ラフロイグ 10年とは? スモーキーな味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ベンロマックはスコットランドのスペイサイドエリアで造られているシングルモルトウイスキーです。
スペイサイド地方のフォレスという町の北部にベンロマック蒸留所は存在しています。
スペイサイド地方で一番小さい蒸留所でありながら、ベンロマック蒸留所は数々の賞を世界中で受賞し、新たなスペイサイドモルトのアイコンとして注目を集めている興味深いウイスキーです。
(受賞した銘柄を例にあげますと、2015年10月にリリースされた、『ベンロマック15年』などはワールドウイスキーアワード(WWA2018)において、スペイサイドカテゴリーで(ベストスコッチスペイサイドシングルモルト)を授与されました!)
もはや、専門家も認める味わいの一流のウイスキーとなったベンロマック、ウイスキー通なら一度は飲んでみたい一品でしょう。
今回はベンロマックの魅力の理由について特徴、種類、おススメの飲み方までを一挙網羅いたします!
この記事のポイント
ベンロマック、またはベンローマック蒸留所は上記の位置にあります。(下記は拡大した位置)
蒸留所からほど近いフォレスという町は長い歴史があり、古代ローマ人が2000年以上も前に作ったブリテン島の地図にも、「Varris」という地名で記されています(フォレスはゲール語で「灌木(かんぼく)の茂み」という意味)。
ちなみにベンロマックはゲール語で「木や草の生茂る山」という意味だといわれています。
どちらも似たような意味で大麦が豊富に収穫できるスペイサイドエリアならではの名前といえます。
植物が豊かに育つのは1年を通して気候の差があまりなく緩やかだという点があります。 もちろん、ピート(泥炭)も豊富にあるので、ウイスキーの味わいにも影響しています。
前述の通り、スペイサイドは大麦麦芽が豊富に収穫できるので、国産の大麦をウイスキーの原料としています。
スコットランド産の麦芽専業業者から仕入れた麦芽をピートで燻して、蒸留後に原酒(スピリッツ)ができあがります。
年間生産量が約15万リットルと非常に少ない小規模の蒸留所ながらも製造工程にはこだわりがしっかりと詰まっています。
例えば、熟成にはジャックダニエルに使用していたアメリカンオーク樽とオロロソシェリー樽をメインで使用していますが、『風味の強いシェリー樽に負けないようベンロマックには十分なボディーを持ったスピリッツが必要』だと研究を重ねたりしています。
ニュースピリットはすべて手作業で樽に詰められると、熟成庫へと運ばれます。
更に、スペイサイドモルトのアイコンとして注目を集めていることに奢ることなく、需要の高まりに伴い、設備投資にも積極的に取り組んでいます。
2014年には改装でスコットランド産カラ松製の発酵槽を4基設置していたところ、新たに9槽を取り付けました。
ベンロマック蒸留所は100年以上の長い歴史を持っています。
創業は1898年でダンカン・マッカラム氏とF・Wブリックマン氏によって創設されました。
しかし、設立したばかりで、災難に見舞われます。 懇意にしていた大手ブレンダー会社が倒産に追い込まれ、ベンロマック蒸留所にも少なからず影響を受けたためです。
その後は閉鎖と再開を繰り返しますが、1938年、ジョセフ・ホッブズによってベンロマックは買収されます。
ジョセフ・ホッブスはアメリカにて禁酒法が施行された頃、カナダで製造したウイスキーをアメリカに持ち込み大儲けしたやりての実業家だったので、ベンロマックも成功を見込まれていました。
しかし、すぐにアメリカのナショナル・ディスティラーズ社に売却されてしまいます。
1953年、蒸留所の中で最大規模のDCL(ディスティラーズ社)の買収により、再建のための設備投資が行われ、1980年代前半くらいまでは順調に稼働しましたが、またも災難に見舞われます。
当時は蒸溜所としての規模が小さいと生産能力の低さがたたり閉鎖に追い込まれがちだったのです。
ベンロマックも多分に漏れず、閉鎖となりました。
そこへ、またチャンスがやってきます。
1992年、ウイスキースペシャリストとして名高い老舗インディペンデント・ボトラー(独立瓶詰業者)のゴードン&マクファイル社が紆余曲折ありながらも長い歴史を持つベンロマックに可能性をみいだしたのです。
彼らは蒸留所を改装し、1997年に生産を開始しました。
現在は良好な状態で、ようやく運営が行われています。 中々経営が安定しなかった原因は蒸留所が小規模であり、ブレンデッドウイスキーが主流で大量生産できなかったことが含まれているのではないでしょうか。
現在は小規模蒸留所であっても、質が問われ、シングルモルトウイスキー人気は非常に高まっているので、そう簡単に閉鎖になることはありません。
2005年からベンロマックも日本で手に入るようになりました。 ベンロマックのおススメラインナップの味わいをご紹介します。
2009年にようやくリリースされたのが、この「10年」です。 バーボンバレル80%、シェリーホグスヘッド20%、最後の1年をファーストフィルのオロロソ樽にて熟成。
ソレラ方式で熟成させることで味を均一にしていく独特の手がかかる手法をとって作り上げた一品です。 ソレラとは「床」を意味する言葉で、この方式では何段にも樽を積み重ねて一番下の樽からある程度決められた量を取り出してボトリングしています。
そして、一番下の樽の減った分を二段目の樽から継ぎ足していき、さらにその目減り分を上の樽からという具合に順次足して行くのです。
またパッケージのリニューアルをしましたが、品質、生産工程や理念などは全く変わらないままで、味わいもピートとスモーク感が増し、シェリー樽の影響もしっかりと感じられます。
アロマはまず、スモーキーなピートとアルコールをはじめに感じた後、すぐに 甘い青りんごからレモンの酸味のあるさわやかさ続き、カラメルやバニラが穏やかなスモークとともに感じられます。
口に含むと麦芽のシリアルとフルーツのコンポートや、柔らかなキャラメルやシェリー樽由来のかすかなブラックチェリーとまじりあってフィニッシュ には麦芽のシリアルに戻り、アルコールの刺激と苦み、酸味などが複雑に絡み合う味に変わっていきます。
熟成期間が10年とは言えないほどの完成された巧の技が光るウイスキーといわれています。
ワールドウイスキーアワード(WWA)で最優秀スペイサイドモルトを受賞がこちら15年です。
こちらは樽をチャーリングしており、スモークの風味を柔らかな印象に仕上げています。
テクスチャーは樹液の甘さを思わせるハチミツやクリーミィな滑らかさがあり、シェリー樽由来のアロマのほか、オレンジピール、スパイシーさが絡み合いますが、味わいは濃厚な甘みが特徴的で、しっとりとしたフルーツケーキやジャム、リンゴと続きます。
最後はフルーティな甘さの中にもキリリとした刺激を感じるようになっています。
ウイスキー樽の内面を焦がす「チャー」を行う理由と熟成の効果とは
ついに定番ラインとしての最長熟成品「ベンロマック21年」がお目見え。
ワールドウイスキーアワードにおいて最優秀スペサイドモルトに輝いた15年をさらに熟成させた待望のシリーズ最長熟成品だけに中々手に入れるのは困難な一品です。
国内限定わずか360本のみとなっています。 初リリースは2020年でしたが、国内には2021年2月、量販店ではなくウイスキー専門店を中心に卸されているようです。
厳選された最高級のファーストフィルオーク樽で熟成された21年物のシングルモルトのアロマはラズベリーの風味にわずかにスパイス、オレンジそして心地よい柔らかなスモーキーへとフィニッシュが続きます。
テクスチャーは熟成の長さを思わせるまったりと滑らかさがあり、口に含むと樽熟成の香り、と甘さにシェリーの古酒を感じさせられます。
そこに、麦芽感とオレンジやリンゴのフルーティさがスパイスと混然一体化し、フィニッシュにかけて樽のチャーをしたときの柔らかな香りを感じるピート香が立ち現れます。
ピート感を深く味わいたい方におススメしたいのが、ベンロマック10年のハイボールです。
ピートのきわだちとともに、リンゴの甘さやレモンの酸味が炭酸と一体となって複雑かつ美味しいハーモニーを生み出します。
ベンロマック15年はストレートでいただきましょう。
ストレートグラスに注いでから10分~60分程度待つと香味が一体感を増し、風味が立ち上る印象を受けます。
ベンロマック21年は熟成により、味の多層感が増すので水で少々割った程度で濃厚さは変わることがなく、面白いです。 色々試してみてはいかがでしょうか。
ベンロマックは最終的にミディアムピートのモルトになるよう慎重に管理し、世界に二つとない個性的なスペイサイドウイスキーを作っています。
ウイスキーを作るディスティラーは片手で数えられる人数しかいませんが、伝統、技術、情熱、歴史、そして人々の想いなどの理念のもとにその高い専門性と感覚で、良質なウイスキーを手作りしています。
口にするとき、思わずかしこまってしまうような敬意をはらいそうですが、是非100年の歴史の詰まった味わいをじっくりと実感してみてください。