山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
ポールジョンは、インドのゴア州で製造されているインディアンウイスキーです。
世界一のウイスキー生産国であるインドのウイスキーではアムルットが注目されていますが、ポールジョンもラインナップが幅広く、完成度が高いことからウイスキー愛好家の間で知名度が高まっています。
銘柄の名前にはニルヴァーナ(涅槃)などインドらしい言葉が用いられており、実際の熟成年数よりも高い熟成感があり、複雑な風味を持つのが特徴です。
この記事では、ポールジョンの種類と味わい、おすすめの飲み方を紹介します。
この記事のポイント
ポールジョンは、ジョン・ディスティラリーズ社で製造・販売されるインディアンウイスキーのシングルモルトです。
インドでも大手の酒類メーカーであり、ブレンデッドウイスキーしか存在しないインドで本格的なシングルモルトを製造するため、創業者のポール・P・ジョン氏が始めたブランドです。
スコットランドなどの冷涼な地域とは異なりインドの温暖な気候で製造されるポールジョンは、熟成年数が短いなかでも熟成感が高まり、円熟した風味を味わうことができます。
ポールジョンの歴史と製造方法について見ていきましょう。
ジョン・ディスティラリーズ社は、1992年にポール・P・ジョン氏が創業しました。
オリジナルチョイスと呼ばれるモラセスを原料にしたウイスキーを国内で販売し、インドでも大手酒類メーカーに成長します。
ポール・P・ジョン氏は、インド国内だけでなく世界に通用するウイスキーを作りたいと考えていたため、自身の名前をブランド名にしたポールジョンの製造を開始します。
ゴア州ポール・ジョン蒸溜所を設立し、2009年からシングルモルトウイスキーの生産を始めました。
完成したシングルモルトウイスキーは、2012年より、国内よりも先行してヨーロッパでの販売を優先します。
その後、地元のゴア州で販売されるようになり、ポールジョンは世界中に輸出されるようになりました。
インドのウイスキーの消費事情は基本的に国内で完結していますが、ポールジョンは日本を含む世界中で飲めます。
ウイスキーの消費量が最も大きいウイスキー大国でありながら、その知名度は世界に知れ渡っていないため、アムルットやポールジョンなどのインディアンウイスキーは5大ウイスキーのような一角を占めるウイスキーとして数えられていません。
しかし、ポールジョンは完成度の高さからウイスキー愛好家の人気を密かに集めており、知名度の低いインディアンウイスキーであるからこそ、話題になっていないことから品薄になりにくく飲みやすいウイスキーといえるでしょう。
インディアンウイスキーの代表的な銘柄であるアムルットについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ポールジョンは、世界中に広く流通しているスコッチウイスキーとは異なり、温暖気候で熟成されます。
熟成のスピードが冷涼な気候と比較して非常に早く、短い熟成年数で熟成感のあるウイスキーを製造可能です。
従来のウイスキーとは異なる気候で製造されるポールジョンは、製法にも独自のこだわりが詰まっています。
原料である大麦の種類には、一般的にウイスキーでは使用されない六条大麦を使用しています。
そのため、ピーテッドモルトの製造もスコットランドからピートを輸入し、製麦所で焚くひと手間を加えているのが特徴です。
スコッチウイスキーの製造方法を踏襲しながらも、発酵槽・蒸留器などの設備はすべてインド産にして、オーダーメイドにこだわっています。
ウイスキーを温暖気候で熟成させるデメリットには、熟成によって生じる天使の分け前が冷涼な気候よりも温暖気候のほうが増加してしまうことが挙げられます。
ポールジョンの種類と味わいについて紹介します。
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ポールジョン ニルヴァーナは、サンスクリット語で涅槃を意味する「煩悩が消え去った最高の状態や境地」のことを指します。
フルーツケーキとバニラに柔らかな香りに、はちみつと塩気を帯びた大麦の味わいが感じられます。
インドを象徴する銘柄でもありながら、完成度も高いことから幅広いラインナップから最初に購入する銘柄になりやすいといえるでしょう。
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ポールジョン ブリリアンスは、ジム・マーレー氏の著書『ウイスキー・バイブル』で94点の評価を獲得したウイスキーです。
甘くてスパイシーな風味が特徴であり、サトウキビのような甘みがあります。
ウイスキー・バイブルは完成度の高いウイスキーを選ぶのに参考になるため、ポールジョンに限らず、評価の高いウイスキーを選ぶのはおすすめです。
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ポールジョン クラシックは、バーボン樽で7以上熟成させた原酒を使用したボトルです。
トーストのような風味とトロピカルフルーツのような南国系のフルーティーなアロマが楽しめます。
ポールジョンの甘い味わいが堪能できるボトルであるため、こちらから飲み進めるのもおすすめです。
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ポールジョン ピーテッドは、その名のとおりインド国内で用意したピーテッド麦芽を用いて造られたスモーク香のあるボトルです。
スパイシーでスモーキーな風味が特徴であり、黒砂糖のような甘い味わいがあります。
1本のボトルにさまざまな風味が同居しながらもそれぞれが味わいを損ねず調和していることから、完成度が非常に高いため、ピートスモークに抵抗がない方におすすめです。
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ポールジョン ボールドは、同じくピートを焚いた麦芽を使用しているサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SWSC)でもダブルゴールドを受賞している実績のある銘柄です。
口当たりは絹のような滑らかさがあり、モカの香りとスモーク香りが調和しているのが特徴です。
ピートスモークが好きな方はピーテッドだけでなくボールドを試すことをおすすめします。
画像引用:https://www.kokubu.co.jp/brand/101/7760220.html
ポールジョン エディテッドは、ノンチルフィルタードでボトリングされたポールジョンです。
若干のスモークとエスプレッソの香りに草のようなフレーバーと大麦の味わいが広がります。
余韻が非常に長く、充実感を求めたい方におすすめの銘柄です。
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ポールジョン クリスマスエディション 2022は、2017年から毎年リリースされているクリスマス限定のボトルであり、2022年は第5弾にあたります。
スパイスと焼きリンゴの香りと穏やかなピートが調和し、プラムケーキとダークチョコレートのような甘い味わいが堪能できます。
ポールジョンのクリスマスエディションは毎年発売されているため、クリスマスシーズンで飲むウイスキーにおすすめです。
ポールジョンのおすすめの飲み方を解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウイスキー大国であるインドにおけるウイスキーの人気の飲み方は日本と同じくハイボールです。
そのため、ポールジョンはハイボールに合う風味となっており、爽快感のある飲みやすいウイスキーとなります。
シングルモルトでも価格を抑えて購入できるボトルもあるので、普段飲みのウイスキーの質を高めたい人にもおすすめです。
シングルモルトをハイボールにするのはもったいないかどうかはこちらの記事で解説しています。
シングルモルトをハイボールで飲むのはもったいない? その理由とは
ポールジョンはハイボールに限らず加水で風味が崩れにくいため、飲み方を選びませんが、ウイスキーの風味をそのまま楽しみたいならストレートがおすすめです。
水や炭酸水などのチェイサーを用意してゆっくりとポールジョンを堪能することで熟成感のある複雑な風味を余すことなく堪能できます。
ストレートで美味しいウイスキーの条件についてはこちらの記事で紹介しています。
ストレートで美味しいウイスキーの条件とは?おすすめの銘柄4選
ポールジョンはアムルットに続くインディアンウイスキーとして注目されており、ラインナップの幅広さと完成度の高い味わいから評価を受けています。
インドはウイスキーの消費量においては世界で最も高いウイスキー大国であるため、国全体で世界中に輸出できるウイスキーが製造されるようになれば、5大ウイスキーからインディアンウイスキーを加えて6大ウイスキーと呼ばれる日も来るかもしれません。
最初に飲む銘柄に迷うかもしれませんが、特にこだわりがなければニルヴァーナ、ピートスモークが好きな方はピーテッドを選ぶと良いでしょう。