
オールド・ファッションドとは? カクテルの作り方、ベースにおすすめのウイスキー
- ウイスキー基礎知識
オールド・ファッションドは、クラシックカクテルの代表格として世界中のバーや家庭で愛され続けているウイスキーベースのカクテルです。
シンプルでありながら洗練された深い味わいが魅力であり、その名のとおり古き良き伝統を賛美するカクテルとなっています。
伝統的なカクテルではありますが、現代に合わせたアレンジにも寛容であり、バーテンダーや愛好家によってさまざまなアレンジが生まれていることも特徴です。
この記事では、ウイスキーベースのカクテルであるオールド・ファッションの作り方を解説し、ベースにおすすめのウイスキーも紹介します。
この記事のポイント
オールド・ファッションド(Old Fashioned)は、その名のとおり、「古風な」という意味を持つカクテルです。
元々は「ウイスキー・カクテル」「ビターズ・カクテル」などのシンプルな名称で提供されていました。
アメリカで誕生したことから、アメリカンウイスキーを使用することが一般的であり、バーボンウイスキーを使用するカクテルとして知られています。
しかし、シンプルな作りであることから、バーボン以外のウイスキーや、他の蒸溜酒を使用するアレンジもおこなわれてきました。
日本語表記では、オールド・ファッションと呼ばれることもありますが、同じカクテルを指しています。
オールド・ファッションドの基本情報を確認していきましょう。
オールド・ファッションドは、19世紀初頭のアメリカが起源となっており、アメリカのウイスキーを使用したシンプルなカクテルである「ウイスキー・カクテル」が原型です。
水、砂糖、苦み成分であるビターズを使用して作る基本のカクテルであり、ウイスキーの風味そのものを大切にする調理方法でした。
当時は、多くのバーや家庭で愛飲されてきましたが、時代の変化とともに華やかな印象の新しいカクテルが登場していた背景がありました。
明確な起源は明らかになっていませんが、以下の説が有力といわれています。
1880年代、次々に複雑なレシピで作られた華やかなカクテルが登場します。
しかし、バーの顧客のなかには昔ながらのシンプルな味わいを好み、オールドスタイルを求める要望がバーテンダーに求められることもありました。
顧客はバーテンダーに注文する際に「昔ながらの作り方」など、漠然としたリクエストをするケースが多く見られました。
当時に流行していた最新のカクテルに対して、昔ながらの作り方で作られたカクテルの呼称として「オールド・ファッションド」が生まれました。
オールド・ファッションドの呼称がバーの顧客の間で広がり定着したことから、かつてのシンプルなウイスキー・カクテルは、オールド・ファッションドとして確立し、現代にも受け継がれています。
後述する説が真実である場合や、ほかに起源がある可能性もゼロではありませんが、オールド・ファッションドが確立した経緯としては非常に有力な説です。
ケンタッキー州ルイビルにある社交クラブのペンデニス・クラブで、バーテンダーが競馬ファンの客のために作ったという説もあります。
現代ではホット・ウイスキーとも呼ばれるウイスキーのお湯割りに近いカクテルであるトディに似ており、古風であったことからオールド・ファッションドと名付けられました。
しかし、この説はペンデニス・クラブが設立される以前からオールド・ファッションドの名称が活字で証拠として残っていることから、信憑性に疑問があります。
事実に関係なく、オールド・ファッションドは競馬ファンのために作られたカクテルであるという噂が独り歩きした結果、ケンタッキーダービーの定番カクテルとなりました。
そのため、オールド・ファッションドは競馬ファンの定番のカクテルとして知られています。
オールド・ファッションドは、ウイスキー、砂糖、ビターズ、水または氷を加えるシンプルなカクテルです。
現代では、オレンジ・レモンなどの柑橘系の果実、マラスキーノチェリーで彩りを加えるアレンジが一般的となりました。
しかし、飾り付けを除く、基本的なコンセプトは非常にシンプルであり、どの時代でも守られています。
そのシンプルさゆえに、「本質を突いたカクテル」として評価されており、ウイスキーそのものの風味を引き立てるレシピです。
シンプルゆえに、ベースとなるウイスキーの品質、バーテンダーの技術に誤魔化しが効かない、奥深いカクテルといえるでしょう。
オールド・ファッションドのカクテル言葉は、「我が道を行く」です。
バーにおいてカクテル言葉を意識する場面は、一緒に飲んでいる人に対してメッセージを伝えるときが挙げられます。
オールド・ファッションドのカクテル言葉は相手に対する言葉ではなく、自分自身の生き方に対する言葉です。
よって、カクテル言葉を通して自分の生き方に対する意思を示したい場合に、注文するカクテルといえるでしょう。
カクテル言葉だけではなく、カクテルには誕生カクテルも設定されており、オールド・ファッションドは「9月30日」です。
オールド・ファッションドはベースとなるウイスキーの風味が反映されます。
一般的なバーボンウイスキーの風味である、バニラ、キャラメルの香りと味わい、オーク由来のスパイス感がカクテルの基盤となります。
そのうえで、砂糖やシロップの甘みを加えることで、ウイスキーの豊かな風味を引き立たせながら、クセの強さを和らげて飲みやすくする効果が期待可能です。
ビターズによる複雑な風味もオールド・ファッションドには欠かせず、全体の味わいを引き締める役割を果たします。
また、果実を飾り付けるアレンジは、カクテルにフルーティーなアクセントを加えています。
シンプルな作り方であるため、味わいの特徴はベースとなるウイスキーに大きく依存するといえるでしょう。
現代における一般的なオールド・ファッションドの作り方・レシピは以下のとおりです。
材料 | 分量 |
ウイスキー | 45ml |
角砂糖 | 1個 |
アロマティックビターズ | 2ダッシュ |
スライスオレンジ | 1個 |
スライスレモン | 1個 |
マラスキーノチェリー | 1個 |
作り方
オールド・ファッションドの作り方は基本的に上記のとおりですが、クラシックな「ウイスキー・カクテル」を意識してフルーツを飾り付けないなど、アレンジのバリエーションは豊富です。
砂糖、ビターズ、氷があれば作ることができるため、初心者も気軽に挑戦しやすいカクテルといえるでしょう。
よって、オールド・ファッションドは他のカクテルと比較してベースとなるウイスキーの選び方が重要です。
作り方のポイント
オールド・ファッションドに使用するビターズには種類があるため、その特徴も確認しておきましょう。
オールド・ファッションドのレシピで使用するビターズは、アロマティックビターズとアンゴスチュラビターズの2種類のパターンで表記されていることが多いです。
アロマティックビターズは、数種類のハーブ、スパイス、果実、樹皮などをブレンドして作られる、香り豊かで複雑な味わいを持つビターズの総称です。
カクテルに深みやバランスを与えるために広く使われており、オールド・ファッションドのようなクラシックなレシピからモダンなカクテルまで、様々な用途で利用されます。
一方で、アンゴスチュラビターズはアロマティックビターズのなかでも特に有名なブランドであるため、アロマティックビターズの種類の一つでありながら、際立った存在となっています。
ビターズの種類を理解していない場合は、アロマティックビターズとアンゴスチュラビターズが別の種類のビターズと思うかもしれません。
つまり、アンゴスチュラビターズを使用すれば、アロマティックビターズを使用するレシピの条件を満たせますが、こだわるなら他のビターズを使用しても問題ありません。
オールド・ファッションドを作るのに必要な材料を以下にまとめました。
アンゴスチュラビターズ
スライスオレンジ(オレンジピール)
スライスレモン(レモンピール)
マラスキーノチェリー
オールド・ファッションドのベースになるおすすめバーボンウイスキーを紹介します。
画像引用:https://www.wildturkeybourbon.com/ja-jp/products/wild-turkey-8-yo/
ワイルドターキー 8年は、伝統的なバーボンウイスキーであり、力強さとコクのある深い味わいがオールド・ファッションドにマッチします。
豊かなバニラやキャラメルの甘み、 樽熟成によるピリッとしたスパイス感とほのかな渋みが魅力です。
オールド・ファッションドのベースのウイスキーとして人気が高いため、ワイルドターキーが好きな方はもちろん、銘柄に悩む方はワイルドターキー 8年で作ってみましょう。
ワイルドターキー 8年とは? 味わいやおすすめの飲み方を解説
画像引用:https://www.asahibeer.co.jp/products/whisky_brandy/bourbon/woodford/
ウッドフォードリザーブは、伝統ある蒸溜所で製造されるプレミアムバーボンであり、カクテルのベースとして重宝されています。
シンプルな甘味だけではなく、ほのかなスパイスと酸味のある味わいがバランスよく調和していることが魅力です。
オールド・ファッションドに限らずほかのカクテルにも使用しやすいことから、幅広くウイスキーカクテルを作りたいなら、こちらの銘柄を選べば間違いありません。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/085246500576/
メーカーズ・マークは、ボトルトップの赤い蝋がトレードマークのバーボンであり、初心者も飲みやすい銘柄です。
ハチミツ、柑橘系の果実を思わせる甘み、ウイスキー特有の苦味が控えめであるため、親しみやすいオールド・ファッションドになります。
ウイスキー初心者の方で飲みやすさを重視してカクテルを作りたい場合は、メーカーズ・マークを購入することをおすすめします。
画像引用:https://www.kirin.co.jp/alcohol/whisky_brandy/fourroses/products/
フォアローゼズ ブラックは、スタンダードなフォアローゼズと比較して力強く上品な味わいからオールド・ファッションドに合うウイスキーとして知られています。
フローラルなアロマとともに、しっかりとした果実味、かすかなシナモンやナツメグのスパイス感が感じられます。
ブラックは日本市場限定で販売されているボトルであるため、バーボンでありながら、日本人の好みにあったカクテルが作れるでしょう。
画像引用:Amazon.co.jp
I.W.ハーパー ゴールドメダルは、オールド・ファッションドと同様に長い伝統を持つバーボンブランドです。
甘く飲みやすいとともに、後味に軽やかなスパイス感が感じられる、バランスの良い味わいです。
多くのバーで定番として愛されてきたことから、伝統を重視してカクテルを作りたい方に向いています。
画像引用:https://www.suntory.co.jp/whisky/products/0000000071/0000003190.html
ジムビームは、世界的に有名なバーボンブランドであり、バーボンのなかでも日本では広く流通していることから入手しやすいです。
オールド・ファッションドにした場合は、主張しない風味となるため、バーボンの基本的な味わいが引き立ちます。
価格の安さ・入手難易度の低さを含めて、気軽にカクテルを作りたい方におすすめです。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/5060045581365/
オールドクロウは、ジムビームと同様にリーズナブルな価格で購入できるバーボンであり、日本では松田優作が愛したウイスキーとして有名です。
スパイシーさが力強く、原料であるトウモロコシの風味もしっかり感じられるため、オールド・ファッションドに適しています。
オールド・ファッションドのベースとしてコストパフォーマンスの高いウイスキーといえるでしょう。
画像引用:https://www.toko-t.co.jp/products/whisky/koval/
コーヴァル バーボンは、オールド・ファッションドとは対称的に新しいクラフトバーボンのブランドであり、近年では人気を集めています。
シンプルでありながら深みのある甘さとほのかなスパイス感が洗練されており、ベースとなるウイスキーの質にこだわるカクテルでは最適です。
新しいバーボンで昔ながらのカクテルを作る対称的な試みに惹かれる方は、コーヴァルのバーボンウイスキーを購入してみましょう。
オールド・ファッションドのアレンジのバリエーションを以下にまとめました。
上記のアレンジはあくまで一例であり、ほかにもさまざまなアレンジ方法がありますが、具体的なアレンジを見ていきましょう。
オールド・ファッションドに使用する氷を普通の氷ではなく、クラッシュアイスを使用するアレンジがあります。
クラッシュアイスを使用してウイスキーを冷やす飲み方をウイスキーミストと呼びます。
通常よりも氷が溶けやすいことから、ウイスキーの風味がややマイルドになり、砂糖とビターズの甘さ・苦味がより際立つ傾向があります。
よって、一般的なスタイルに比べて、全体的に軽やかで飲みやすい仕上がりとなることが多いです。
氷を変えるだけでもアレンジが可能であるため、気になる方は試してみましょう。
ウイスキーミストなどウイスキーの応用的な飲み方は以下の記事で紹介しています。
【初心者から上級者までおすすめ】ウイスキーの応用的な飲み方6選!
オールド・ファッションドは、バーボンウイスキーをはじめとするアメリカンウイスキーを使用することが基本ですが、スコッチウイスキーを使用するアレンジも可能です。
スコッチ・オールド・ファッションドは、スコッチならではのスモーキーさ、独特な風味と砂糖・ビターズの組み合わせによって、バーボンウイスキーとは異なる味わいに仕上がります。
スコッチに限らず、アイリッシュ、カナディアン、ジャパニーズなど、ほかの種類のウイスキーを使用してもいいでしょう。
ベースとなるウイスキーの影響を受けやすいオールド・ファッションドは、使用するウイスキーを変更することで、大幅なアレンジが可能です。
使用するウイスキーによって使用する砂糖・ビターズの量を調整してもいいでしょう。
ウイスキーを使ったカクテルを幅広く知りたい方は以下の記事もチェックしてください。
ウイスキーを使った簡単なカクテル10選! 作るのに便利な道具を紹介
オールド・ファッションドは、必ずしもウイスキーを使用する必要はなく、ラム・オールド・ファッションドではラム酒を使用します。
ラム酒の特徴である、トロピカルな甘みと豊かなアロマが、ビターズ・砂糖と組み合わさって、上品で温かみのある味わいに仕上がります。
また、オールド・ファッションドのアレンジにはラム酒ではなく、ブランデーを使用するレシピもあるため、幅広い蒸溜酒でアレンジが可能です。
ウイスキー以外のお酒でオールド・ファッションドを作ると、ベースの影響を受けやすいことから、まったく異なる味わいのカクテルに仕上がります。
オールド・ファッションドは、ウイスキー本来の豊かな風味を活かしたシンプルながら深みのあるクラシックカクテルです。
現在ではバーテンダーや愛好家によって様々なアレンジが加えられているため、シンプルながらカスタマイズ性が高いことも魅力となっています。
ベースとなるウイスキーの風味を引き立てる伝統的なカクテルを飲みたい方は、オールド・ファッションドを作ってみましょう。