【現地レポート】「BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR」にて“樽を飲む。”を体感!
- Bar(日本)
- 繋ぎ手
JR目白駅から徒歩1分、駅を出て左手に少し進むと見えてくる目白田中屋。
ウイスキーを中心に世界中の銘酒が幅広く取りそろえられているこの酒販店は、芸能人なども多く訪れることで知られる名店。2010年にはWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)で単一小売店部門の世界最優秀小売店賞を受賞しています。
今回はそんな目白田中屋の店主である栗林幸吉さんに、独占インタビューしました!
世界中の蒸溜所を巡り、数多くのウイスキーを飲んできた栗林さんは名実ともに生粋のウイスキー愛飲家。目白田中屋でのウイスキーや商品1つ1つにつけられた手書きのポップなど、店内のあちらこちらにウイスキーへの愛が感じられます!
酒販店としての情熱やこだわりだけでなく、飲み手としてウイスキーへかける愛や想いについてお話を伺いましたので、是非最後までご覧ください!
目白田中屋は目白駅改札を出て左に進み、1分ほど歩いたところにあり、店内にはウイスキーはもちろんビールやワイン、ブランデー、日本酒など世界各地のお酒がずらっと並ぶ、圧巻の品揃えとなっています。2007年には英国のウイスキー専門誌が主催する世界最大級のウイスキーコンペティション「World Whiskies Awards(ワールド・ウイスキー・アワード)」にて、ウイスキーに関わる人や店などを対象にした、「Icons of Whisky(アイコンズ・オブ・ウイスキー)」で小売店賞第2位に選出。2010年には同大会で世界最優秀小売店賞(Single Outlet Retailer Winner)を受賞している、日本有数の酒販店です。
店名 | 目白田中屋 |
所在地 | 東京都豊島区目白3-4-14 BF JR目白駅より徒歩1分 |
営業時間 | 月曜~土曜 11:00~20:00(祝日、振替休日も平日は営業) |
定休日 | 日曜日(年末年始は連休となります) |
目白田中屋の店主である栗林さんはウイスキー業界では広く知られた存在で、今までに訪れた蒸溜所は300ヵ所以上、試飲したシングルモルトは5000種類以上にも及ぶウイスキー愛好家です。近年では多くのメディアで取り上げられており、テレビに出演するなどしてウイスキーの魅力をより多くの人に届けています。
栗林さん:
ウイスキーはお好きですか?もしよかったら、まずはこのスプリングバンクを一緒に飲みませんか?
Dear WHISKY:
いいんですか?最近はあまり手に入らない貴重なウイスキーですよね!
栗林さん:
確かに最近ではなかなか手に入らなくなりましたね。でもウイスキーは飲んで楽しむものなので、スプリングバンク10年とスプリングバンク18年を飲み比べしましょうよ、じゃあ乾杯!
Dear WHISKY:
同じ銘柄でも10年と18年を飲み比べると味の違いがよくわかりますね!
栗林さん:
10年と18年って人間では、小学校4年生と高校3年生ですもんね、やっぱり成長するんですよ。10年は力強さがあって飲んだ後すぐにピークが来るけど、18年はよりまろやかで長く口に残りますね。ワインや映画も後に残る味わいが大切とは言いますが、ウイスキーも良いものは余韻が長く残りますね。
ウイスキーを楽しむ時間が好きだと語る栗林さんは、「一緒に飲みましょう」と言って、ウイスキーを振る舞ってくださいました!楽しそうにウイスキーについて語る栗林さんの姿から、本当にウイスキーが好きだということが伝わってきます。
インタビューを始める前から、多くの人を魅了する栗林さんの人柄が現れたワンシーンとなりました。
Dear WHISKY:
栗林さんのウイスキーとの出会いについて教えてください!
栗林さん:
出会いは学生時代にバーテンダーとしてアルバイトをしていた時です。昔原宿にあった「ZEST CANTINA(ゼスト キャンティーナ)」というアメリカンダイニングで働いていたのですが、俳優や歌手のお客さんも多くて、松田優作さんや内田裕也さん、矢沢永吉さんなんかも来ていましたね。
Dear WHISKY:
色々な方がいらっしゃっていたんですね!皆さんどのようなお酒を飲まれていたのですか?
栗林さん:
当時流行りのお酒と言えばカクテルだったんですが、こういった方たちはウイスキーをよく飲まれていたんですよ。その頃はウイスキーといえばアメリカのバーボンウイスキーが流行っていたので、バーボンを頼む人が多かったのを覚えています。
Dear WHISKY:
バーボンウイスキーが人気だったのですね!具体的にはどういった銘柄のウイスキーを飲まれていたのですか?
栗林さん:
松田優作さんなんかは、よくオールドクロウやアーリータイムズといったバーボンウイスキーをロックで飲まれていました。
スマートにウイスキーを飲む姿にあこがれて、私もウイスキーを飲むようになりました。
Dear WHISKY:
ウイスキーを飲み始めたころ、栗林さんはどういったウイスキーを飲んでいたのですか?
栗林さん:
当時はバーボン以外に、カナディアンウイスキーも流行っていたんです。
特にカナディアン・クラブが人気で、CCって呼ばれていたのですが、若い時はそれがかっこよくて、Barに行くと良くCCを注文していました。
友達と飲みに行くときなんかも、カッコいい大人の真似をして「CCをロックで!」なんて言っていましたね。
Dear WHISKY:
ウイスキー業界に進むことにしたきっかけは何だったのでしょうか?
栗林さん:
そのころアルバイトで一緒に働いていた友人がいたんです。彼は島根で100年以上続いている酒屋の息子で、普段からよく一緒に飲みに行ったりする仲でした。
そんな彼がある日『スコッチ・モルト・ウイスキーの本』という本を持ってきて、僕に「これからはシングルモルトの時代が来る」と言ってきたんです。
Dear WHISKY:
その当時、シングルモルトウイスキーはどういった存在だったのですか?
栗林さん:
先ほどお話しした通り、その頃流行っていたのはバーボンウイスキーでしたし、スコッチと言えばブレンデッドウイスキーが主流の時代でした。ですのでシングルモルトウイスキーは今ほど人気が無かったのです。そんな中で彼は一緒にスコッチシングルモルトウイスキーを専門的に扱う輸入会社を作らないかと誘ってきたのが始まりでした。
Dear WHISKY:
輸入事業を始めた頃はどのような商品を取り扱っていたのですか?
栗林さん:
実は会社を立ち上げたは良いものの、免許を取ることに苦戦していました。そのため最初の頃は水を売っていたんです。
Dear WHISKY:
水ですか!?
栗林さん:
先ほどご紹介した『スコッチ・モルト・ウイスキーの本』にモルトウイスキーはその土地の水で割ると美味しくなると書いてあったんです。
なので「ハイランド・スプリング」というスコットランドのハイランド地方で採れた水を輸入して、免許が取れるまではこれを売っていこうと話していました。
Dear WHISKY:
「ハイランド・スプリング」の売れ行きはどうでしたか?
栗林さん:
全然売れませんでした。1980年代当時はまだモルトウイスキーというのものに馴染みのない人が多かったのと、水にお金を払うという感覚がまだなかったので、買う人はなかなかいませんでした。
Dear WHISKY:
酒販免許がとれてからはどういったウイスキーを輸入されていたのですか?
栗林さん:
初めの頃は、アードベッグやカリラといったアイラウイスキーを中心に仕入れていました。ただモルトウイスキーの人気も無かったころに、クセの強いアイラウイスキーはなかなか売れませんでした。銀座のバーへ営業をしにアイラウイスキーを持って行ったときは、「君に美味しいウイスキーを教えてあげる」と言われて、高級ブレンデッドウイスキーを出されたこともありました。
Dear WHISKY:
シングルモルトウイスキーが人気の今とは全く違ったのですね。
栗林さん:
もっと色んな人にアイラウイスキーを飲んでもらおうと、当時のガイドに乗っていたバー500軒にハガキを送ったりもしたのですが、返事をくれたのは20軒だけでした。
Dear WHISKY:
20軒だけですか…当時栗林さんはどのように感じていたのですか?
栗林さん:
当時は色々と大変でしたが、同時に面白いと思っていましたね。「この先どうなるんだろう」とか「意外といけるんじゃないか」とか思ってワクワクしながら輸入事業を続けていました。
Dear WHISKY:
アードベッグやカリラといったアイラウイスキーを中心に輸入していたとのことですが、輸入する銘柄はどのようにして選ばれていたのですか?
栗林さん:
私をウイスキー事業に誘った友人が、実際にスコットランドに足を運んで、自分で飲んで選んでいました。
Dear WHISKY:
1番最初に売れたウイスキーは何ですか?
栗林さん:
1番最初に買ってくれたのは恵比寿のバーが、「ポートエレン」を名前がカッコいいという理由で買ってくれました。バー以外に酒販店とかにも営業に行っていたのですが、ほとんど買ってくれるお店はありませんでしたね。
その中でウイスキーを買ってくれた数少ない酒販店の一つが、この目白田中屋だったんです。
Dear WHISKY:
そこが目白田中屋との出会いだったのですね!その後目白田中屋で働き始めるまでどういった経緯があったのでしょうか?
栗林さん:
そのあと輸入事業を7、8年ほど続けていたのですが、立ち行かなくなってしまったんです。
困っていた時に、以前から親密だった目白田中屋のオーナーが「ここで働かないか」と誘ってくれたのをきっかけに目白田中屋で働きはじめました。
Dear WHISKY:
目白田中屋で働き始めてからはどのような業務をされていたのでしょうか?
栗林さん:
オーナーから好きにウイスキーを並べていいと言われたので、シングルモルトウイスキーを沢山仕入れて何十種類も並べたりしましたね。
Dear WHISKY:
その頃シングルモルトモルトウイスキーは売れたのですか?
栗林さん:
今でこそシングルモルトウイスキーは1日に30~40本売れる人気商品になりましたが、当時は1日に2、3本しか売れませんでした。
今では8,000円を超えるマッカランも当時は1本3,980円で買えたのですが、シングルモルトウイスキーを買う人はあまりいませんでしたね。
Dear WHISKY:
目白田中屋を任されるようになってからWWA世界最優秀小売店賞を受賞されましたが、どういった理由で受賞されたんですか?
栗林さん:
正直言うと私にはわかりません。WWAは「ウイスキー・マガジン」の審査員の方々が審査して賞を与えるのですが、うちに来た審査員の方たちがたまたま美味しいウイスキーを飲んだんじゃないですかね(笑)
Dear WHISKY:
そうだったのですね!受賞されたときの感想はどのようなものでしたか?
栗林さん:
純粋に嬉しかったですね。
人に評価してもらえること、褒めてもらえることはやっぱりにうれしいものですし、そういったことをきっかけに色んなウイスキーの魅力が広まることは、喜ばしいことだと思います。
Dear WHISKY:
多くのお酒を取り扱う目白田中屋で、お酒を仕入れる際の基準になるものはありますか?
栗林さん:
仕入れるお酒は、売れるものが3割、売りたいものが3割、そしてその間のお酒が4割です。理想としては売りたいものを10割置きたいのですが、売り上げとのバランスを考えて仕入れています。
知名度はなくとも魅力のある小さな蒸溜所のウイスキーも置くようにしています。
Dear WHISKY:
その割合の中でどういったウイスキーを仕入れているのですか?
栗林さん:
有名なジャパニーズウイスキーはあまり置かないようにしているんです。もちろん人気のある日本のウイスキーは美味しいですし、個人的にその造り手に敬意を払っています。
ただ私はこのお店を、来店したお客様が知らないウイスキーと出会うことのできる場にしたいという想いがあります。
洋楽しか置かないレコード屋のように、それまで出会うことのなかった商品と出会えることがこの目白田中屋の魅力だと考えています。
Dear WHISKY:
目白田中屋は色んなお酒に貼られている手書きのポップが印象的ですが、このポップづくりを始める背景のようなものはありますか?
栗林さん:
CDショップのポップが好きで始めたんです。
CDショップでもおすすめのCDやレコード売っているコーナーにポップを飾っているのですが、ああいう味のある手書きのポップが好きで、それをお酒でもやってみようと思い始めました。
Dear WHISKY:
この印象的なデザインのポップにはどのようなことが書かれているのですか?
栗林さん:
私はソムリエよりもコピーライターになりたいので、お酒の魅力がが伝わるように自由に作っています。詳しい情報が書かれたものも良いですが、今時お酒の情報はネットで調べれば出てくるじゃないですか。
なのでポップを見た人が興味を持ってくれるようなものを作るようにしています。
Dear WHISKY:
栗林さんが世界中の蒸溜所を訪れる理由は何ですか?
栗林さん:
小さな蒸溜所などでは、お酒を造ることで手いっぱいのところが多くあります。ウイスキーの蒸溜所に限らず、フランスのコニャックは今でも家族で作っているところが多く、本当に美味しいお酒を造っていても、それを広めることに手が回らないことが多いんです。
なので私が実際に造り手の現場を見て学び、代わりにその魅力を伝えるようにしています。
Dear WHISKY:
蒸溜所を実際に訪れる重要性を知ったきっかけなどはありますか?
栗林さん:
昔、今ほどシングルモルトウイスキーが売れなかった頃、スコットランドの老舗ボトラーズを訪れた時に、日本だとあまりシングルモルトウイスキーが売れないと相談したら、イタリアに行ってみることを勧められました。当時、どこの国でもシングルモルトウイスキーの売り上げはスコッチウイスキー全体の1割ほどだったのですが、イタリアでのスコッチウイスキーの売り上げの中でシングルモルトウイスキーが3割程占めていたのです。
Dear WHISKY:
イタリアですか?あまりウイスキーのイメージが無いので意外です。
栗林さん:
そうなんです。イタリアに何かヒントがあるのではないかと思い、イタリアを訪れることにしました。遥々スコットランド北部のエルギンから電車を乗り継いでイタリアに行きました。
そこで出会ったのがウイスキーのボトラーズを営んでいたサマローリさんです。
Dear WHISKY:
そのサマローリさんはどのような方なのでしょうか?
栗林さん:
当時のボトラーズとしては、かなり進んだ考えを持った方でした。その頃はウイスキーの造り手以外に、ウイスキーは樽ごとに味や個性が異なるということはあまり知られていませんでした。
しかしサマローリさんはそのことをよくわかっており、実際に蒸溜所を訪れて、自分で味や品質を見て、樽を一つ一つ買い付けていました。
Dear WHISKY:
栗林さんはサマローリさんからどういったことを学ばれたのですか?
栗林さん:
彼は造り手と同じくらい、繋ぎ手の存在が重要であると考えていました。
彼は私に「イタリアは優れた芸術家がいた国だが、優れた画商もいた国ということを忘れないで欲しい」と言っていました。
つまりイタリアには優れた芸術作品を作る人がいただけではなく、その芸術作品を多くの人に広める人がいたということです。
ウイスキーも同じで、ウイスキーには造り手たちだけではなく、その素晴らしさを広める繋ぎ手の存在が重要だということです。
Dear WHISKY:
造り手と同じくらい繋ぎ手の存在が大事なんですね!イタリアではどのようにしてウイスキーの魅力を広げていたのでしょうか?
栗林さん:
ウイスキーを造るイギリス人は質の高い優れたものを作ることに長けていたのに対して、イタリア人はものを魅力的に作ることに長けていたんです。これは当時イタリアで販売されていたスコッチウイスキーのボトルですが、イギリスで販売されているものとラベルのデザインが異なるんです。
Dear WHISKY:
まるでワインボトルのようなデザインですね!
栗林さん:
イギリスで販売されているスコッチウイスキーのラベルは、シンプルなデザインのものや、製品の情報などが説明書きのように書かれていることが多いです。これに対してイタリアで販売されていたものは、絵画やテイスティングノートが書かれていて、魅力的なデザインになっていました。
このようにそのお酒の魅力を伝える重要性を学んだことが、今のポップづくりなどにも生かされています。
Dear WHISKY:
栗林さんにとって思い入れのあるウイスキーはありますか?
栗林さん:
2つあります。まずはマッカラン18年で、目白田中屋で働き始めた頃に売っていたものになります。
これを初めて飲んだ時に、深い味わいに魅了されて「ウイスキーって美味しいんだ」と思ったんですよね。
よかったら飲んでみますか?
Dear WHISKY:
いいんですか?かなり貴重なウイスキーですよね?
栗林さん:
もちろんです。こういうのは飲んだ方がいいですからね、ぜひ味わってみてください。
Dear WHISKY:
ありがとうございます!確かにとても甘くて美味しいですね!
栗林さん:
大人の飲むデザートという感じですよね。甘ったるいわけでもなく程よくするっと飲めるんです。これを初めて飲んだ時は感動しましたね。
最初はなかなか売れなかったモルトウイスキーですが、お客さんにこういったウイスキーを飲んでもらうと、美味しいと言ってもらえるんです。
そこから自信が出てきて、モルトウイスキーも売れるようになりました。
栗林さん:
もう1本はポートエレンですね。今ここにあるボトルは違うものですが、先ほど話した輸入事業で最初に売れた銘柄がこれだったんです。
Dear WHISKY:
ポートエレンと言えば40年以上前に閉鎖した蒸溜所で造られていたウイスキーですよね?
栗林さん:
今では幻のウイスキーともいわれますよね。このボトルは22年熟成で、ポートエレン蒸溜所を所有するディアジオ社がが1年に1回出していたリミテッドエディションなのですが、これはその第1弾なので番号が書かれていないんです。これもよかったら一緒に飲みましょう。
Dear WHISKY:
ありがとうございます!グッとくる強い味わいですね!
栗林さん:
今なんだか勇気をくれるような味ですよね。56%とは思えないほど飲みやすいけど、飲み込んだ後に喉にグッとくるんですよね。
昔スコットランドで安い宿に泊まったりすると暖房が使えないことが度々あったのでですが、そんなときに寒さを凌ぐために、こういった強いウイスキーを出されたこともありました。
確かに飲むと体が温まりましたね(笑)
Dear WHISKY:
来店したお客様への接客で心掛けていることはありますか?
栗林さん:
まずはしっかりとお話を聞いて気持ちを尊重することです。当店に来られるお客様には遠方から来られる方も多くいて、その中にはうちに来るのが最初で最後という方もいます。
なのでお客様と話す5分程の会話でも、「来てよかったな」と思っていただけるよう心がけています。
今時ウイスキーは通販で簡単に買える中で、酒屋に来られる方はきっとそういう体験を欲していると思うのです。オンラインで便利に買い物ができる今、わざわざ酒販店で買うのは時間の無駄に感じる人もいます。
ですが酒販店に足を運んで、オフラインだからこそ楽しめるウイスキーとの出会いがあると思います。「出会いを大切にし」「寄り道を楽しむように」目白田中屋に来て楽しんでいただけたらなによりです。
Dear WHISKY:
おすすめのウイスキーを聞かれたときはどのようにしてウイスキーを選んでいるのですか?
栗林さん:
ご自身用にウイスキーを買われる方でしたら、普段飲まれるウイスキーや好みの味を聞くのですが、あえて異なるタイプのウイスキーを勧めることがあります。
普段飲まれるものと同じようなものだけでなく、また違う味わいのウイスキーも一緒に紹介することで、色んな美味しいウイスキーを知っていただきたいという想いがあります。
Dear WHISKY:
ウイスキーを飲み慣れていない方におすすめのウイスキーの選び方を教えてください!
栗林さん:
ちょっと背伸びをして良いものを飲むのがいいかと思います。ウイスキーの好みってやっぱり人によって全然違うので、高いウイスキーが必ずしもその人にとって好みのウイスキーとも限りません。
ただ良いものや高いものも含めて色んなウイスキーを知っていた方が、その中から好みのウイスキーを見つけやすくなると思います。
私自身も、もし安いお酒しか知らなかったらすぐに飽きていたと思いますし、美味しいと思えるウイスキーがあったからこの仕事を続けられているのです。
Dear WHISKY:
良いウイスキーを飲むことの魅力とは何でしょうか?
栗林さん:
やはり良いものって、素晴らしい人たちが好んで飲んでいたりするんですね。
私自身もバーテンダーをしていた頃にカッコいい大人たちが良いウイスキーを飲む姿に憧れましたし、自分も同じウイスキーを飲むことでちょっとだけそういう人たちに近づける気がするんです。
ボトルで買うのが難しければ、バーで一杯だけ飲んでみるのもいいと思います。すこし背伸びをしてみることで、見える世界が変わるので、是非ウイスキーを飲み慣れていない人にもチャレンジしてほしいなと思います。
Dear WHISKY:
栗林さんが思うウイスキーならではの楽しみ方はありますか?
栗林さん:
長い時間が経っても飲めることだと思います。よく高いワインを買って下さるお客様がいたのですが、ある時50年物のマッカランをお買い求めになったんです。何ヵ月か後にまた来ていただいて、「これ飲みなよ」と言って、残り少しになったその50年もののマッカランを持ってきてくださったんです。ワインでは同じことは出来ませんよね。さっき一緒に飲んだウイスキーも随分古いものになりますが、こうして一緒に飲めたじゃないですか。
このように長い時を経ても、いつでも楽しめるのはウイスキーが持つ最大の魅力だと思います。
Dear WHISKY:
栗林さんにとってウイスキーとはどういう存在ですか?
栗林さん:
一言で言ってしまえば、
「No Whisky, No Life」です。
35年以上この仕事を続けていてよかったと自分で思っているからこそ、人にもウイスキーを勧めることが出来てます。
またウイスキーは「広くて深くて、強くて優しいお酒」だと思います。広くて深いというのは、ウイスキーには甘いものからさっぱりしたもの、スモーキーなものまであって味の幅が広いですし、熟成年数によって味に深みがあります。強くて優しいというのは、ウイスキーが強いお酒だからこそ色々な飲み方を楽しめるということです。弱いお酒を強くすることはできませんが、強いお酒は水で割ったりハイボールにしたりと様々な楽しみ方があります。
色んな味わいがあって、様々な飲み方ができるウイスキーは、どんな人にでも寄り添えるお酒だと思います。
Dear WHISKY:
最後に、Dear WHISKYの読者に向けてメッセージをお願いします!
栗林さん:
やっぱりウイスキーは飲んで楽しんだ方がいいですね。ウイスキーはどんな時でも寄り添ってくれるものだと思っています。私自身、悲しいことがあった時に美味しいご飯を食べに行こうという気持ちには中々なれなかったのですが、ウイスキーは飲めたんですよね。
嬉しい時も悲しい時も寄り添ってくれるものがウイスキーだと思いますし、人生の中で経験する色んなことの中にウイスキーがあれば素敵な記憶として残ってくれると思います。
だから良いものを食べるように、良い音楽を聴くように、ウイスキーを自由に楽しん欲しいなと思います。
今回は目白田中屋店主の栗林さんにインタビューさせていただきました!
言葉の端々からウイスキー愛にあふれる栗林さんのお話は、色んな角度からウイスキーの素晴らしさや楽しさが伝わり、非常に興味深いものでした。
また目白田中屋の店内は、所狭しと並べられたウイスキーボトルやそれぞれにつけられた手書きのポップからも、栗林さんのウイスキー愛が感じられる素敵な世界観が広がっていました。そんなウイスキー好きにはたまらない目白田中屋に是非一度足を運んでみてください!
インタビューにご協力いただいた栗林さん、誠にありがとうございました!