【現地レポート】スコットランドの国境に建つボーダーズ蒸溜所のウイスキーづくり
- 造り手
- 蒸溜所(海外)
世界的に有名なオックスフォード大学がある街、オックスフォードに位置する「オックスフォード・アーティザン蒸溜所」のウイスキーツアーに参加してきました。
オックスフォード・アーティザン蒸溜所は、6年前の2017年からここでウイスキー造りを始め、いくつもの賞を受賞しているジン、ウイスキーやウォッカを製造販売しておられます。
オックスフォードの土地を活かしたウイスキー造りを徹底しており、また世界で最も持続可能な蒸溜所を目指して活動しておられます。
蒸溜所は広々としており、隣には緑の生い茂る素敵な公園もあり、とても穏やかな雰囲気のする場所でした。
ツアーが始まるまではウェルカムドリンクを頂きながら、蒸溜所の建物内にあるとてもお洒落な雰囲気のBARで休憩をすることができます。
そしてツアーでは、ツアーガイドのSarahさんから熱のこもったご説明を頂きながら、展示されているパネルをみたり、実際に蒸留している工場の中を見学をしたり、テイスティングを楽しんだりと、あっという間の90分でした。
会場・主催 | The Oxford Artisan Distillery |
公式サイト | https://www.theoxfordartisandistillery.com/ |
THE OXFORD ARTISAN DISTILLERY WHISKY TOUR概要 | £40 per person ・90 minutes
私たちのウイスキーの心臓部である特別な伝統穀物について学び、私たちの農業の原則と蒸留へのユニークなアプローチを発見し、私たちのウイスキーを特別なものにしている製造工程をたどっていきます。 |
THE OXFORD ARTISAN DISTILLERY WHISKY TOUR開催日時 | 火曜日~木曜日、日曜日:15時から16時30分 金曜日:18時から19時30分 土曜日:13時30分から15時と17時から18時30分 |
THE OXFORD ARTISAN DISTILLERY TOUR概要 | £20 per person • 60 minutes
受賞歴のあるウォッカ、ジン、ライウイスキーがどのように造られるのか、種から蒸留器、そしてボトルに詰められるまでの全工程をご覧いただけます。 |
THE OXFORD ARTISAN DISTILLERY TOUR開催日時 | 火曜日~木曜日、日曜日:12時から13時、13時30分から14時30分 金曜日:12時から13時、13時30分から14時30分、15時から16時、16時30分から17時30分 土曜日:12時から13時、15時30分から16時30分 |
彼らは、6年前の2017年にゼロからウイスキーやジンなどの製造を始めました。
ここで働く人の平均年齢は20代後半であり、将来の地球環境について興味関心があり、よくこのことについて話し合た結果、彼らは、世界で最も持続可能な蒸溜所になることを宣言しました。
そして現実的にそれらを達成するために蒸溜所としての二酸化炭素排出量のおよそ30%を占めている、穀物を作る段階で二酸化炭素の排出量を減らす様々な取り組みをしています。
彼らの活動をさらに加速させるのが、イギリスの酒造企業であるディアジオのベンチャーキャピタル部門ディスティル・ベンチャーズから投資されていることです。
ディアジオは、世界の有名なお酒のほとんどを所有しているほどの巨大な飲料会社で、有名なスコッチウイスキーも数多く所有しています。
投資をしてもらえたことで、持続可能な蒸溜所であることを証明するための活動やデータを集めることできているそうです。
彼らは蒸溜所があるオックスフォードから60マイル以内の企業から、原料である大麦を調達しています。
オックスフォード近郊で穀物を調達するため、彼らは地図を使い蒸溜所周辺の農家をまずリストアップしました。
そして、60マイル以内で活動している農家の方達に協力してもらい、穀物を調達しています。
また、外部の工場でウイスキーの樽詰めをすると、運搬時に二酸化炭素が排出されてしまいますが、そこも減らすために出来上がったウイスキーの樽詰め作業も、蒸溜所内で行っています。
彼らのウイスキーには、農薬を使わずに栽培された穀物を使用しており、さらに生物多様性を高める新しい方法の研究を考古植物学者であるジョン・レッツ氏と行っているそうです!
ジョン・レッツ氏は、オックスフォード在住の考古植物学者であり、穀物の専門家でもあります。ジョン氏とは、とあるファーマーズ・マーケットで偶然に出会い、後にウイスキー造りの根幹をなす農業の基本を確立するきっかけとなった方だと語っておられました。
ジョン氏は、一つの作物のみを集中的に育てる農業のモノカルチャーは持続可能な方法ではないと考えており、150年以上前に行われていた農業の方法を研究し、穀物の栽培を行っています。
彼らはウイスキーの原料となる穀物を、持続可能で環境に優しい方法で栽培できるよう共に研究し続けています。
彼らの蒸留器は、蒸気のロマン、ヴィクトリア朝のエンジニアリング、古い潜水用ヘルメットと、ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』のイメージからヒントを得てデザインされたものだそうです。
とてもスタイリッシュで、特徴的なデザインでした!
蒸留器の大きさは2,400リットルと500リットルの二つの蒸留器があり、それぞれ940kgと380kgの重さがあります。また高さ5メートルの40プレート銅製蒸留塔2本もついています。
チョコレートや爽やかなスパイスとともに、クリーミーでペストリーのような香りが、この時期にぴったりの黄金色で滑らかな味わい。
エキゾチックなジャラ・レモン、ローズ、ジャスミン、中東やアジアのスパイスなど、17種類のボタニカルを使用して造られている。
味わい深く、ジュニパーを主体にカルダモンとミルラの香りが漂い、フィニッシュはすっきりとしていて、オリスとレモングラスの余韻が残る。
濃厚な松の葉、フレッシュなコリアンダー、アロマティックなカルダモンのタッチが、爽やかなジュニパーとタンジェリンのパルプの上に立ち昇る。
トーストしたペッパーコーンがリードし、ジュニパーを主体としたこのジンでは、ピリッとしたオレンジの果皮の香りが広がる。
Dear WHISKY:
Sarahさんのご経歴を教えていただけますか?
Sarahさん:
私は蒸溜所がオープンした2017年6月から働いています。
最初はウォッカを造っており、その3年後にウイスキー造りを開始いたしました。
そして、初めてウイスキー樽の販売準備ができたのが、ちょうど新型コロナウイルスの影響でロックダウンの最中でした。
ですが、ウイスキーをネットで販売したところ30分以内に全て、完売したことによって、私たちは成功することを確信しました。
Dear WHISKY:
ウイスキーツアーを始めたきっかけは何ですか?
Sarahさん:
ツアーを始めたのはとても早かったです。
持続可能な方法で製造するアルコールに関心のある人は沢山いるだろうと思っていたので、ツアーでお伝えできればいいなと思い、始めました。
実際に、ツアーを開始するとすぐに、多くの方が参加してくれ、とても嬉しく思いました。
Dear WHISKY:
オックスフォード・アーティザン蒸溜所を囲む自然環境の特徴は何ですか?
Sarahさん:
私たちの蒸溜所があるオックスフォードは石灰岩の土壌が多いことが特徴です。この地域は、土が粘土であり、非常に湿った赤土で密度が高く湿っていて重いという特徴があります。
その土地で育った穀物を使っているため、ウイスキーにも特徴が生まれて、異なる風味が得られます。
Dear WHISKY:
オックスフォード・アーティザン蒸溜所のおすすめのウイスキーを教えて下さい!
Sarahさん:
私は、甘いウイスキーが好きだと思っています。
その中でもおすすめは、OXFORD RYE WHISKY PURPLE GRAINのウイスキーです。
このウイスキーは紫色のモスカテルで造られたワインが詰められていた樽で熟成しました。そのためとても甘くて美味しいです!
以上、オックスフォード・アーティザン蒸溜所が開催する「ウイスキーツアー」でした!
気候変動や環境問題は今世界で深刻な問題になっており、その問題に真正面から向き合い、持続可能な方法でこだわりのウイスキーを造るオックスフォード・アーティザン蒸溜所の想いや活動がより多くの方に伝わって欲しいなと感じました!
彼らの蒸溜所があるオックスフォードは、ロンドンから電車で2時間ほどで行ける街ですので、ロンドンを観光の際は足を運んでみてはいかがでしょうか。