ウイスキー投資の適切な保存方法は? 不安な人に最適な投資法も紹介
- ウイスキー投資
ウイスキーは樽によって長年にわたり熟成されますが、樽はオークと呼ばれる木材によって作られます。
オーク樽に使用される木材には複数の種類があり、どの木材を使用するかによってウイスキーに与える風味が変化する仕組みです。
この記事では、オーク樽の材料となる木材や、代表的な3種類のオーク樽について紹介し、ウイスキーをボトルではなくオーク樽で購入する方法も解説します。
ウイスキーの熟成に使用されるオーク樽(カスク)の基礎知識について知りたい方は下記の記事もご参照ください。
この記事のポイント
ウイスキーの熟成に使用される樽はオークと呼ばれる木材によって作られます。
オークとはナラの木の総称であり、世界各地にさまざまな種類が存在する落葉樹のことです。
ナラの木を使用して作られたオーク樽にウイスキーを入れ、平均して9年もの間、ウイスキーは樽の中で過ごします。
短いものであれば3年程度、長いものであれば50年もの間熟成されることで、無色透明な液体は少しずつ琥珀色に変化し、アルコールの刺激が弱まり、まろやかで深みのある味わいに変化していくのです。
そんなウイスキーの時の旅を支えるのがオーク樽であり、ウイスキー造りに欠かせない存在であることから、樽もウイスキーの原料の一部といわれることもあります。
ウイスキー樽の作り方について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
代表的なウイスキー樽の作り方と材料となるオークについてご紹介
それでは、オーク樽の製造に使用される主な木材を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アメリカンオークとも呼ばれ、北米に生息しているナラの木のことを指します。
現在オーク樽の製造に使用されている木材の90%がホワイトオーク製といわれており、ウイスキー樽の主流となる木材です。
アメリカンオーク製の木材は水分を通しにくい性質があり、貯蔵したウイスキーの液漏れを防げるのも主流となっている理由になります。
また、ホワイトオークは加工して使用できる部分が多いことから安価になりやすいため、コスト面を考えても優秀です。
ヨーロッパオークやコモンオークとも呼ばれる、ヨーロッパに多く生息しているナラの木になります。
かつては、ウイスキーの熟成において主流であった木材ですが、耐水性が低く水を通しやすいことから、スパニッシュオークではなく耐水性が高いアメリカンオークが使用されるようになりました。
スパニッシュオークは作ってすぐに熟成させても、ウイスキーに与える影響が大きく、刺激が強すぎる味わいになってしまいます。
そのため、シェリー酒と呼ばれるワインの一種を熟成させたスパニッシュオーク製の空き樽を再利用することが一般的です。
余談ですが、初めてウイスキーの熟成が行われたのはスパニッシュオーク製の樽であり、密造したウイスキーを隠すためにシェリー酒の熟成に使用した空き樽に貯蔵していたところ、甘くて飲みやすい味わいになったことが現在のウイスキーが確立したきっかけといわれています。
フレンチオークはフランスを中心に生息するナラの木のことであり、含有されているタンニンの量が非常に多いことが特徴です。
フランスの代表的なお酒はワインですが、ワインの熟成にはタンニンが多く含まれた樽が欠かせないため、ワインの熟成に適した木材です。
しかし、近年ではウイスキーの熟成に使用されることもあり、主に一度他の樽で熟成させたウイスキーをワインを熟成させた空き樽に移し、再熟成させるカスクフィニッシュに利用されます。
スパニッシュオークを使用して熟成したシェリー酒もワインの一種であるため、ウイスキーの熟成にはワインも密接に関わっています。
ジャパニーズオークはその名の通り、日本に生息しているナラの木でミズナラとも呼ばれます。
加工に非常に手間がかかるため、コストパフォーマンスの悪さから日本を除いて諸外国でもほとんど使用されることがない木材です。
また、ジャパニーズオークが含有しているタンニンがウイスキーに影響を与えるのが非常に遅く、10年以下の熟成ではウイスキーの味わいが中途半端なものになりやすいです。
樽の材料として使用する木材としては不向きなように見えますが、手間をかけて熟成されれば唯一無二の洗練されたウイスキーになる可能性を秘めています。
オーク樽において代表的な種類は以下の3つが挙げられます。
それぞれ詳しく解説します。
バーボン樽は、ホワイトオーク製でバーボンウイスキーを熟成させた空き樽のことを指します。
こちらのオーク樽は、ウイスキーにバニラやキャラメルの風味を与えるのが特徴です。
バーボンウイスキーはアメリカで生まれたウイスキーであるため、木材は基本的にホワイトオークが使用されます。
また、熟成に使用した樽は何度も再利用することを前提に使用され、初めてバーボンウイスキー以外のウイスキーを熟成させた樽を「ファーストフィル」、以降に熟成に使用する場合は「セカンドフィル」または、2回目以降を総称して「リフィル」と呼ぶのが一般的です。
ファーストフィルとリフィルのバーボン樽ではウイスキーに与える味わいが異なるため、ウイスキーのブレンダーたちはこのことも考慮して樽を選択する必要があります。
そのため、必ずしもリフィルのバーボン樽よりファーストフィルが優れているということはありません。
シェリー樽は、スペインの酒精強化ワインであるシェリー酒を熟成させたオーク樽のことです。
ウイスキーにフルーツの風味を与え、甘くて飲みやすい味わいに仕上げてくれます。
かつては、スパニッシュオークで作られるのが一般的であったシェリー樽ですが、現在ではアメリカンオークで作られることが増えました。
また、シェリー樽は熟成させたシェリー酒の種類によっても味わいに影響を及ぼします。
例えば、シェリー酒の中でもオロロソであれば果実の濃厚な味わい、ペドロ・ヒメネスはシロップのような飲みやすさ、モスカテルはフレッシュな風味を与えます。
シェリー樽はウイスキー熟成において主流でしたが、現在では数も減り希少価値が高まっているオーク樽です。
ミズナラ樽はジャパニーズオークで作られたオーク樽のことを指します。
ジャパニーズオークは加工が難しく、10年以下の短期熟成には向かない木材です。
しかし、ミズナラ樽は長期熟成において真価を発揮するオーク樽になります。
ミズナラ樽で長期熟成されたウイスキーのオリエンタルな香りに、まろやかで洗練された深みのある味わいは、他のウイスキーでは味わうことができない唯一無二のものです。
そのため、ミズナラ樽で熟成されたウイスキーは、世界中のウイスキー愛好家が注目する人気銘柄となっています。
ミズナラ樽は、他の樽と比較して加工が困難であることからも希少価値が最も高いです。
ウイスキー樽の種類についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしましょう。
ウイスキーを熟成、または貯蔵できる役割を持つオーク樽ですが、1つの樽でどれくらいのウイスキーが入るのでしょうか。
樽の大きさにも異なりますが、ウイスキーの熟成に使用される樽は基本的にホグスヘッドやバットと呼ばれる大きさになります。
ホグスヘッドの容量は約250リットル、バットは約500リットルであり、700mlのボトル本数に換算しますとホグスヘッドなら350本程度、バットなら700本程度です。
実際にウイスキー樽が販売されるときの相場は、ホグスヘッドサイズの樽であればボトル換算して250本~350本程度、バットなら500本~700本程度に収まるのが一般的です。
ウイスキー樽の大きさについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキー樽はサイズや大きさによって種類が異なる!容量別にご紹介
基本的にウイスキーはボトルで購入しますが、熟成最中のオーク樽の状態でウイスキーを購入することも可能です。
オーク樽が購入できる仕組みはウイスキーが作られる蒸留所にあり、蒸留所は資金集めのために熟成しているオーク樽の一部を売却しています。
売却したオーク樽はボトラーズと呼ばれる独立瓶詰業者や、飲食店などを経営する法人、投資家などの手に渡ります。
蒸留所の元を離れたオーク樽は、さまざまな目的で世界中で売買されるため、1つの市場が形成されているのです。
また、国内でウイスキーカスクを購入できる唯一のプラットフォームが「ウイスキー・カスク・オーナーシップ」になります。
ウイスキー樽のオーナーになるのは多くのウイスキー愛好家の夢であり、近年ではウイスキーは資産防衛を目的とした投資対象としても注目されています。
ウイスキーの樽買いについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーの樽買い投資の選び方と購入金額について詳しく解説!
ウイスキーの熟成においてオーク樽は最も重要な役割を果たしており、その種類や木材によってもウイスキーに与える効果は大きく変わります。
熟成に使用される樽について知識を深めて、ワンランク上のウイスキー通を目指しましょう。
また、ウイスキーのオーク樽を投資に利用するウイスキー投資について興味を持った方は下記の記事もご参照ください。