【イベントレポート】ザ・マッカラン 200周年記念エキシビション オープニングパーティー
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2024年9月20日、TOKYO Whisky Libraryにて長濱蒸溜所チーフブレンダー屋久佑輔氏によるセミナーが開催されました!
日本最小規模のクラフトディスティラリーながら、世界中から人気を集める長濱蒸溜所のウイスキー6種のティスティングとともに、チーフブレンダーである屋久佑輔氏が長濱ウイスキーの魅力を存分に紹介してくださいました!
今回のセミナーでは長濱蒸溜所のINAZUMAブレンデッドシリーズ初となる、海外蒸溜所との原酒交換にて生み出された、「アルモリック×長濱蒸溜所 ブレンデッドモルトINAZUMA(イナズマ)シナジーブレンド」2種(2024年10月1日発売開始)が紹介されました!
フランス初のシングルモルトをリリースした蒸溜所として世界的にも著名なヴァレンギエム蒸溜所との原酒交換によってつくられた、シナジーブレンド スタイル ジャパニーズとシナジーブレンド スタイル クリームブリュレについても詳しくご紹介しております。
長濱蒸溜所の全貌や屋久さんについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事をご覧ください!
(取材日:2024年9月20日)
滋賀県長浜市にある長濱蒸溜所は、親会社である長濱浪漫ビール社の20周年を記念し2016年11月にウイスキーづくりを始動したクラフト蒸溜所です。
1バッチ1樽という少量生産ながら、その1樽にすべての情熱を注ぎ込む「一醸一樽」をフィロソフィーとして掲げ、100年後も多くの人に愛されるウイスキーを目指す、日本最少級の蒸溜所です。恵まれた自然環境と水を活かしつつ、樽や熟成庫の所在にまでバリエーションを持たせウイスキーに唯一無二のキャラクターを与える長濱蒸溜所は、個性的なリリースの数々で人気を集めています。
蒸溜所名 | 長濱蒸溜所 |
創業 | 2016年 |
設立者 | 伊藤 啓 |
所在地 | 〒526-0056 滋賀県長浜市朝日町14-1 |
公式HP | HPはこちらから! |
9月20日、TOKYO Whisky Libraryを会場に長濱蒸溜所のチーフブレンダーである屋久佑輔さんが講師を務め、長濱蒸溜所のコアレンジに加えシングルモルト、そして10月1日より限定販売が開始するINAZUMAシナジーブレンドなど計6種類のウイスキーと共にテイスティングセミナーが行われました。
本イベントはセミナーを通しての長濱蒸溜所のご紹介に始まり、実際にテイスティングを行いながら造り手である屋久さんのお話を聞くことのできるとても貴重な機会となりました。
セミナー名 | 長濱蒸溜所チーフブレンダーによるセミナー |
開催場所 | TOKYO Whisky Library |
主催 | 株式会社都光 |
セミナーイベント会場であったTOKYO Whisky Libraryは、その名の通り日本でも有数のウイスキーセレクションを誇るバーラウンジです。
重厚な雰囲気と高級感のある内装のなか、ウイスキーボトルがまさに図書館の本棚のように並べられたTOKYO Whisky Libraryでは、世界中のウイスキーをはじめジャパニーズウイスキーのさまざまな限定ボトルなど、ウイスキー愛好家にとって夢のような空間となっております。加えて、世界的にも有名なバーテンダーである金子道人氏監修のカクテルの数々も楽しむことができ、ウイスキー初心者の方々にとっても魅力あふれるバーです。
店名 | TOKYO Whisky Library |
住所 | 東京都港区南青山5-5-24 南青山サンタキアラ協会2階 |
アクセス | 東京メトロ 銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」 B3より徒歩1分 |
営業時間 | LUNCH:12:00〜15:00(L.O 14:00) DINNER:17:30〜23:00(L.O 22:30) |
公式HP | HPはこちらから |
セミナーを開始するにあたり、屋久さんのバックグラウンドやウイスキーに興味を持たれた理由、長濱蒸溜所へ入社することにになった経緯などを自己紹介という形で屋久さん自身がお話ししてくださいました。屋久さん自身のご経歴や蒸溜所での体験などについてご興味のある方は、よりクローズアップしてご紹介したインタビュー記事を、ぜひ併せてお読み下さい!
屋久さん:
長濱浪漫ビールは日本のクラフトビール最盛期、1996年に近畿地方で3番目にクラフトビール製造を開始しました。現在でも、時の流れと共に磨き上げた定番商品のビール3種を筆頭に、併設されたレストランではさまざまな料理とのペアリングをお楽しみいただけます。そんなビールづくりの20周年記念事業として新たなことにチャレンジしようと始まったのが、このウイスキー蒸溜所となっております。
これらの長濱蒸溜所設立の経緯に加え、蒸留設備やウイスキーづくりに関しては、現地レポートにて詳しくご紹介させていただいております。長濱蒸溜所のユニークな取り組みやこだわりのウイスキー製造についてはそちらをご覧ください!
テイスティングとウイスキーの紹介の前に、長濱蒸溜所が今回INAZUMAシリーズを通してコラボしたアルモリックについてご紹介いたします!
今回原酒交換に使用されたアルモリックとは、フランスのブルターニュ地方にあるヴァレンギエム蒸溜所が販売するシングルモルトウイスキーのブランド名です。
ヴァレンギエム蒸溜所は当初、薬草リキュールメーカーとして1900年に創業され、1998年に初のフランス産シングルモルトウイスキーを発売し話題を集めました。2013年には「ベストヨーロピアンシングルモルト」を受賞したほどのこのウイスキーの背景には、伝説のウイスキーエキスパート、ジム・スワン博士がサポートに入っていたという経緯があります。大麦はほとんどフランス産を(うち30%はブルターニュ産)、水と樽に関しては完璧に地元ブルターニュ産にこだわっており、有機認証を受けたオーガニックウイスキーなども発売する地元と伝統に根ざした蒸溜所です。
蒸溜所名 | ヴァレンギエム蒸溜所 |
創業 | 1900年 |
設立者 | レオン・ヴァレンギエム |
所在地 | Route de Guingamp, Boutill, 22300 Lannion, France |
公式HP | HPはこちらから! |
今回のINAZUMA シリーズは、ヴァレンギエム蒸溜所のアルモリックブランドアンバサダーであるポール・クロック氏が来日し、長濱蒸溜所にてブレンディングを行うことで実現しました。
アルモリックのなかでも、特にヴァレンギエム蒸溜所の色が強く感じられるフランス産有機麦芽を100%使用したオーガニックウイスキーを原酒として使用しており、そこに長濱蒸溜所のモルト原酒のみを掛け合わせて作り上げられた2種類のブレンデッドモルトウイスキーとなっております。
今回のイベントでは、AMAHAGAN3種、長濱シングルモルト1種、INAZUMAシナジーブレンド2種の計6種類のウイスキーが振る舞われました。
長濱蒸溜所、定番商品AMAHAGANの第一弾として2018年より発売されているウイスキーです。海外のモルト原酒をベースに長濱蒸溜所の原酒とともにつくられたワールドモルトウイスキーであり、世界中のさまざまなアワードにおいて表彰されています。発売当初より、バッチごとの味わいを均一に保ちつつ海外原酒の割合や種類などを細かにアップデートすることで進化を続けているウイスキーです。
モルトの豊かな甘さと、コクのあるフィニッシュをノンチルフィルター・ノンカラーでボトリングした、長濱蒸溜所を代表する一本です。
品名 | AMAHAGAN Edition No.1 |
アルコール度数 | 47度 |
容量 | 700ml |
AMAHAGANシリーズ第3弾として発売されたこのボトルは、ミズナラ樽でフィニッシュした香り高いリリースとなっています。
ベースの原酒はAMAHAGAN Edition No.1を使用しており、その原酒をミズナラ樽で後熟させることで複雑な香りを纏ったウイスキーです。
AMAHAGANらしいモルティな味わいの中に、香木のような香りやコクのある甘味が足された味わい深いウイスキーです。
品名 | AMAHAGAN Edition No.3 ミズナラウッドフィニッシュ |
アルコール度数 | 47度 |
容量 | 700ml |
シリーズ第4弾のこちらはボトルの雰囲気も変わり、日本らしさを押し出したウイスキーとなっています。Edition No.3と同じくEdition No.1をベースに山桜樽にて後熟を行った雅やかな味わいが特徴です。
山桜樽の中でも珍しく、鏡板だけでなく樽全てが熊本県産の山桜材によってつくられた樽にてフィニッシュされているため、桜餅や梅などを思わせる「和」のテイストが力強く華やかなエディションです。
品名 | AMAHAGAN Edition 山桜 山桜ウッドフィニッシュ |
アルコール度数 | 47度 |
容量 | 700ml |
2022年に発売開始した長濱蒸溜所のシングルモルトレンジの3バッチ目となるこのリリースの特徴は、スモーキーな香りと4種の異なる樽を使った原酒をヴァッティングしたことにより生まれた複雑なニュアンスです。
2019年蒸留のバーボンバレルを筆頭に、アイラクォーター樽、2020年蒸留のミズナラ樽、KOVALウイスキー樽の4種で熟成された原酒をヴァッティングしてつくられています。
バーボン樽にて熟成されたピート原酒とアイラクォーター樽熟成の原酒という、異なるピート感が織りなす重厚なスモーク香がミズナラ樽とKOVAL蒸溜所にて使用された樽の華やかな香りによって引き立てられています。
品名 | シングルモルト長濱 THE THIRD BATCH |
アルコール度数 | 50度 |
容量 | 500ml |
クリームブリュレのレシピは、アルモリックブランドアンバサダーのポールさんが手がけており、長濱蒸溜所のピート原酒の香ばしさが特徴のウイスキーとなっております。
アルモリック原酒のバランスの取れた甘さと、長濱蒸溜所原酒がもつモルティな香りとスモーク感が合わさり、口の中でスイーツ、まさにクリームブリュレのような濃密な味わいが広がります。長濱原酒由来のオイリーな口当たりが、長く、心地よく広がる余韻を演出しています。
品名 | INAZUMA シナジーブレンド スタイル クリームブリュレ |
アルコール度数 | 50度 |
容量 | 500ml |
スタイル ジャパニーズは、長濱蒸溜所のチーフブレンダーである屋久さんがつくり上げられた「和」の味わいを基調としたウイスキーです。
キーモルトにミズナラ樽原酒を使用したことによる、畳や香木を思わせる豊かで落ち着きのある香りはまさに日本らしさを閉じ込めた一本となっております。
若干のスモーク感が藁のような香ばしさをかもし出しており、アルモリックのバランス感のある酒質が複雑な味わいと香りの調和を実現しています。
品名 | INAZUMA シナジーブレンド スタイル ジャパニーズ |
アルコール度数 | 50度 |
容量 | 500ml |
セミナー後の屋久さんへ、今回のINAZUMA 2種についてやブレンドの様子などについてお伺いしました!
Dear WHISKY:
原酒交換をしてブレンドをつくられる際はどのようにして味わいを決められるのですか?
屋久さん:
いただいた原酒をテイスティングし、こんな長濱原酒が合うだろうなぁという頭の中にあるイメージを、実際にやってみて絞り込んでいく形ですね。つくりたい原酒のターゲットのテーマやコンセプトがあるので、そこからブレることがないようにブレンドしています。
Dear WHISKY:
今回海外の蒸溜所とのコラボレーションによってブレンディングを行われた際に感じた、難しさなどはありましたか?
屋久さん:
特に、海外の蒸溜所だからこその難しさのようなものは感じませんでしたね。
一つの懸念点としてあったのは、テイスティングなどのニュアンスの出し方や、甘さなどの感じ方における感性の差です。
感覚のすり合わせなどに苦戦するかと思ってましたが、実際には大きな問題にはなりませんでした。
Dear WHISKY:
実際にレシピをつくられた際には、アルモリックチームと話し合いながらブレンドされていたのでしょうか?
屋久さん:
今回ポールさんには、実際に蒸溜所へお越しいただいていたので同じ空間でブレンドはしていたのですが、話し合いながらブレンドというより各々チームで作り上げた形になります。
彼らには彼らのつくりを尊重してもらったおかげもあって、それぞれのスタイルに双方の感性が色濃く現れているのかなと思います。
Dear WHISKY:
テイスティングなどについてコミュニケーションをとる中で実際に感じた、海外の方特有の味わいの表現方法や感性はありましたか?
屋久さん:
まさに、クリームブリュレですよ!
デザートに例えるのももちろん、そのなかでもクリームブリュレという言葉が出てくるのが、フランスの文化だったりニュアンスが感じられる独特な感性だなと思いました。
Dear WHISKY:
今回のINAZUMA 2種、どのような形・場面で楽しんでほしいというような思いはありますか?
屋久さん:
みなさんバーであったり自宅であったり、さまざまな形で楽しんでいただけるとは思うのですが、やはり折角のフランスと日本のコラボレーション商品ですので、それぞれスタイル クリームブリュレはフランス産のスイーツなど、スタイル ジャパニーズですと和菓子なんかとペアリングして楽しんでいただけたら面白いのかなと思います。
Dear WHISKY:
屋久さんご自身は、どのような形で飲まれたいですか?
屋久さん:
僕はやっぱり、昔からウイスキーはバーで飲むのが好きなので、ブレンディングの風景に思いを伏せながらゆっくりストレートで味わってみたいなと思いますね。
屋久さん:
本日はみなさんありがとうございました。長濱蒸溜所は体験型のリリースを始め、今後もたくさんのウイスキーをお届けしていきます。
しかし、ビールやウイスキーはもちろんのこと、長濱蒸溜所1番の魅力は併設されたレストランで、近江牛や焼きカレーと一緒にお酒を楽しめることだと思っております。
充実した蒸溜所体験もございますので、ぜひ滋賀県長浜市まで遊びにいらしてください。今後とも長濱蒸溜所をよろしくお願いいたします!
以上が、2024年9月20日に開催された長濱蒸溜所チーフブレンダー屋久氏によるセミナーのレポートでした!
日本最少規模にも関わらず、日本の蒸溜所としては最大級のリリース数・種類を誇る長濱蒸溜所の背景には、幅広いウイスキーの種類とコラボを通して普段ウイスキーを口にしない層にまでウイスキーの魅力を届け、ジャパニーズウイスキー存続へ貢献したいという思いがあります。
今回のINAZUMA シリーズのように、ウイスキーの新たな顔が見えるような魅力的なボトルの数々をぜひご堪能ください!
長濱蒸溜所の現地レポートや、屋久さんへの独占インタビュー記事なども追って公開予定ですので、乞うご期待ください!