりとひろがります。
しかし、ボトラーズ時代※のベン・ネヴィスはケミカルっぽいっフルーティさが際立っており、少し味わいが違いました。
ケミカルっぽさがうけている部分もありましたが、万人受けという意味で言えば現在の加水されてほのかにケミカルの味わいを感じられるというところがバランスも良く以前より向上したといえるでしょう。
※ウイスキー蒸溜所から原酒を樽ごと購入して、独自に瓶詰したボトルのこと
ベンネヴィス ネヴィスデューは、ベンネヴィス蒸留所で製造されているウイスキーを中心にブレンドされたブレンデッドウイスキーです。
テクスチャはライトな感じで香りは熟成感も弱めでまろやかで生クリーム感のある甘さが特徴ですがほのかにスモーキー感を感じることができます。
以前は「ベンネヴィス 蒸留所蔵出し」と蒸留所名で出されていましたが、スコッチウイスキー法の改正により、蒸溜所の名称をブレンデッドウイスキーに使用する事を禁止されました。
そのため名称が「ネヴィス・デュー」に変更されました。
ベン・ネヴィス蒸留所が 同蒸留所のモルト原酒を中核にブレンドしたブレンデッドスコッチウィスキーです。
ベン・ネヴィス ネヴィスデューに比べると、ふくよかで華やか、味はバニラやレーズンを感じられ、スモーキーなくせがありません。
飲みやすいですが、個性がもう少し欲しい人にとってはつまらなさを感じてしまうかもしれません。
ベンネヴィス 1996 21年はホグスヘッドといわれる一般的な樽の大きさで21年熟成されたシングルカスクです。
ホグスヘッドは、容量約220~250リットルで、バレルを一度解体し、組み直して作られたカスクを指します。
加水をしていないのでアルコール度はかなり高めの55.4%です。
香りはイチゴミルクのような人工的なケミカルな乳酸菌の長期熟成した強さとマンゴー、パイナップルなどのトロピカルフルーツの香りをメインに味はウッディさと麦芽にバニラクリーム、キャラメルがまじりあいつつ、ほんのりミントが広がります。
フィニッシュにかけてはマーマレードやミントのピリッとしたアクセントからタンニンのほろ苦い感じが続く長期熟成ならではの複雑な何とも言えない味わいを堪能できる逸品です。
日本限定となっており、数もかぎられているので、見かけたら手に入れましょう。
2014年12月に90歳で天寿を全うされた、竹鶴政孝氏の甥にして、後に養子となる竹鶴威氏を称えて造られたボトルが2015年に235本のみボトリングされたのがベンネヴィス25年です。
国内販売はなく、フランスの小売店兼インポーターのLa Maison du Whisky向けにのみ発売されました。
現在、中々手に入れるのは難しいかもしれません。
こちらはスコットランドでは珍しい、ウイスキー樽の両端に使用された円形の板(鏡板)をアメリカンオークとした新樽のバーボンホグスヘッドで25年熟成しアルコール度数61.3%でボトリングされています。
新樽を鏡板に使用しているので非常に樽感の強く原液に染み渡っています。
その為樹液のようなウッディーさとほろ苦い焦がした砂糖液や濃い目のママレードジャムの香りが鼻を抜けます。
味わいはベン・ネヴィス特有のケミカルさは健在です。
樽由来のウッディーでビターな苦味とケミカルなシロップ、フィニッシュにかけてウッディーからフルーティーへと流れていく感じがこれ以上ない余韻となって五感を揺さぶります。
ベン・ネヴィスは種類別に微妙におすすめの飲み方が違うのでご紹介しましょう。
ベン・ネヴィス10年はストレートで飲むのが一番おすすめなのがです。
味わいにクセがなく、ライトなのでそのままでも美味しいです。
ロックにする場合でも洋ナシや青りんごといったフルーティな香りが立ち上ります。
長期熟成した原酒で造られたベン・ネヴィス ネヴィスデュー12年もストレートがおすすめです。
ネヴィス・デューはノンエイジな分まろやかさにかけるので、ネヴィスデュー12年のまろやかで柔らかいテクスチャをダイレクトに感じたいのであれば加水は避けた方がいいでしょう。
ロックが適しているのはネヴィス・デューです。
ライトで洋ナシのような果実の味わいやスモーキーな風味なので飲みやすいのですが、水割りやロックにすると甘味が増し、フルーティーな香りが立ち上ります。
ストレートでも水割りでも最高なのがベン・ネヴィス 1996 21年とベンネヴィス 25年です。
ベン・ネヴィス 1996 21年は香りや味わいは前述に記載した通りですが、加水すると麦芽やバニラの香りが開きます。
ベンネヴィス 25年は加水で苦味や固い感じが若干ほぐれて甘みがのぞき、飲みやすく変化します。
飲み方や種類によっていくつもの味わいが登場する不思議なウィスキーベン・ネヴィス。
蒸留所が安定するまで色々と確執はありましたが、結果的に竹鶴威によりたてなおされるという幸運をもちあわせていました。
めずらしいケミカルな香りと味わいが入った逸品です。是非味わってみて下さい。