アルマニャックのおすすめ銘柄は? コニャックとの違い、美味しい飲み方を解説
- ウイスキー基礎知識
刃牙(バキ)は、週刊少年チャンピオンで連載された日本の格闘漫画であり、アニメやゲームにもなっている人気作品です。
刃牙の作中には花山薫が愛飲するワイルドターキーや、範馬勇次郎が飲んだポートエレンのように実際に存在するウイスキー銘柄が複数登場します。
漢らしい豪快な飲みっぷりが見られることから、作中に登場するキャラクターに憧れてウイスキーに興味を持った方もいるのではないでしょうか。
この記事では、刃牙に登場するウイスキー銘柄を登場するエピソードとともに詳しく解説します。
この記事のポイント
画像引用:https://www.akitashoten.co.jp/comics/4253056172
漫画『刃牙(バキ)』とは、1991年に連載が開始された『グラップラー刃牙』から始まるシリーズの総称です。
1999年から『バキ』の連載がスタートし、2006年から『範馬刃牙』、2014年には『刃牙道』、2018年には『バキ道』とシリーズが続いており、2023年から『刃牙らへん』の連載が続いています。
アニメもNetflixの独占配信を中心に人気を集めており、『範馬刃牙』の最後の章にあたる「地上最強の親子喧嘩編」までアニメ化されました。
刃牙シリーズは、地下闘技場のチャンピオンである範馬刃牙と、史上最強の生物と呼ばれる刃牙の父親である範馬勇次郎の戦いを中心に、多数の魅力的なキャラクターが登場し、その戦いを描いた作品です。
このシリーズの魅力は、板垣恵介氏によって描かれる独特の画風によって表現される重厚感のある戦いですが、ファイターたちの食事シーンにも魅力が詰まっており、そのなかでも飲酒のシーンがいくつも描かれています。
代表的なシーンでは『刃牙道』で範馬勇次郎が実践柔術家の本部以蔵に対して、最高級のコニャックには安物のキャンディーが合うと語り、キャンディーをかみ砕きながらコニャックを飲みます。
「飲(や)りねぇ」という独特のルビとともに話題になった刃牙シリーズにおけるコニャックの飲み方です。
刃牙に登場するお酒はコニャックだけではなく、ウイスキーも実際にある複数の銘柄が作中に登場しており、刃牙に登場したウイスキーを実際に飲むことができます。
登場するウイスキーの魅力を語る前に、刃牙にウイスキーが登場する代表的なエピソードを3つ紹介していきます。
画像引用:https://www.akitashoten.co.jp/comics/4253231713
花山薫は、日本一の喧嘩師として全国のヤクザ・不良から恐れられながらも尊敬されている花山組の二代目組長です。
強者として生まれたことを自覚し、生まれながらに備わっている者が「鍛えることは女々しい」という信念のもと、格闘技の漫画でありながら技術を使用せず、相手の攻撃を受けたうえで殴り倒すステゴロを戦闘スタイルとします。
代表的な技は、超人的な握力を利用し、相手の腕や足などの部位を握りつぶす握撃です。
ヤクザに恥じない疵を負った威圧的な風貌でありながら、人格者で優しい心を持っており、彼自身の矜持とその生きざまが魅力的であることから、作中でも高い人気を誇る人物です。
主人公の範馬刃牙とは年が近い(花山薫はこの見た目から考えられないほど若い)ことから、二人は死闘をくり広げながらも友人のような関係であり、作中では同じく母を失った刃牙を気遣う様子が描かれています。
そのため、その人気の高さから花山薫を主人公とした『バキ外伝 疵面 -スカーフェイス-』が発売されています。
刃牙シリーズでも人気キャラクターである花山薫が愛飲しているウイスキーがワイルドターキーです。
作中に何度も登場している銘柄であり、豪快にラッパ飲みする姿に憧れた人もいることでしょう。
刃牙に登場するウイスキー銘柄をひとつ思い浮かべるとすれば、花山の印象からワイルドターキーが最初に挙げられやすいのではないでしょうか。
ワイルドターキーは、花山薫を象徴する力強くパンチのある味わいを持ちながら、どこか優しい甘みも感じられるウイスキーです。
価格もワイルドターキー 8年であれば安く購入しやすいことから、刃牙からウイスキーに興味を持った方や花山薫の生きざまに憧れた方におすすめのウイスキーとなっています。
また、花山は作中でワイルドターキーのほかにフォアローゼズというバーボンも飲んでおり、ワイルドターキーとは異なる味わいを持っていますので、興味があれば飲んでみることをおすすめします。
画像引用:https://www.akitashoten.co.jp/comics/4253292119
次に紹介するエピソードは、『バキ』の「最強死刑囚編」の烈海王と、ヘクター・ドイルが偶然の邂逅からバーでウイスキーを飲むエピソードです。
類まれぬ武の才能を持ち中国武術界の高位称号である「海王」の名を持つ烈海王と、全身に刃物や爆薬などの武器を収納するイギリスの死刑囚ヘクター・ドイルのお話になります。
臨戦状態にあった烈海王とドイルは偶然デパートで出会い、ドイルは挑発しますが、烈海王はかけられる言葉に対してすべて「わたしは構わん」と一蹴します。
烈海王の様子を見て不敵な笑みを浮かべたドイルは、なぜかバーに誘い、二人はバーに行くことになりますが、そのときに烈海王に振舞ったウイスキーがアードベッグです。
ドイルは「オレの故郷(クニ)の酒だ クセのあるスコッチだが、慣れるにつれヤミツキになる」とアードベッグの魅力を語っています。
イギリス出身であるドイルが語るとおり、アードベッグは非常にクセのあるウイスキーであり、燻製を思わせるような強いスモークが特徴です。
アードベッグを初めて飲んだ烈海王はお酒の味についてなにも語ることなく、アードベッグが注がれたグラスをしかめっ面で見つめていました。
最初にアードベッグを飲んだときの反応としては、ウイスキー好きであれば共感できるかと思いますが、アードベッグが分類されるアイラウイスキーは慣れるにつれヤミツキになる魅力を持った銘柄です。
刃牙シリーズもクセのある絵で、好き嫌いが分かれる作品でありながら、ハマればヤミツキになるため、アードベッグはバキシリーズを象徴する銘柄といえるかもしれません。
戦いの前の静けさを感じる静かな緊張感のなかで飲まれたアードベッグですが、烈海王を象徴する名台詞である「わたしは一向にかまわんッッ」を発するとともに戦いの火蓋が切られるのでした。
このとき発した名言をもとに、烈海王の外伝作品である『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』が発売されています。
画像引用:https://baki-30th.com/history/
最後に紹介するエピソードは、『範馬刃牙』で描かれている刃牙シリーズを代表する人物である史上最強の生物の異名を持つ範馬勇次郎とウイスキーのお話です。
実戦空手、神心会の創始者であり、「武神」や「人食い愚地」の異名を持つ愚地独歩と範馬勇次郎がバーで飲むシーンになります。
勇次郎と独歩は『グラップラー刃牙』で戦ったことがあり、そのときの戦いで独歩は敗れ、右目を失っています。
独歩の息子である克巳の戦いに関して、お互いに親である勇次郎と独歩は思うところがあり、その戦いについて語っていました。
このとき、一息つくために注文したウイスキーがポートエレン 10年であり、勇次郎は「ポートエレン 10年物を」と銘柄名と年数を指定しています。
マスターは勇次郎のただならぬ雰囲気に冷や汗をかきながら、飲み方はロックかストレートかを尋ねています。
勇次郎はボトルそのものとジョッキを要求し、ボトルを逆さにして底部に手の平を当て、凄まじい握力で底部を持ち上げてしまいました。
そして、中身をジョッキに注ぐとビールを飲むのと同じ感覚で、ポートエレンをジョッキで一気飲みします。
ウイスキーのアルコール度数は一般的な銘柄では40%程度であり、銘柄によっては60%を超えることもありますが、こちらのポートエレンはアルコール度数が70%あったようです。
当たり前ではありますが、ウイスキーのジョッキ飲みは範馬勇次郎でなければ命にかかわりますので、マネしないようにしてください。
ポートエレンという銘柄は、アードベッグと同じアイラウイスキーに分類されるスモーキーなクセのあるウイスキーですが、1983年にすでに閉鎖している蒸溜所です。
勇次郎が飲んだボトルはもちろん、同一の銘柄の別のボトルであっても、ここまで紹介したウイスキーと比較すると飲むことが難しいウイスキーとなっています。
ここまで紹介したエピソードに登場した刃牙に登場するウイスキー銘柄を3つ紹介します。
画像引用:https://www.wildturkey.jp/our-products/
ワイルドターキー 8年は、花山薫が飲んでいたとされるワイルドターキーであり、作中でもワイルドターキーのラベルデザインに8の数字が確認されるコマがありました。
ただし、作中では花山薫のトレードマークといえるほどワイルドターキーの登場回数が多いことから、スタンダードに見えるボトルもあれば、12年のボトルが登場していたこともあるため、必ずしも8年にこだわらなくても良いかもしれません。
今回は、ワイルドターキーのなかでも入手しやすく、味わいもおすすめできる8年物を紹介させていただきます。
ワイルドターキー 8年はアルコール度数が50%を超えており、ストレートで飲めばパンチのある力強い印象を感じることでしょう。
スパイスの効いたピリッとした刺激があり、少し薬品のような香りもすることから、クセのあるウイスキーです。
しかし、バニラとフルーツを思わせるような優しい甘みも感じられるため、ウイスキーの魅力である複層的で複雑な味わいが楽しめる銘柄となっています。
ウイスキーを初めて飲む場合に勧められることは少ない銘柄ですが、ウイスキーを炭酸水で割るハイボールという飲み方であれば、甘く飲みごたえがあり、ストレートよりも飲みやすい味わいになるため、ウイスキーを飲みなれていない方はハイボールで飲むのもおすすめです。
飲み方を工夫すれば初心者も楽しめる銘柄ではありますが、刃牙好きであればまずはストレートで一発、花山薫の力強さというものを体験してみたいところです。
画像引用:https://www.ardbegjapan.com/products/
烈海王とドイルが飲んだアードベッグは残念ながら銘柄の特定ができていませんが、入手しやすく一番スタンダードなアードベッグといえるアードベッグ TENを紹介します。
アードベッグはドイルの故郷であるイギリスのスコットランドに存在するアイラ島という小さな島で製造されるスコッチです。
この島で製造されるウイスキーは、アードベッグに限らず多くの銘柄に共通して、燻製を思わせるような強いスモーク香が感じられる銘柄となっています。
そのなかでもアードベッグは、アイラ島で作られたウイスキーのなかでもスモーク香が最も強い銘柄といわれることがあります。
つまり、アードベッグはスモーク香において史上最強のウイスキーであるといえるでしょう。
口に含めば、強過ぎる薬品と炭焼きのような香りが鼻腔を通り抜け、後味にも強く残るスモークから史上最強の名を冠するのにふさわしい銘柄です。
アイラ島という海に近い環境で製造されることから、潮気のような海を感じる風味も感じられ、非常にクセのある香りとなっています。
しかし、ここまで力強さとクセを備えながら、柑橘系の果実やチョコレートのような甘みが感じられます。
少しでもなにかが掛け違えば崩れてしまいそうな力強さと繊細さのバランスが魅力なのです。
非常に好みが分かれる銘柄であり、ウイスキーを初めて飲む方には、なかなかおすすめできない強いクセが特徴ですが、ハマれば刃牙シリーズ同様にヤミツキになること間違いなしです。
範馬勇次郎が飲んでいたポートエレンは、蒸溜所が公式に発売した銘柄ではなくG&M(ゴードン&マクファイル)と呼ばれるボトラーズ(瓶詰業者)が発売した銘柄であることがわかっています。
ボトラーズとは、蒸溜所から直接ウイスキーを熟成させている樽(タル)を購入し、自分たちで熟成させてボトル詰めして販売する業者であり、レアなウイスキーが飲めることがあるため、ウイスキーマニアから人気を集めています。
1968年、G&Mのジョージ・アークハートは、スコッチの各蒸留所のウイスキーを「Connoisseurs Choice(コニッサーズチョイス)」として発売を開始しました。
作中に登場したポートエレンはこちらのシリーズから発売した銘柄であり、ボトルの年数と年代から初期に販売されたボトルであることが推測できます。
ボトラーズは一度販売したウイスキーを再販することがほとんどないため、範馬勇次郎が飲んでいた同じボトルのポートエレンを探して飲むのは非常に困難といわざるを得ません。
また、ポートエレンは1983年にすでに閉鎖している蒸溜所であり、製造自体が停止していることから同じボトルどころか、ポートエレンを飲む難易度も高いといえるでしょう。
ただし、2022年にディアジオ社はポートエレンの再稼働プロジェクトを開始しており、アレキサンダー・マクドナルドを新マネージャーに据えたことを発表していることから、復活の動きもあります。
現状では、刃牙シリーズに登場するウイスキーのなかでも、最も入手難易度の高い銘柄がポートエレンとなっています。
刃牙(バキ)シリーズに登場するウイスキーを解説しましたが、ウイスキーに興味を持つきっかけは自分が好きな漫画からでも良いため、あのキャラクターが飲んだウイスキーと同じものを一度飲んでみましょう。
また、刃牙シリーズは日本でウイスキーを販売する代表的な企業であるサントリーと「THE STRONG 天然水スパークリング」と呼ばれる強炭酸水をプロモーションする目的としてコラボしたことがあり、強い刺激のハイボールを作るのに最適となっています。
刃牙シリーズに登場するウイスキー銘柄は、作品と同様にどれもクセがありますが、ハマりやすい味わいとなっているため、ウイスキーを初めて飲む方も挑戦してみましょう。