山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ブナハーブンはスコットランドのアイラ島で造られているシングルモルトです。
アイラ島のウイスキーといえば、全体的に個性が強く、クセがあってヨード香(人によっては正露丸の風味)、潮の味わいと称されることが多いです。
例えば、アードベッグなどは強いクセで有名。
しかし、アードベッグはスモーキーなクセと甘みのバランスがよく、ビギナーの方でもはまりやすいウイスキーです。
アードベッグのクセの強さにビギナーさんもはまる理由
ブナハーブンはそういったクセ揃いのアイラ島の中で唯一クセがなく飲みやすい、口あたりのいいウイスキーに仕上がっています。
2004年頃からはスモーキーなモルトもラインナップに加わっていますが、最近は種類が多岐に渡り豊富です。
今回は中でもおススメのラインナップをご紹介します。
この記事のポイント
アイラ島は『ウイスキーの聖地』と呼ばれるほどウイスキー造りが盛んです。
スコットランドのアイラ島は日本でいうところの淡路島程度の小さな島で、蒸留所はブナハーブンを含めて9か所あり、ピート(泥炭)で豊富に覆われた土地です。
そういった土地柄からピートを焚き込んだスモーキーな香りや潮風にさらされた潮っぽさのあるペッパー風味のウイスキーが多いといえるのです。
アイラ島にあるボウモア以外の蒸溜所は、ほとんどが辺鄙な場所にありますが、中でもブナハーブンは群を抜いているといえるでしょう。
ブナハーブンとはアイル語で「川の河口」を意味し、製造場所である蒸留所もアイラ島の北側にある入り江にあるのです。
ブナハーブンは他のアイラモルトと違い、ほとんどのラインナップにスモーキーさ、いわゆる燻製臭は控えめになっています。
これは基本的にモルトがノンピートの製法だからです。
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ブナハーブンはアイラモルトの中では遅くに出来たウイスキーだったので、他との差別化の意味でもスモーキーさや潮っぽさを抑えたウイスキーの生産に乗り出したというわけです。
蒸留は昔ながらのオレゴンパイン材の発酵槽を使用し、大きなポットスチルで蒸溜し、その「初溜液」をスピリッツスティルで再蒸留を行います。
その結果、アルコール度数70度の高いスピリッツが出来上がります。
そこへ、仕込み水として入り江に流れこむマーガデイル川の湧水を直接パイプで引きこんできているので、クセがなく、純粋さがあるウイスキーが完成されるのです。
味わいは海の潮っぽさがほのかに感じられ、レモンのシトラス感のあるライトタイプのモルトといえるでしょう。
アロマにはどこか昔の田舎を感じさせるノスタルジーさを思わせます。
ブナハーブン蒸留所は1881年に創業しました。
建設したのはグラスゴー出身のブレンダー、ウィリアム・ロバートソンを中心とした3人です。
しかし、実際に稼働を開始したのは1883年です。
稼働を開始するには大規模な設備投資が必要でした。
昔は陸上交通がほとんど発達していなかったため、蒸留所は海沿いに建てられました。
海沿いに蒸留所を建てることで船での輸送が可能になるからです。
同時に、蒸溜所に物資を供給する船のために波止場、長い専用の道路、蒸溜所で働く人々の住居も建設する必要がありました。
そこまで、投資しても上質なウイスキー作りに必要な条件がそろっていたからです。
それは高品質のピートが手に入り、マーガデイル川の湧水の確保ができることでした。
しかし、その後数年のうちに1887年のハイランドディスティラリー社を皮切りにエドリントン社からバーンスチュワート社へとオーナーの幾度とない変更を余儀なくされます。
1982年~1984年は蒸留所が一時閉鎖に見舞われたりもしました。
昔は小さな蒸留所にとって繰り返される買収は宿命ともいえるでしょう。
画像引用元:ブナハーブンオフィシャルサイト
12年と、ご紹介の中では短い熟成期間のスタンダードボトルですが色は非常に濃い琥珀色が特徴的です。
ヨーロピアンオークのバーボン樽をメインとしていますが、シェリー樽の香味も色濃く感じられます。
香りは甘く、レーズン、青りんご、黒糖からカカオの苦みやナッツの香ばしさを感じさせます。
味わいは軽い口当たりであり、フルーティな中にも清らかな湧き水のフレッシュさ、そして奥の方から漂う海の塩気を微かに感じる造りとなっています。
ミディアムボディでバランスの良さがあるのでビギナーさんにおススメです。
画像引用元:ブナハーブンオフィシャルサイト
ブナハーブン18年は、シェリー樽が40%、バーボン樽が60%の比率で熟成させた原酒をヴァッティングさせています。
バーボン樽による香味成分による甘いバニラのような香りが特徴的ですが、微かに革のようなオークも感じられます。
味わいは非常にフルーティでベリー系の果実、レーズンやチェリーなどです。
画像引用元:ブナハーブンオフィシャルサイト
色はナチュラルにきらめく黄金色が美しく、テクスチャは熟成期間の長さならではのまろやかさが素晴らしいです。
アロマはレーズンやチェリー、ナッツの香ばしさがあり、味わいは和三盆のような上品な和風の甘さがあり、それだけでなく海沿いの塩気も感じる上質さがあります。
品質に定評があり、さまざまなブレンデッドウイスキーのキーモルトとして使用されており、受賞歴もあるほどです。
2010年には、IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)、SWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)の二つの大会で金賞を受賞。
2011年には、スコッチ・ウィスキー・マスターズとSWSCで金賞を受賞しています。
日本市場限定入荷数36本の『ブナハーブン28年』はバーボン樽のホグスヘッドで28年熟成しています。
ホグスヘッドとは容量約220~250リットルの樽を一度解体し、組み直して作られるウイスキーのことで、ホグスヘッドはこの樽にウイスキーを詰めた際の重さが、おおむね豚一頭分になることに由来しています。
香りはライムやレモンなどの柑橘系、森林の香り、ナッツの香ばしさ。
味わいはパイナップルやマンゴーの青りんごのようなフルーツやバニラ、ハチミツと移りグレープフルーツ。
フィニッシュはナッツ、チョコレート、ほんのりと果実味を感じます。
ブナハーブンはストレートやロックで飲むのがおすすめです。
ハイボールなどだと甘さが増しすぎてしまい、お酒としては物足りない感じになるかもしれません。
ブナハーブン12年はロックでキンキンに冷やして飲むとライトでフレッシュなフルーツの爽やかさや麦の甘みをダイレクトに感じられてストレートより美味しいです。
逆にブナハーブン25年などは熟成期間の長さ特有のまろやかな口当たりと上品な風味を堪能するのにストレートがいいでしょう。
端正なコクを時間をかけてじっくりと味わうのに向いているといえます。
「ブナハーブン12年」を生産し、アイラモルトとの差別化を計って成功した異色のウイスキーブナハーブンですが、近年さらに新たな挑戦に挑んでいるようです。
例えば、あえてピートの効いたウイスキーだったり、着色料もチルフィルターを使用しないウイスキーなど。
非常に今後が楽しみな蒸留所といえるでしょう。
今回ご紹介した以外にもラインナップは豊富にあります。
是非、お好みにあった1本を見つけてみてください。