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【現地レポート】茨城の風土を活かしたウイスキーを追い求める、常陸野の自然と共存する八郷蒸溜所

2024.03.26 / 最終更新日:2024.06.17

八郷蒸溜所は筑波山の麓、古き良き日本の里山のなかにあります。

日本ならではのウイスキーを造っている八郷蒸溜所に今回は伺い、取材をさせていただきましたのでその様子をお伝えします。今回の現地レポートでは、普段では入ることの出来ない蒸溜所の内部の様子や貯蔵庫の様子、木内酒造さんが所有している、日本では珍しい製麦工場にも伺い製麦についてもお話をお聞きしましたのでその模様をお伝えします!

また、木内酒造のウイスキー造りについてや、ジャパニーズウイスキーの今後への想いなども社長の木内様に独占インタビューさせていただいています。こちらもぜひご覧ください!

併せてお読みください!

八郷蒸溜所とは

木内酒造について

木内酒造は1823年に茨城県那珂市で創業し、今年で創業200周年を迎える 歴史ある会社です。地域に根ざしたお酒造りを大切にしており、茨城県産の原材料にこだわりお酒造りをしています。多くの賞を受賞した菊盛(純米酒)や米焼酎木内などを販売し、1996年から発売を開始した常陸野ネストビールは世界の品評会でも度々賞を受賞しており、数多くの商品を世に送り出しています。そして2016年からはウイスキーを造り始め、2020年から八郷蒸溜所にてウイスキー造りを本格始動させました。日本でしか作れないウイスキーを造ると言う想いを込めた、「日の丸ウイスキー」 を販売しています。

八郷蒸溜所とは

八郷蒸溜所は、筑波山の東麓に位置する常陸野の自然に囲まれた蒸溜所です。八郷地区は昼と夜の寒暖差が大きく、良質な水源もあることから酒造りに適した土地となっています。この八郷地区で、地域とのつながりを大切にしたウイスキー造りを行っています。
本格的に始動したのは2020年からと新しい蒸溜所であるものの、八郷蒸溜所が造る「日の丸ウイスキー」はすでに品評会で多くの賞を受賞しています。

木内酒造八郷蒸溜所概要

蒸溜所名 八郷蒸溜所
創業 会社創業:1823年
蒸溜所竣工:2020年
本所所在地 〒315-0151 茨城県石岡市須釜1300-8
蒸溜所公式HP 八郷蒸溜所公式ホームページ

実際に八郷蒸溜所に行ってきました!

蒸溜所までの道のり

茨城県石岡市のJR石岡駅から車で30分ほどの場所に位置する八郷蒸溜所。蒸溜所がある八郷地区は「にほんの里100 選」に選ばれており蒸溜所までの道中、日本古来の田園風景を楽しめます。JR石岡駅から八郷蒸溜所まで行く道の途中にいばらきフラワーパークがあり、そこに併設された蔵のような建物があります。その建物は木内酒造が運営している、とんかつ専門店「蔵+かつ 八郷店」です。ここで使われている豚肉は八郷蒸溜所側の養豚場で飼育されており、飼料にはウイスキー造りの際に生まれる麦芽粕を取り入れています。また下処理の段階で木内酒造の酒蔵で造る大吟醸の米麹につけ込むことで旨味を閉じ込めしっとりとした肉質に仕上がっています。茨城県特有のお食事や、日の丸ウイスキーなどの木内酒造のお酒も楽しめるので、蒸溜所見学の前後にぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

木内酒造が運営するとんかつ店「蔵+かつ 八郷店」

蒸溜所に到着!

八郷蒸溜所は、筑波山の正面に位置しており、蒸溜所からは雄大な筑波山と、日本の里山風景を望むことができます!この蒸溜所から見える景色は日の丸ウイスキーのラベルにも描かれています。

八郷蒸溜所の正面に見える筑波山

モダンなビジターセンター

蒸溜所に続く道を進むと初めに目に入るのが、モノトーン調のビジターセンターです。ここでは、蒸溜所見学に来たお客様がこのビジターセンター内でウイスキーやビールを飲むことが出来る施設となっております。このビジターセンターは2023年11月11日にオープンしました!今回、ビジターセンター内も見学できたため、ビジターセンターの様子もご紹介します!

2023年11月11日にオープンしたビジターセンター

ビジターセンター内の様子

ビジターセンターに入ると小さい蒸留器が展示されています。なんとこの蒸留器は実際に蒸留をすることができる本物の蒸留器とのことです!

ビジターセンター内にある小さい蒸留器

そして反対側には八郷蒸溜所で造られたウイスキーがずらりと並んでいます!実際にビジターセンター内で試飲もできるため、様々なウイスキーを飲み比べて自分のお気に入りの一本を見つけることができます。さらにビジターハウスでは木内酒造が手がける生ハムブランド「常陸野ハム BARREL SMOKE」の生ハムとソーセージを食べることもできます!

ずらりと並んだ日の丸ウイスキー

公民館を改築した蒸溜所

八郷蒸溜所は、シンメトリー構造となっています。一見普通の建物のようですが、窓から見える樽などによってこの場所が蒸溜所だと気づくことができます。この蒸溜所はもともと公民館であった建物を改築して造られており、木材も地元石岡産が使われた八郷地区の風土と一体となっている蒸溜所です。

八郷蒸溜所外観

製造施設内を見学!

蒸溜所の入り口には、アルコール消毒液が置かれているのですが、なんと、この消毒液には八郷蒸溜所で作られたニューポットが使われています!実際に使用してみたところ麦の香ばしい香りがしました。現在は販売を行なっておりませんが、以前は販売しており、再販を望む声も多数上がっているそうです!

八郷蒸溜所で作られたニューポットの消毒液

八郷蒸溜所で作られたニューポットの消毒液

①粉砕

最初に粉砕機に案内していただきました。粉砕の工程では、モルト(大麦)を細かく砕いてグリストと呼ばれる粉末状にします。八郷蒸溜所ではモルトだけでなく、米や小麦なども使いウイスキーを造っています。そのためモルト用の粉砕機とモルト以外のための粉砕機の2種類の粉砕機を使っています。

蒸溜所で使われている二種類のミル

現在八郷蒸溜所では一年間に約400tのモルトを使っており、その一部に自社で製造したモルトが含まれています。八郷蒸溜所は3年後を目標にモルトの約半量を自社で賄う計画を建てています!

②糖化・濾過

次に糖化槽と濾過槽に案内していただきました。糖化の工程では、グリストと加熱した仕込み水を混合し、麦芽内に含まれる酵素によって澱粉を糖分へと変化させます。濾過の工程では糖化が終わった後、濾過をして麦汁(ウォート)にします。多くの蒸溜所では糖化と濾過の工程を同じ機械で行ないますが、八郷蒸溜所では糖化と濾過を別々の機械を使って行っています。別々の機械を使っていることにより八郷蒸溜所では様々な温度で糖化を行えるようになり、糖化の際の温度の違いで、ウイスキーの味を造り分けることが可能になっています。

糖化槽と濾過槽

③発酵

発酵の工程

発酵の工程では仕込みで造った麦汁をアルコール分7~9%ほどの発酵液にします。八郷蒸溜所ではステンレスと木製(オーク製とアカシア製)の発酵槽を用いて発酵を行っており、ステンレスの発酵槽では酵母を生かした発酵を行なうために使われています。木製の発酵槽では、酵母と自然の力を生かした発酵を行なうために使われています。また八郷蒸溜所ではステンレス製、木製どちらの発酵槽も温度管理が可能になっており、発酵の進度によって温度を調整しています。発酵期間は、初期発酵を4日、熟成発酵に4日合わせて8日間の期間で行っており発酵期間が長いことが八郷蒸溜所の特徴です。

酵母のこだわり

八郷蒸溜所では発酵の際に自社培養の酵母を使い、一度の仕込みの際に2~3種類の酵母を組み合わせています。自社製の新鮮な酵母を組み合わせることでウイスキーの味に違いを生み、ブレンドをするときの幅を広げています。

自社培養の酵母タンク

木製の発酵槽

④蒸溜

八郷蒸溜所はポットスチルとハイブリッドスチルの2種類の蒸留器を所有しています。八郷蒸溜所が所有しているハイブリッドスチルは一度で14回分の蒸留をすることのできるものです。
見学に行った日はちょうどポットスチルの方では再溜を行なっており、ハイブリッドスチルも稼働していました。ハイブリッドスチルの上から下へ何度も蒸留されている様子はとても幻想的でした。

八郷蒸溜所で使用されている蒸留器

 

蒸溜所で使用されているハイブリッドスチル

稼働するハイブリッドスチルの様子

⑤貯蔵庫

現在八郷蒸溜所では製麦棟のある石岡の蔵敷地内も含め、八郷蒸溜所に2棟、石岡の蔵敷地内に2棟の計4棟の貯蔵庫で約5,000樽が貯蔵されています。樽の種類としてはバーボン樽、シェリー樽をはじめ、ワイン樽、ワイン樽の中には山梨県で製造されている国内ワインの樽もありました。また自社で製造した桜樽も使用しています。桜樽は実際に他の樽よりも赤みがかっていて、桜樽で熟成したウイスキーは色もピンク色になるそうです。

貯蔵庫内の様子

樽の置き方のこだわり

八郷蒸溜所では貯蔵庫内の樽の置き方に特徴があります。八郷蒸溜所では横向きに保管している樽と、縦向きに保管している樽があります。この樽の置き方の違いはもともと樽がどのように置かれていたかによって置き方を変えています。八郷蒸溜所に来る前に樽についた癖を活かすためにこのように樽ごとに置き方を変えています。

縦に積まれた樽

製麦工場見学

今回は蒸溜所だけでなく、木内酒蔵が所有している製麦工場の見学にも行ってきました!自社で製麦工場まで所有している蒸溜所は珍しく、貴重なお話を聞くことができました。ここからは製麦工場の見学の模様をお伝えします!

ドラム式モルティング

①浸麦

まず最初に行われる工程が浸麦です。麦を2日間水にさらした後、3日目になるとタンクの中にある麦が、タンクの下方から吸い出されて次の工程へと移ります。この工程の目的は2つあり、麦についた汚れを落とすためと、麦を発芽させるためです。

浸麦を行なうタンクの内部

②攪拌・乾燥

浸麦によりきれいにした麦が次に向かうのが発芽室です。ドラム式モルティングではこの円筒形の発芽室そのものが回転することによって麦を攪拌します。麦を攪拌する理由は、発芽に必要な酸素を全体に偏りなく行き渡らせるためと、麦が発芽した際に出る根の絡まりを防ぐためです。根が絡まって、ダマのような状態になってしまうとその後のウイスキー造りに悪影響を及ぼすため、このことを防ぐために攪拌を行います。そしてこのドラムの中で麦の乾燥まで行います。

ドラム式モルティングを行なう機械

③除根

ドラムの中で乾燥まで済み、発芽した麦は最後の工程に移ります。それが発芽の際にでた根を取り除くことです。ここで根を取り除かないと、ウイスキーにした際、苦みや雑味の元となるためここで綺麗な状態にすることが大切です。

取り除かれた根

フロアモルティング

フロアモルティングとはモルティングの伝統的な手法です。浸水させた麦をコンクリートなどの床一面に敷き、その麦を人がスコップなどを使って攪拌し発芽を促す方法です。近年ではドラム式モルティングなどの機械化されたモダンモルティングが主流となってきており、フロアモルティングによって作られたモルトを使用してウイスキー造りを行っている蒸溜所は少なくなってきています。

フロアモルティングの様子

浸麦させた麦を床一面に敷き詰めます。ここの製麦工場では攪拌の作業を機械が行っています。一般的なフロアモルティングでは一日に3~4回攪拌する必要があり、これを夜でも行わなけれないけないため、ここでは攪拌を行う機械を導入しています。

フロアモルティングの様子

発芽室内の温度

見学に行った際は実際に発芽室に入って2日目の状態の麦が敷き詰められていました。発芽室内は18度に保たれていて、発芽室内の温度が低めに保たれている理由は麦が発芽する際に熱を発生するためです。麦の発芽の際の熱によって室温が上がってしまうと麦が腐敗してしまうため温度を一定に保っています。

ドラム式モルティングとフロアモルティングの違い

ドラム式モルティングの特徴としては、温度管理や酸素管理が均一にできるため、質のそろったモルトができるという点にあります。一方フロアモルティングでは、空気に触れる時間が麦のよって異なるため質の異なるモルトができあがります。この質の違いがウイスキーにした際の味の複雑さにつながります。

発芽途中の麦

製麦工場の展望

この製麦所が稼働を始めたのは今年からです。そのため、この製麦所で製麦したモルトを使ってウイスキーは販売されていませんが、近いうちに原料からすべて茨城県産になったウイスキーが完成する予定です。また現在はボトリングは別の場所で行っているのですがゆくゆくはここの製麦工場の敷地内にボトリングラインを設置し、八郷地区でウイスキーの製造工程が全て出来るようになる計画も進行しています。今後八郷蒸溜所と製麦工場がどのようになっていくのか目が離せません!

以上現地レポートでした!

以上、木内酒造八郷蒸溜所、製麦工場の現地レポートでした!
八郷蒸溜所では、八郷地区の風土をいかしたウイスキー造りを目指した、妥協をしないウイスキー造りをしていました!また私たちが見学に行った際も、蒸溜所の正面に庭を作る工事も行なわれており、八郷蒸溜所が今後どのような蒸溜所になっていくのか、わくわくさせられました!
今後、さらなる成長を遂げていく、八郷蒸溜所に皆様も一度訪れてみてはいかがでしょうか?
またインタビュー記事では木内さんがお酒造りにおいて拘っていることや、今後の八郷蒸溜所の展望についてお話を伺いました。こちらもぜひご覧下さい!

併せてお読みください!

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