ラフロイグ 10年とは? スモーキーな味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
キルホーマンはスコットランドのアイラ島のシングルモルトです。
アイラ島といえば、「ウイスキーの聖地」と呼ばれる場所で、9か所の蒸留所がせめぎあっていますが、島の広さは日本でいうところの淡路島の一回り程度広い位の小さな領土です。
ウイスキーの老舗が集う島ではありますが、その中でキルホーマンは何と124年ぶりに誕生した蒸留所が造るウイスキーで2005年に営業開始しました。
新しい蒸留所ではあるものの、ファームディスティラリー(農場蒸溜所)という伝統の製法でウイスキー造りをしているという特徴があります。
この製法はその名の通り、大麦栽培・製麦・糖化・発酵・蒸溜・熟成・瓶詰というウイスキー造りにおける全工程を自社で行うことですが、19世紀のアイラ島ではごく普通のことでした。
しかし、現在ここまで一貫して行える蒸留所は今では本当に大変なことです。
この記事のポイント
キルホーマンという名前は教会の名前にちなんでつけられたといわれています。
現にアイラ島の西側にはキルホーマン教会の跡地があります。
アイラ島は国土の4分の1は泥炭(ピート)に覆われているため、スモーキーでピーティな味わいに定評があるウイスキーが多く、人気があります。
キルホーマンはロッホサイド農場という広い農場の中に建っています。
アイラ島にある蒸留所の多くが海沿いにある中、キルホーマンが農場の中にたっているのには大麦栽培のためのです。
ちなみにキルホーマンのフェノール値は、(スコッチウイスキーの原料となるモルトのピートでの乾燥レベル)そこそこ高めであり、50ppmあります。
フェノール値が高いとスモーキーな味わいが強めと言われていますが、スモーキーが強いからと言って飲みにくいウイスキーというわけではありません。
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キルホーマンなどは甘さとスモーキーさのバランスがよく飲みやすい銘柄です。
後ほど味わいについてはご紹介します。
キルホーマンは蒸留所周辺に大麦畑を所有しており、毎年約200トンの大麦の収穫しています。
昔は多かった農場蒸留所ですがキルホーマン以外は珍しく、他の蒸留所ではほとんど行われていません。
収穫された大麦は蒸溜所内でフロアモルティングにより大麦麦芽になります。
フロアモルティングとは、ウイスキー造りの重要な工程の一つです。
まずは原料となる大麦に含まれるデンプンから糖分をつくります。
大麦を発芽させてデンブン質にかえて麦芽糖に分解する。
これで酵母による発酵の準備ができるのです。
フロアモルティング後は大麦が麦芽糖を消費するのを防ぐために乾燥させます。
乾燥にはアイラ島で採掘されたピート(泥炭)を使用します。
ピートを使用することで、独特のスモーキーなフレーバーが麦芽につくのです。
フロアモルティングのフロアとはその名の通り「床」を意味します。
水を含んだ大麦を床一面に広げ、空気に触れさせることで発芽を促します。
キルホーマンは、フロアモルティングを採用していますが、非常に重労働なので、他の大多数の蒸留所ではモダンモルティングという製法をしようしています。
モダンモルティングは大型施設を持った製麦専門業者「モルトスター」に委託するのが、一般的となっていて、フロアモルティング製法を使用している蒸留所は非常に少数派です。
また、キルホーマンは発酵にもこだわりがあり、時間をかけています。
通常の大麦麦芽の発酵時間は48時間~60時間程度ですが、キルホーマンは80時間程度かけて発酵します。
また、懇切丁寧な仕事がキルホーマンの味わいにも表れていそうですね。
力強いピートが特徴的なキルホーマンですが、様々な種類のカスクを用いて味わいを幾多も変える技は秀逸です。
新しい蒸留所ということもあって、様々なカスクに挑戦しており、例えばワインカスクなど。
他にも限定商品などたくさん販売されています。
ちなみにヘビーピーテッドな麦芽を使って作られたニューポットは主にバーボン樽で熟成されています。
創立は2005年の12月14日。 アンソニー・ウィリス氏とロックサイド農場のオーナー、マーク・フレンチ氏の二人が共同出資して創業となりました。
ビジターセンターもカフェや売店が充実しており、蒸留所限定ボトルも味わうことができます。
年間1万人が訪れ、観光スポットとしても大人気なので、是非足を運んでみてください。
2005年12月に初蒸留、2009年にファーストリリースのボトル「INAUGURAL」が発売されました。
キルホーマン蒸留所の定番ラインナップをご紹介いたします。
画像引用元:株式会社ウィスク・イー
キルホーマンマキヤーベイのマキヤーベイとはキルホーマン蒸溜所から800mほど距離に位置するアイラ島では岩場が多く荒々しい雰囲気のある場所ですが、最も美しいといわれるビーチの名前です。
フェノール値50ppm(ヘビーピート)の大麦麦芽を使用しており、バーボン樽で熟成した原酒をメインに3年から5年熟成した原酒をバランス良くヴァッティングしています。
ヨードののった力強い香りだけでなく、潮の香とともに桃、青りんご、なしなどの果実のアロマも感じられ、 味わいはは爽やかなライム、キャラメル、そして流れるように洗練されたピートスモークが見事に調和し、舌の上でオーケストラを奏でるように溶け落ちていきます。
画像引用元:株式会社ウィスク・イー
キルホーマン サナイグの「サナイグ」とはキルホーマン蒸溜所から北西に位置する小さな入り江の名前からきています。
とても静かで小さな入り江で荒々しく華やかなサンドビーチ「マキヤーベイ」と対照的な場所であることからこの名前が付けられました。
こちらもフェノール値50ppmの麦芽を使用していますが、特徴は「マキヤーベイ」と対照的です。
ヘビーピーテッドタイプのシングルモルトでオロロソシェリー樽の特徴が前面に主張されています。
オロロソ・シェリー樽とは18度前後までアルコールが添加され、コクのある味わいになるシェリー樽のことで、ドライフルーツにシナモンなどのスパイスを加えたようなアロマになるのが特徴的です。
キルホーマン サナイグのアロマは荘厳なピートスモークにレーズン、マーマレード、ミント。
味わいはレーズン・麦芽糖・ダークチョコレート・シナモン。
画像引用元:株式会社ウィスク・イー
限定商品の中から定期的に販売しているこちらの銘柄をご紹介しましょう。
最近では、2021年にも発売しています。
この銘柄はリリースの度にウイスキーのレシピを変えるという気合の入れようで毎年注目を集めている人気商品です。
ちなみに、2021年リリースは9年以上熟成された2つのヴィンテージ(2011、2012)のオロロソシェリーバット24樽を使用。世界で17,000本の限定リリースで、日本への入荷は990本となります。
キルホーマン サナイグの「サナイグ」とは、アイラ島で最大の湖の名前から来ています。
蒸留所近くの湖であり、ウイスキーの仕込み水としても利用されています。
水自体にもピーティな性質があります。
もちろん、フェノール値50ppmの力強い麦芽は健在。
アロマは薪を焼いたスモーク、キャラメル、チョコレート、ハーブ。
味わいはプラム、イチジク、スモークした肉、ピートスモーク。
キルホーマンを味わうのであれば、出来ればストレート。
ビギナーの方であれば、ロックをおすすめします。
キルホーマンは熟成年数の短いウイスキーなので水割りにすると渋みが目立ったり、ハイボールにすると甘みとスモーキーさの調和が崩れたりするからです。
ストレートでは、若いウイスキー特有の強さという長所にシェリーの甘みが加わり非常に個性的な味わいを楽しめます。
ロックではアルコールの強さが少し和らいで、滑らかな飲み口がビギナーの方には向いています。
スモーキーなウイスキーを好きになりたい!という方は導入として、甘みとスモーキーさの調和されたキルホーマンはとてもおすすめです。
特にビギナーの方にはキルホーマン サナイグが飲みやすいのではないでしょうか。
キルホーマンは新しい蒸留所なだけにここ数年で様々なウイスキーを販売しているので、これからもどんな銘柄がリリースされるか非常に楽しみですね。