山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
グレンエルギンはスコットランドのスペイサイド地方でつくられているシングルモルトウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーのホワイトホースという銘柄のキーモルトとして知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
グレンエルギン蒸留所は1898年に創業されましたが、シングルモルトとしての販売は遅く、1990年代にリリースされました。
当初は年数表記もなく、『ホワイトホース』と表記してリリースしていましたが、現在は12年と表記してホワイトホースの名前も削除されています。されています。
本記事ではホワイトホースの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
グレン・エルギンは1898年に銀行家のジェームズ・カールと蒸留所のマネージャーのウィリアム・シンプソンによって創設されました。
スコットランドのスペイサイド、エルギン地区に位置しております。
エルギン地区といってもA941沿い、ローゼス地区よりです。
エルギン地区は現在蒸留所が10以上もある地域です。
なぜ、こんなに蒸留所があるかというと良質な水のある河川が非常に多いからという理由があります。
1950年代まではこの一帯の蒸留所の動力を河川に頼っていたほどでした。
グレンエルギン蒸留所の設計を担当したのは蒸留所設計のスペシャリストであるチャールズ・ドイグ氏で1900年には蒸留所を稼働します。
年 | 出来事 |
1898 | ウィリアムシンプソンとジェームズカールによってグレンエルギン蒸留所が建設される |
1900 | 蒸留所がウイスキーの生産を始めるが、生産開始の5ヶ月後に蒸留所が閉鎖される |
1901 | Glen Elgin-Glenlivet Distillery Co Ltd が買収もすぐにまた閉鎖。 |
1906 | ワインを生産するJJBlanche&Co社が蒸留所を買収し、稼働再開。 |
1930 | 蒸留所がDCL社の傘下にあるスコテッシュモルトディスティラーズ社に買収される ホワイトホースディスティラーズ社にライセンスが供与され、グレンエルギンがホワイトホースのキーモルトとして使用されるようになる |
1936 | Distillers Company Ltd が グレンエルギン蒸留所を買収後、ライセンスを、White Horse Distillersに移した。それ以降、ホワイトホースのブランドを有する蒸留所となった。 |
1964 | ポットスチルが4基増設されて6基体制となる |
1992 | 蒸留所の改修に伴い,以降3年間に渡って閉鎖される |
2001 | 花と動物 Glen Elgin グレンエルギン12年 (2001年~2002年の間だけ発売) |
2002 | ヒドゥンモルトシリーズとして12年熟成のボトルが公式リリースされる |
2008 | グレンエルギン16年が限定リリースされる |
2018 | 18年熟成でカスクストレングスのボトルが限定リリースされる |
まずはグレンエルギンの原料となるピートと仕込み水ですが、ピートはノンピート麦芽です。
つまり、麦芽そのものの味や香りを楽しめることを前提としています。
1960年代まではフロアモルティングをおこなっていましたが、現在はディアジオの製麦施設より原料のモルトを調達しています。
また、グレンエルギンでは一回の仕込みに8.4tもの麦芽の容量を仕込めるマッシュタン、近代的なフルロイタータンを使用しています。
仕込み水はミルビュイズ湖の近くにある泉の水を使用しています。
発酵には伝統的なカラ松製のウォッシュバックが6基設置されており、発酵にかける時間は約90時間と比較的長い時間になっています。
蒸留はストレートヘッド型で初留、再留釜を合わせて計6基のポットスチルを使用します。
かつては計2基しかポットスチルがなかったのですが、1964年の設備投資によりポットスチルの数を3倍に増やしたのです。
しかし、それでも容量は7,000リットル前後で、スペイサイドエリアの蒸溜所の中では小さめです。
ポットスチルの加熱方式は蒸気による間接加熱方式,冷却方式は伝統的な屋外設置のワームタブ方式になります。
これは蒸留所が誇るアイテムで、そこに頻繁に現れるイワツバメとともにオフィシャルボトルのラベルイラストにも描かれています。
冷却過程で銅に触れる面積が小さくなっているのが特徴です。
銅はと原酒が触れる面積が広くなるとクリーンでフルーティな酒質になりますが、接触面積が減ると、深く豊かなフルボディの酒質となります。
通常ウイスキーは5年おき位にラベルチェンジやボトルチェンジをするのですが、グレンエルギンは細かなへんこうはあれど、30年の間に1回しか大幅なラベルチェンジをしていないのです。
最初のラベルは1992年頃~2004年頃はラベル表記が「ホワイトホースグレンエルギン」。
2004年~現在までは「グレンエルギン」という表記に統一されています。
また、ホワイトホースのキーモルトで有名なのがラガヴーリンが知られていますが、最近の主なキーモルトはグレンエルギンだとも言われています。
ラガヴーリンももちろん使用されているのですが、割合はグレンエルギンの方が多いのではというくらい最近のホワイトホースは華やかなニュアンスが強くなってきていると思います。
同じスペイサイドモルトのクライゲラヒというキーモルトなのですが、そちらもホワイトホースに結構使われていて、スペイサイド感は強いのかもしれません。
グレンエルギンのポテンシャルはラガヴーリンに隠れていて中々知名度が低い傾向なのですが、ウイスキー好きの間では玄人好みのシングルモルトとして有名です。
香りはかなりフローラルで甘い香りが特徴。柑橘系で爽やか、スモーキーさはほとんどなく上品な香りです。
口あたりは滑らかで蜂蜜のような華やかでリッチな味わいです。
その中に柑橘系のフルーティで爽やかな酸味もあり、きちんと麦芽感もあります。
これぞ、スペイサイドモルトといった味わいといえるでしょう。
グレンエルギンはホワイトホースのキーモルトですが、ラガヴーリンに比べると全然スモーキーさははないので、スモーキーな感じが苦手という方にはおすすめです。
グレンリベットやグレンモーレンディがお好きな方は好みなのではないでしょうか。
さらに狭めるとクライヌリッシュやアバフェルディにも似た感じです。
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グラスに注いだ瞬間からバニラ、フルーティさ、白い花を思わせるような豊かな香りがふわっと広がり、綺麗な香りの立ち上がりがあります。
味わいはコクがあって美味しいウイスキーであるのが伝わってきます。
ほのかに青りんごを思わせるようなフルーティさなので、ほのかに甘みが広がってくるアップルパイやチーズケーキと合わせて飲んでも美味しいかと思います。
ストレートで飲んだ時のまろやかさとコク、酸味と甘みのバランスも絶妙です。
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UD社(ユナイテッド・ディスティラリーズ社)は、スコットランドで多くの蒸留所を所有しているウイスキー関連会社ですが、これまで経営不振に陥っていた小さいけれど個性的なシングルモルトを造っている蒸留所を積極的に保護・所有してきました。
そこで、所有している各蒸留所の個性を広く認知してもらうために、オフィシャルボトルとしてラベルに花や動物のイラストをあしらったシングルモルトを発売したのが「花と動物シリーズ」です。
香りはバニラ香、蜂蜜、若干ジンジャー。
口にすると、蜂蜜のように甘い味と柑橘系のほのかな香りが広がり、後半に若干のスモーキーさが感じられ絶妙なコクと心地よい味わいを堪能できます。
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時期は1970年代中頃から後半といったあたり。WHITE HORSE DISTILLERS表記に時代を感じます。
グレンエルギンがシングルモルトとしてリリースされた初期ボトルがこちらです。
アロマは麦芽香、土っぽさの後にピート香が主張し、奥に砂糖を焦がしたような香りやマーマレードジャムのような感じもあります。
味わいは麦芽の香ばしさやカルメ焼き、ビターさやピートのほろ苦さがあるのが特徴です。
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1977年以前に蒸留された原酒が使われ1933年にボトリングされたこちらの16年は現在では廃盤品ですが、一部ウイスキー愛好家に大変親しまれていたボトルです。
バーボン・バーレル樽による熟成のシングルカスクかつカスクストレングスで、アロマはレーズンやドライプルーン、熟したブドウ、ローストした麦、ハーブなどが感じられます。
味わいはプルーン、蜂蜜、ウエハース、ビターチョコなどのフレーバーがあるのが特徴です。
濃い口の力強さはあるのに、喉の通りがよくすっと入っていく銘柄でのみやすさがあります。
グレンエルギンは、ザ・スペイサイドともいうべきハーバルな麦芽香と切り花のような爽やかさが特徴です。
また、オフィシャルでは12年物は「ボトルに入ったフルーツケーキ」と記載されています。
貴重な香りをとばさないようにストレートで飲むことをおすすめします。
有名な評論家達から「グレンエルギンは将来的にシングルモルトで栄えていくだろう」、「あまりにも長い間隠されていたすばらしいモルト」と評された「グレンエルギン12年」。
これから、認知度が上がっていけば価格もあがっていくかもしれません。
是非、今のうちに飲んでおかれることをおすすめいたします。