山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
クラガンモアはスコットランドのスペイサイドを代表する有名なシングルモルトの一つで、「スペイサイドの至宝」とまで呼ばれていますが、同じくスペイサイドの有名ウイスキー、マッカランに注目が集まってしまい、ウイスキーファンではない方にはあまり知られていないという印象です。
しかし、このクラガンモアはユナイテッドディスティラリーズが推奨するクラシックモルトシリーズにも選ばれているウイスキーでです。
クラシックモルトシリーズとはスコッチウイスキーの地域別に代表的なシングルモルトを挙げてウイスキー初心者にも大まかなウイスキーの特性を知ってもらうという目的も兼ねて選ばれたシングルモルトでもあります。
また、こちらの蒸留所では有名スコッチウイスキーのオールドパーやホワイトホースの原酒を生産していることでも知られています。
本記事ではクラガンモアの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
クラガンモア蒸留所は創業が1869年になります。
蒸留所はスコットランドのスぺイサイド地方にある、バリンダロッホという場所にあり、
クラガンモアはゲール語で「突き出した大きな岩」という意味を表します。
創業者はジョン・スミスという人物ですが、「ザ・グレンリベット」の創設者であるジョージ・スミスの私生児であったと言われていますが、真相は定かではありません。
彼はジョージ・マクファーソンーグラント3世より土地を借り受け、蒸留所の操業を開始しました。
その前に彼はクラガンモア創立以前、マッカラン、グレンリベット、グレンファークラスといった名高い蒸留所のマネージャーも歴任しています。
1886年にジョン・スミスが亡くなるとジョンの兄弟ジョージに経営が引き継がれます。
さらにその7年後はジョージの息子ゴードンが成人したため経営を引き継ぎます。
1901年には蒸留所の近代化を図るために改装工事を実施します。
1912年にゴードン・スミスが亡くなると妻のメアリー・ジェーンが経営を引き継ぐことになりました。
その後1917年には、第一次世界大戦下の原料不足により蒸留所は一時閉鎖になりましたが1918年には再稼働します。
1923年にはホワイト・ホース社とジョージ・マクファーソンーグラント5世が共同で設立したクラガンモア・グレンリベットディスティラリー社が蒸留所を買収します。
その後、1927年にはホワイト・ホース・ディスティラーズがディアジオ社に買収されたので、クラガンモアもDCL(現ディアジオ)の傘下に入ることになりました。
1941年には第二次世界大戦下の原料不足により一時生産をストップします。
1964年にはポットスチルを4基に増やすなど設備を増強。
1965年には長年マクファーソンーグラント家が所持していた株式をDCLが取得したためクラガンモアは完全にDCL傘下となります。
2002年には一般向けに蒸留所を見学出来るビジターセンターを開設しました。
こちらの蒸留所の一番の特徴はポットスチルの形になります。
クラガンモアでは初溜2基、再溜2基、計4基のポットスチルが使われています。
蒸留所の創設者のジョン・スミス氏が他の蒸留所と比較しても珍しい上部が平らな形状のポットスチルを採用したのです。
初留釜がランタンヘッド型で再留釜がバルジ型、といったレベルでは通常のスチルと変わらないのですが、スワンネック部分が平らでT字シェイプという特殊な形をしているのです。
スチル上部を平坦にすることによって、内部で還流を起こりやすくし、スチル内の不純物が再溜釜に戻り、複雑な気流によって蒸気と銅がふれあうことで、軽めで繊細な味わいを実現したとも言われています。
貯蔵庫は伝統的なダンネージ式を採用しています。
年間の温度変化が少ないスコットランドでは温度や湿度を自然の変化で調整しており、樽はゆっくりと熟成していると考えられています。
熟成に使用される樽はバーボン樽がメインですが、その他にシェリー樽やポートワインの樽なども使用され、様々な原酒が作り出されております。
クラガンモアは世界的に有名なウイスキー評論家のマイケル・ジャクソン氏が90点というマッカランに次ぐ高得点を出したことでも知られています。
クラガンモアの味の特徴は何といってもリッチで豊かで複雑な味わいです。
香りの中心となっている甘さですが、甘すぎず、スパイシーさと潮っけがバランスよく調和されているところでしょう。
ノンピート麦芽なのでピートによるスモーキーさはありませんが、モルトを熱したときの香りとオーク樽由来の香りも感じることができます。
画像引用:Amazon.co.jp
こちらは限定15000本でリリースされた1本です。
シェリー樽で熟成したものをカスクストレングスで樽からだしたそのままのアルコール度数でボトリングしたものになります。
アルコール度数は60度とかなり高いですが、アロマは非常にナッティーで優しい感じ。
アロマはローストしたナッツ、コーヒーにダークプラムなどのシェリー樽由来の香りがあります。
奥深くに柑橘類、ハーブやスパイスのドライ感、蜂蜜の甘みやスモークの感じもあり非常に複雑な香りが違和感なく調和されているのが特徴です。
味わいはまず、アルコールのドライ感が先にきますが、すぐに甘みがやってきます。
オレンジ、チョコレートキャラメル、ナッツ、コーヒー豆の香ばしさなど。
フィニッシュにかけてバニラ香とスモーキーさが柔らかく感じられます。
画像引用:malts.com
こちらはオフィシャルボトルでバーボン樽を使用した12年熟成の原酒で構成されており、アルコール度数は40度、価格はAmazonで約4000円程度で購入できます。
色は茶色味がかった琥珀色をしており、グラスにつくような粘性はなく、さらっとしたテクスチャになっています。
アロマは華やかさと甘さが折り重なったような香り立ちをしています。
香りの中心となっている甘さはバニラ香や蜂蜜といった印象が強くでています。
他に華やかなフローラル系、洋ナシや青りんごといったすっきりとしたフルーツの感触もつかめるかと思います。
樽香、ウッディな香り立ちもあります。
スモーキーさや鼻をつくようなアルコール刺激は一切感じられません。
味わいはしっかりと完成された感のあるウイスキーです。
舌にのせるとまず、フルーティーな甘さが広がりますが、甘すぎることなく、ほのかに優しい甘みでビター感も兼ね備えた甘さとなっています。
スパイシーさも優しく主張するような感じとなっており、喉をとおすと非常に贅沢な潮っけ。
いぶした感じやスモーク感は感じられませんが、舌と鼻を包み込むような潮っけが長く続く印象です。
味わいの印象のうちどれか一つが突出している印象はないのですが、甘さ、スパイシーさ、潮っけが非常にバランスが取れた味わいです。
画像引用:Amazon.co.jp
クラガンモア14年は1986年あたりに蒸留されたミレニアムにリリースされた限定4987本のボトルです。
ヨーロピアンオークのシェリーカスクのニュアンスがしっかりと感じられ、オレンジやベリー系のジャム、ドライフルーツ等の強いフルーティさが感じられます。
樽の熟成感もあり、奥からほのかな麦感も香り、リッチです。
味わいは舌にのせるとシルキーで芳醇なテクスチャで香り同様のシェリー樽由来の味わいとフルーティ感がぎゅっと凝縮し、淡い噛み応えも感じられます。
滑らかでスムースな口当たりが長く感じられるリッチな時間を味わえます。
画像引用:Amazon.co.jp
こちらはフローラルで華やかな柑橘類の酸味、ナッツの香ばしさも生きている一品です。
ほんのりとした麦の甘みも感じることができます。
カスクストレングスでボトリングされており、6000本の限定リリース。
味わいは、ドライですが、フルーティーな甘さが口の中に広がります。
フィニッシュはサラリとした蜂蜜の甘みがほのかに残ります。
画像引用:Amazon.co.jp
こちらはバーボン樽熟成の原酒をルビーポートワイン樽で後熟して作られました。
ルビーポートワインの甘みを掛け合わせることで、フルーティでリッチで芳醇なフレーバーを原酒から引き出します。
フィニッシュにはドライなオークとスモーキーな味わいが楽しめます。
アロマは12年と比較するとよりフルーティで果実感があり、スモーキーなニュアンスがあります。
味わいはドライで香りと同じくスモーキーさとフルーティさが伴います。
そして麦芽の甘さ、オーク、スモーキー感が複雑でリッチな味わいを作り出します。
基本的にどんな飲み方でも美味しく味わえますが、飲み方に応じて味わいの特徴が変化するのでご紹介します。
加水すると香り立ちそのものが結構強まってくる印象があります。
加水する前の蜂蜜やバニラ香、フルーティー感はそのまま残して、加水すると香ばしさが顔を出してくる印象です。
加水すると味わいは非常に飲みやすくなります。
アルコールの角が取れ、すっと喉に入っていく印象です。
それでいて、味わいも崩すことなく感じられますし、アルコール初心者の方に非常に向いているのではないでしょうか。
ハイボールにするとストレートで飲んだ時のようなフルーティさというよりはスパイシーさや潮っけの部分が強く感じられるようになります。
辛口な印象が強いので食中酒はもちろん、単体でも楽しめる1杯に仕上がるかなという印象です。
クラガンモアは非常に完成度が高い銘柄でありながら、あまり目立たない存在ではありますが、お値段こそそんなに高いものではありませんので、是非一度試してみてはいかがでしょうか。