山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ロッホローモーランドとはスコットランドの南ハイランドで作られているシングルモルトウイスキーで、「ロッホローモンドグループ」から販売されています。
南ハイランドというと地理的にはローランド地方との丁度境界に近い場所になります。
スコットランドは小さな国でありながら、6つの地域で全く個性の異なるウイスキーを造っているのですが、その地域の一つがハイランド地方です。
ハイランド地方は一番領土が広く、スコットランドの北側の大部分を占めています。
そんなハイランド地方でボトリングまでを一貫して自社で完結してしまう蒸留所がロッホローモンド蒸留所です。
本記事ではロッホローモンドの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
ロッホローモンド蒸溜所はスコットランド南西部の大都市、グラスゴーから車で西に20分ほどのローモンド湖の岬、アレクサンドリアに位置しています。
loch(ロッホ)は「湖」という意味でスコットランド最大の湖であるローモンド湖から流れ出るリーヴェン川沿いに位置する蒸溜所です。
ローモンド湖はスコットランドで目撃されたとされる、未確認動物「ネス湖の怪獣 (ロッホ・ネス・モンスター)」、通称ネッシーが出たネス湖よりも広大な湖といわれています。
1814年当初は現在の場所とは異なるのですが、ローモンド湖の北端「ターバート」に蒸留所を設立しました。
当時のリトルミル蒸溜所長はダンカン・トーマスという人物です。
スコットランド最古の蒸留所であるリトルミルの第二蒸留所として操業をはじめたのですが、彼は3回蒸溜のリトルミルと同じ効果を2回の蒸溜で得るために、特殊なストレートネックのポットスチルを考え出しました。
この蒸溜所は19世紀半ばに一時閉鎖しましたが、1966年にリトルミル蒸溜所の敷地内に移転し蒸溜を再開します。
1984年に蒸溜所は再度閉鎖されますが、1987年に「アレクサンダー・ブロッホ&グレンカトリン」社に経営権が移り、生産を再開、しかしさらに蒸留所は閉鎖に追い込まれます。
その3年後の1987年に「アレクサンダー・ブロッホ&グレンカトリン」社に経営権が移り、生産を再開しました。
そして、1985年には「ロッホローモンドディスティラリーズ社」へと改称します。
1994年には当時ではグレーンとモルトの両方を生産できる技術を持った唯一の蒸留所としてグレーンウイスキー蒸溜所と独自の樽工場が蒸溜所の敷地内に新設されました。
これにより、ロッホロー蒸留所は蒸留から樽詰めに至るまで様々な手法を編み出すことができたのです。
それが、1999年に導入された新しいタイプのポットスチルでした。
ストレートネックのポットスチルに加えて、玉ねぎの形をしたポットスチルを導入しました。
これにより、様々なフレーバーの異なる味わいのウイスキーを作れることになったわけです。
続いて2007年には宮城峡蒸溜所が保有していることでも有名なカフェスチルの導入をします。
あえて、旧式の蒸溜システムを採用するのはなぜだろうと思われると思いますが、これには理由があります。
あえて旧式の蒸溜システムを使用することで、原料由来の風味をウイスキーに色濃く反映することができるからなのです。
そんなロッホローモンド蒸留所に転機が訪れたのは2014年のことです。
イギリスの投資家グループによって買収され、生産ラインや人員面などあらゆる点が刷新されました。
小規模だった蒸留所が今や、200名を超える大所帯になったのもこの頃になります。
ロッホローモンド蒸留所の大きな特徴として、同じ蒸留所内でモルトウイスキーとグレーンウイスキーを作れるということです。
ウイスキーのモルトとグレーンとは?ブレンデッドについても解説
そして、それに合わせた蒸留器を兼ね備えているのです。
蒸留器の種類 | 特徴 |
ストレートネックスチル(別名:ローモンドスチル) | フルーティーな酒質 |
伝統的な玉ねぎ型スチル(シングルモルトウイスキー用) | オイリーかつヘビーな酒質 |
連続式蒸溜器 | シングルグレーンの製造に使用される |
連続式蒸溜器 | グレーンウイスキーを製造に使用される |
ロッホローモンド蒸留所は蒸留器のタイプだけでなくピートレベル・樽選定など原酒スタイルの融合によりウイスキーが生み出されています。
蒸留器も所内に全部で3種6基もあります。
ライトでフルーティなインチマリン、ヘビリーピーテッドのインチモーン、そして完璧なバランスを持つロッホーローモンド。
これらのモルトは全てロッホローモンド蒸留所で作られており、そのフルーティさとピート香の絶妙の融合の鍵となる要素は蒸留所のハウススタイルから選ばれます。
ローモンドスチルによる独特の蒸留プロセスが多種多様で複雑な原酒を生み出すのです。
以下の写真がローモンドスチルです。
画像引用:ロッホローモンド正規代理店
ローモンドスチルは短く筒のような形状なのですが、単式蒸留器と連続式蒸留器の中間のようなもので蒸留器の中に板がいくつも入っており、一気に蒸留しないようになっています。
内部の板によって一気に蒸留しないので、雑味がなく、アルコール成分だけが上がってくるので不純物は取り除かれ、また、複雑な内部の板により様々な香りの資質があるウイスキー原酒をつくることができます。
極めて長い発酵時間と酵母の使い分け、そしてピーテッド原酒はさらに2機のポットスチルからも生まれます。
こうしてロッホローモンド蒸留所様々なスタイルの原酒を造り分けているのです。
1994年、蒸溜所の敷地内に樽工場もオープン。
熟成においては3つのシングルモルトはバーボン樽、リフィル樽、リチャー樽と3つの同じような樽でヴァッティングしており、次々と個性的で深みのある味わいを持ったウイスキーを作ることに成功しています。
全て敷地内の樽工場で管理されており、スコットランドでは4か所しかない蒸留所の一つです。
また、ここはスコットランドで初めてリチャー(焼き直し)マシンを導入した樽工場でもあります。
マスターブレンダーと熟成の計画を相談しながらチャーリングなどを細かに調整して、常に原酒の熟成に最適な樽を供給しています。
自前の工場がニューメイクと樽由来のフレーバーの素晴らしいハーモニーを可能にしています。
その完璧なバランスはマスターブレンダー1人しか知らないとのことです。
ロッホローモンドはシングルモルトのみでなく、グレーンもリリースされています。
テクスチャは少々オイリーな特徴があり、アロマはパッションフルーツやスイカ、パイナップルの酸味、少し人工的で桃缶のシロップのような甘さ。
味わいは樽熟成のバニラの甘みの中にハーブ感を感じられる、複雑みがあります。
南国のフルーツを感じられる豊かな甘みのフレーバーでエキゾチックな雰囲気も醸し出しています。
ロッホローモンドのおすすめラインナップをご紹介します。
画像引用:ロッホローモンド正規代理店
自社所有のローモンドスチルと伝統的なポットスチルで蒸溜した原酒を、同蒸溜所の樽工場で選びぬいた最高級のオーク樽で熟成しボトリングしました。
現在のロッホローモンドのスタンダードボトルです。
ノンヴィンテージながら非常にエレガントでフルボディな味わい。
アロマは白ワインっぽさの中に少し湿った土っぽさ。クリームチーズ、
味わいはオイリーな口当たりにバニラ。
余韻にほのかなピートを感じます。
リニューアル前は「紙の味がする」などと揶揄された、ロッホローモンドですが、今は改良され、かなりおすすめです。
画像引用:ロッホローモンド正規代理店
ロッホローモンドはウイスキー通の人には昔は好まれない印象がありましたが、2014年にオーナーが変わってからこちらも評判が良くなりました。
フルーティで甘い柑橘系のアロマ。
味わいはアルコールの刺激が46度なので結構ありますが、心地いい感じで焼き菓子、パイナップル、柑橘系の甘みがあり、若干の潮っぽさが複雑に絡み合っています。
少し加水すると甘い柑橘系の味わいが非常にきわだちます。
人によっては甘すぎと感じるかもしれないのでトワイスアップくらいでもいいかもしれませんね。
画像引用:ロッホローモンド正規代理店
ロッホローモンド18年は蒸溜所が保有する樽工場の、前マスタークーパーであったトミー・ウォレス 氏により選び抜かれた最高級のオークカスクで18年熟成された銘柄です。
アロマはは青りんごやオレンジ、フルボディで上品なオークの味わい、余韻はピートやスモーキーさに絡み合う、たばこの葉や紅茶の余韻が長く続きます。
画像引用:ロッホローモンド正規代理店
全世界でわずか60本のみのリリースとなった、50年熟成のシングルモルトです。
蒸留所が閉鎖してから稼働開始後まもない1967年蒸溜の原酒を、初めにアメリカンオーク樽で熟成し、その後にヨーロピアンオークに移し替えて約50年ものあいだ熟成を重ねました。
アルコール度数は46.2%でボトリングしています。
ボトルの製作はクリスタルデカンター及びパッケージはスコットランドにある「メソッド・スタジオ」が担当。
オーク材を使用した外箱には彫刻を加え、薄明りの中揺れているローモンド湖の水面を表現しました。
中心にある鍵穴に鍵を差し込み扉を開くと、波打つ台座の上に屹立するクリスタルボトルが蒸溜所の象徴であるストレートネックのポットスチルを連想させます。
フルーティーな香りが50年という長い熟成でさらに凝縮し、芳醇でトロピカルなフレーバーを生み出しました。
画像引用:ロッホローモンド正規代理店
グレーンウイスキーというと普通は原料がトウモロコシ・ライ麦・小麦などですが、こちらは大麦のみを使ったグレーンウイスキーです。
グレーンなのに大麦麦芽100%とはどういうことかというと、原材料はモルトのみですが、連続式蒸留器で蒸留しているためグレーン扱いとなるのです。
46度とアルコールの刺激はありますが12年ものと通づるリンゴのような甘みがあり、美味しいです。
若さがあるのでアルコールの刺激がピリピリときますが、その奥に感じられるウイスキーの深みが感じられます。
樽はアメリカンオークが使用されています。
ロックやハイボールにして飲むのがおすすめです。
画像引用:ロッホローモンド正規代理店
原料にピーテッドモルトを使用し、世界的にも希少なカフェスチルで蒸溜を行いました。
色は薄いゴールドでアロマは華やかなモルト、フローラル、リンゴ、柑橘系のフルーツ、ピートスモークもありますが、全体的にさっぱりとした感じです。
味わいは強いピートスモークがまずは一気に押し寄せます。
香ばしさとビターチョコの苦み、洋ナシなどのフルーティ感、二度目のピートスモーク。
余韻は短めですが、全体的に滑らかで口あたりがいいという印象です。
甘さも奥深くに感じられます。
画像引用:ロッホローモンド正規代理店
ロッホローモンドのオフィシャルアンバサダーであり、ヨーロッパツアーで7年連続賞金王を獲得した「コリン モンゴメリー」選手との共同開発によるシングルモルトです。
マスターブレンダーのマイケル・ヘンリー氏が4タイプの原酒を調合して、フルーティながらピートでスモークな風味がほのかに漂う味わいに仕上げました。
3種類のアメリカンオーク樽で熟成された原酒をアメリカンオークの新樽で丁寧にマリッジ。
ワイン酵母で発酵を行ったフルーティな桃や洋梨、メープルシロップなどの甘味、クリーミーなバニラ、余韻はフルーティさとともに訪れるスモーク、そして森林の香りが絶妙です。
画像引用:Amazon.co.jp
ロッホローモンドとカーセラースによる限定シングルモルトは、クリスティ・カー選手のアンバサダー就任により造られました。
2002年はクリスティ・カー選手が初めてLPGAツアーで勝利した記念すべき年です。
こちらも担当はマスターブレンダーのマイケル・ヘンリー氏が選んだボトルです。
2002年蒸溜の原酒を 「カーセラース2016 カレラ・クローン ピノ・ノワール」に使用された赤ワイン樽で後熟しました。
フランス南東にあるアルザスのヴォージュ産の 3年間使われていたオーク樽を使用しています。
この原酒にはローモンド式スチルとネックスチルの2つの蒸溜器で造られた原酒が組み合わされています。
エレガントでフルーティな2002年ヴィンテージシングルモルトです。
ロッホローモンドはクセがなく飲みやすいのでストレートがおすすめ。
ロッホローモンド シングルグレーンなどは少しスパイシーさもあるのでロックやハイボールにして甘みを際立たせるのも美味しいでしょう。
スコットランド最大の湖畔に誕生したロッホローモンド蒸留所ですが、2014年にオーナー変更があるまではあまり目立たない存在でした。
オーナー変更により、組織や生産ラインが拡充してからは数々のユニークな原酒のリリース!
また樽工場を同敷地内に所有する数少ない蒸留所でもあり、今後が非常に楽しみな蒸留所ですね。