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ロングモーンとは?種類や味わい、おすすめの飲み方

2022.07.15 / 最終更新日:2023.09.04

ロングモーンはスコットランドのスペイサイドエリアのシングルモルトウイスキーです。

色々とシリーズが出ていますが、最近16年はスーパープレミアムモルトウイスキーとしてリニューアルされたボトルでノンチルフィルタード製法されています。

知名度は低めですが、シーバスブラザーズ社からは『スペイサイドの隠れた宝石』といわれている銘柄でフルーティで華やかな味わいが特徴です。

しかし、実は日本のウイスキーの父として知られるニッカウヰスキーの竹鶴政孝氏が最初に1週間だけウイスキー造りの修行をした蒸留所なのです。

また、2020年9月にもペルノリカール社が保有している蒸留所から厳選したスペイサイドのウイスキー『シークレットスペイサイドコレクション』が日本限定でリリースされました。

数ある蒸留所の中でも個性の際立つ希少なシングルモルトウイスキーとして認められました。

本記事ではロングモーンの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。

この記事のポイント

  • ロングモーンの伝統の製法や蒸留所を紹介
  • ロングモーンの味わいを堪能できるおすすめの飲み方を解説

ロングモーンの蒸留所・歴史

ロングモーンは1894年にジョン・ダフという人物によって創業されました。

創業当時は産業革命の真っ只中にあり、ウイスキーブームの最中です。

そんな中でウイスキー職人達は真摯にウイスキー造りに取り組んでいた時代でした。

ジョン・ダフは戦略家でやり手であり、常に時代を先取りするような考えの持ち主で、4年後にはロングモーンに隣接するようにベンリアック蒸留所を建設しました。

非常にチャレンジャーな人物ではありますが、過去に南アフリカやアメリカにも蒸留所をつくって失敗したという経験がありました。

ロングモーン蒸留所は元々は教会があった地で、エルギンという街からローゼス方面に向かったほど近い場所にあります。

ロングモーンの名前の由来は元々あった教会からとったといわれています。

ウイスキー造りの大胆な構想の実行

ジョン・ダフはウイスキーのために大胆なこだわりを実行します。

何と、ウイスキーのために駅舎を作ってしまったのです!

ウイスキーのための最高の原材料を円滑に運び、稀少なウイスキーを世界中に届けられるようにするために蒸留所の目の前に駅建設し、汽車を走らせたのでした。

このエピソードはオフィシャルボトルにも描かれている汽車のイラストロゴが意味しています。

ちなみに、この駅は1968年には閉鎖され、現在では車で運ばれており、駅舎は観光スポットとして人気を博しています。

更にジョン・ダフは水の品質にもこだわり抜きました。

誰も見ることも近づくことも出来ないミルビュイズの泉からきわめて純度の高い均一性のある水を蒸留所にひいたのです。

しかし、ベンリアック蒸留所を建設した直後にウイスキー不況の到来に巻き込まれ、1900年にロングモーン蒸留所も閉鎖になってしまいます。

このウイスキー不況によって倒産した蒸留所は多くあり、きっかけは1898年の10月、大手ブレンダーのパティソンズ社が倒産したことによるものでした。

パティソンズ社は、19世紀の終わりにスコットランドのエディンバラ近郊で急成長したブレンダーで、この倒産が数々のスコッチ蒸留所に影響を与えたのでした。

その後、ロングモーンのオーナーは以下のように頻繁に入れ替わります。

ロングモーンのオーナーの変遷

出来事
1899 ジェームズ・R・グラントとエディンバラのブレンダー、ヒル・トムソンにより買収。
1970 グラント家とヒル・トムソンがグレンリベットやグレングラント蒸溜所と合併してグレンリベット・ディスティラリーズを設立し、その傘下に入る。
1977 グレンリベット・ディスティラリーズがシーグラムにより買収されその傘下に入る。
2001 ペルノ・リカールがシーグラムのウイスキー部門、シーバスブラザーズを買収。
それに伴い、シーバスブラザーズの傘下として稼働。

その後、一方で2006年にグレングラント蒸留所はカンパリ社によって買収され、ロングモーンとは離れ離れになることになります。

ロングモーンがオーナーを頻繁に変えながらも生き残ってきたのはその完成度の高さ、『隠れた宝石』と言われる異名を持つ理由なのです。

ロングモーンの製法

ロングモーンはステンレス製の糖化槽(マッシュタン)を使用していますが、1回の仕込み量は8.5トン、このマッシュタンはグレンリベットやグレンキース蒸溜所でも使用されているブリックス社製の最新鋭の型になります。

このマッシュタンから麦汁が1基39,000ℓ抽出され、それが10基あります。

麦汁の数字を聞いてもピンと来ないかもしれませんが、通常、一般的な蒸留所の平均の麦汁量は麦芽量1トンに対して5000~5500ℓなのでロングモーンは他の蒸溜所と比較して少ないです。

味に深みをだすこだわりの一つでもあるのでしょう。

蒸留器(ポットスチル)はストレートヘッド型で初留4基・再留4基の計8基です。

このストレート型のスチルは余市蒸留所も採用しており、ロングモーンがモデルになっているといわれています。

ロングモーンの特徴・味わい

非常にスペイサイドらしいというべき、華やかでクリーミィーさのある味わいが特徴です。

アルコールのツンと指す感じよりもフルーティな香りの方が強く華やかです。

スパイスの感じがすこしあります。

味わいは飲み初めはアルコールのピリピリ感やスパイシーな感じはありますが、甘みがあって味が美味しく味がギュッと詰まった味の濃さがあります。

少し加水するとフルーツの甘みが際立ちます。

初心者はトワイスアップして飲むのがおすすめです。

アルコール度数が高いボトルでもアルコール特有の香りやきつさがないのが飲みやすいです。

ロングモーンの種類

ロングモーンのおすすめラインナップをご紹介します。

ロングモーン 16年

画像引用:Amazon.co.jp

近年廃盤品となったフラッグシップモデル的な立ち位置で現在では中古市場や並行輸入品として入手が可能なようです。
ノンチルフィルターでボトリングされています。

アロマは蜂蜜、スパイシーなシナモン、麦芽の香ばしさ、バニラの甘い香りはあり、味わいは果実の蜜のようなとろみがある甘さ、マーマレードやリンゴ、爽やかな新緑のフレーバーが感じられます。

フィニッシュにはジンジャーなどのドライ感が続きます。

ロングモーン 18年

画像引用:secret-speyside.com

18年は前述でご紹介したペルノリカールグループが保有するスコットランドスペイサイド地方の蒸留所の中から厳選した『シークレット スペイサイド』コレクションの一つです。

このコレクションはロングモーンの他にキャパドニック蒸留所、グレンキース蒸留所、ブレイズ・オブ・グレンリベット蒸留所で構成されており、いずれも熟成18年以上の長期熟成シングルモルトが選ばれています。

気になるロングモーンのアロマは非常に華やかなのに、ドライ感も忘れておらず、クリーミーで上質なフルーツ、マンゴーやバナナ、砂糖をまぶしたパイナップル、軽くグラスを回すと更に上品な香りだちがして、洋ナシのような感じも漂います。

味わいは滑らかで粘性があり、麦芽クッキーのようなフレーバーから熟したマンゴーや洋ナシ、リンゴジャムを感じられます。

熟成のウッディー感とスパイシーさも余韻にかけて表れるのが特徴です。

ロングモーン 23年

画像引用:secret-speyside.com

23年も『シークレットスペイサイドシリーズ』の一つになります。

こちらはアメリカンオークバレルホグスヘッドで熟成したボトルになります。

アロマは濃厚でビターなアルコールっぽい鼻に刺激のある香り立ちがあるわりに、でもいい香りなのです。

シトラスやビターな香り立ちもあります。

味わいはまず、スパーっとくる甘み・ビター感・甘みが一気に押し寄せます。

非常に飲みやすいのですが、全体的に見れば平たい味わいです。

強いクセがあるというわけではないし、ピーティでもないので飲みやすさがあります。

穏やかな凪のような感じですが、その中に甘みしっかりと感じられるのです。

ちなみに加水すると更に穏やかになり、リンゴや蜜のニュアンスを感じられます。香り立ちから甘い感じがしっかりと表れます。

その奥に洋ナシっぽいニュアンスがあり、爽やかかつフルーティなアロマです。

加水しても味わいが崩れることなく、じんわりとした甘みを感じることができます。

ロングモーン 25年

画像引用:secret-speyside.com

25年も『ークレットスペイサイドシリーズ』の一つになります。

25年はアメリカンオークバレルホグスヘッドバットで熟成したカスクストレングスのボトルです。

アロマはアルコール感は熟成でなくなっている美味しさで23年よりフルーティさが若干強く香ります。

味わいは強い甘さにシナモンが香り、赤いリンゴ、柑橘類、そして豊かなサルタナの香りが漂い、滑らかに長く続く余韻にはドライな個性が感じられます。

ロングモーン 15年(旧ボトル)

画像引用:Amazon.co.jp

15年は90年代に流通した当時のフラッグシップ的ボトルです。

ロングモーンがシーグラムの傘下に入っていた時代に蒸留されたボトルとなっています。

アロマは南国のフルーツを思わせるマンゴーやマンダリンオレンジ、麦芽ジュース、ほのかなピート香です。

味わいは粘性がありながらもマイルドで柔らかく、フルボディでほろ苦いコーヒー、香ばしい麦芽クッキー、キャラメルなど充実した濃さを感じられます。

ロングモーン ザ ディスティラーズ チョイス

画像引用:Amazon.co.jp

ロングモーンのエントリーボトルになるこちらは2016年1月に発売されたロングモーンの新シリーズです。

年数表記のないノンエイジボトルとなっております。

アロマは結構若さを感じる立ち上がりとなっています。

乳酸菌やレモン、ヨーグルト、甘酒、清酒、フルーティとしてはキウイフルーツや青リンゴなどの清々しく鼻のようなイメージで森を吹く風のようなイメージです。

弱くバジルやシソのような葉のような感じもあります。

麦っぽさはかなり濃厚であとはクリーミィな生クリームやカスタードクリームのようなイメージです。

味わいはオイリーで口の中に柔らかく甘く広がっていく感じです。

日本酒っぽい感じも醸し出しており、ライススピリッツがあります。

濃厚ではありながら苦くなく、チョコレートの味わいもあります。

ロングモーンのおすすめの飲み方

一番はストレートです。

基本的にロック・水割り・トワイスアップ・ハイボールなどどんな飲み方にも対応できますが、ハイボールは若干ロングモーンの爽やかな甘さが弱くなってしまう傾向があってもったいないでしょう。

甘みの強さがお好きな方は熟成年数の長い23年などでロックにするとフルーティな強い嫌味のない甘さが口いっぱいに広がって美味しいと思いますので試してみてください。

まとめ

シークレットスペイサイドコレクション』はブレンデッド用に使われることが多いウイスキーでオフィシャルでのシングルモルトのリリースがほとんどない貴重なボトルになります。

表立って知られていないということで、新しいストーリーを語っていく上でシークレットと名付けているとのことです。

とても素敵な試みですね。

非常に稀少なシークレットコレクション、みつけたら是非飲んでみてください。

シークレットスペイサイドコレクションについてはこちらの記事で紹介しています。

シークレットスペイサイドの種類と味わい、おすすめの飲み方

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