【現地レポート】「BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR」にて“樽を飲む。”を体感!
- Bar(日本)
- 繋ぎ手
フランスに拠点を置き、世界第2位のワイン&スピリッツメーカーであり、スピリッツとワインの世界市場におけるリーディングカンパニーである、ペルノ・リカール グループ。
日本拠点であるペルノ・リカール・ジャパン株式会社にて、シーバスリーガルやザ・グレンリベットなどを製造するシーバス・ブラザーズ社のスコッチウイスキーブランドアンバサダーを務めるサイモン・ダーヴェニーザさんに独占インタビューをいたしましたのでその様子をお送りします!
全2部構成となる記念すべき第1弾では、2023年9月11日から日本限定発売した「シーバスリーガル ユニティカスク」で有名なシーバスリーガルについて、歴史はもちろん、日本とシーバスリーガルの秘話や日本人におすすめの商品までをお伺いしました。
フランスに本社を置く、世界第2位のワイン&スピリッツメーカー、 ペルノ・リカールグループの日本事業所として1990年に設立された会社です。”責任ある企業活動のもと、丹念に造りあげた上質でラグジュアリーなスピリッツ及びワインブランドの充実したポートフォリオを提供し、特別なひと時を創出すること”をミッションに掲げ、創業から30年の間、国内市場および免税市場でのアルコール飲料販売においてめざましい発展を遂げ、現在でも国内のリーディングカンパニーとして、日本のアルコール飲料業界を牽引しています。
会社名 | ペルノ・リカール・ジャパン株式会社 PERNOD RICARD JAPAN K.K. |
創業 | 1990年1月31日 |
代表取締役社長 | トレイシー クワン(Tracy Kwan) |
所在地 | 東京都文京区後楽2-6-1 住友不動産飯田橋ファーストタワー34階 |
公式HP | ペルノ・リカール・ジャパン公式HP |
公式X(旧Twitter) | @PernodRicard_jp |
公式Facebook | Pernod Ricard Japan – ペルノ・リカール・ジャパン |
シーバスリーガルとは、シーバス・ブラザーズ社によって、20世紀初頭に世界初のラグジュアリーウイスキーとして発売を開始した、ブレンデッドウイスキーです。現在世界100以上の国と地域で販売されており、まさにスコッチウイスキーを代表するブランドとして、世界中で愛されているウイスキーです。
シーバス・ブラザーズ社は19世紀から長きに渡り、スコッチウイスキーを販売している会社です。
主な商品として世界初のラグジュアリーウイスキーとして名高いシーバスリーガル、英国女王エリザベス2世の即位を祝って作られたローヤルサルートなど、高品質なスコッチウイスキーを製造しており、スコッチウイスキーの伝統を現在に伝え続けています。
シーバス・ブラザーズ社スコッチウイスキーブランドアンバサダー。オーストラリア出身、学生の頃に初めてホスピタリティ業界に入り、数年をかけてオーストラリア、台湾、日本でバーテンダーとして従事していました。
接客やカクテルを通じてお客様の反応を直接感じられる面白さや、お客様に喜んでいただく楽しさを感じ、現在シーバス・ブラザーズ社スコッチウイスキーブランドアンバサダーとして多くの素晴らしいウイスキー銘柄を担当しています。
発信する仕事を通して、誰かに喜んでいただくことに繋げたいという想いから、ブランドアンバサダーとして従事しています。
Dear WHISKY:
世界的に有名なシーバスリーガルですが、シーバスリーガルはどのようにして生まれたのでしょうか?
サイモンさん:
シーバスリーガルとは、シーバス・ブラザース社によって発売されたウイスキーです。
歴史の始まりは1801年、アバディーンというスコットランド東海岸にある都市で、ジェームスとジョンのシーバス兄弟が既に開業されていた高級食料品店の事業を引き継ぎ、シーバス・ブラザーズ社を設立しました。
当時はウイスキーはもちろんのこと、牛タンや紅茶、ワインなど様々なものを取り扱うお店でした。
Dear WHISKY:
シーバスブラザース社は当初、セレクトショップのようなお店だったのですね。
サイモンさん:
現代の成城石井のようなお店でした。
そして当時の顧客の、「より滑らかな味わいのウイスキーが飲みたい」という要望に応えるためにシーバスブラザース社によって生み出されたのが、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの2種類をブレンドしたブレンデッドウイスキーでした。
Dear WHISKY:
発売当時から、シーバスリーガルという名前で売っていたのですか?
サイモンさん:
実は当初は異なる名前で発売しており、シーバスリーガルという名前を使い始めたのは1909年からです。この年に初代マスターブレンダーであるチャールズ・ハワードとシーバス・ブラザーズ社の社員アレキサンダー・スミスという2人によってシーバスリーガルという名前をつけた25年熟成のウイスキーが発売されます。
このウイスキーは世界初のラグジュアリーウイスキーとして発売され、創業者であるシーバス兄弟に敬意を込めてシーバスリーガルという名前で発売されました。
Dear WHISKY:
シーバスリーガルのブランドが誕生した1909年から世界的に有名となる現在まで、シーバスリーガルは順調に歩み続けていますか?
サイモンさん:
実は、シーバスリーガルは一時商品存続の危機に陥っていました。1909年に発売されたシーバスリーガルは主にニューヨークで人気を獲得しましたが、1920年に連邦政府は禁酒法を発令しました。これはアメリカ全土においてアルコール飲料の製造、販売を制限するものでした。
ニューヨークをメインマーケットとしていたシーバスリーガルは大きな影響を受け、市場から姿を消すことになりました。
Dear WHISKY:
では、シーバスリーガルは一度生産中止に追い込まれたのですか?
サイモンさん:
厳しい状況下でも、シーバスリーガルの製造をやめたわけではなく、また販売が許可される時に備えて製造を続けていました。そして1933年に禁酒法が改定され、1938年に、シーバスリーガルの12年熟成品が発売され復活しました。
そして、現在まで世界100以上の国と地域で愛されるウイスキーとなったのです。
Dear WHISKY:
シーバスリーガルは世界的にも有名ですが、日本での人気はいかがですか?
サイモンさん:
世界中で比較してみても、日本の方々からは非常に人気があります!
Dear WHISKY:
そうなのですね!ちなみに日本と海外ですと人気な商品に違いはありますか?
サイモンさん:
海外ではシーバスリーガルの中でも、シェリー樽の13年や18年が人気の商品となっているのですが、日本ではミズナラ樽が非常に人気があります。
Dear WHISKY:
日本で人気のミズナラ樽のシーバスリーガルは、どのような商品ですか?
サイモンさん:
スコッチウイスキーでは、通常オーク材を原料としたバーボン樽やシェリー樽で熟成します。
しかし、ミズナラ樽のシーバスリーガルは日本のために造られたスコッチウイスキーといっても過言ではありません。
Dear WHISKY:
ミズナラ樽のシーバスリーガルには2種類の商品がありますが、どのような違いがありますか?
サイモンさん:
1つ目はシーバスリーガル・ミズナラ12年です。こちらはブレンドされているウイスキーの一部をミズナラ樽でフィニッシュした商品です。オレンジと西洋ナシの甘いフルーティーさ、クリーミーで甘いタフィー、微かなナッツの香りがするのがこのウイスキーの特徴です。
Dear WHISKY:
2つ目の18年と書かれたミズナラ樽のシーバスリーガルはどのような商品ですか?
サイモンさん:
2つ目はシーバスリーガル18年・ミズナラカスクフィニッシュです。こちらはブレンドされている全てのウイスキーがミズナラ樽でフィニッシュされています。はちみつ、熟した赤リンゴ、バニラ、シナモンを思わせる甘く豊かな香りと、花のような香りがすることが特徴のウイスキーです。
Dear WHISKY:
これまで日本でも数多くの人にシーバスリーガルを振る舞う機会があったと思うのですが、日本で人気が高いのはやはりミズナラのシーバスリーガルなのでしょうか?
サイモンさん:
そうですね。日本ではシーバスリーガル12年とシーバスリーガル・ミズナラ12年の2つを飲み比べていただくと、多くの方がミズナラの方が飲みやすいと言われます。私はミズナラの方が、通常のシーバスリーガルと比べてスパイシーだと思うのですが、不思議なことにミズナラの方が人気があります。
やはり日本人にとってミズナラという木に馴染みがあるということなのだと思います。
Dear WHISKY:
ミズナラという木は日本と朝鮮半島にしか生息していない木だと思いますが、熟成に使用するミズナラ樽はどこで作っているのですか?
サイモンさん:
熟成に使うミズナラ樽は日本で作っています。日本でミズナラは北海道や東北に多く生息している木ですが、樹齢200年~250年ほどのミズナラを使用して樽を作っています。
バーボン樽の場合は樽材に使うオーク材の樹齢が60~80年ほどなので、木材として使用できるまで長い時間を要するという点においてミズナラ樽は貴重な樽となっています。
Dear WHISKY:
ミズナラをスコットランドに運んでスコットランドで樽にするではなく、あえて日本で作っているのには理由があるのですか?
サイモンさん:
ミズナラには柔らかくて浸透性が高いという特徴があるのですが、その一方で漏れやすいという欠点もあります。そのため樽をを作るためには品質の高い木材が必要です。さらにミズナラで樽を作るのはかなり難しく誰でも作れるわけではありません。こういった理由から、樽製造が非常に丁寧である日本の職人さんに作っていただいています。
Dear WHISKY:
ミズナラ樽で熟成するウイスキーの特徴は何ですか?
サイモンさん:
シナモンやジンジャーのようなスパイシーな香りがすると言われています。ただ、個人的には焼き立てのチーズケーキのような香りがしますね。先日、静岡に出張に行った際にミズナラ樽で熟成したウイスキーとそれ以外の樽で熟成したものを飲み比べる機会があったのですが、焼き立てのチーズケーキの香りがとても感じられました。
Dear WHISKY:
新商品のシーバスリーガル・ユニティカスク12年はどのような商品ですか?
サイモンさん:
シーバスリーガル・ユニティカスク12年は、2023年9月11日に発売した日本限定・数量限定商品です。
この商品は、ミズナラとフレンチオークの2種類の木材を組み合わせた熟成樽「ユニティカスク」で一部の原酒を熟成させ、これまでにない味わいを生み出しています。
個人的にコンセプトが素晴らしいと感じている商品です。
Dear WHISKY:
日本限定商品なんですね!
サイモンさん:
そうですね。実は、シーバスリーガルが1つの国限定の商品を出すことはかなり珍しいです。
Dear WHISKY:
今回のシーバスリーガル・ユニティカスク12年のように、2種類の木材を一つの樽に使用することはこれまでもあったのでしょうか?
サイモンさん:
シーバスリーガルでは今回が初めての試みです。
実際、どのように異なる2種類の木材を組み合わせているのかは企業秘密ですが、2種類の樽を組み合わせて一つの熟成樽にするという試みはウイスキー業界にはない試みだと思います。
Dear WHISKY:
サイモンさんもシーバスリーガル・ユニティカスク12年をテイスティングされたと思うのですが、感想はいかがですか?
サイモンさん:
シーバスリーガル・ユニティカスク12年はファーストフィルであることなども影響して、これまでのミズナラ12年とは全く異なる風味がします。しかしミズナラの良さも生かしたウイスキーと感じました。
Dear WHISKY:
これまでのシーバスリーガル・ミズナラ12年と比べてどのような違いがありますか?
サイモンさん:
シーバスリーガル・ユニティカスク12年の方が甘さとスパイシーさが際立つ味わいです。はちみつのような甘い味わい、生姜やシナモンといったミズナラ特有の風味も、シーバスリーガル・ミズナラ12年やシーバスリーガル・18年ミズナラカスクフィニッシュと比べて感じやすいと思います。
Dear WHISKY:
イベントやセミナーなどでシーバスリーガル・ユニティカスク12年を振る舞ったときの反応はどうでしたか?
サイモンさん:
ちょうど先日、静岡に出張した際に、バーテンダーの方が集まるイベントでシーバスリーガル・ユニティカスク12年を味わっていただきました。非常に喜んでいただき評価もしていただきました。シーバスリーガル・ミズナラ12年とシーバスリーガル・ユニティカスク12年を比較するテイスティングだったのですが、皆さんにご好評いただき、購入してくださいましたね。
Dear WHISKY:
今回お話にありました、「シーバスリーガル・12年」「シーバスリーガル・ミズナラ12年」「シーバスリーガル・ユニティカスク12年」の中で、サイモンさんご自身が一番お好きな商品はどれですか?
サイモンさん:
どれも本当に好きですが、1つ選ぶとなると「シーバスリーガル・ミズナラ12年」ですね。バーなどでペルノ・リカール・ジャパンの商品を飲む機会が多いのですが、その中でもシーバスリーガル・ミズナラ12年のハイボールをよく飲みます。まだシーバスリーガル・ユニティカスク12年のハイボールは試したことがないので、ユニティカスクのハイボールが一番になるかもしれないですね!
Dear WHISKY:
ユニティカスクのハイボールは、非常に贅沢ですね!
サイモンさん:
どこかで見かけたら私も飲みたいですね!
第1部はここまで!シーバスリーガルの歴史や、日本とシーバスリーガルとの深い関わり、さらには日本限定商品の解説まで、シーバスリーガルについての知識を深められた貴重な機会でした!
次回はサイモンさんが日本に来たきっかけやウイスキーに魅了された理由、そしてアンバサダーを務めた背景やこれからの目標まで様々な想いをお伺いしました。さらにはブランドアンバサダーを務めるサイモンさんから見た、スコッチウイスキーの魅力、展望についてもお話を伺いました。こちらも併せてぜひお読みください!