山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
モートラックはスコットランドのスペイサイド、ダフタウンで最も古い蒸留所です。
ダフタウンは人口1500人という小さい街ながらもかつては多くの蒸留所がひしめき合っており、現在では6か所の蒸留所が立ち並んでいますが、その中でもモートラックは非常に力強い味わいを持っているので、『ダフタウンの野獣』と称されるシングルモルトとだったりします。
モートラックの野獣と聞くとウイスキー初心者の方は敬遠しがちですが、ピート香やスモーキーな感じはほとんどせず、フルーティーな味わいです。
その味わいの最大の特徴は「2.81回蒸留」を行っているということ。
本記事ではモートラックの種類と製法と歴史について解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
モートラック蒸留所の創立は1823年1823年、ジェームズ・フィンドレーターをはじめとする地元の農夫3名が共同でマクダフ伯爵の領地を借り入れ、建設しました。
ダフタウンにはモートラックの他にグレンフィディック 、バルヴェニー、グレンダラン(グレンデュラン) 、ダフタウン、アルタベーン等の蒸留所はありますが、ダフタウンでは初の合法蒸留所となりました。
当時は1887年にグレンフィディックができるまではダフタウン唯一の認可蒸留所でした。
蒸留所は町のはずれのダラン川とフィディック川が合流するあたりに建てられています。
そのため、モートラックの名前の由来はゲール語で「椀状のくぼ地」を意味しています。
モートラックのオーナーは創業当初から頻繁に入れ替わり、ビール工場と稼働していたこともあったり非常に不安定でした。
しかし、設立から30年後に地元の技術者であったジョージ・コーウィーという人物によって買収されてからは変わりました。
技術者という立場からの経営を巧みに駆使した人物で大活躍したのです。
彼は最初は共同経営者でしたが、途中から単独で経営するようになりました。
そして、彼の勢いに拍車をかけるように彼の息子であるアレクサンダー・コーウィーはロンドンの薬学部で学び、6基のポットスチルが入り組んだ非常に複雑な2.81蒸留を行い、モートラック特有のスピリッツを生み出しました。
この蒸留器の第一号は「『WEE WITCHIE』の魔法」と呼ばれています。
『WEE WITCHIE』とは「小さな魔女」という意味を表します。
モートラックがダフタウンの野獣と呼ばれるのも蒸留方法が超難解でこちらも「小さな魔女」と形容されている蒸留器を使用しています。
アレクサンダー・コーウィーが引退した後は1923年にジョニー・ウォーカー&サンズ社がモートラックを買収することになってからはジョニー・ウォーカーのキーモルトにも採用されています。
通常のウイスキーの蒸留の工程は2回ですが、モートラックは2.81回という中途半端な数字を120年前より貫いています。
モートラック蒸留所には、3基の初溜釜と3基の再溜釜があります。
非常に構造が難しいので熟練の職人でも使用するのに半年以上はかかってしまうとのことです。
しかし、「ダフタウンの野獣」の芳醇な味わいはそんな複雑な工程を経ているからこそ、つくりあげられるのでしょう。
この蒸留器は修復を重ねて120年前から変わらない製法をとっています。
更に、冷却装置はスコットランドの中でも少ないワームタブというらせん状のものを使用しており、異端中の異端と言っても過言ではないこだわりを貫いています。
それほど長い間多くの人々に親しまれる味わいだという証拠といえます。
樽も選び抜かれた樽を使用しており、ヨーロピアンオーク樽、アメリカンオーク樽の両方を使用することで力強い複雑な香味と味わいをより一層際立たせているのです。
スペイサイドモルトの特徴といえば華やかなフルーティーさと言えるでしょう。
またアルコール度数が熟成年数に関わらず、大体が43.4%と決まっているのです。
蒸留所の職人たちが一番ベストだと思っている味わいを引き出せるアルコール度数が43.4%と決めており、ずっと引き継がれています。
モートラックのおすすめラインナップをご紹介します。
画像引用:Amazon.co.jp
12年はバーボンとシェリー樽で熟成したウイスキーで色合いは少し鮮やかな琥珀で、アロマは少しオイリーさがあり、レーズンのような香りもあり芳醇。
ワームタブの影響も受けているのではないかと思います。
ものすごく芳醇で極めて重厚、川のような純粋さと僅かな酸味も感じられます。
力強さもありながら、すこしバニラや、カスタードなどの優しい甘さも感じられます。
凝縮感、噛み応え、食べ応えがある肉のようなウイスキーといわれるゆえんもわかるような味わいです。
スモーキー、麦の甘み、コク、フルーティさの3つの要素がバランス良く配合されたような味わいです。
芯がしっかりしているので、そのままで芳醇な味わいが楽しめてソーダ割りでも味が崩れることなく楽しめます。
ホワイトチョコと一緒に飲むと凄く相性がいいです。
モートラックは暫くブレンデッド用ウイスキーとしての採用でシングルモルトとしてリリースされることはなかったので、殆どの人、蒸留所のスタッフでさえも飲んだことがありませんでしたが、満を持して、1992年に少数限定ではありましたがリリースされました。
その後2019年にリニューアルを経た12年の上位ボトルがこちらです。
アロマは煮込んだ果実のようなジャムっぽさがあり、骨太で大地の香りもややあります。
味わいは力強いフルボディでありながらその後にライトな感じもあり、蜂蜜、皮革、スパイシーな甘み、熟成の力強さなど甘さやスパイシーさ、酸味が複雑に絡み合います。
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花と動物シリーズとはユナイテッドディスティラリーズ社、現在のディアジオ社が所有する蒸留所のシングルモルトシリーズです。
ラベルには蒸留にまつわる花と動物が描かれており、現行ボトルは全てアルコール度数43度でボトリングされているのも特徴です。
かつては25種類以上の大シリーズでしたが、現在は10種類ほどになっています。
マイナー蒸留所からのリリースで、普段はブレンデッドウイスキーに回され、シングルモルトウイスキーとしてのリリー
スはほとんどされない蒸留所のウイスキーが飲めるということで、ウイスキー好きの人には人気となりました。
シリーズというとボトラーズ物を想定する人もいらっしゃると思いますが、きちんとしたオフィシャルボトルとしてリリースされています。
そのため、各々の蒸留所のハウススタイルの味わいを感じることができます。
アロマはリッチで厚みがあり、ラム酒漬けのフルーツのようなコク、フルーツケーキやカカオ、味わいは強く、フルーツの濃いコクと甘みのバランス感、熟成感が見事に調和されています。
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アロマは静かで穏やかな香り立ちがします。
シェリー樽由来のコーヒーやフルーツタルト、ブラウンシュガー。
味わいはゆっくりとバーベキューのスモーキーさとブラックペッパーのような肉質感、オイリー、麦のお菓子、カラメルぎゅっと甘みやうま味が凝縮したボトルとなっています。
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非常にヘビーでオイリーな印象が強いです。
20年はタバコのニュアンス、厚みがあって繊細で洗練されたような印象。
ダフタウンの野獣と言われていますが、美女と野獣といったように繊細な部分がある印象です。
アロマにはお香のような香りも感じられます。
味わいにはドライフルーツの甘みが強く、12年とたたずまいは変わらずオイリーさは健在ですが、若干のスモーキー感がはいってきます。
スイートかつスパイシーで柑橘類の爽やかな味わいも感じ取れます。
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ラインナップの中では最長のボトルが25年です。
アロマはエレガントな甘いフルーツティーのよう。
バニラやクリームの他に肉汁のようなフレーバーもあります。
味わいは強いドライプラムの甘酸っぱさが印象的でアーモンドの香ばしさもあります。
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シェリー樽とバーボン樽レーズンぽく華やかでフルーティなシェリー樽由来のアロマでスペイサイドらしさがあります。
少し香ばしく、蜂蜜の香りもあります。
上品な蜂蜜感が強く、スパイシーさやクリーミーさもあります。
野獣のような肉質の強いモートラックの魅力を存分に味わうのであればストレートをおすすめします。
最近では、スペイサイドらしい華やかさとフルーティさを身に着けていますが、肉質のある噛み応えのある強さに関してはいまだ健在です。
是非ともストレートで味わっていただきたい銘柄です。
シングルモルトとして長い歴史があったものの、ブレンデッドウイスキーのキーモルトとして縁の下の力持ち的な役割が長かったものの、グレンフィディックやグレンリベットのような知名度は今ひとつだったモートラックですが、但しウイスキー通の人たちからすると本当に根強い人気があるというウイスキーです。
是非、ご賞味ください。