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【独占インタビュー】1950年代アメリカを体験できるBar!Maybe Sammyクリエイティブディレクター マーティン・フダックさん

2023.08.15 / 最終更新日:2023.11.25
【独占インタビュー】マーティン・フダック、 クリエイティブディレクター Maybe Sammy / メイビーサミー

キラキラとした店内に、華やかなジャズが流れるBar「Maybe Sammy(メイビーサミー)」。パステルピンクのスーツのスタッフに出迎えられ、エンターテインメント溢れるカクテルとパフォーマンスを楽しむことができます。シドニーの中心地にも関わらず、1950年代のハリウッドやラスベガスに突然迷い込んだかのような気持ちになるMaybe Sammyは、4年連続The World’s 50 Best Barsにも選ばれています。今回は、Maybe Sammyのクリエイティブディレクターである マーティン・フダックさん(Martin Hudak)に独占インタビューを行いました!

併せてお読みください!

Maybe Sammy Bar紹介ページ(近日公開!)

ホテルではないホテルBar Maybe Sammy

ホテルではないホテルバー Maybe Sammy店内

ホテルではないホテルBar Maybe Sammy店内

ホテルではないホテルBar

Dear WHISKY:
Maybe Sammyのコンセプトについて教えてください!

マーティンさん:
ホテルではないホテルBarを目指しています。
五つ星ホテルのBarのようなサービスと、オープンかつモダンなカクテル作り。この二つのアプローチを組み合わせることを意識しています。
私は以前、ロンドの五つ星ホテルBar「The Savoy Hotel」で働いていました。
Maybe Sammyでは、前職で学んだ丁寧な接客ノウハウを活かしつつ、よりオープンなアプローチでサービスをご提供しています。

Dear WHISKY:
ホテルのような洗練された接客と、型にはまらないクリエイティブなカクテルが同時に楽しめるのは、わくわくする体験ですね。

マーティンさん:
また、Barのコンセプトは、50年代と60年代に活躍した歌手であり、パフォーマー、エンターテイナーであるサミー・デイヴィス・Jrにもインスピレーションを得ています。

「Maybe Sammy」名前の由来

サミー・デイヴィス・Jr Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images

サミー・デイヴィス・Jr Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images

Dear WHISKY:
Maybe Sammyという名前も、サミー・デイヴィス・Jrに由来しているのでしょうか?

マーティンさん:
おっしゃる通りです。
サミー・デイヴィス・Jrは、歌手・パフォーマーなど幅広いエンターテインメント活動を行い、フランク・シナトラ、ディーン・マーティンらとも交流がありました。
また、サミー・デイヴィス・Jrは、ラスベガスやカリフォルニア公演で、友人たちとサプライズパフォーマンスを行うことが多々ありました。
ある日、インターネットを見ていると、「今夜はディーン・マーティンが出演していて、もしかしたらサミーやフランクも来るかもしれない(maybe Sammy and maybe Frank are coming too)。」と書かれた看板の写真が目にとまりました。イベントの主催者が「何が起こるかは分からない、どのようなパフォーマンスになるのかはお楽しみ」とゲストに伝えようとしたものでしたが、それがMaybe SammyというBarのアイデアにぴったりでした。

Dear WHISKY:
Maybe Sammyのパフォーマンスは、事前に内容が決まっているわけではなく、実際に訪れないと分からないものなのですね。

マーティンさん:
私たちのBarでは、同じものは何一つとしてありません。
予想を超えたパフォーマンスとエンターテインメントで、常にお客様を驚かせます。
同じBarであっても、別の日に訪れると、前とは異なるバーテンダーや異なるお客様、異なるパフォーマンスで、全く新しい体験を味わうことができます。

バーテンダーによるパフォーマンス

バーテンダーによるパフォーマンス

シドニーという場所

新たな場所での挑戦

Dear WHISKY:
以前働いていたロンドンや、インスピレーションを受けたアメリカではなく、なぜシドニーにMaybe Sammyをオープンしたのですか?

マーティンさん:
もともと、世界中を旅することが好きでした。
4年間住んでいたロンドンでは、働いていたBarが世界のBarトップ50に選ばれたほか、World Coffee in Good Spirits Champion(※)に選ばれるなど、多くの成果をあげることができました。
※コーヒーとスピリッツを利用したドリンクを競う大会のチャンピオン
しかし、私が最も大切にしていることは、成長と挑戦です。
「慣れ親しんだ場から離れて、自分自身に挑戦したい。今まで行ったことのないような遠い国で再スタートしたい。」という想いから、オーストラリアに移住することを決めました。

オーストラリアのBar文化

Maybe Sammy 外観

Maybe Sammy 外観

Dear WHISKY:
コーヒーの街シドニーで、Maybe Sammyのコーヒーカクテルは大変な人気と伺っていますが、マーティンさんのご経歴も関係しているのですね。
当時のロンドンとオーストラリアを比較して、Bar文化に違いは見られましたか?

マーティンさん:
当時のオーストラリアには、カクテルBarやホテルBarがヨーロッパほど浸透していなかったため、市場的にも大きな可能性を感じました。
「ホテルBar」という新たなコンセプトを、シドニーにもたらしたいという想いが強く、Maybe Sammyというお店のコンセプトにも反映させました。

Dear WHISKY:
ヨーロッパスタイルのBarをオーストラリアで始めるにあたって、苦労したことはありますか?

マーティンさん:
私のビジネスパートナーはその前からシドニーに在住しており、市場を熟知していましたので、特には思いつきません。Maybe Sammyは、その方とのチームワークで生まれたBarです。
また、シドニーのホスピタリティ業界の結束は強く、お互いに支え合っています
初日から、街の方々に心から歓迎されたと感じられましたし、人が人を助け合うことが、この国の文化として根付いていることに感銘を受けました!

Dear WHISKY:
シドニーのホスピタリティ業界は、地元住民の結束によって支えられているのですね!

マーティンさん:
私たちは、皆で一緒に成長することを、とても大事に考えています。
観光業・飲食業全体としても、海外のお客様に、オーストラリアは訪れる価値のある場所だと示したいという強い想いがあります。
「美しいビーチと太陽の国」といったイメージだけでなく、食事やドリンクでも世界を魅了するため、一致団結して取り組んでいます。

パフォーマンスを交えた、心からのおもてなし

バーテンダーによる「おもてなし」

バーテンダーによる「おもてなし」

「体験」と「おもてなし」

Dear WHISKY:
Maybe Sammyは、温かなサービスが高く評価されていますね。
サービスを提供するにあたって、心がけていることは何でしょうか?

マーティンさん:
Maybe Sammyは、「おもてなし」を最も大切にしています。我々の提供する「おもてなし」は、お客様にとって温かな記憶となるようなものです。
たとえば、Maybe Sammyでは、毎晩パフォーマンスを行っています。パフォーマンスの内容は日によって異なりますが、お客様の「体験」と、やはり「おもてなし」に焦点を当てて構成してます

Dear WHISKY:
パフォーマンスは、バーテンダー自ら行っているのですね。

マーティンさん:
その通りです。我々の考える「おもてなし」には、お客様とより親密な関係を築くことも含まれます。
お客様がBarに訪れる理由は様々ですが、ほとんどの場合、リラックスして楽しみたいと考えていらっしゃいます。
バーテンダーとして、お客様一人一人の雰囲気、場の空気感を読み取り、来てくれた方全員に楽しんでもらうために全力を尽くしています。ダンスや歌といった些細なものでも、バーテンダーとお客様の間にある壁を取り払い、お互いを友人として感じられる環境を創り出せます。
その結果、お客様が、特定のバーテンダーを目当てにバーに訪れて下さるようになり、特別な関係性が生まれるのです。

エンターテイナーなバーテンダー

Dear WHISKY:
バーテンダーは、Maybe Sammyの世界観を創り出す役割も担っているのですね。
バーテンダーを採用する際に、重視していることは何でしょうか?

マーティンさん:
一般的な意味でのバーテンダーではなく、エンターテイナーか否かを、一つの軸としています。
カクテルの作り方は教えることができますが、人を楽しませる方法は教えることができません。
前向きで、仕事を楽しみながら、完璧なサービスとカクテルを提供する意欲のある方を評価しています。

互いに支え合う、多様性あるチームづくり

竹のようなチームを目指して

Maybe Sammy チームメンバー

Maybe Sammy チームメンバー


Dear WHISKY:
クリエイティブディレクターとして、バーテンダーチームと、どのような関係性を築きたいと考えていますか?

マーティンさん:
例えるならば、竹のような組織づくりを目指しています。
細い枝に分かれた木では、風が吹くとすぐに折れるか倒れてしまいます。一方、竹はとても頑丈で、強い根を持つ直線的な構造をしているため、簡単には倒れません。
私たちは、それぞれ異なる責任を持っていますが、私を含めた創業者が強固な基盤となり、チーム全体で真っ直ぐの方向に成長し、互いに結束し、支え合う関係でいたいと考えています。

Dear WHISKY:
竹のようなチーム作りとは、素敵な表現ですね!

マーティンさん:
また、私はボスではなく、「リーダー」でありたいと願っています。
自ら方針を示し、Maybe Sammyの全体像に関わっていきたいですね。

Dear WHISKY:
Maybe Sammyは、チーム作りにおいて、多様性を重視していると伺いました。
その理由は何でしょうか?

マーティンさん:
私たちは、異なるバックグランドを持つ人々にチャンスを与えることを重視しています。
異なるバックグランドを持つということは、異なるアイデアや価値観、才能を持つということです。
幅広い人材や才能を集めるためにも、多様性は非常に重要です。
現に、我々のチームは、台湾、ヨーロッパ、アメリカ、ラテンアメリカなど、世界各国から集まったメンバーで構成されています。
メンバー間に、良い意味での「違い」が生まれ、我々の繋がりをより強固にしています。

チームメンバーのコメント

サラ・プロイエッティさん(Sarah Proietti)(店舗マネージャー)

サラ・プロイエッティさん(Sarah Proietti)(店舗マネージャー)

サラ・プロイエッティさん(Sarah Proietti)(店舗マネージャー)

Maybe Sammyのチームは皆、情熱と向上心を持って働いています。
インスピレーションに溢れているため、自分に高いゴールを設定しようと自然に思えます。
こうしたMaybe Sammyのポジティブなエネルギーは、メンバーが互いに支えあい、自分の目標を達成するために必要な力を身に着けられる環境を創り出しています。
素晴らしい同僚と一緒に仕事をすることで、職務的にも、私個人的にも、成長していると感じられます。
業界への影響力の高いMaybe Sammyチームの一員であることに感謝しています。
パオロ・マフィエッティさん(Paolo Maffietti)(バーマネージャー)

パオロ・マフィエッティさん(Paolo Maffietti)(バーマネージャー)(上)

パオロ・マフィエッティさん(Paolo Maffietti)(バーマネージャー)(上)

Maybe Sammyは大きな家族です。どんなに忙しく、メンバーが変わったとしても、常に最善を考え、助け合っています。
ボスではなく、「リーダー」がいることは、私たちにとっても重要なことです。その役割を担っているのが、マーティン、ヴィンス、ステファノ(創業者兼共同オーナー)らです。

Maybe Sammyのメニュー

考え抜かれたクリエイティブなメニュー

Maybe Sammy カクテル

Maybe Sammy カクテル

Dear WHISKY:
メニューのテーマについて教えていただけますか?

マーティンさん:
今年の5月5日に新しく導入されたメニュー「Mirage(ミラージュ)」は、自然やイリュージョンからインスピレーションを受けた、画期的なカクテルが多く掲載されています。
各カクテルのコンセプトをより言語化し、AIを使用してアートを作成しました。
その結果、Mirage(ミラージュ)には、誰も見たことのないような景色や地形が、カクテルと一緒に掲載されています。

Dear WHISKY:
まさに、ミラージュ(蜃気楼、幻覚ですね!
店名からメニューまで、徹底的にこだわり抜かれたコンセプトづくりがとても魅力的です。

マーティンさん:
その前のメニュー「Stardust(スターダスト)※」のコンセプトは、1950年代から1980年代にかけての様々な分野の女性アーティストに基づいています。
また、地元のアーティストによるアートワークが掲載されており、味覚だけでなく視覚的にも楽しんでいただけるよう、工夫を施しました。
※オーストラリア 最優秀Barカクテルメニューを2回受賞

おすすめカクテル

Dear WHISKY:
マーティンさんのおすすめのカクテルを教えて下さい。

マーティンさん:
エルヴィス・プレスリーの曲にちなんで名づけられた「Hound Dog(ハウンドドッグ)」というカクテルです。
このカクテルを考案する中で、ルイジアナやメンフィスなどのアメリカの地域、アメリカのブルースやソウルを再現したいと思いました。
そこで、ベースにはアメリカン・ウイスキーを使用し、アメリカ横断旅行で味わう味覚をイメージした組み合わせを考えました。

Dear WHISKY:
アメリカ横断旅行をカクテルで表現するとは、大変興味深いです!
「Hound Dog(ハウンドドッグ)」は、どのような味わいなのでしょうか?

マーティンさん:
バーベキューソースを使用するほか、コーヒーリキュール、アマーロ、レモンジュース、アーモンドシロップを加えてシェイクし、スパイスがトッピングされたポーククラックリング(豚の皮の揚げ物)を添えています。
甘みと酸味、スモーキーさ、うま味が同時に感じられ、個性ある味わいです。

ウイスキーを使ったカクテル

Dear WHISKY:
他にもウイスキーを使ったおすすめカクテルはありますか?

マーティンさん:
Coco Chanel(ココ・シャネル)にインスパイアされたウイスキーカクテルがあります。
こちらには、ペコリーノチーズを蒸溜し、アールグレイティーで香りづけしたヴェルモット(白ワインにハーブやスパイスなどをブレンドしたリキュール)を加えてます。
美しいベルガモットの風味と紅茶の味わいが広がり、わずかなチーズの風味、うま味、塩味、そしてウイスキーの味わいが楽しめます。

おすすめのフードメニュー

Dear WHISKY:
マーティンさんのおすすめのフードメニューを教えてください!

マーティンさん:
Truffle Cheese Toastie(トリュフチーズトースティ)」です。
3種類のチーズとトリュフをトーストし、チーズ感・トリュフの風味が豊かに感じられます一品で、どんなウイスキーカクテルとも完璧に合います。
また、自家製のラズベリービネガーと新鮮な牡蠣も提供しています。
こちらは冷たいマティーニカクテルと最高のマッチングで、とてもおすすめです。

初心者におすすめのウイスキー

Dear WHISKY:
ウイスキーを飲み始めたばかりの方への、おすすめのウイスキーはありますか?

マーティンさん:
飲みやすさという観点では、軽いウイスキーから始めることがおすすめです。
例えば、3回蒸溜のアイリッシュウイスキーや、スペイサイドやローランドのシングルモルトも比較的飲みやすいかと思います。
フルーティーで軽やかな味わいを求めるなら、シェリーカスクのウイスキーもおすすめです。ウイスキーサワーなどの、爽やかなカクテルも良いですね。

Maybe Sammyにかける想い

おもてなしが溢れるMaybe Sammy店内

Dear WHISKY:
オープンから4年、Maybe SammyはThe TOP 50 World Barsに選ばれ続けていますね。
2019年には、Michter(ミクター)による「the Art of Hospitality by Michter(ミクターによるホスピタリティ賞:世界のTop 50Barの中からさらにおもてなしで優れているBarに贈られる賞)」を受賞しています。
これらの受賞の感想を教えて下さい。

マーティンさん:
非常にありがたく、私たちの提供するおもてなしが評価されていることを、誇りに思っています。
素晴らしいカクテル、フードはもちろんですが、スタッフやお客様に楽しいと感じてもらえることが、何よりも大切だと考えています
食べたものはいつかは忘れてしまっても、どんな気持ちを与えられたかは忘れないでしょう。
知名度や忙しさに関わらず、いつでも楽しみ、リラックスした状態で、真摯に仕事に取り組んでいきたいと考えています。

マーティンさんからのメッセージ

マーティン・フダックさん(左)パオロ・マフィエッティさん(右)

マーティン・フダックさん(左)パオロ・マフィエッティさん(右)

Dear WHISKY:
最後に、Dear WHISKYの読者に向けて、メッセージをお願いします!

マーティンさん:
もっと多くの人々にオーストラリアを訪れて、この国で提供するサービスを体験していただき、コミュニティとの繋がりを持ってほしいと思っています。
私たちは非常にフレンドリーで、たくさんのことをシェアしたいと考えています。
ぜひオーストラリアに、そしてMaybe Sammyへ訪れてください!

さいごに

以上、Maybe Sammyのクリエイティブディレクターである マーティン・フダックさん(Martin Hudak)の独占インタビューでした!
ゲスト・従業員の楽しみを一番に考え、こだわり抜かれたコンセプトで国際的にも注目を浴びるMaybe Sammy。なんと、2023年8月3日~31日の間、「マンダリン オリエンタル 東京」(東京都中央区日本橋室町)の「マンダリンバー」にて、Maybe Sammyとのコラボレーションカクテルが提供されるそうです。
皆さんも、この機会をお見逃しなく!
マーティンさん、ありがとうございました!

併せてお読みください!

Maybe Sammy Bar紹介ページ(近日公開!)

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