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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーの種類は多種多様です。
ウイスキー好きから人気を集めるスコッチやバーボンも、その多くの種類に含まれます。
多様な味わいが楽しめるのもウイスキーの魅力。
バーボンとスコッチ、それぞれの違いについてご紹介します。
この記事のポイント
多彩な魅力を持つウイスキーは蒸溜酒の一種です。
醸造酒を加熱することによって作られるお酒ですが、産地や製法、原料の違いが幅広いバリエーションを生み出しています。
ウイスキーの歴史は非常に旧く、起源は紀元前3世紀頃のメソポタミア文明までさかのぼるという説もあるほどです。
それよりもやや新しい時代に起源を求めると、12世紀のアイルランド、または15世紀のスコットランドにそれぞれ誕生したという説があります。
新しいといってもずいぶんと昔の時代ですが、それほど旧くから愛され、歴史を持つお酒である証明だといえるでしょう。
長い歴史を持つウイスキーは、時代を経るにつれて世界に広がり、各地で特色のある名酒を生み出すに至りました。
5大ウイスキーと呼ばれるカテゴリーが自然と定義され、それぞれが歴史や伝統を踏襲しながらも、各時代の流れの中で進化を遂げています。
5大ウイスキーの中には日本のウイスキーも含まれます。
起源が海外となるジャンルで後進ともいえる日本が、名酒の勲章である5大ウイスキーに選ばれていることは、日本人のウイスキー愛好家にちょっとした嬉しさを与えてくれています。
5大ウイスキーの中には「スコッチウイスキー」が含まれています。
これが本記事の主題のひとつである「スコッチ」にあたります。
となると、やはり主題のひとつである「バーボン」はどうなるのだろう?5大ウイスキーではないのだろうか?と思われるかも知れませんが、バーボンもしっかりと5大ウイスキーに含まれています。
バーボンの場合は「アメリカンウイスキー」に分類され、このアメリカンウイスキーが5大ウイスキーの一翼を担っています。
つまりアメリカンウイスキーであるバーボンも、立派に5大ウイスキーに入るといえるわけですね。
どちらも有名なバーボンとスコッチですが、ここからは、その違いを細かく比較してみましょう。
産地や原料・製法などでこんなにも違いが生まれるのかと、ウイスキーの世界の奥深さに驚くばかりです。
バーボンとスコッチは、まず産地が大きな違いとして挙げられます。
ウイスキーにとって産地はとても大切な要素です。
その土地の風土や歴史があったからこその誕生であることがほとんどだからです。
バーボンの産地は、アメリカのケンタッキー州を中心としています。
初期の産地がフランスからの移民が多かった「ケンタッキー州バーボン群」であったことが名称の由来です。
今ではバーボン群以外での製造が盛んですが、今もなおバーボンという名称で愛されています。
「バーボンとはアメリカで作られるものである」というアメリカの法律もあるほどで、アメリカ人がいかにバーボンを誇りに思っているかが分かりますね。
スコッチの産地は、イギリスを構成する国のひとつであるスコットランドです。
スコットランド全土で作られるウイスキーをスコッチと呼んでいます。
スコットランド以外で製造したウイスキーをスコッチと称することは禁じられており、バーボンと同様、やはり国の人々の誇りが垣間見える一面です。
また、スコットランドで作られるスコッチの産地は、さらに細かく分類されています。
スペイサイド・ハイランド・キャンベルタウン・ローランド・アイランズ・アイラ、この6つがスコッチの6大産地として愛好家の中で有名です。
バーボンとスコッチは原料も異なります。
原料の種類はウイスキーの味やフレーバーに大きな影響を与え、個人の好みにも反映されることが多い重要なポイントです。
また、材料は1種類ではありません。
複数の材料を組み合わせることにより、あの芳醇で複雑な味わいと風味を生み出しています。
アメリカ生まれのバーボンの原料はトウモロコシをメインに、大麦・小麦・ライ麦などの穀物類が使われています。
この原料の配合にも明確な決まりがあり、これに反している場合にはバーボンと認められません。
バーボンと認められるには、トウモロコシの配合を51%以上にする必要があります。
その残りの分量が大麦をはじめとした穀物類です。
アメリカのトウモロコシといえば、あのアメリカ独特の広大な農場が思い起こされる人も少なくないのではないでしょうか。
そのトウモロコシが半分以上の配合となれば、バーボンに「アメリカっぽさ」を感じるかもしれませんね。
スコッチの原料はウイスキーによって分かれています。
スコッチウイスキーの種類である「モルトウイスキー」「グレーンウイスキー」「ブレンデッドウイスキー」の3種類に分類されます。
スコッチウイスキーの種類
大麦は仕込みの前に乾燥させるのですが、その際に「ピート」という燃料が使用されます。日本語では「泥炭」と書きます。
このピートの香りが大麦に移って、スコッチの魅力のひとつであるあのスモーキーな香りが生まれるのです。
ウイスキーというカテゴリーの中でも、それぞれ製法の違いがあります。
バーボンとスコッチも大きな違いが見られ、その違いがそれぞれ独特の味や風味を作り出しています。
製法だけではなく、樽の使い方にもバーボンならでは、スコッチならではのルールがあります。
ウイスキーといえば樽ですが、その樽の使い方にもこだわりがあるとは、やはりウイスキーの世界は奥深いですね。
バーボンの製法は「連続式蒸留」という方法が用いられています。
連続して蒸溜を繰り返すことにより、アルコール度数を効率よく高められるのです。
不純物も同様に効率的な除去が可能で、バーボン独特の味わいに貢献しています。
連続式蒸溜で蒸留酒を造ったあと、今度は水を加え、アルコール度数を62.5%以下にします。
それから樽に入れて2年以上の熟成を行なえば、バーボンの完成です。
熟成には新品のホワイトオーク樽が使われます。
ただし、内側を火で炙ったものだけが認められます。
「チャーリング」と呼ばれる方法で、「樽の風味が酒に染み出る」「比較的短期間で深い味わいの酒を作ることができる」というメリットがあります。
ウイスキー樽の内面を焦がすチャーリング(チャー)について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキー樽の内面を焦がす「チャー」を行う理由と熟成の効果とは
スコッチの製法は種類ごとに分かれています。
モルトウイスキーは「単式蒸留」、グレーンウイスキーは「連続式蒸溜」です。
単式蒸留とは単発の蒸溜のことで、モルトウイスキーはこの単式蒸留を2回繰り返すことにより、大麦麦芽の風味を残しつつ、アルコール度数を上げていきます。
グレーンウイスキーはバーボンと同様、効率よくアルコール度数を高めていきます。
酒の蒸溜が終わったら、今度は樽で3年以上寝かせます。
スコッチの場合、樽の内側を炙ったりはしません。そのままの状態で使います。
なお、熟成させる場所がスコットランド以外であった場合、スコッチを名乗ることは許されません。
また、使う樽にも大きなこだわりがあります。
スコッチに使う樽は新品ではなく、シェリー酒、ワイン、ビールなど、そしてバーボンも含め、すでに寝かせ終えて使用済みになった各種類の酒樽を使うのです。
新品の樽より熟成に時間がかかるのですが、それぞれ前に入っていた酒の風味や味わいを一緒に吸収することができます。
それがスコッチならではの芳醇な味と香りを作り出すことに大きく貢献しているのです。
細かいことですが、バーボンとスコッチには綴りについてもちょっとした違いがあります。どちらも「ウイスキー」なのですが、バーボン、スコッチをそれぞれ表すときには少々異なった綴りになるのです。
バーボンが含まれるアメリカンウイスキーは、アイルランドから移住してきた人々が作り始めました。
アイルランドといえばアイリッシュウイスキーです。
アイリッシュウイスキーは、もともと「Whiskey」と綴られていました。
そのため、アイルランド系の流れを汲んでアメリカンウイスキーを作り始めた人々も、同様に「Whiskey」と表記するようになったのです。
スコッチは「Whisky」です。
同じく日本のウイスキーも「Whisky」と表示します。
これは日本のウイスキーがスコッチの流れを汲んでいるためです。
ウイスキー好きなら誰もが気になるのが、それぞれの味や香りの違いでしょう。
ここまで見てきた原料や製法、そして熟成に使う樽が、それぞれの味に大きな影響を与えています。
どちらも甲乙付けがたいものであり、優劣はつけられません。
好みの味と風味を選び、じっくりと楽しみたいものですね。
バーボンは甘みが感じられ、焦げた樽の香りが立ち上ります。
全体的に甘みが強い印象を持つ人が多いようです。
決して単純な甘みではなく、種類ごとにバリエーションを楽しめることは間違いありません。
また、奥深さを感じる甘みでもあります。
その甘みを「カラメルのよう」と表現する人もいます。
内側を焦がした樽を使っていることを思い出すと納得の風味ではないでしょうか。
カラメルといっても単純な甘み一辺倒ではなく、やはり深い味わいが楽しめます。
甘くて深い味わいが特徴であるものの、クセそのものは強くありません。
幅広い人が親しみやすい傾向もあり、初心者におすすめという声も多く聞かれます。
普段あまりウイスキーに馴染みがなかったのに、バーボンの飲みやすさからウイスキーの美味しさを知り、ウイスキーの世界へ足を踏み入れる人もいるようですよ。
また、バーボンでも決してすべてが同じ味わいではありません。
メーカーや銘柄、熟成させる年数によって、さまざまな違う味わいを楽しむことができます。気になったものを試して、お気に入りの銘柄を見つけたいものですね。
スコッチはバーボンと比較すると、重厚な味わいであると評されることが多いウイスキーです。
6大産地や熟成に使う樽でも違いが生まれるため、一概に「スコッチはこんな味!」と断言するのは難しいといえるでしょう。
6大産地の蒸留所は、それぞれ気候が異なっています。
気候も酒の味や風味に深く関わる条件のひとつです。
それぞれの産地の特徴を簡単に見てみましょう。
スコッチの6大産地の特徴
スコッチは旧くから非常に多くの蒸留所で作られているため、その種類の広がりも一筋縄ではいかない規模になっています。
とりもなおさず、ウイスキーに興味を持った人にとっては、どこまでも楽しめることでしょう。
フルーティからヘビーなものまで多種多彩なスコッチの中から、お気に入りの1本をぜひ見つけたいものです。
ウイスキー愛好家の中でも人気があるバーボンとスコッチは、原料や製法、使う樽など、何もかもが似ているようで違う存在です。
いずれも独特の味わいと風味を持ち、多くの人を魅了してやみません。
ウイスキーの人気は年々高まり、生産地では観光客が蒸留所を見学することも珍しくありません。
日本でも大人世代はもちろん、幅広い層が楽しむ時代になりました。
バーボンやスコッチへの関心も集まり、ウイスキー人気をより高める役割を果たしています。
お気に入りの1本を見つけ、美味しいひとときを過ごしてくださいね。