サーデイヴィス シグネチャーとは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
グレンドロナックは1826年に創業した歴史あるシングルモルトウイスキーです。
スコットランドのハイランド地方はスコットランドのシングルモルトの主要産地を6つに分けた中でも一番広大な地域であり、一番蒸留所の多い地域になります。
ハイランドは広大なため東西南北に分かれていますが、グレンドロナックは丁度東ハイランドのフォルグ渓谷に位置しています。
ハイランド地域だけでも味わいの違いが複雑であり、種類も豊富。
ハイランドのスコッチウイスキーをよく知らない方でも日本での輸入量がスコッチウイスキーでNo.1のマッカランであればご存知の方も多いのではないでしょうか。
東ハイランド地方に近いスペイサイド地方のマッカランがシェリー樽熟成をハウススタイルとしているのとグレンドロナックも同様なので、両者味わいにフルーティさがあります。
しかし、そこは蒸留所別にプライドを持って造っているスコッチウイスキー、特徴は似ているようで大きく違います。
この記事のポイント
前述でもご紹介したマッカランはスペイサイドエリアに区分されていますが、東ハイランドとスペイサイドのちょうど境界辺りにある街であったため、グレンドロナックもかつてはスペイサイドエリアの位置づけでした。
しかし、最近は近年は、ハントリーという街より東側を東ハイランドと見なすことが一般的になっているため、「ハイランドモルト」に分類されることが多くなっています。
ちなみに大まかではありますが、ハイランドモルトはエリア別に以下のような味わいの違いが見られます。
※個々の銘柄には各種異なった特徴があります。
エリア | 銘柄例 | 味わいの特徴 |
東ハイランド | ・グレンドロナック ・フェッターケアン ・グレンギリー |
中にはもったりと重めの銘柄もあるが、全体的には フルーティで爽やかさがある |
西ハイランド | ・ベン・ネヴィス ・オーバン |
スモーキーなクセが少なくフルーティで飲みやすい |
南ハイランド | ・ディーンストン ・タリバーディン ・ブレア・アソール |
口当たりが軽くて飲みやすい |
北ハイランド | ・グレンモーレンジィ ・トマーティン |
海に近くスモーキーな香りや味わいで辛口であるが 滑らかでバランスが取れている |
ハイランドモルトウイスキーのおすすめ銘柄は?味や特徴の違いについて
「グレンドロナックGlendronach」とはゲール語で、「ブラックベリーの谷」を意味します。
その名の通り、ベリー系のフルーティな味わいをビターチョコで包んだような芳醇な濃厚さがあじわえる銘柄です。
グレンドロナックは創業当時からヨーロピアンオークのシェリー樽で熟成をおこなっています。
辛口のオロロソと極甘口のペドロ・ヒメネスのシェリーの空き樽で造られているのが大きな特徴ともいえます。
オロロソとはシェリーの一種であり、香りは野性的で自然の草や枯れ葉、木の実、タバコを感じさせる酒でありながら味わいは力強い華やかさがあります。
エレガントでありながら辛口の舌触りをしています。
オロロソが辛口であるためか、ノンピートが主体で造られているウイスキーです。
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一方、甘口のペドロ・ヒメネスはレーズンや砂糖漬けの果実の香りからココアやチョコレートといった甘い香りの移り変わりがあり、テクスチャはとろりとした蜂蜜シロップのようです。
フィニッシュにかけては酸味があり、長く味わいが続きます。
こちらは、シェリー酒の中でも一番甘い類の銘柄となります。
シェリー酒は酒精強化ワインといって醸造工程中にアルコールを添加して、ワイン全体のアルコール分を高めることで保存性を持たせたり、味にコクを出したりする白ワインをさします。
ペドロ・ヒメネスはシェリー樽の辛口と甘口の樽を使用することで味にバランスを持たせているのです。
スコットランドの中でも最も古い蒸留所の部類に入るのがグレンドロナックであり、1826年に蒸留所が建てられる前まではGLEN HOUSE(グレンハウス)という名前でした。
しかし、ジェームズ・アラダイスによって改名されました。
その後、現在に至るまでは買収に次ぐ買収や生産停止、火災に見舞われるなど波乱に満ちた歴史を辿ります。
創業者ジェームズ・アラダイスは地元の地主だったのですが、彼の作るウイスキーは、地元の貴族たちの間で人気でした。
ウイスキー造りが成功して有頂天になり、仕事に身が入らなくなったところへ、1837年に火災により蒸留所が焼失してしまいます。
再建後はウォーター・スコットに買収されますが、蒸留所の規模は大きくなり、労働者とその家族を含め50人以上がこの現場に住むほどでした。
しかし、1920年に更にキャプテン・チャールズ・グラントが蒸溜所を買収しました。
ちなみに、チャールズはグレンフィディック蒸溜所の創設者の息子です。
更にその40年後、1960年にウィリアム・ティーチャーズ&サンズ社によって買収。
1960年代にはグレンドロナックはシングルモルトではなく、ブレンデッドウイスキーの原酒として大きく貢献しました。
しかし、1996年、蒸留所は所有者によって生産が停止され2001年まで蒸留所は閉鎖します。
2005年、AlliedDistillersがペルノリカール社に引き継がれたことにより、グレンドロナックはシーバス兄弟に渡されました。また、同年蒸溜器の加熱方法を石炭の直火から蒸気加熱に変更しました。
2008年、蒸溜所はベンリアック・ディスティラリー社に買収されました。
ベンリアック・ディスティラリー社はグレンドロナックの再建を助けたといってもいいでしょう。
伝統的なハイランドモルトの再建に5年間で約300万ポンドもの投資をしたそうです。
2016年、アメリカのブラウン・フォーマン社が蒸溜所を引き継ぎですが、グレンドロナック蒸溜所の所有者も同社ですが、ベンリアックの作り上げた伝統的なグレンドロナックのレシピは守った上で営業を継続しています。
グレンドロナック12年は香りは濃厚かつ芳醇な甘いクリーミーさにピリリとしたジンジャーや辛口のシェリー樽を感じさせます。味わいはレーズンやプルーン等のベリー系のなかに少々ドライを感じさせながらもビターチョコレートの甘いような苦いような感じが楽しめます。
フルーティとドライなバランスが上手くマッチしています。
アンダルシア産のペドロ・ヒメネスとオロロソのシェリー樽をミックスしており、グレンドロナックの昔ながらのレシピで作り上げたウイスキーになります。
強い香りは濃い蜂蜜やチョコレートミントドライフルーツの甘さとクルミの苦味やオレンジピール。
味わいもまた、力強く蜂蜜釉アプリコット、ブラックベリー、プラムや熟したイチジクと樽の影響を大いに受けた美味しさ。
同じシェリー樽でもこちらはスペインから取り寄せた最高級のヨーロピアンオークのシェリー樽100%を使用した逸品です。
巷では『究極のシェリー爆弾』といわれているほど格調高いシェリー感を深く味わえます。
キャラメルや黒砂糖のような甘い香りからマーマレードの皮の部分のような甘辛さ、そしてチェリーのフルーティさと複雑に交錯した香りがはなたれます。
味わいは熟したフルーツ漬けにスパイシーな香絡み合い、最高級樽の熟成オロロソシェリーと仄かな香ばしさにチョコレートやオレンジピールの組み合わせが調和しています。
この複雑な味わいはフィニッシュも長い余韻を堪能できます。
最高級のオロロソとペドロ・ヒメネスのシェリー樽のハーモニーの味わいを楽しめる銘柄です。
濃いコクのある苦味に樽由来の甘味が何とも言えません。
ベリーやプラムの繊細なミックスとリッチなオロロソシェリーに香辛料の利いた麦芽の香りには、重厚さがあります。
グレンドロナック トラディショナリーピーテッドはノンピートが主体のグレンドロナックでは珍しくピートの効いたスモーキーな味わいが特徴です。
このようなウイスキーをつくったのは、19世紀初頭に生産されていたウイスキーへのオマージュが目的でした。
グレンドロナックは通常のラインナップに加えてピートの効いたウイスキーの原酒も準備し、数年前から徐々にリリースを開始してきたのですが、今回のボトルはその最新作になります。
オロロソとペドロヒメネスの2種類のシェリー樽で追熟して仕上げられた後、ピート香のあたたかな感触を持たせて完成させました。
このピートの香味がグレンドロナックの濃厚なシェリー樽熟成の味わいを一層引き立たせ、奥深い仕上がりが堪能できるのです。
グレンドロナックはシェリー樽熟成の香りと味わいに大変こだわりを持っており、シェリー樽によるウイスキー熟成のエキスパートといっても過言ではない銘柄ですので、濃厚さを堪能するためにもまずはストレートで味わっていただきたいです。
甘さと辛さが複雑に絡み合うのを五感をフルに使ってお楽しみください。
そのあとで、ロックで飲んだりソーダで割ったりと、自分好みの飲み方を見つけてみるといいでしょう。
波乱万丈の長い歴史を積み重ねながらも常に伝統の味を守り続けてこられたグレンドロナック。
200年もの間変わらずに多くの人に愛されたのであればその味はもうお墨付きといえますね。