山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ブッシュミルズはアイリッシュウイスキーで1608年から原型となる蒸溜をしている「世界最古の蒸溜免許が与えられた蒸留所」になります。
この400年もの歴史を持つブッシュミルズのスタンダードボトルは1000円ちょっとで購入できるかなりコストパフォーマンスのいいウイスキーとなっています。
モルトとグレーンでブレンドされているので、ブレンデッドウイスキーの類に入ります。
アルコール度数は40%で、日本ではアサヒビールが輸入しています。
結構濃い目のハイボールをつくってもかなりさっぱりしているので食中酒にもぴったりです。
本記事ではブッシュミルズの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
遡ること1608年、アイルランドの北端、海に面したイギリス領の北アイルランドのアントリム州の険しい海岸線ブッシュミルズ村という2000人足らずの村にブッシュミルズ蒸留所が創設されました。
ブッシュミルズとは「林の中の水車小屋」という意味になります。
この場所以外でウイスキー蒸留所をつくることは考えられませんでした。
その理由は伝説の巨人が歩いたといわれる世界遺産、玄武岩による「ジャイアンツコーズウェイの地」は火山活動で生まれた4万もの石柱群が連なるエリアになるのですが、アイルランドの伝説、ケルト神話に登場するフィアナ騎士団のフィン・マックールのエピソードにちなんでいます。
フィン・マックールがスコットランドの巨人ベナンドナーと戦いに行くためにコーズウェイを作ったという神話がのこされている場所なのです。
1608年、英国王ジェームズ1世が、アントリウム州の領主、サー・トーマス・フィリップスに蒸溜免許を与えたことによって世界最古の蒸留所の異名をとります。
実際に蒸留所が正式に設立したのが1784年になります。
順調に経営は進み、1850年代は大麦麦芽への課税により、多くの蒸溜所が原料を見直す中、ブッシュミルズ蒸溜所は、麦芽100%の優れたウイスキーづくりの伝統を守り続けていました。
しかし、1885年に火災によって蒸留所は焼失してしまいます。
再建にあたって、スコットランドから専門の測量技師を呼んだことで見事復活したブッシュミルズはその後、国際的にも認められ、数々の賞を受賞します。
しかし、20世紀初頭、世界大戦や禁酒法などで社会情勢の揺れ動きが生じる中、1923年にベルファストの酒商サミュエル・W・ボンドによって蒸溜所を買収されます。
その後も、オーナーは入れ替わりが激しく、最終的には大手テキーラメーカーのクエルボ社になりました。
買収劇は紆余曲折ありましたが、そんなさ中、アメリカの禁酒法時代があけるとブッシュミルズはアイルランドの港からシカゴへ向け、アイリッシュウイスキー史上最大の荷量で出航し、1950年代には名声は高まり、2008年には400周年を迎えるウイスキーとなりました。
アイリッシュウイスキーは麦芽を使用したグリーンな、まだ緑の状態の未発芽の麦芽を原料にした原酒を使うらしいですが、ブッシュミルズに関してはそういったものを使わずにアイルランド産のモルトとグレーンだけを使用するというこだわりがあります。
通常、アイリッシュウイスキーの場合はグレーンウイスキー、モルトウイスキー、ブレンデッドウイスキー、ピュアポットスチルウイスキーに分類されます。
それらをブレンドしたブレンデッドウイスキーを作ります。
ちなみに発芽していない大麦が入ったウイスキーをピュアポットスチルウイスキーといいます。
しかし、ブッシュミルズはこのピュアモルトウイスキーをブレンドしていません。
使っているモルトもブッシュミルズのスタンダードボトル。
通称「ホワイトブッシュ」で50%以上、ブラックブッシュミルズで80%以上もの高いモルトの割合です。
何故、他の蒸留所が3種類の原料でウイスキーをつくっているかというと、イギリス政府が打ち出した麦芽税が関係しています。
そのため、原料の麦芽を減らし、グレーンなどのトウモロコシを多く生産することによってウイスキーを精製してきました。
この製法がアイリッシュウイスキーでは定番化していったといわれています。
しかし、ブッシュミルズは税金に屈することなく、100%モルトを使用し、ピュアポットスチルウイスキーをブレンドしないことにこだわりました。
そして、原料となる麦芽はノンピートかライトピートのもので全てアイルランド産を使用しているというこだわりようです。
ブッシュミルズの特徴はこのノンピート麦芽と3回蒸留であることです。
ブッシュミルズはかつてはシングルポットウイスキーといわれペアポットウイスキーなどという呼ばれ方もしていました。
ライトで滑らかな口当たりを生み出しているのはこの製法によるところが大きく、アイリッシュならではの心地良いフレーバーをうみだします。
また、シングルモルトの条件は単一蒸留所が条件ですが、ブッシュミルズ蒸留所内では様々な種類の樽を利用してバッティングして平均化してしあげているようです。
ブッシュミルズ蒸留所でも、蒸留所内でのブレンデッドをしているようです。
ブッシュミルズの特徴は伝統的な3回蒸留によるライトで、スムースな味わいでしょう。
ストレートだとアルコールのピリっと感はありますが、ロックや水割り、ハイボールでも味わいが崩れることがなく美味しいのが魅力です。
ブッシュミルズのおススメラインナップをご紹介します。
ホワイトブッシュとも言われるこちらのブッシュミルズはブレンデッドウイスキーになります。
特徴はやはり飲みやすさであり、味わいとしてはシトラス系のフルーツ、メープルシロップ、そしてバニラ香で爽やかなフレーバーがしてきます。
ノンエイジなのにスムースな舌触りです。
ブッシュミルズのモルト原酒とミドルトン蒸留所のグレーンウイスキーがキーモルトの銘柄となっています。
とにかく非常にバランスがいいのが特徴です。
オロロソシェリー樽とバーボン樽で最長7年長期熟成をさせて、モルト原酒80%以上を使用しています。
比率が高いだけあってあじわいはモルティでリッチなブレンデッドウイスキーとなっています。
そして、少量生産のグレーンウイスキーとブレンドしているのです。
熟した果実のマイルドさをしっかりと感じられます。
非常に濃厚な甘みの蜂蜜系に、コクやうま味が加わっています。
少しアルコールの匂いが加わりますが、空気と少しなじませればもう少しアルコールの感じは開いていくのではないでしょうか。
加水するとアルコールのピリつく感じはなくなります。
加水をしっかりとトワイスアップや水割りにしても味がうすまることなく美味しく飲めます。
ロックにするとアルコールのパンチが弱まって、純粋な甘み、うま味のみが感じられます。
ストレートよりはロック、トワイスアップ、水割りがあっているでしょう。
オロロソシェリー樽とバーボン樽を使用しているようです。
アロマは蜂蜜、バニラ、焦がした木、熟成果実、サクサクしたクリーンなフィニッシュとバランスがとれています。
画像引用:Amazon.co.jp
ブッシュミルズ シングルモルト12年はバーボン樽とオロロソシェリー樽で構成されていますが、最後にマルサラワインの樽でフィニッシュしているという3つの樽を使っているところに特徴があります。
色味はオレンジかかっており、オロロソシェリー樽の影響が出ています。
アロマはかなり濃厚でハチミツ感が非常に強く、リンゴの甘みがメインです。
味わいはシェリーの香り、クリーミィーさ、そしてビターさやナッティー、チョコレートの感じがあります。
ベリー系も少し混ざっています。
総評すると最初は甘い感じでクリーミィー、ベリー系で、フルーティ、ビターと最初は甘く、段々と大人っぽい印象に移り変わっていく感じです。
画像引用:Amazon.co.jp
濃厚でドライレーズンの味わいがしっかり楽しめる贅沢な1本です。
一度は絶対に試していただきたい銘柄と言えるでしょう。
芳醇で、モルトの香りがとにかく豊かで、まず最初にトロピカル感が入ってきます。
シェリー樽由来の豊かなドライフルーツ感が出てきたうえで、モルトの豊かな穀物香とバーボン樽由来のバニラの香りが強く感じられます。
味わいが混ざり合うというよりも、色々なフレーバーが連続で楽しめる複雑な味わいがなんともいえません。
画像引用:Amazon.co.jp
ブッシュミルズ シングルモルト21年は、最低19年間オロロソシェリー樽とバーボン樽で熟成させた原酒をヴァッティング。
さらに2年間マディラワイン樽にて熟成したボトルです。
アロマは濃厚で、凝縮されており、甘い果実感、オイリーでナッティーなフレーバーもします。
味わいは熟した果実やハチミツといった甘みが強く、コクもありますが、フィニッシュにビター感があります。
ホワイトブッシュはロックが一番のおすすめです。
ブラックブッシュはソーダ割、熟成年数の長い16年などはストレート、もしくは水割りがおすすめ。
ブッシュミルズは元々スムースな酒質で水で割ってもアルコールのコシが中々抜けないので充分重厚感がありながら、アルコール感を抑えてするっと味わうことができるのが特徴だと思います。
シングルモルトはノンエイジが増えている中で、10年、12年、16年、21年と4つものレンジが揃っているだけでもプレミアムウイスキーと言えるでしょう。
北の巨人という伝説もあるくらいの400年の長い歴史にも裏打ちされているブッシュミルズを機会がありましたら、是非試してみてください。