ラフロイグ 10年とは? スモーキーな味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ベンリアックとは、スコットランドのスペイサイド地方中心部に位置するベンリアック蒸留所にて製造されたシングルモルトウイスキーです。
険しくも美しいスペイサイド北部のリアック農場跡地に建つベンリアック蒸留所。
仕込み水には蒸留所の地下深くにあるミネラル分豊富な帯水層を使用しており、アンピーテッド、ハイランドピーテッド、3回蒸留という3つのスタイルのウイスキーを製造する長い伝統を持っています。
また、世界中から集めた良質・多様な樽を組み合わせることで、シングルモルトの可能性を最大限に引き出し、風味豊かで奥深いウイスキーを生み出しています。
この記事のポイント
画像引用: https://www.benriachdistillery.com/
ベンリアック蒸留所がロングモーン蒸留所の創業者ジョン・ダフによって創設されたのは、ヴィクトリア女王の治世下であった1897年の出来事です。
ウイスキーの空前の大ブームと、原酒の供給過多が懸念されていた時期でした。
直後、ウイスキー業界大手のパティソンズ社が倒産したことをきっかけに、多くのブレンデッド会社や蒸留所が経営難に追い込まれます。
ベンリアック蒸留所も、ウイスキーをほとんど生産することなく1900年に閉鎖が決定されました。
ベンリアック蒸留所が再び日の目を浴びるのは、なんと閉鎖から65年後の1966年の出来事です。
きっかけとなったのは、ザ・グレンリベット・グレングラント蒸留会社(現シーバル社)がロングモーンとベンリアックの2つの蒸留所を買収し、生産を再開させたことでした。
このときに大規模な改修が行われ、かつて1 基の蒸留器と1基のウォッシュスチルで運営されていた蒸留所は、現在のような2器体制となりました。
一時期3器制が導入されましたが、アンバランスな生産が懸念され、カナダの会社へと売却されています。
現在は、マスターブレンダーであるRachel Barrie氏(2017年~)の監修のもと、伝統的な製造方法を受け継ぎながら、蒸留所のツアーや新パッケージの発表など、ブランディングを強化しています。
年 | 出来事 |
1898 | ジョン・ダフィー社がベンリアックを設立 |
1978 | シーグラム社が蒸溜所の運営を引き継ぐ |
1983 | シーグラム社がピーテッド・ベンリアックの生産を開始 |
1994 | ベンリアックが10年物のボトリングで独自のブランドとなる |
1998 | ベンリアックの製麦工場が閉鎖され、4年後には蒸留所も閉鎖される |
2003 | イントラ・トレーディング社が、バーン・スチュワート社の元ディレクター、ビリー・ウォーカー氏と共にベンリアックを買収し、生産を再開する |
2008 | ベンリアックカンパニーがグレンドロナック蒸留所を買収 |
2013 | ベンリアックのフロアモルティングを再開、その間にグレンラッソー蒸溜所を買収 |
2016 | 米国の飲料メーカーであるブラウン・フォーマン社がベンリアック社をベンリアック蒸溜所の会社全体とともに買収 |
2017 | Rachel Barrie氏が、グレンドロナック、グレングラッサ蒸留所とともにベンリアック蒸留所のマスターブレンダーに就任 |
2020 | 新たなポートフォリオ・パッケージデザインを発表 |
ベンリアックが人気を誇る最大の理由、それは何層にも重ねられた「自然の恵み」と言えるでしょう。
ベンリアック蒸留所は、スペイサイドの中心に位置しながらも、当地域では大変珍しいノンピートの大麦麦芽とヘビリーピートの麦芽を仕込んでいます。
かつてはオーナーであったシーバス・ブラザーズ社の、スモーキーなシーバスリーガルの原酒生産を支えるためでした。
幾度かオーナーの変更を経た現在でも、年に4週間だけフェノール値55pmの麦芽の仕込みを行っています。
さらに、ベンリアックは今日では大変希少な自社内でのフロアモルティングの伝統を1898年から守り続け、ウイスキー愛好家から高い評価を受けています。
フロアモルティングとは、ウイスキーの原料である大麦の発芽過程(製麦)で、発芽を均一に促すため、床に浸麦した大麦を敷き詰めてシャベルで攪拌する作業です。
ベンリアックを除くほとんどの蒸留所では、業者への委託・機械での作業が行われており、スペイサイド地方ではベンリアックを含め2つの蒸留所しかフロアモルティングを行っていません。
1年のうち、地元の大麦を使用して行う手作業の製麦作業は「モルティング・シーズン」と呼ばれ、蒸留所の一大イベントとなっています。
さらに、ベンリアックのシグネチャーである芳醇でフルーティな味わいは、3~4種類の異なる樽(最高品質のシェリー樽、ジャマイカ産ラム、マサラワイン、ケンタッキーバーボン、ヴァージン・オーク樽)を組み合わせることで生まれています。
その他にも、時のオーナーの要望に応じてアイラタイプ、ローランドタイプなど、スペイサイドという地域ブランドに縛られない多様な原酒をストックしてきました。
あらゆる年に造られたピーティングレベルの異なる豊富なストックは、ウォーカーを初めとしたオーナー会社の品揃え拡大に貢献してきたのです。
これらの生産方法の一部は、蒸留所ツアーで公開されています。
ツアーにはテイスティング体験も含まれており、美しいスペイサイドの風景と共に、ベンリアックのシングルモルトウイスキーを楽しむことが出来ます。
ベンリアックはその高品質なウイスキー造りから、これまで数々の賞が与えられてきました。
ここでは、その一部をご紹介します。
授賞年 | 賞の名称 |
2005 | Best International Business Award, Enterprising Scotland Awards 2005 |
2006 | Gold Medal (BenRiach 16 year old), International Wines and Spirits Competition 2006 |
2006 | Silver Medals (BenRiach Heart of Speyside, 12 year old, Curiositas and Authenticus), International Wines and Spirits Competition 2006 |
2006 | Best Performing Small Business Award, under 25 employees, Enterprising Scotland Awards 2006 |
2007 | Distillery of the Year, Malt Advocate Whisky Awards 2007 |
2007 | Best Rare Speyside (BenRiach Authenticus 21 Year Old), World Whisky Awards, Whisky Magazine 2007 |
2015 | Global Whisky Distiller of the Year, World Whiskies Awards 2015 |
2021 | Double Gold Medals, San Francisco World Spirits Competition |
上記の洗練された製造方法によって引き出される果実の旨味、モルトの甘味、そしてスパイスを加える木材の風味は、ベンリアックシリーズに特徴的な味わいを与えています。
以下では、ベンリアックの豊富なラインナップの中から、コアレンジとスペシャルエディションをご紹介しています。
なめらかで多層的な味わいが楽しめる、ベンリアックのシグネチャーボトルです。
バーボン、シェリー、ヴァージン・オークの3種類の樽で熟成され、オーチャードフルーツ、ハニーモルト、トーストされたオークの風味が、微かなスモークと共に贅沢に感じられます。
シェリー、バーボン、ポートの3つの樽で熟成し、それぞれの樽が生み出す風味を巧みに絡み合います。芳醇なシェリー、じっくりと焼いた果物、メープルハニー、ココアの味わいの層に、サルタナレーズンとスパイスモカの余韻で完璧なバランスを実現しています。
シェリー、バーボン、ポートの3つの樽で熟成し、それぞれの樽が生み出す風味を巧みに絡み合います。
芳醇なシェリー、じっくりと焼いた果物、メープルハニー、ココアの味わいの層に、サルタナレーズンとスパイスモカの余韻で完璧なバランスを実現しています。
フルーツ、モルト、オーク、そして重厚なスモークの層が織りなす完璧なマリアージュです。
バーボン、シェリー、マルサラ酒の3つの樽での熟成と、アンピーテッドとピーテッド両方を掛け合わせることで、熟した果実、香り高いスモーキーな甘さ、温かみのあるオークのスパイスが重なった、クリーミーなシングルモルトです。
アンピーテッドとピーテッドの原酒を、バーボン、シェリー、ヴァージン・オーク、ボルドー産赤ワインの樽で熟成することで造られました。
シグネチャーであるスペイサイドスモークが、果実、モルト、オークと21年かけて一体化を遂げた、エレガントなハニースモークがお楽しみいただけます。
ピーテッドの原酒から造られ、シェリー、バーボン、ヴァージン・オーク、ポルト・ワインの故郷ドウロ渓谷のポート樽で熟成されました。
熟成したフルーツ、濃厚なクルミ、ベルベットのようなオークスパイスが幾層にも重なり合い、それぞれの樽の特徴が絶妙なバランスで絡み合います。
ベンリアックのスペシャルエディションは、蒸留所が誇る多彩な製法・歴史を直に感じられる、ウイスキー愛好家に人気のシリーズです。
ベンリアックの伝統的な製造技術を取り入れた、強烈なスモークを感じられるウイスキーです。
スペイサイドの一般的なイメージとは裏腹に、ベンリアック蒸留所が造られた19世紀当時、ピーテッドのシングルモルトが人気を催していたことが明らかになっています。
マスターブレンダーのレイチェル・バリー氏によって生み出された新しいレシピで、ベンリアックのスモーキースピリッツの甘味が存分に引き出されています。
ベンリアック蒸留所のフロアモルティングによって引き出されたクリーンでクリーミーな風味と、大麦の黄金色が美しいウイスキーです。
大麦糖、アーモンドファッジ、ポーチドオーチャードアップルの芳醇な香りと、バニラやハチミツが香る洋梨の滑らかで丸みあるフレーバー、ゆっくりと焚かれたモルトのナッツ感が高く評価されています。
ベンリアックの倉庫には、スコットランドで最も豊富な樽のセレクションがあります。この世界中から集められた「眠れる森の美女
(sleeping beauties)」たちの中でも、最も個性的なカスクタイプをいくつか厳選して造られたのがこのコレクションです。
ウイスキー造りにおける樽の可能性を、ベンリアックの精巧な製造技術とともに味わうことが出来ます。
ベンリアックは味がぶれにくく、ストレート・加水・ロック・水割り・ハイボールなど、幅広い飲み方でお楽しみいただけます。
その中でも、人気な飲み方3つをご紹介します。
ベンリアックの特徴であるシェリーの甘酸っぱさ、フルーティで滑らかな味わいの奥深さを楽しむのであれば、ストレートがおすすめです。
ベンリアックのコレクションは全体的にバランスが良く飲みやすいため、ウイスキー初心者でも挑戦しやすいと言われています。
ロックで飲む場合、芳醇なシェリーの香りと甘味に加え、若干の苦みを味わうことが出来ます。
時間とともに味わいが変化するため、ベンリアックの複層的な風味をゆっくりと堪能したい人におすすめです。
フルーティな香りが特徴のベンリアックは、ハイボールでもおすすめです。特に、スモーキーシリーズはピートの心地よいコクと甘味を感じられるため、人気の組み合わせです。
さっぱりと爽やかな、しかし味はしっかりと感じられるハイボールがお好きな方におすすめです。
“True world of flavour”―フレーバーの真の世界―を掲げるベンリアック蒸留所は、伝統と革新を組み合わせた特徴的な製造方法で、スペイサイドシングルモルトの可能性を常に広げてきました。
ウイスキーを特徴付ける各要素を巧みにぶつけあい、新たな素晴らしいウイスキーを生み出してきたベンリアックは、世界的にも高い評価を得ています。
バランスの良い飲みやすいウイスキーですので、ぜひこの機会に飲んでみてはいかがでしょうか。