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【イベントレポート】アルモリック代表 来日記念イベントを開催しました!

2025.02.16 / 最終更新日:2025.03.24

2024年12月9日(月)に「アルモリック代表 来日記念イベント」を、株式会社都光とDear WHISKYで共同開催しました!

本イベントでは、フランスのウイスキー銘柄「アルモリック」から代表のダヴィッドさんとアンバサダーのポールさんをお招きし、テイスティングセミナー行いました!

本記事では、セミナーやインタビューで語られた「アルモリック」こだわりのウイスキーをご紹介します!イベントに参加された方も、参加できなかった方も、記事を通してアルモリックの魅力をぜひご体感ください!

イベントの概要

イベント名 アルモリック代表 来日記念イベント
会場 BAR FIVE Arrows
(〒160-0023 東京都新宿区西新宿1丁目13-1 今佐ビル 6F)
日時 2024年12月9日(月)
・18:30      開場
・19:00-20:30   セミナー(配信は、セミナーのみ放送)
・20:30-20:50   アフターパーティ
参加費 / 特典 会場チケット:5,000円 (ウェルカムドリンク+セミナー+アフターパーティー+アルモリックミニボトル+ポストカード+ドロップストップ
配信チケット:3,000円 (セミナー中継+テイスティング用ボトルセット)
主催 Dear WHISKY、株式会社都光

アルモリック(ヴァレンギエム蒸溜所)とは

アルモリック(ヴァレンギエム蒸溜所)

アルモリックはフランス初のシングルモルトであり、ブルターニュ地方に建つ「ヴァレンギエム蒸溜所」が生み出す銘柄です。

ワインの印象が強いフランスですが、国内ウイスキー蒸溜所は100箇所を超え、消費量においても実は世界第3位の国。そんな美食の国の彼らがつくるウイスキーは今世界から高く評価されています!

ヴァレンギエム蒸溜所は、1993年にシングルモルトの生産を開始。そのシングルモルトである「アルモリック」は高い品質を誇っており、「アルモリック ダブル・マチュレーション」は、World Whiskies Awards(WWA) 2013にて「ベスト・ヨーロピアン・シングルモルト」を受賞、また「アルモリック メートル・ド・シェ」や「アルモリック 10年」が、別年のWWAで「ベスト・フレンチ・シングルモルト」を受賞しました!

会社名 Distillerie Warenghem(ヴァレンギエム蒸溜所)
創設年 1900
創設者 レオン・ヴァレンギエム
住所 Route de Guingamp, Boutill, 22300 Lannion, France
公式サイト ヴァレンギエム蒸溜所 公式HP
アルモリック 公式HP

セミナー講師のご紹介

ダヴィッド・ルシエさん

アルモリックCEO
会計士のバックグラウンドを持つが、結婚をきっかけにヴァレンギエム蒸溜所に携わる。

ポール・クロックさん

ブランドアンバサダー
ヴァレンギエム蒸溜所、アルモリックウイスキーの魅力を世界に伝えている。

セミナー編

ウェルカムドリンク

アルモリック クラシック

まず会場では、「アルモリック クラシック」のハイボールがウェルカムドリンクとして提供されました!

セミナー開始を待ち望む高揚感に包まれた会場の雰囲気が、モルトのスパイシーな香りとフルーティーな味わいをさらに引き立てていました。

ブルターニュ地方とアルモリック

いよいよセミナーが始まると、代表のダヴィッドさんとアンバサダーのポールさんは、まずは蒸溜所の建つブルターニュ地方の特色について語ります。

ヴァレンギエム蒸溜所が建つブルターニュ地方

アルモリック(ARMORIK)の「AR」は近い、「MOR」は海を意味することも示すように、アルモリックをつくるヴァレンギエム蒸溜所は、英仏海峡と大西洋に突き出た半島であるブルターニュ地方に位置しています。
ブルターニュ地方は、モン・サン・ミシェルがあることで知られていますが、ケルト文化の色濃く残る土地であり、その豊かな自然と歴史、文化も特徴の一つ。

「アルモリックを飲むということは、ブルターニュの自然、歴史、文化を味わうということ」

ポールさんがこう語るように、ヴァレンギエム蒸溜所はブルターニュ地方の土地やモノを大切にしており、「アルモリック」はその想いが香り、味わいに現れた商品となっています。

歴史

創設者であるレオン・ヴァレンギエム氏(写真左)

続いて、ヴァレンギエム蒸溜所の歴史についてです。
ヴァレンギエム蒸溜所は、1900年に薬草リキュールメーカーとしてレオン・ヴァレンギエム氏によって創業されました。その歴史の転換点の一つは、1980年代にデヴィッド氏の義父が蒸溜所に参加したことにあります。当時、経営は厳しい状況にあり、蒸溜所を閉鎖するという選択肢も検討されました。

しかし、ブルターニュ地方がスコットランドやアイルランドと共有するケルト文化を持つことから、新たにウイスキー事業を始めることにしました!

この試みはフランス初のウイスキーであったため、地元の投資家の方などから温かく迎えられ、1987年にはブレンデッドウイスキーを発売開始。1993年には大型のポットスチルを導入して、シングルモルトウイスキーであるアルモリックの生産も開始することができました。
その後、2015年にデヴィッドさんが蒸溜所を引き継ぎ、現在の経営を担っています。

テイスティング

そして、いよいよ待望のテイスティングの時間です。今回はなんと少数生産の希少ボトルを含めたアルモリックシリーズ7種に加え、普段は現地でしか味わうことのできないニューメイクが提供されました!

アルモリック クラッシック

全てフランス産のオーガニック大麦を使用した、バーボンバレル熟成の一本。

穀物由来のスパイスにマンゴーやパッションフルーツのような南国の果実の香り。味わいにはモモやアンズといったフレッシュフルーツやバニラが感じられます。

アルモリック シェリーカスク

全期間オロロソシェリー樽で熟成を行っており、シェリー樽由来のスパイスと砂糖漬けの果実の風味が、アルモリックの原酒の果実感とマッチしています。

シェリー樽の輸入先にもこだわっていて、選び抜かれた樽で5年間熟成させ、深い色と味わいを実現しました。

左:アルモリック クラッシック、右:アルモリック シェリーカスク

アルモリック ダブルマチュレーション

ブルターニュを最も表現した1本。

蒸溜所のシンボルともいえる商品で、地元の製樽業者と共同で開発したブルターニュ産オーク樽を使用。この樽で熟成した原酒をシェリー樽でフィニッシュしています。

アルモリック ユーンエレズ・ジョビック

「アルモリック」のフルーティーなスタイルと差別化するために、「ユーンエレズ」と名付けられました。ピーテッドウイスキーで、スコットランド産の50ppmのヘビリーピーテッド麦芽で仕込んだ原酒を使用しています。

ケルトの伝説も伝わる地である「ユーンエレズ(ユン・エレ)」は、ブルターニュ国立公園にある窪地のことで、ピート採掘場でもあり、実際に19世紀の終わりころにはここでピートも掘られていたといいます!

左:アルモリック ダブルマチュレーション、右:アルモリック ユーンエレズ・ジョビック

アルモリック 10年 2023エディション

総生産量は5,000本という限定品で、世界的な評価も高く、ワールドウイスキーアワード(WWA)では2020年、2022年の二度「ベスト・フレンチ・シングルモルトウイスキー」を受賞しています。

バーボン樽、シェリー樽原酒で構成されており、アルモリックの特徴である南国フルーツの果実感がしっかりと感じられます。

アルモリック 15年 2023エディション

現在味わうことができるフレンチウイスキーの中では最も長い熟成年数を誇り、アルモリックウイスキーの最長熟成レンジです。

総生産量はわずか1,500本。バ―ボン樽で10年熟成させた後に、リフィルシェリー樽、1st-fill アメリカンオークシェリー樽、1st-fill スパニッシュオークオークシェリー樽の3種のシェリー樽に移し替えて追加熟成しています。1993年にウイスキー蒸溜を始めてから30年以上に渡る経験が結実した1本です。

左:アルモリック 10年 2023エディション、右:アルモリック 15年 2023エディション

アルモリック メートル・ド・シェ

「メートル・ド・シェ」はセラーマスター(マスターブレンダー)の意味。

このウイスキーは、ワイン樽から生まれる豊かなアロマに着目した限定品です。かつてフランス最高峰の白ワイン産地とも称された「サヴニエール」の白ワイン樽の力強い果実味を活かしたブレンドになっています。

ニューメイク

日本に出発する前にポットスチルから取ってきたという、とてもフレッシュなニューメイクを特別に提供していただきました!

アルコール度数は63度で、熟成前のスピリッツの味わいを感じることができます!モルトの味わいはもちろんのこと、2種類の酵母を使っていることによるストロベリーのようなとてもフルーティーな香りが楽しめます。

左:アルモリック メートル・ド・シェ、右:ニューメイク

アフターパーティ

セミナーの後には、ダヴィッドさんやポールさんも交えて、参加者の方々同士で交流を楽しめるパーティーを開催しました!

そこでは「アルモリック ダブルマチュレーション」と「アルモリック ユーンエレズ・ジョビック」を使った一夜限りのオリジナルカクテルを提供しました!

以下では、オリジナルカクテルをご紹介します!

オリジナルカクテル一覧

インタビュー編

Dear WHISKYはイベントに際して、代表のダヴィッドさんとアンバサダーのポールさんへインタビューも行いました!

ヴァレンギエム蒸溜所との出会い

蒸溜所に入った経緯を語る

Dear WHISKY:
ウイスキー業界へ入った経緯を教えてください。

ダヴィッドさん:
結婚がきっかけでした。妻のお父さんがヴァレンギエム蒸溜所を保有しており、ある日声をかけてもらい、2009年より蒸溜所で働き始めました。前職は会計士と全く違った仕事だったので、結婚当初は蒸溜所で働くというのは夢にも思いませんでした。

Dear WHISKY:
会計士の頃の経験が今のお仕事に活きていると感じる場面はありますか?

ダヴィッドさん:
そうですね、会計にはもちろん自信があるので、大きなお金が動く蒸溜所の貯蔵庫内の資産や先行投資などをコントロールするのにとても役立っていると思います。

Dear WHISKY:
ポールさんは、ウイスキー業界へどのようにして入ったのですか?

ポールさん:
学生時代からお酒を飲むことがとても好きでした。最初はウォッカやジンのような安価な蒸留酒を飲んでいましたが、段々とウイスキーの魅力に引き込まれていきました。

そのため、学校を卒業してすぐ、地元に建ち、その設立背景や理念にも感銘を受けたアルモリックの扉をたたきました。

その時は断られてしまいましたが、「履歴書だけでも」と置いて帰ると、2~3ヶ月後にダヴィッド本人から電話があり、今の役職を与えられました。旅行とウイスキー、そしてブルターニュが大好きな私にとってはとても嬉しい仕事です。

Dear WHISKY:
ダヴィッドさんご本人がお電話されたんですね!

ダヴィッドさん:
大きな会社ではないので、私もなるべく採用にも関わるようにしています。特にポールが今務めている役職は、元々私が一人で担当していた分野だったので、個人的に見極めたかったのです。今のところは問題なさそうですね(笑)

少人数で経営されているからこそ、強い信頼関係が感じられる

Dear WHISKY:
ダヴィッドさんがウイスキーへ興味を持たれたきっかけを教えてください!

ダヴィッドさん:
正直にいいますと、ビールやワインが大好きなので、蒸溜所に入る前は全くと言っていいほどウイスキーと関わりがありませんでした。しかし、蒸溜所に入り、さまざまな蒸留酒やウイスキーと触れ合う機会が増えました。

一番大きなきっかけとなると、ジム・スワン氏の影響でしょう。

彼はヴァレンギエム蒸溜所で多くの時間を過ごしてくれたので、彼と語り合う中でウイスキーへの愛がどんどん深くなっていきました。加えて、1週間ほどブルックラディ蒸溜所で過ごした際には、ジム・マッキューワン氏ともたくさんお話しさせていただきました。そのような形で、ウイスキー業界の方々との関わりを通して、ウイスキーの魅力にどんどんと気付かされたのです。

ジム・スワン氏 – Jim Swan
ジム・スワン氏(1941-2017)は、ウイスキーの製造工程、特に樽熟成に精通した化学者。蒸溜所のコンサルタントとしても活躍。ウイスキー製造にまつわる深い知識と技術を携え、世界中の蒸溜所の設立や業界の復活を支えた。
ジム・マッキューワン氏 – Jim McEwan
ジム・マッキューワン氏は、ボウモア蒸溜所でマネージャーを務め、その後ブルックラディ蒸溜所で15年間に渡ってマスター・ディスティラーを務めるなど、ウイスキー業界に多大な功績を残している。アイラ島で一番新しい蒸溜所として2018年に開業したアードナッホー蒸溜所の立ち上げにも携わった。

ジム・スワン氏との出会い

ジム・スワン氏(引用:WHISKY Magazine – The Science of Flavour

Dear WHISKY:
ジム・スワン氏との出会いについて教えてください!

ダヴィッドさん:
2010年ごろに蒸溜所を引き継いだのですが、その頃は「全てがスムーズに行えるように」という義父の計らいで、ヴァレンギエム蒸溜所ではさまざまな確認や投資が行われていました。その一環で、ウイスキーづくりの見直しを行おうとした義父がたどり着いたのが、ジム・スワン氏でした。

2010年から2012年までの3年間、2015年と、数年に渡り製造に関わっていただきました。

その後もヴァレンギエム蒸溜所に携わってもらう予定があったのですが、その数ヶ月前に帰らぬ人となってしまいました。

Dear WHISKY:
ジム・スワン氏が参画されてから、どのような変化がありましたか?

ダヴィッドさん:
ジム・スワン氏と出会ってから、ウイスキーづくりのほぼ全てを見直しました。なかでも大きく変わったのが樽の管理や選定です。樽への投資を増やすように助言され、STR樽や実験的な樽などさまざまな熟成用空き樽を試すようになりました。ジム・スワン氏は長年の経験から得た、ウイスキーの理想と現実の差などを通して、こだわるべきところと、そうでないところをはっきりと分けて、本当に重要なことを教えてくださいました。

STR樽
ジム・スワン氏が考案した新しい赤ワイン樽のこと。
シェービング(Shaving)、トースティング(Toasting)、リチャーリング(Re-Charring)という3工程の頭文字から名付けられた。ワインに直接触れていた層を削り、その下の層にトーストとチャーを施すという珍しい製法から注目が集まっている。

Dear WHISKY:
一番驚いた助言・変化はなんですか?

ダヴィッドさん:
ラインアームの向きでしょうか。ジム・スワン氏がいらっしゃる前は糖化や発酵の工程が完璧とは言えなかったので、ラインアームを上向きに調整し、リフラックスを増やしていました。ジム・スワン氏がきてしばらく経ち、ウォッシュの質も上がったところで、「ラインアームの向きを元に戻そう」とスワン氏から助言がありました。

下向きのラインアームにして蒸留すると、なんともフルーティで自然なクリーミーさのあるニューメイクが出来上がりました。それ以来、我々のラインアームは下向きのままです。

ヴァレンギエム蒸溜所のポットスチル

Dear WHISKY:
ジム・スワン氏が参画した後に蒸溜所に加わったメンバーとして、影響や変化を感じる部分はありますか?

ポールさん:
私が蒸溜所に入った当初のボトルには、ジム・スワン氏のコンサルティング以前の原酒が含まれたものも多く残っていました。それらとスワン氏による変革以降のボトルを比べると、私が口にして感じるだけでなく、多くのお客様も進化を感じてくださっていました!

その頃は、ちょうどマスターブレンダーに現在のエルワン・ルフェーブル氏が就任したばかりの頃だったのですが、クオリティの高まりは多くの方から好評でしたね!

お気に入りのボトル

Dear WHISKY:
お二人のお気に入りのボトルを教えてください!

ポールさん:
私のお気に入りは、「アルモリック DERVENN」シリーズですね。3、5、7、10年物と4種類のリリースだったのですが、地元のオークからつくられたバージンオーク樽で熟成されていて、味わいの進化が感じられる素晴らしいボトルでした。オイリーな舌触りと、特殊な木材が織り成すコーヒーのような香りとピートの香りがマッチした味わいが特徴です。

アルモリック DERVENN 10年

ダヴィッドさん:
私はアルモリック10年が好きですね。アルモリックの一つの中間地点として、とても思い出深く重要な製品です。スコットランドでは最初の10年物のウイスキーをリリースするのに20年かかると言われています。

熟成中の在庫樽や若い原酒を使った資金フローを管理しながら、10年先を見据えなければならないという困難を乗り越え出来上がった「アルモリック10年」には強い思い入れがあります。

Dear WHISKY:
現在のアルモリック10年のレシピは、ジム・スワン氏がいらした後の原酒を使っているということですよね?

ダヴィッドさん:
そうです。当初発売したアルモリック10年はその時の在庫を組み合わせてできたものだったのですが、今年からは100%ジム・スワンの影響を受けた原酒のみを使用したレシピとなっています。そういった意味でも、全ての10年のボトルにエディション年号を採用しています。

ジム・スワン氏は蒸留までの工程に特に着目してアドバイスをくれていたので、彼のフォーカスは最高のニューメイクをつくることにありました。

その中で、「10年以降も良いウイスキーをつくるには良い樽を使わなければならない」とさまざまな樽を使用し始めたので、レシピの考案など直接的ではないにしろ彼の影響を強く受けたウイスキーを現在リリースできています。

ジム・スワン氏と樽熟成

ジム・スワン氏の助言が活きる樽熟成

Dear WHISKY:
やはり樽の重要性に早くから着目し、新たな可能性を求めていたのがジム・スワン氏だったんですね!

ポールさん:
そうですね。実際、我々の熟成庫内の一角はジム・スワン氏考案の実験的な樽のみで埋まっているエリアがあるくらい、マスターブレンダーとダヴィッドがスワン氏の意思を継ぎ、さまざまな実験を続けています。

ダヴィッドさん:
いまでもバーボン樽とシェリー樽は継続的に仕入れており、値段の高騰などを受け苦しい時期が続いていますが、一つの伝統として稀有な味わいを守り続けるためにも、使い続けなくてはいけないと考えています。その上でジム・スワン氏のおかげもあり、ニューメイクととても相性がよく欲しい味わいが生み出せる、STRカスクの使用もだんだんと増やしています。

Dear WHISKY:
そのような実験的な樽の中で、特に印象的なものはありますか?

ポールさん:
皆さんはあまりご存知でないお酒だとは思いますが、「シュシェン」と呼ばれるブルターニュ地方の伝統的な蜂蜜酒があり、我々は世界で一番大きなシュシェンメーカーの一つです。シュシェンは樽熟成をすることもあるお酒なので、その製造過程で使用した中古樽を使用するウイスキーを、何年も前から研究してきました。

その完成品がなんと来年2025年に発売予定です!ウイスキーに甘味だけでなく独特な滑らかさを与えてくれており、とても美味しいです!

ヴァレンギエム蒸溜所でつくられるシュシェン(引用:Le Bretagne Online Shop

Dear WHISKY:
そのような実験的なウイスキーとハウススタイルのような中核を担うウイスキーのバランスは、どのようにしていきたいですか?

ポールさん:
伝統的で王道なウイスキー自体はつくり続けなくてはいけないと考えています。

バーボン樽やシェリー樽熟成のウイスキーは、ビールの醸造所でいうところのエールのようなものだと思うので、そのベースは崩さず、面白いリリースを続けていきたいですね!

ダヴィッドさん:
現在、フレンチウイスキー蒸溜所が増えているため、「スコッチの味わいの再現」や「良いウイスキーをつくるポテンシャルがある」と示すだけではなく、ウイスキーで個性を出すというのが必要不可欠になってきました。

そのため、伝統的なつくりとモダンで実験的なつくりのバランスは、とても大切だと思っています。

ブルターニュ地方でつくられる「ウイスキーブルトン」

ケルト文化の残るブルターニュ地方

Dear WHISKY:
「ウイスキーブルトン」の定義やルールについて教えて下さい!

ダヴィッドさん:
「ウイスキーブルトン」という定義をつくった際、この定義に属する蒸溜所は私たちの他にほとんどありませんでした。そんな中でもスコッチやアイリッシュと違った枠組みを作り、ブルターニュ産ウイスキーの定義を確立させるのが目的でした。原材料や環境の制限などルールは様々ですが、最も重要なのは製造工程の全てを行わなければならないという点です

ビールを買って蒸留するだけでは「ウイスキーブルトン」を名乗れず、麦芽からボトリングまで全てを管理したもののみが正式に認められるのです。

ウイスキーブルトン – Whisky Breton
ブルターニュ産ウイスキーのこと。2015年にIGP(Indicazione Geografica Protetta、欧州連合(EU)が定める農産物や食品の商標)に認められた。その製造方法には決まりがあり、ブルターニュ地域の水を使うこと、オーク材の樽を使用すること、アルコール度数が40%以上であることなどが挙げられる。
ヴァレンギエム蒸溜所代表のダヴィッド・ルシエ氏は、ブルトンウイスキー協会の創立者であり、アルモリックは「ウイスキーブルトン」のパイオニア的存在といえる。

Dear WHISKY:
そのルールにはスコッチのように、木材がオークでなくてはいけないというのも含まれますか?

ダヴィッドさん:
そうですね、定義上オークを使用しなくてはいけません。今となっては自社でクーパレッジを持っているので、他の木材を使って実験ができないのは少し残念ではあります(笑)
「ウイスキーブルトン」とは名乗れなくなりますが、将来的には是非、栗の樽なども使いたいと考えています!

日本のウイスキー市場・文化について

Dear WHISKY:
日本のウイスキー市場・文化への印象を教えてください!

ポールさん:
先日「ウイスキーフェスティバル2024 in東京」に参加しましたが、日本の蒸溜所の多さに驚きました!それぞれ違った環境や個性をもった蒸溜所が多く、とても面白いですね。

ウイスキー蒸溜所数において、フランスと日本はとても近いので、親近感も湧いてきます。

ダヴィッドさん:
飲み手の方々も含め、ウイスキー業界の成熟度や理解の深さには驚かされます。

ショップやバーの素晴らしいウイスキーコレクションもそうですが、イベントに参加した際に消費者の方々からいただく質問などもとても専門的で、今まで質問されたことのない角度からの話もよく聞かれる印象です。

Dear WHISKY:
そういった熱量の高い飲み手の数が、他の国と比較しても多いということでしょうか?

ダヴィッドさん:
ウイスキー愛好家やオタクのような人々は、世界中にいる印象ですね。しかし、フランスでバーに行くと、並んでいるボトルのほとんどがジンやウォッカもしくはテキーラで、ウイスキーは端の方に少ししかありません。

日本ではそれが全く逆ですね。ウイスキーが王様なのだなと感じます!

ポールさん:
ウイスキーがとても身近な物になっているのだなと思いますね。フレッシュな飲み物を飲みたい時にジントニック一択だったのですが、以前京都に行った際にハイボールに出会い、今ではハイボールに変わりました。ウイスキーももちろんですが、焼酎、とくに蕎麦焼酎のソーダ割りも大好きです!

Dear WHISKY:
そういった日本のウイスキー文化を踏まえると、どのアルモリックウイスキーが日本で人気になるとお考えですか?

ダヴィッドさん:
我々のウイスキーは一貫して、とてもまろやかでクリーミーな口当たりが特徴なので、日本の方々の口に合うのではないかと考えています。

ポールさん:
ハイボールとなると、やはりフレッシュでモルト感溢れるものが合うと思うので、「アルモリック クラシック」は相性抜群でしょう!

ピーテッドウイスキーの中でもモルティな味わいが強い「アルモリック ユーンエレズ」もおすすめです。

アルモリック ユーンエレズ

Dear WHISKY:
今後のフレンチウイスキーはどのように発展していくと思いますか?

ダヴィッドさん:
ここ数年で設立された蒸溜所も多いので、まだ何ともいえませんが、フレンチウイスキーの将来は明るいと思います!

フランスのウイスキー消費量は世界トップクラスなので、需要自体は安定的に期待できます。その需要を取り込み、これからどんどんと面白くなっていくマーケットだと思いますね。

Dear WHISKY:
ヴァレンギエム蒸溜所・アルモリックの今後の展望を教えてください!

ポールさん:
フレンチウイスキー市場だけでなく、輸出マーケットもしっかりと確保しつつ、世界中で愛されるウイスキーブランドにしていきたいですね。

その中で、重要になってくるのが「革新」です。

ベースとなる伝統的なつくりを守りながら、先ほどもお話したシュシェンカスクのように、革新的なものもつくっていきます。特徴的なリリースなどを通して、我々のことだけでなくブルターニュ地方全体の魅力を知っていただけたら嬉しいです!

DearWHISKY読者へメッセージ

最後に

以上、株式会社都光とDear WHISKYが共同開催した「アルモリック代表 来日記念イベント」のイベントレポートでした。

また、Dear WHISKYでは今後もこのようなイベントを開催していきます!皆様のご参加をお待ちしております!

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