山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ディーンストンは南ハイランドで作られるシングルモルトであり、蒸留所はウイスキーを題材にした人気映画「天使の分け前」のロケ地にもなっています。
こちらのウイスキーは、化学肥料や農薬を使用しない有機栽培大麦のみを原料とするオーガニックウイスキーです。
また、紡績工場の一部を改造していウイスキーの蒸留所に改築したという他のウイスキーにはない特徴的な歴史を持っています。
この記事では、ディーンストンの種類と味わいを紹介し、おすすめの飲み方も解説します。
この記事のポイント
Deanston DISTILLERY - https://deanstonmalt.com/
ディーンストンは南ハイランドのドゥーン村のそばを流れるティス川ほとりにある蒸留所で作られます。
ハイランドウイスキーはハイランドの地域が広大であることから、さらに東西南北の4つに細分化されることがあります。
南ハイランドに属するディーンストンは、タリバーディンをはじめとする他のウイスキーと共通してライトな口あたりで飲みやすいです。
ローランド地方に近い位置にある南ハイランドは、地理的にもローランドウイスキーの影響を受けていることが分かります。
ディーンストンを含むハイランドウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ハイランドウイスキーのおすすめ銘柄8選と地域ごとの特徴について
ディーンストン蒸留所の外観は、ウイスキーの蒸留所には見えないといわれることも多いです。
その理由は、18世紀に建てられた紡績工場をほぼそのまま改造して蒸留所を作ったことが理由になります。
ディーンストンの前身となる紡績工場を建てたのは産業革命の父と呼ばれるリチャード・アークライドです。
全盛期には1,300人の従業員を抱えており、工場を中心に産業コミュニティが形成された歴史的な建物でした。
しかし、このコミュニティは20世紀の2つの大戦により廃れていき、1965年にこの土地にウイスキーの蒸留所を建てる計画が立ちます。
ところが、イギリスではこのような歴史的建造物は取り壊すことができないため、外観は紡績工場のままで中身をウイスキーの蒸留所に改築しました。
以上がディーンストン蒸留所の外観が他の蒸留所と異なる理由であり、この特徴的な蒸留所は後に映画「天使の分け前」のロケにも使用されました。
ディーンストン蒸留所について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ディーンストン蒸留所 - Deanston DISTILLERY
ディーンストンは自給自足した電力で蒸留所を動かし、原料となる大麦は化学肥料や農薬を使用しない環境に配慮した製法を取っています。
電力は水力発電で、蒸留所内の電力だけでなく、周りのコミュニティの電力も補っているようです。
これを可能にしている理由は、ディーンストンは1960年代に操業し、スコッチの蒸留所の中では比較的新しくできた蒸留所ですが、製造に関する管理においてデジタルに頼る所が少なく、今でもアナログを重視した伝統的な製法を守っていることがあげられます。
大麦はすべてスコットランドで製造され、化学肥料や農薬を使用していないものだけを厳選して使用。
一回の仕込みには約10トンの大麦を使用し、蒸留所の生産能力も300万リットルとスコットランドのすべての蒸留所と比較しても中規模なものになっています。
デジタルに大きく頼らずアナログでこの生産能力を持っているのは、ディーンストンの職人たちの努力があることも大きな理由となっているでしょう。
ディーンストンでは主に3種類のウイスキーが販売され、それぞれウイスキー品評会で多くの賞を受賞しています。
現行で販売されているディーンストンの受賞歴は下記の通りです。
銘柄 | 概要 |
ディーンストン ヴァージン・オーク |
International Spirits Challenge(ISC):金賞(2020年) |
World Spirits Competition:ダブルゴールド(2019年~2020年) | |
The Spirits Business:金賞(2021年) | |
World Whiskies Awards(WWA):金賞(2021年) | |
ディーンストン12年 |
International Wine and Spirit Competition(IWSC):金賞(2020年) |
World Spirits Competition:ダブルゴールド(2019年~2020年) | |
International Spirits Challenge(ISC):銀賞(2020年) | |
World Whiskies Awards(WWA):銅賞(2020年) | |
ディーンストン18年 |
International Spirits Challenge(ISC):金賞(2020年) |
International Wine and Spirit Competition(IWSC):銀賞(2021年) | |
World Spirits Competition:銀賞(2019年~2020年) | |
World Whiskies Awards(WWA):銀賞(2020年) | |
The Spirits Business:マスター賞(2021年) |
参考:ディーンストン公式サイト
上記の品評会はどれもウイスキー業界で大きな権威を持っていますが、それぞれの品評会の概要についても下記にまとめました。
品評会 | 概要 |
International Spirits Challenge(ISC) | 『ドリンクス・インターナショナル』が主催 |
International Wine and Spirit Competition(IWSC) | イギリスで開催される大規模な酒類品評会 |
World Whiskies Awards(WWA) | 『ウイスキーマガジン』主催のコンペティション |
The Spirits Business | 『The Spirits Business』が決定するアワード |
World Spirits Competition | サンフラシスコで開催する米国最大の酒類品評会 |
販売されているウイスキーは上記の5つの品評会のうち最低でも4つ以上の受賞歴があり、ディーンストンは世界的にも高い評価を受ける銘柄であることが分かります。
それでは、ディーンストンの種類と味わいについて紹介します。
※ボトルの画像はすべて公式サイトから引用
ディーンストン ヴァージン・オークは、ディーンストンのノンエイジボトルであり、12年物と共にスタンダードボトルに位置する商品です。
ディーンストンはケンタッキー州で作られたファーストフィルバーボン樽で熟成され、透き通るような琥珀色はボトル詰めの際には冷却ろ過をしていない証になります。
レモンの爽やかさと砂糖に漬けた甘い大麦が香り、タフィーとフルーツの中にヘザーのフローラルなフレーバーが感じられ、フィニッシュはスパイシーでピリッときます。
現行で販売されている商品の中でも最も安く、ディーンストンの魅力が詰まっているので、ディーンストンを初めて飲むなら最も有力な銘柄といえるでしょう。
ディーンストン12年は、酒齢12年以上の原酒のみをブレンドしたディーンストンの入門酒の一つになります。
新鮮な干し草と濃厚なタフィーの香りが鼻腔を満たし、ハチミツとフルーツの甘みになめらかでクリーミーな口あたりが特徴です。
ヴァージン・オークと値段を比較しても大きくは変わらないため、ディーンストンを最初に飲むならおすすめの銘柄です。
日本で一般的に販売されているディーンストンは、ヴァージン・オーク、12年、そしてこちらの18年物です。
5つの品評会で賞を取り、ライトゴールドの液体が特徴のこちらの銘柄は、芳香な香りと柑橘類の味わいに生姜のスパイシーな味わいとフィニッシュが楽しめます。
現行で販売されている他のディーンストンと比較すると価格は高くなりますが、完成度の高いディーンストンの長期熟成物を最初に飲むならこちらの銘柄を選ぶとよいでしょう。
ここから紹介するディーンストンは、日本で一般的に販売されているものではなく限定品になります。
ディーンストン オロロソカスク マチュア―ドは、2008年から12年間オロロソシェリー樽で熟成させたものです。
販売本数は13,227本、アルコール度数は52.7%で、ディーンストンの味わいの中にシェリー樽由来のフレーバーを感じられます。
シェリー樽などのウイスキー樽の種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ディーンストン15年は2002年から熟成を開始し、2016年にマルサラワイン樽に移し替えて1年間追熟させた銘柄です。
1,308本限定であることからオロロソカスク マチュア―ドよりも希少であり、マルサラワインがもたらすフレーバーとディーンストンが持つ味わいが上手く調和しています。
現在は蒸留所でも販売されていない入手困難なディーンストンになります。
1991年に熟成を開始したディーンストンをマスカット樽で追熟させた銘柄になります。
マスカット樽での熟成により、ディーンストーンはオイリーでよりコクのある味わいに変化しました。
販売本数は1,402本とマルサラカスクフィニッシュ並んで希少価値の高いディーンストンです。
最後に、ディーンストンのおすすめの飲み方を解説します。
ディーンストンは軽い口当たりで非常に飲みやすいウイスキーであるため、ストレートで飲むのが一番おすすめです。
水割りやトワイスアップなどで加水する場合も、水の量をできる限り少なくしてディーンストンが持つ本来の味わいを損ねないようにするのが重要になります。
一度に飲む量が多いほどチェイサーの重要性も上がりますので、ディーンストンと交互に飲む水を用意して舌が麻痺しないようにしましょう。
アルコール度数が気になる方や、食中酒や、より爽快感のある飲み方をしたい方はハイボールがおすすめになります。
ただし、加水する場合と同様に炭酸水の割合を多くすることでディーンストンの風味が失われることがないようにしたいところです。
ディーンストンはハイボールにするとビターな余韻が楽しめるため、ストレートだけではなく一度はハイボールを試してもいいかもしれません。
ディーンストンは映画天使の分け前の影響で一部では知名度が非常に高く、クセが少なく非常に飲みやすいウイスキーであるためシングルモルト初心者の入門酒としても知られています。
日本において現行で販売されているウイスキーはノンエイジ、12年、18年の3種類ありますが、自身の予算と相談しながら好みに合いそうな銘柄を選ぶのもよいでしょう。
迷うのであれば、一番安く手軽に入手できるノンエイジボトルのヴァージン・オークから飲み進めることをおすすめします。