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- ウイスキー基礎知識
今や日本の国産ウイスキーも世界五大ウイスキーのひとつに数えられるほどになりました。品質が良いうえに、他にはない繊細かつ複雑な味わいが、世界中から高く評価されています。
それゆえに、原酒が不足し、入手が難しい銘柄も出ているのが現状です。せっかく日本人の味覚に合わせてつくられているのに、日本人が国産の高級ウイスキーを飲めないのは、もったいないと言わざるを得ません。そこで、この記事では、一度は飲んでみたい国産の高級ウイスキーについて解説します。
この記事のポイント
高級ウイスキーという言葉は一般的によく使われていますが、実はそれを定義するものは何もありません。高い値段で売られているものが高級なのか、本数限定で販売されているものが高級なのか、熟成年数が長いものが高級なのかは、人によって判断が分かれます。
基準がとても曖昧なので、贈る側が高級だと思っていても、受け取る側が高級だと思わない可能性もあるわけです。高級ウイスキーを飲みたい、贈りたいという場合、どれを選べばよいか迷ってしまうのも無理はありません。
しかし、他人への贈り物にする場合などは、ある程度基準となるものが必要でしょう。その基準としておすすめできるのは、ウイスキーファンの共通認識です。たとえば、シングルモルトウイスキーなら、ノンエイジよりもエイジドを選んでおいた方が無難といえます。
熟成年数が10年程度の比較的短いものでも、高級ウイスキーとして喜んでもらえる銘柄が数多くあるからです。高級ウイスキーだと多くの人から判断される銘柄は、世界中のウイスキーファンが、香りや味わいなどを高く評価しています。そのことがその銘柄の価値を高めているといっても過言ではありません。
そのような意味では、世界的な権威ともいえるような酒類のコンペティションで、高く評価されるようになった日本の国産ウイスキーは注目株といってよいでしょう。
中でもISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)、SWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)、IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)は世界三大酒類コンペティションと呼ばれています。
ブラインドテイスティングによる審査で評価されるため、真の実力がないと受賞はできません。そのような賞の常連となっているジャパニーズウイスキーは、年々価値が高まり、高級ウイスキーと認識される銘柄も増えています。
多くのウイスキーファンから高級ウイスキーであると評価される銘柄には、やはり人を惹きつけるだけの魅力があるはずです。とくに、急激に評価を高めてきた日本の国産ウイスキーに共通している魅力は何かと考えてみると、ウイスキーメーカーの間で、お互いに原酒の売買をしていないという点に行き着きます。
海外では他社の蒸留所との間で原酒の売買を行い、ヴァッティング、ブレンドして売っている例が少なくありません。しかし、日本の場合、自社内の蒸留所で多彩な原酒をつくり分け、それらをヴァッティング、ブレンドしています。
つまり、蒸留所ごとの個性がしっかり確立している点が、高級ウイスキーの魅力につながっているわけです。栓を開けて香りをかいだとき、口に含んで口当たりや風味を楽しんだとき、そのウイスキーが生まれた蒸留所のこだわりが感じられるのが、高級ウイスキーならではの魅力なのでしょう。
日本には、蒸留所のこだわりが感じられる高級ウイスキーが数多く存在します。世界的な評価も高く、贈り物としても最適です。今や世界の5大ウイスキーに数えられるジャパニーズウイスキー。その中でも特に高級といえる銘柄を6つ紹介します。
酒類のコンペティションの中でも世界的な権威として知られるISCにおいて、初めて金賞を受賞した日本のウイスキーがこの山崎12年です。ですから、国産のシングルモルトウイスキーの代表格といっても過言ではありません。
サントリーの山崎蒸留所でつくられ、12年以上熟成させた原酒のみでつくるため、原酒不足によって一時生産がストップしたことからも希少価値が高まっています。
山崎について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキー山崎の種類ごとの特徴は?熟成年数によって変わる味わい
高級ウイスキーとして人気の高い山崎シリーズの中でもとくに熟成期間の長い25年ものです。25年以上シェリー樽で熟成させた原酒のみでつくられています。
ドライフルーツのような甘味とイチゴのような甘酸っぱさ、チョコレートやカラメルのほろ苦さ、ナッツの香ばしさ、バターのようなまろやかさ。これらが次々と押し寄せる複雑な味わいはなかなか他では味わえません。入手が難しい逸品でもあります。
モルト原酒とグレーン原酒のいずれも21年以上長期熟成させたものをブレンドしたウイスキーです。サントリーが所有している3つの蒸留所では、それぞれ多彩な原酒をつくっています。
響は山崎蒸留所と白州蒸留所でつくられたモルトウイスキーと、知多蒸留所でつくられたグレーンウイスキーを厳選してブレンドしている最高峰のブレンデッドウイスキーです。ベースはシェリー樽でじっくり熟成された山崎。トロピカルフルーツのような芳醇な香りとスパイス、白檀やヒノキのような香り、深いコクを楽しめます。
40年以上寝かせた原酒だけでつくったニッカの最高傑作ともいえる逸品です。余市蒸留所で1945年につくられた現存最古の原酒と、1969年に宮城峡蒸留所でつくられたいずれも40年以上の熟成期間を持つ原酒をブレンドしています。
2014年9月に700本の数量限定で販売されたもので、状態のよいものを入手するのはかなり難しいかもしれません。完熟した果実の濃厚なまろやかさと深いコクは、熟成期間の長さを感じさせるものです。
埼玉県の小さな蒸留所「ベンチャーウイスキー」がつくっているウイスキーです。発売するたびにすぐに完売してしまうため、希少価値の高さは、大手メーカーのプレミアムウイスキーに引けを取りません。原酒をミズナラ樽で熟成させているので、ウッディな香りが強めです。
世界的な酒類のコンペティションの1つWWAでは、2007年以降5年連続でカテゴリー日本一に輝きました。強いクセがなく飲みやすいので、好き嫌いが分かれにくいことも贈り物に向きです。食事の邪魔になりにくいクセのなさでありながら、しっかりフルーティな甘味やコクがあります。ウイスキー好きからもウイスキー初心者からも好まれる1本です。
宮城県にあるニッカウヰスキー宮城峡蒸留所でつくられているブレンデッドウイスキーです。一定期間熟成させたモルト原酒とグレーン原酒をブレンド、加水した後、再貯蔵しています。再貯蔵の後は加水せずにボトル詰めして出荷しているため、アルコール度数は一般的なウイスキーよりも高い51%です。
ISCにおいて2011年~2016年の6年連続で金賞を受賞しています。中でも2015年には、450を超えるウイスキーの中から最高賞のトロフィーを勝ち取った銘柄です。まろやかで滑らかな口当たりと力強い飲み応えの両面を兼ね備えています。香りも味わいも余韻もバランスのよい銘柄です。
世界的な権威のコンペティションで評価されたことがきっかけで高級ウイスキーと呼ばれるようになった銘柄でも、元々は日本人の好みに合うようにつくられたウイスキーです。
他人の評価抜きでも、おいしいと感じられるに違いありません。原材料選びから製法、貯蔵樽にまでとことんこだわった蒸留所の思いをしっかり堪能しましょう。