山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
グレンギリーは東ハイランドに位置する蒸留所、グレンギリー蒸留所で、建設は最も古い層に入り、1797年に創業しました。
グレンギリーとはゲール語で「谷間の荒れた土地」という意味でグレンギリー蒸留所はスコットランドの東ハイランド地区にあるオールドメルドラム村に位置しています。
周辺が大麦を豊富に収穫できる産地だったので、ウイスキー造りに適していたことから蒸留所ができたのですが、「谷間の荒れた土地」という異名をイメージするとウイスキーの味をうたがってしまいそうですよね。
歴史の古いグレンギリーは所有者の入れ替わりや操業停止など紆余曲折がありましたが、ブレンデッド用のモルトウイスキーを中心に広く認知されてきました。
しかし、サントリーが経営に関わるようになってからはシングルモルトウイスキーのリリースもされるようになったのです。
種類は少ないですが、味にも定評があり、非常に貴重です。
サントリーが関わっているということで日本人にも飲みやすくなっています。
この記事のポイント
グレンギリーは昨年リリースされた日本の碧(ao)というウイスキーに入っているのをご存知でしょうか。
碧aoは世界を代表する五大ウイスキーをブレンドしたウイスキーで、入っているのはスコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズの5種類を指します。
正確にはグレンギリーとアードモアが碧(ao)に採用されていますが、生まれ故郷の異なるさまざまな原酒をバランスの取れた飲みやすい味わいにしたサントリーのブレンダーの技術は素晴らしいです。
そして、碧(ao)の五大ウイスキーに選ばれたグレンギリー!
なぜ選ばれたのかその味が気になるところだとおもうのでご紹介いたしましょう。
碧(ao)について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
個々の種類によってはことなりますが、グレンギリーは全体的にはスモーキーさをもちながらも爽やかでフローラルな華やかさをもちあわせています。
甘い華やかさはあるものの、ピート感をバランスよく感じられる昔ながらのウイスキーといったところに人気があります。
以前はティーチャーズというウイスキーのキーモルトでもあったのでスモーキーテイストでは両者共通していますね。
味わいはフルーティな桃やぶどうを微かに感じながらも大麦麦芽の特産地ならではのパンやバニラ、ウエハースの香りが押し寄せます。
フィニッシュにかけてはピートのビター感の刺激が印象的です。
ティーチャーズについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
グレンギリーは1797年(一説には1785年)にトーマス・シンプソンが設立しました。
ちなみに創業当時はオールドメルドラム蒸留所という名前でした。
一説にはウイスキー造りは1785年から始めた模様であり、以前はビール工場を営んでいたようです。
その後、買収でオーナーの交代があったり、営業停止を余儀なくされたりと、歴史ある蒸留所につきものの波乱万丈な道のりが続きます。
1884年にブレンデッドウイスキー「VAT69」で知られるウィリアム・サンダーソンが蒸溜所を買収し、VAT69のキーモルトとして使用されますが、1937年にDCL社の傘下に入ります。
その後30年以上の営業停止となり、1968年、モリソン・ボウモア蒸留所が所有者となります。
そこで、モリソン・ボウモアは大胆な行動に打って出ます。
1982年にはスチルの加熱に初めてガスを採用し、その熱源などに北海油田から産出する天然ガスを使用し、さらに冷却水の余熱を利用して温室を作り出し、そこでトマトやキュウリ、花などの栽培をしたりして時代を先取りしたecoスタイルを当時から実践しました。
しかし、その後1994年7月にサントリーがモリソンボウモア社を買収して現在に至ります。
グレンギリーはサントリーが買収してからシングルモルトに力を入れるようになり、1972年頃に作っていた味とはだいぶ違ってきました。
当時はスコッチらしいピート香やスモーキーな風味でした。
しかし、オーナーがサントリーになってからは、ノンピーテッド製法にしシングルモルトウイスキーとして製造を始めたため、現在は果実感たっぷりのフルーティな味わいのウイスキーがリリースされています。
ノンピーテッド製法というのはあまりスモーキー、ピーティーさを強く感じさせない、あるいはピートを使用しないノンピーテッド麦芽を原料としたモルトウイスキーのことで、飲みやすく改良するための製法といえます。
今回は日本国内で手に入りやすく、人気のラインナップをご紹介します。
この他に最近ではヴィンテージシリーズなどが数多くリリースされているので見かけたらチェックしてみて下さい!
画像引用元:https://www.glengarioch.com/whiskies/vintage-releases/vintage-1999
グレンギリー12年は色んなフルーツをミックスしたように、濃縮した果実感が味わえるオフィシャルラインナップのスタンダードボトルです。
香りから、味わいまで青りんご・桃・マスカット・ぶどうといったフルーティさがアルコールを包んだようにあらわれ、その後バニラや麦芽、ナッツの香りに移り変わり、フィニッシュにかけてはシェリーの酸味とビターチョコレートのような苦味まざったような複雑な味わいが楽しめます。
複数の樽をバッティングさせて造っていますが、味わいが喧嘩することなく見事な調和をかもしだしています。
画像引用元:https://www.glengarioch.com/whiskies/core-range/founders-reserve
紆余曲折ありましたが、スコットランド最古の蒸留所として、200年以上に渡って伝統的なハイランドモルトをつくり続けてきたことは確かな歴史として記念されるべきことですね。
そこでリリースされたのがファウンダーズリザーヴです。
創業者マンソン兄弟に敬意を表する意味でラベルには彼等の名前も記載されています。
香りはバターやチーズといったややオイリーなアロマが感じられるが、その中にミルクチョコやレーズンといった甘さがほのかに漂います。
味は非常に飲みやすく、香りとは反対に果実感が広がりをみせます。
紅茶の茶葉のような上品な味わいもあるので、非常に飲みやすく初心者にはうってつけかもしれません。
画像引用元:https://www.glengarioch.com/whiskies/vintage-releases/vintage-1999
グレンギリー15年 シェリーカスクは免税店向けボトルとなっています。
フルボディでシロップのような口当たりのテクスチャーは強くシェリー樽の影響をうけてプラムやブドウなどのベリー系の果実を感じます。
口に含むとトレクルタフィー、チョコレート、メープルシロップの甘味が心地よく、その中にナツメグやジンジャーのスパイス、ピリッとしたオレンジのマーマレードと日付のピリッとした温かさを運びます。
フィニッシュにかけては濃厚なレーズンが深く続き、カスタードプディングの上のカリカリのキャラメリゼの部分やリコリス菓子のような味わいで終わります。
フルーツ感を爽やかに感じたいのであればロックで飲むことをおすすめします。
ストレートよりも、アルコールの刺激を強く感じるとともに、あとからリンゴやブドウなどのフルーティな香りが押し寄せ、ストレートよりもフルーティ感が出る印象です。
そしてフィニッシュには微かにスモーキーでビターな感触を楽しめ、何通りもの味が楽しく体験できます。
加水をするとすっきりとのみやすくはなりますが、フルーツの香りがうすくなってしまうのが残念です。
グレンギリーは非常に個性的なシングルモルトでありながら、蒸留所の閉鎖と再開を繰り返し続けており、1995年にも閉鎖されたので売却されたのではないかという噂もありましたが、その2年後に営業を再開しています。
更に、2005年にはビジターセンターも完成し、多くの観光客が集まるようになりました。
さらに2021年3月にはサントリー社が多額の設備投資をして、蒸留所の改修工事をすることも決定しており、今一番成長が期待できるウイスキーといってもいいでしょう。