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- ウイスキー基礎知識
スペイサイドはウイスキーの聖地とも呼ばれる地域であり、スコットランドの中でも多くの蒸留所が密集しています。
スペイサイドではブレンデッドウイスキーの原酒も含めた多くのモルトウイスキーが生産されているのが特徴です。
また、スペイサイドモルトはスぺイ川周辺がウイスキーの生産に適した地域であることから、スコッチを代表する銘柄が数多く揃っています。
この記事ではスペイサイドモルトの特徴と8つの地区の分類について解説し、おすすめの銘柄も紹介します。
この記事のポイント
スペイサイドはハイランド地方の一部であり、ハイランド地方のスぺイ川周辺にある蒸留所で製造されるモルトウイスキーをスペイサイドモルトと呼びます。
スコットランドにおける地域別の銘柄の分類としては、スペイサイドには50以上の蒸留所が密集しているため、ハイランド地方の中でもスぺイ川周辺の地域をスペイサイド、スペイサイド以外の地域をハイランドと分類するのが一般的です。
スペイサイドモルトは優雅な香りと果実の繊細な味わいが特徴であり、ウイスキー初心者でも飲みやすく世界的に評価が高い銘柄が数多く存在します。
スコットランドのアイラ島で製造されるモルトウイスキーはスコッチウイスキー特有のスモーキーな香りが強く、クセの強いウイスキーが生産されており、同じスコッチウイスキーでもスペイサイドとは対照的です。
ウイスキーの特徴は蒸留所の地域に左右されやすく、スペイサイドは初心者向けで飲みやすいモルトウイスキーが揃っています。
スコットランドの蒸留所エリアは大きく分けて、スペイサイド、ハイランド、アイラ、ローランド、キャンベルタウン、アイランズの6つの分類されますが、スペイサイドの中でも蒸留所の場所によって8つの地区に分類されています。
8つの地区と代表的な蒸留所を下記の表にまとめました。
地区 | 蒸留所 |
フォレス | ベンロマック |
エルギン | ベンリアック、ロングモーン、グレンロッシー、グレンマレイ |
ローゼス | グレングラント、グレンロセス |
キース | オルトモア、オスロスク、グレントファース、ストラスアイラ |
スぺイ川中・下流域 | マッカラン、グレンファークラス、ベンリネス、クライゲラキ |
バッキ― | インチガワ― |
ダフタウン | グレンフィディック、バルウェニー、アルタベーン、ダフタウン |
リベット | ザ・グレンリベット、プレイヴァル |
スペイサイドの中でもスぺイ川中・下流域やエルギン地区には蒸留所が集中しており、反対にフォレス地区やバッキ―地区にはほとんど蒸留所がありません。
また、グレンフィディック蒸留所とバルヴェニー蒸留所のように同じ地域に姉妹蒸留所を構えている場合もあります。
スペイサイドの蒸留所について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
スコッチウイスキーの本場スペイサイドの魅力と代表的な蒸留所のご紹介
ここからはスペイサイドモルトでおすすめの銘柄を10個紹介します。
ザ・グレンリベットはスペイサイドを代表するモルトウイスキーの1つであり、世界的に評価が高いスコッチウイスキーです。
名前は「リベット谷」を意味しており、ザ・グレンリベット蒸留所があるリベット地区はスぺイ川につながるリベット川の周辺地域のことであり、リベット川の谷に設立したことが由来となっています。
柑橘系のフルーティーな香りに、ハチミツの甘みが広がるウイスキー初心者も飲みやすいウイスキーです。
ザ・グレンリベットについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
シングルモルトウイスキーのザ・グレンリベットとは?種類も紹介!
マッカランはシングルモルトのロールスロイスとも呼ばれる、スペイサイドを代表する高級ウイスキーです。
スペイサイドの中でも蒸留所が密集するスぺイ川中・下流域においても規模の大きい蒸留所であり、製法に非常にこだわりを持っています。
高級感を感じる華やかな香りに、現在では数を減らしているシェリー樽による熟成が甘みをもたらしてくれる完成度の高い銘柄です。
マッカランについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ザ・マッカランは種類豊富なウイスキー!味とおすすめの飲み方は?
グレンフィディックは初めて発売されたシングルモルトであり、最古のシングルモルトとしてスペイサイドの中でも知名度が高いウイスキーです。
ダフタウン地区を代表する蒸留所として、姉妹蒸留所のバルヴェ二―蒸留所とキニンヴィ蒸留所と共に同じ地域に蒸留所を構えています。
洋ナシやレモンの爽やかな香りが特徴であり、上品な甘みを感じることができます。
グレンフィディックについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
グレンフィディックウイスキーの種類やおすすめの飲み方についてご紹介
ベンリアックはスペイサイドのシングルモルトでは珍しい、スモーキーな香りが特徴の原酒を生産しています。
エルギン地区でロングモーン蒸留所に隣接するように設立されたのがベンリアック蒸留所です。ベンリアックの「ベン」はゲール語で「山」という意味ですが、近くに山はないので由来は不明になります。
ベンリアックは上品な香りが特徴のウイスキーとスコッチウイスキー特有のスモーキーな香りがするウイスキーを生産していますが、共通して果実の甘みが感じることができます。
グレングラントは主にイタリアで大きくシェアを伸ばしているシングルモルトであり、ヨーロッパでは代表的なスペイサイドのウイスキーです。
スペイサイドの街「ローゼス」は古くからウイスキー作りが盛んな街として知られており、1つの街に蒸留所が密集しています。
リンゴとレモンピールの香りにアルコールによる刺激が感じられ、マスカットの爽やかな味わいが堪能できるのが特徴です。
グレンロセスは基本的にはカティサークやフェイマスグラウスなどのブレンデッドウイスキーの原酒として生産されるモルト原酒です。
グレングラント蒸留所を始めとするローゼス地区に蒸留所を構えており、他にもグレンスぺイ蒸留所、スぺイバーン蒸留所、キャパドニック蒸留所などの蒸留所がこの街に密集しています。
シングルモルトはバニラやヨーグルトのような乳製品の香りに、バタースコッチやレーズンの甘みを味わえます。
グレンファークラスはサッチャー首相が愛飲したウイスキーとしても知られています。
マッカランを始めとする多くの蒸留所が存在するスペイ川中・下流域に蒸留所を構えており、シェリー樽熟成によるクオリティの高いウイスキーを生産しているのが特徴です。
モルトウイスキーの原料である麦の旨味を感じやすく、アーモンドとナッツの香ばしさにシェリー樽由来の甘さが感じられるバランスのいいウイスキーになります。
オルトモアはデュワーズ、ジョニウォーカーのモルト原酒として使われていますが、シングルモルトとしても完成度の高い銘柄です。
キース地区のオーヒンデラン川の近辺に建てられたことから、ゲール語で「大きな小川」という意味のオルトモアと名付けられました。
バタークッキーのような甘い香りに、べっこう飴のような苦味がともなう甘みとオレンジピールの酸味が感じられます。
インチガワ―はシングルモルトとして販売されるのは生産されたウイスキーの1%程度しかありませんが、シングルモルトの「花と動物シリーズ」はスペイサイドウイスキーの中でも知る人ぞ知る評価の高い銘柄です。
インチガワ―蒸留所のあるバッキ―地区は他のスペイサイドの蒸留所と離れた場所に位置しており、海沿いにあります。
よって、アイラやアイランズのウイスキーの特徴であるスパイシーな潮気を感じられ、その上でスペイサイドらしい甘い味わいが堪能できます。
ベンロマックはボトラーズ(独立瓶詰業者)のゴードン・マクファイル社がオーナーのウイスキーです。
スペイサイドの北西にあるフォレス町に蒸留所があり、スコットランドの蒸留所の中でも最小の規模になります。
しかし、ワールド・ウイスキー・アワード2018では金賞を受賞する実績のあるウイスキーであり、果実やチョコレートの香りの中にスモーキーな香りも感じることができます。
スペイサイドのモルトウイスキーは果実由来の香りと甘みが特徴のウイスキーが多いですが、蒸留所によってさまざまな個性を持っています。
果実の甘みが感じられるウイスキーが好きな方は、同じスペイサイドモルトでも飲み比べることで、自分に合ったウイスキーを見つけられるかもしれません。