ブランデーを使ったおすすめのカクテルは? 定番のレシピ・作り方をご紹介
- ウイスキー基礎知識
ブランデーはワインと同様にブドウを使用したお酒であることはわかっても、具体的な作り方がわからない人もいることでしょう。
実はブランデーはウイスキーと同様に蒸溜酒にカテゴライズされるお酒であるため、蒸留した原酒を熟成樽で熟成させる過程が存在します。
ブランデーは種類によっても製造方法が異なり、ブドウ以外にもりんごをはじめとする別の果実が使用されることもありますが、基本的な製造方法は同様です。
この記事では、ブランデーの作り方・製造方法を収穫から瓶詰めまでの複数の工程に分けて紹介していきます。
この記事のポイント
ブランデーの原料は果実であり、代表的なブランデーの種類であるコニャックでは白ブドウが原料として使用されます。
原料はワインと同様ですが、ワインとの違いはワインが醸造酒であるのに対して、ブランデーは蒸溜酒であることです。
コニャックは、発酵させた原料のアルコール成分を抽出する蒸溜という工程を経た後に、熟成樽で熟成させることが特徴です。
製造工程においてはウイスキーとの共通点が多く、ブランデーはウイスキーと同様に蒸溜酒の仲間になります。
ブランデーの代表的な種類には世界三大ブランデーがあり、以下の通りです。
世界三大ブランデー
コニャックとアルマニャックでは製造方法に異なる部分があり、カルヴァドスは白ブドウではなくりんごを原料とするなど違いがあります。
ブランデーには様々な種類があるため、原料を含めた製造方法に違いがある場合もありますが、基本的な流れは共通していることが多いです。
ブランデーを深く知るために具体的な作り方・製造方法を見ていきましょう。
ブランデーの種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ブランデーの種類は? 原料・産地・ランクによって異なる違いを解説!
代表的なブランデーであるコニャックを中心に作り方・製造方法を以下の7項目にわけて紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コニャックの原料は白ブドウであり、原料に使えるブドウの種類も規定されていますが、主に「ユニ・ブラン(Ugni Blanc)」が使用されています。
ユニ・ブランは、同じブドウを原料に使用するお酒のワインでは選ばれることが少ない品種です。
しかし、ブランデーにおいては糖度が低く酸味が強く、カビや疫病に対して強い耐性があり、香味成分が凝縮されやすいことなどを理由に適しているといわれています。
ブランデーの原料となるブドウの収穫時期は一般的に9月中旬から10月下旬といわれており、ブドウの成熟具合、酸度・糖度などを考慮して決定します。
収穫方法は手摘みまたは機械収穫となっていますが、近年では技術の進歩により機械収穫でもブドウの品質を損ねずに効率的に収穫できることから機械収穫が主流です。
収穫された白ブドウは、すぐに破砕の工程へと移されます。
破砕は白ブドウを果実のみとする作業であり、次の工程において枝と葉が混入しないようにするための作業です。
ブランデーに必要になるのは果実の果汁のみであるため、圧搾・搾汁において皮や種子を潰さずに果汁を搾り取ります。
搾り取った果汁は大樽に移されて、自然発酵、またはイースト菌を加えて酵母の力で発酵させます。
高級ブランデーを作る場合は自然発酵させる場合が多いですが、発酵方法は製造するメーカーによっても異なるところです。
発酵が終わるとアルコール度数8%程度の白ワインが完成しますが、ユニ・ブランを使用したワインは酸味が強く、糖度低いため、そのまま飲むには向いていません。
完成した白ワインはアルコール抽出して、風味を凝縮させる蒸溜の工程に移ります。
蒸溜の原理はウイスキーと同様であり、加熱された蒸気を抽出して再び冷却することでアルコール度数の高い液体に戻します。
蒸留で得られる液体は「テット」「ブルイ」「クー」の3つに分けられ、最も風味が良いとされるブルイの液体を熟成に使用する仕組みです。
蒸留の回数はブランデーの種類によって異なり、コニャックは単式蒸溜器で2回蒸溜しますが、アルマニャックは連続式蒸溜器で1回蒸溜します。
コニャックでは初回蒸溜をプルミエ・ショーフと呼び、この時点でアルコール度数は30%程度となっていますが、2回目の再蒸留(ボンヌ・ショーフ)ではアルコール度数が約70%に達します。
また、蒸溜したばかりのブランデーの原酒はヌーベルと呼ばれ、この段階では無色透明で荒々しい味わいです。
蒸留したヌーベルは、オークを使用した木製の樽で熟成することで洗練された風味へと変化していきます。
無色透明の液体から樽の影響によって、琥珀色へと変化することで、商品として販売されるブランデーに近づきます。
コニャックは2年以上の熟成が必要であり、熟成樽が長い時間をかけて影響を与える仕組みです。
熟成期間が長くなるほどまろやかで深みのある味わいに変化し、高価な商品として販売されます。
熟成中の温度や湿度も完成するブランデーに影響を及ぼすため、適切な熟成環境を整えることも品質の高いブランデーを製造するポイントです。
熟成の過程がウイスキーと共通していることから、ブランデーとウイスキーは同様に綺麗な琥珀色をしたお酒になります。
ブランデーにも共通するところも多いウイスキーの熟成樽の役割についてはこちらの記事で紹介しています。
ウイスキーの熟成期間による味の変化とカスク(樽)の役割について
熟成を終えたブランデーは樽から取り出されますが、瓶詰めして出荷される前に調合(ブレンド)・加水によって味わいが整えられます。
調合の過程が必要になる理由は、同一の商品として販売するために品質を均一にする必要があること、一つの樽のブランデーのみを使用するよりも複数のブランデーを調合して販売するほうが大量生産においては効率的であるからです。
熟成年数の異なるブランデーを複数調合することになりますが、原酒の選定において重要になるのは調合した原酒の中でも最も熟成年数が若い原酒です。
コニャックにはランクがあり、高いランクほど品質が良いことを表していますが、高ランクとしてブランデーを販売するには以下の条件を守る必要があります。
ランク | コント | 平均熟成年数 |
スリースター | コント2以上 | - |
VS(Very Special) | コント2以上 | 4年~7年 |
VSOP(Very Superior Old Pale) | コント4以上 | 7年~10年 |
ナポレオン(Napoléon) | コント6以上 | 12年~15年 |
XO(Extra Old) | コント10以上 | 20年~25年 |
オルダージュ(Hors D’age) | コント10以上 | 35年以上 |
コニャックは最低でもコント2以上(熟成年数2年)の原酒を使用する必要があり、平均熟成年数が4年以上になるとVSのランクを名乗れます。
一方で、VSOPは7年以上の平均熟成年数が必要ですが、使用する原酒の最低熟成年数はコント4以上(熟成年数4年)でなければなりません。
ウイスキーも12年熟成を名乗るためには、最も若い原酒が12年以上であることが条件であるため、蒸溜酒の調合においては最も若い原酒が重要になります。
長期間の製造工程を経て、ブランデーを商品として販売するための最終工程となるのが瓶詰めです。
基本的には大手メーカーを中心に機械で瓶詰めが行われますが、小規模生産の場合は手作業で行われる場合もあるようです。
瓶詰めされたブランデーは販売先や代理店に向けて出荷され、消費者の手元に届きます。
酒税法において日本ではブランデーをはじめとするお酒を個人で作る行為は禁止されていますが、既製品を利用した個人消費は例外とされています。
フルーツをブランデーに漬けるフルーツブランデーは、個人とその家族の範囲内で楽しむのであれば問題はないため、お好きなフルーツでフルーツブランデーを作ってみましょう。
レシピと作り方は以下の通りです。
材料 | 内容 |
ブランデー | 450ml |
お好みのフルーツ(ブドウ以外) | いちご、オレンジ、りんご、パイナップルなど |
砂糖 | お好みで |
保存瓶 | 密閉できるもの |
作り方
フルーツブランデーは既製品のブランデー、蓋が付いており密閉できる保存瓶、お好みのフルーツで簡単に作ることができます。
使用するフルーツはブドウ以外であれば、旬のフルーツを使用できるため、季節ごとに楽しめることが魅力です。
フルーツブランデー、漬け込みウイスキーのような漬け込み酒を個人で作る場合は、以下の点に注意して作るようにしてください。
酒税法 | 概要 |
① | 消費者が自分で飲むための酒類であること(同居親族の消費も含む) |
② | 漬け込む酒のアルコール度数が20度以上で、酒税が課税済みのものであること |
③ | 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ、でんぷんは使用不可 |
④ | ぶどう(山ぶどう)は酒の材料に使用できない |
⑤ | アミノ酸、ビタミン類、核酸分解物、有機酸、無機塩類、色素、香料は使用不可 |
参考:国税庁 【自家醸造】
ブランデーの作り方・製造方法についてまとめましたが、同じ蒸溜酒であることからウイスキーと共通点も多くなっています。
ブランデーの作り方を知ってご自宅でも作ってみたくなった方は、法律上においても問題がないフルーツブランデーを作ることをおすすめします。
ウイスキーからブランデーに興味を持った方を含めて、ブランデー初心者におすすめの銘柄は以下の記事で紹介しています。