初心者におすすめのカルヴァドスは? 人気の種類と美味しい飲み方を紹介
- ウイスキー基礎知識
カルヴァドスは、りんごを原料とする限られたアップルブランデーのことであり、ごく一部のブランデーがカルヴァドスを名乗ることが許されます。
りんごの風味をしていることから飲みやすいため、お酒を広く飲んだことがない方にもおすすめできる初心者向けのお酒として知名度を上げています。
ウイスキーと同様に美しい琥珀色であり、蒸溜酒であることや樽による熟成を行うなど共通点も多いため、ウイスキーに興味があるならにも注目したいお酒です。
この記事では、初心者におすすめのカルヴァドスについて、人気の種類と美味しい飲み方を紹介します。
この記事のポイント
カルヴァドスは、フランスのノルマンディー地方で製造されてきたお酒であり、コニャック、アルマニャックと同様に代表的なブランデーの種類の一つです。
ブランデーは果実を原料とする蒸溜酒のことであり、元々はブドウを発酵させて蒸溜させるお酒のことを指しましたが、カルヴァドスのように例外もあります。
そのため、ブランデーはブドウだけでなく様々な果実を原料とする蒸溜酒として広く呼ばれるようになりました。
ブランデーとウイスキーは、原料が果実であるか、穀物であるかに違いがあることがわかります。
カルヴァドスがブランデーの中でもどのようなお酒であるか詳しく解説していきます。
カルヴァドスは、ブランデーの中でもりんごを原料としており、フランスのノルマンディー地方で製造されたお酒のみをこのように呼びます。
りんごを発酵されるとシードル(アップルワイン)というお酒になり、シードルを蒸溜させることで一部のアップルブランデーがカルヴァドスとなります。
ブドウではなくりんごを原料とした理由は、歴史の中でブドウが害虫などの影響で収穫できなかった際に、代替としてりんごを発酵させ、蒸溜し、熟成させたことで広まっていきました。
カルヴァドス=アップルブランデーと考えている方は多いかもしれませんが、カルヴァドスはアップルブランデーの一部であり厳しい条件があることから限定した範囲にあります。
まず、カルヴァドスはノルマンディー地方とその周辺地域で製造されていなければ名乗ることができません。
製造する地域自体が限定であり、フランス以外で製造されたアップルブランデーはカルヴァドスを名乗ることを許されません。
そして、カルヴァドスのブランドの品質を落とさないようにするために厳しい条件が課せられます。
カルヴァドスの条件の一例
他にもいくつかの条件がありますが、厳しい条件を指定しているにもかかわらず広く流通しているアップルブランデーの多くはカルヴァドスです。
そのため、カルヴァドスそのものにプレミア価値を感じる要素はなく、アップルブランデー市場のほとんどをカルヴァドスが独占しているからこそ、カルヴァドス=アップルブランデーの認識があるといえるでしょう。
カルヴァドスの製造方法について特徴的なポイントを紹介していきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
カルヴァドスに使用されるりんごはノルマンディー地方で生産され、使用の認められたりんごのみをブレンドしています。
ビター、ビタースイート、スイート、サワー、大きく分けて4種類のシードルをブレンドすることで味わいを整える仕組みです。
さらに、カルヴァドスはりんごだけでなく、味わいのバランスを整えるために洋ナシの使用が認められています。
洋ナシの醸造酒はポワレと呼ばれますが、ポワレをブレンドすることで風味を調整しています。
ただし、カルヴァドスにブレンドできる洋ナシは30%までと規定されています。
カルヴァドスは蒸溜酒であるため、発行したお酒を蒸溜器で蒸溜させる工程があります。
蒸溜した無色透明の液体はブランデーにおいては、ヌーベルと呼ばれます。
カルヴァドスの場合は「オー・ド・ヴィー・ド・シードル」という名称です。
無色透明の液体が完成品である琥珀色になる理由は、樽によって長い期間に渡って熟成されるからです。
ブランデーは、熟成年数によって名称が変化する仕組みとなっています。
熟成期間 | 名称 |
2年以上 | VS、フィーヌ |
3年以上 | ヴィユー・レゼルヴ |
4年以上 | V.O、V.S.O.P |
6年以上 | XO、オル・ダージュ、ナポレオンなど |
熟成年数が高まるほどアルコールの角が取れてまろやかな味わいになり、ボトルの希少性も高まっていきます。
熟成年数が長いほど味わいの完成度が上がり、評価を高める点はウイスキーと同様といえるでしょう。
初心者におすすめのカルヴァドスの人気の種類を紹介していきます。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/3152900000134/
ブラー グランソラージュは、ブラー社が製造するカルヴァドスであり、日本で最も入手しやすい銘柄であることから初心者にもおすすめです。
2年~5年熟成の原酒を使用しており、爽やかなりんごの風味と熟成樽のスパイス感が特徴的であり、なめらかな口あたりであることから飲みやすくなっています。
カルヴァドスを初めて飲む方にとって、入手難易度だけでなく価格においても適していることから、迷ったのであればこちらから飲んでみましょう。
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瓶の中にまるごとのりんごが入ったカルヴァドスをご存じでしょうか?
マスネ社が製造するポム・プリゾニエールは、瓶の中でりんごを成長させる特殊な製法で作られたボトルにりんごを閉じ込めて、その中にカルヴァドスをボトル詰めします。
閉じ込めたりんごの風味とボトル詰めされたカルヴァドスによって、深みのあるりんごの味わいが感じられるお酒となっています。
コンセプトに惹かれた方は、こちらのカルヴァドスから飲んでみるのもおすすめです。
ポム・プリゾニエールなどりんごの入ったカルヴァドスを飲み終えた後の活用方法はこちらの記事で紹介しています。
カルヴァドスは飲み終わったらどうする? 中のりんごの活用方法を紹介
画像引用:Amazon.co.jp
シャトー・ド・ブルイユ社のカルヴァドスは、高品質で格式が高いことで知られていますが、熟成年数の低いフィーヌのカルヴァドスは低価格で購入しやすいです。
フルーティーなりんごの風味と、豊かな花のアロマも感じられる飲みごたえのある味わいが特徴となっています。
価格に糸目をつけず本当に美味しいカルヴァドスを飲みたい方は、シャトー・ド・ブルイユの中でも15年物を飲むのもおすすめです。
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8年から15年熟成の原酒を使用するランクの高いカルヴァドスを飲みたい方にとっておすすめの銘柄がブラー社のX.O. カルヴァドスです。
りんごの風味は熟したものに変化しており、オーク由来のナッティな香ばしい風味が魅力的となっています。
ブラー社のカルヴァドスは日本ではサントリーが輸入していることから、酒店にも置いてある場合が多く入手しやすいといえるでしょう。
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歴史あるコッケレル社で製造される伝統的なブランデーであり、コッケレル・フィーヌは熟成年数2年以上の若い原酒のみを使用していることから低価格で購入できます。
カルヴァドスの銘醸地であるペイ・ドージュ地区とドンフロンテ地区の周辺で栽培された高品質なりんごのみを使用したカルヴァドスです。
信頼性の高い伝統的な会社でりんごの質にこだわったカルヴァドスを飲みたい方におすすめのブランドとなっています。
最後に、カルヴァドスの美味しい飲み方を紹介していきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
カルヴァドスは、アルコール度数が40%以上あることから、お酒を飲み慣れていない方にはおすすめできませんが、ストレートが美味しい飲み方です。
りんごの風味をダイレクトに味わえるだけでなく、熟成年数を経たカルヴァドスほど複雑な風味をしているため、ストレートで飲むのがおすすめとなっています。
ウイスキーをストレートで飲み慣れている方は問題なくストレートで飲めることでしょう。
一方で、飲み慣れていない場合は水や炭酸水などのチェイサーの用意を忘れずに、ゆっくりと飲むようにしてください。
ウイスキーでいえばハイボールと呼ばれる、ブランデーのソーダ割りは共通して初心者におすすめの飲み方です。
りんごの爽やかな風味が炭酸とマッチしており、アルコールの刺激なども和らぐため、お酒を飲み慣れていない方に適しています。
イメージとしてはアップルソーダのような飲み口になるため、好みに合うなら試してみましょう。
カルヴァドスはりんごの風味を持つブランデーであるため、飲みやすくお酒を飲み慣れていない方にもおすすめできるブランデーです。
高級なイメージがあるかもしれませんが、2,000円台から購入できるボトルもあるため、購入しやすいお酒となっています。
ストレートだけでなく、ソーダ割りでも楽しめるお酒であるため、興味があるなら気軽に飲んでみましょう。
ブランデー全体の初心者向けおすすめ銘柄はこちらの記事で紹介しています。