初心者におすすめのカルヴァドスは? 人気の種類と美味しい飲み方を紹介
- ウイスキー基礎知識
ブランデーにはランク(等級)が指定されており、銘柄名とVO、VSOP、XOなどのアルファベットの組み合わせを見てもよくわからない方もいるかもしれません。
高ランクにはフランス発祥のブランデーらしい英雄のナポレオンもありますが、同じランクでも複数の名称が存在することからブランデー初心者がブランデーの等級を感覚的に理解することは難しいです。
基本的にはウイスキーと同様に熟成年数の長いブランデーの価値が高いとされているため、高ランクのブランデーは熟成年数の長いものとなります。
ただし、年数で熟成年数を表記するのではなく、ブランデーにはランクを表記するための取り決めが細かく設定されていることが複雑な世要素です。
この記事では、ブランデーのランクについて紹介し、ブランデーを見ていると見かけることも多いVO、VSOP、XOなどの意味を解説していきます。
この記事のポイント
ブランデーのランク(等級)とは、ブランデーの品質や希少性を判断するための指標として表示されている格付のことです。
ランクの基準になるのは熟成年数であり、基本的には熟成年数の長いブランデーが高ランクを名乗ることができます。
そのため、ランクの高いブランデーほど高価格で販売されることが多く、味わいも洗練されていきます。
もちろん、熟成年数を基準としたランクであることから、一概にブランデーの優劣を示すものではありません。
ブランデーのランクは、フランスのAOC(Appellation d’Origine Contrôlée)が定めているものです。
AOCは世界三大ブランデーと呼ばれるコニャック、アルマニャック、カルヴァドスを名乗るための基準も設定している制度です。
AOCの制度下にあるブランデーとそれ以外の国で製造されているブランデーには溝があり、ブランデーのランクを含めた基準についても異なることを理解しておきましょう。
しかし、市場に流通しているブランデーの多くがAOCの制度のもとに製造されているため、ブランデーのランクもAOCが定めた基準が基本となります。
ブランデーの熟成年数ではコント(Compte)という考え方を基準としています。
コントでは、蒸溜日ではなく原料となる果実の収穫の翌年4月1日を基準として熟成年数をカウントする仕組みのことです。
コント | 期間 | 内容 |
コント00 | 蒸溜日~翌年4月1日 | 蒸溜された年度 |
コント0 | 最初の4月1日~翌年の4月1日 | 以降は4月1日を基準とする |
コント1 | 2回目の4月1日~翌年の4月1日 | - |
コント2 | 3回目の4月1日~翌年の4月1日 | ブランデーとして販売できる |
ブランデーの原料となるぶどうは毎年10月に収穫されるため、収穫されてから翌年の3月にかけて蒸溜が行われることになります。
反対に言えばブランデーを作るために収穫したブドウは翌年の3月までに蒸溜しなければなりません。
蒸溜日からコントの基準となる4月1日までの期間をコント00と呼び、最初の4月1日を迎えるとコント0となり、以降は4月1日を基準として数字が上昇します。
そして、ブランデーとして出荷して販売するには最低でもコント2である必要があり、以降はコントを基準に名乗れるランクが変化していくことになります。
ブランデーのランクは、調合されたブランデーの中でも最も若い原酒のコントを基準に決定しますが、それ以外にも熟成年数の平均が指定されています。
例えば、コント4以上かつ調合されるブランデーの平均年数が7年以上である必要があるなど、熟成年数の平均も基準に含まれているのです。
そのため、最も若い原酒のコントがランクの基準を満たすだけでは特定のランクを名乗れないため、品質が一定に保ちやすくなる仕組みとなっています。
ブランデーのランクに関する基本的な知識を理解した上で、コントを基準に代表的なブランデーのランクを紹介していきます。
ただし、ブランデーの種類によってもコント・熟成年数の基準が異なることから、それぞれのランクについてまとめました。
コニャック
ランク | コント | 平均熟成年数 |
VS(Very Special) | コント2以上 | 4年~7年 |
VSOP(Very Superior Old Pale) | コント4以上 | 7年~10年 |
ナポレオン(Napoléon) | コント6以上 | 12年~15年 |
XO(Extra Old) | コント10以上 | 20年~25年 |
オルダージュ(Hors D’age) | コント10以上 | 35年以上 |
アルマニャック
ランク | コント | 平均熟成年数 |
VS(Very Special) | コント2以上 | 特になし |
VO(Very Old) | コント4以上 | 特になし |
VSOP(Very Superior Old Pale) | コント4以上 | 5年~10年 |
ナポレオン(Napoléon) | コント5以上 | 5年~12年 |
XO(Extra Old) | コント5以上 | 25年~30年 |
コニャックとアルマニャックで同じランクであってもコントと平均熟成年数の基準が大きく異なることがわかります。
また、ブランデーにはカルヴァドスもありますが、コニャック・アルマニャックと比較しても基準が大きく異なり、VSOP、XOなどの代表的なランク付けで呼ばれる銘柄がほとんどありません。
上記の基準はブランデーの中でもフランスにおける基準であるため、フランス以外で作られるブランデーについては別の基準が使われています。
基本的にブランデー市場ではフランス産のブランデーが多く流通していることから、フランス以外のブランデーのランクについて見ることは少ないかもしれません。
しかし、日本においてはサントリーが販売する「サントリーブランデーV.O」「サントリーブランデーV.S.O.P」「サントリーブランデーX・O」においてフランス以外のブランデーのランクを見ることができます。
ただし、サントリー公式ではフランスと同じ表記をしているものの、国際的に統一された基準がないことから一概に比較はできないものとしているため、フランスと同様の基準で作られているかどうかはわかりません。
熟成年数に関する表記もありませんが、VO<VSOP<XOの順で優れていることはAOCの基準と同様であり共通しています。
フランス以外のブランデーについて、コニャック、アルマニャックの基準と混同することのないようにしてください。
ブランデーの代表的なランク別におすすめ銘柄を紹介していきます。
VS、VOはブランデーの中でも低価格で購入しやすく、気軽に飲みやすいボトルです。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/4901777046252/
フランスで製造されておらず日本独自の基準で作られるブランデーであることから、低価格で購入しやすいボトルがサントリーブランデーV.Oです。
ブランデーの特徴であるぶどうのフルーティーさが感じられる味わいが特徴です。
熟成年数の低いブランデーであることが予測されますが、安さを重視して選ぶならこちらが向いています。
画像引用:Amazon.co.jp
ヘネシー V.Sは、代表的なコニャックであるヘネシーの中でも最も入手しやすいVSランクのボトルです。
上位ランクのボトルでなくても、芳醇な香りとスパイス感のある複雑な風味、なめらかな口あたりが味わえるはずです。
本場のフランスの本格的なブランデーに入門するなら、こちらのボトルから挑戦してみましょう。
画像引用:https://item.rakuten.co.jp/cbeer/15049081/
マーテルはコニャックの中でも最古の歴史を持つ銘柄であり、その中でも熟成年数が短いボトルがVSです。
マーテルの特徴であるフルーティーでなめらかな味わいが強調されており、リッチな印象が感じられます。
歴史ある銘柄であることから安定性の高さが魅力となっています。
次に、ワンランク上のVSOPについておすすめ銘柄を紹介していきます。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/49151831/
サントリーブランデーVOのワンランク上のボトルであるV.S.O.Pであり、サントリー独自の基準における上位ボトルであることから他のV.S.O.Pと比較して価格は大きく落ちます。
しかし、安価なブランデーでありながら奥行きのある香りと深みのある味わいから満足度は高いです。
本場フランスにこだわらずコスパの良いブランデーを求めるなら有力な候補となるでしょう。
画像引用:https://www.remymartin.com/ja-jp/collection/vsop/
レミーマルタンは、世界最大のコニャック生産企業であり、コニャックを代表する銘柄の一つでVSOPのランクを持つボトルです。
ぶどうの風味だけでなく、バニラやナッツを思わせる風味やオーク由来の香ばしさが感じられる複雑な味わいが特徴になります。
一定のランクを持ち、ブランドとして権威のあるブランデーを飲むならこちらを選びましょう。
画像引用:https://www.asahibeer.co.jp/products/whisky_brandy/brandy/camus/49424.html
カミュは伝統的なブランデーのブランドですが、ボトルデザインを一新したことで古臭さを感じさせないモダンなボトルとなっています。
フローラルで華やかなアロマが特徴であり、コニャック特有の苦味が少ないソフトなフルーティーさが魅力的です。
熟成年数が一定以上ある革新的な味わいのブランデーを飲みたいならこちらのボトルが向いています。
ブランデーの中でもトップクラスのランクを持つ銘柄に付けられるXOのおすすめ銘柄について紹介します。
画像引用:https://products.suntory.co.jp/d/4901777017238/
サントリーブランデーの中でも最高峰のボトルがXOであり、独自の基準において最高クラスの品質となるブランデーです。
オレンジやアプリコットを思わせる果実味があり、濃厚でコクのある味わいが魅力となっています。
フランス本場とは基準は異なりますがXOの中でも低価格で購入しやすい日本のブランデーです。
画像引用:Amazon.co.jp
ヘネシー XOは世界で初めてXOのランクが与えられたブランデーであり、35万樽以上の貯蔵から相性の良いブレンドを見つけるトップクラスのコニャックです。
プラムやダークチョコレートを思わせる風味が特徴であり、口あたりは長期熟成のウイスキーと比較するとライトなものとなっています。
本場フランスの完成度の高いブランデーを飲むならこちらのボトルが大きな候補となるでしょう。
画像引用:https://www.remymartin.com/ja-jp/collection/xo/
レミーマルタン XOは、熟成年数10年から37年の300種類におよぶ原酒をブレンドしたレミーマルタンの高級コニャックです。
バタースコッチとスパイス感のあるテイストが特徴であり、口あたりは非常にクリーミーなものとなっています。
ブランデーにおける老舗ブランドの高級品を味わうならこちらのボトルがおすすめです。
ブランデーの初心者向け銘柄についてはこちらの記事で紹介しています。
ブランデーの初心者向けおすすめ銘柄10選! ウイスキーとの違いも解説
ブランデーのランクについて解説しましたが、AOCによって制定された独自の基準であるコントと熟成年数によってランクは決定されます。
日本ではなじみ深いサントリーブランデーを中心に他の国で製造されたブランデーは、フランスのブランデーとは異なる独自の基準でランク付けされているので注意が必要です。
ブランデーのランクを理解すれば、名称を見るだけでブランデーの品質がわかるようになります。