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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーを飲むならストレートかロック、割るとしてもハイボールか水割りくらいという人が多いかもしれません。
「ウイスキーは独特の香りや味を楽しむお酒」という固定概念を持っているとしたら、もったいないことです。
一旦その考えは捨てましょう。
ウイスキーはもっと幅広い楽しみ方ができるお酒です。
たとえばフルーツなどを漬け込んでフレーバーを楽しむということもできます。
この記事では、漬け込みウイスキーの魅力について解説します。
漬け込みウイスキーとは、ウイスキーに果実等を漬け込んで、フレーバーを楽しむ飲み方です。
多くの家庭で手作りしている梅酒をイメージするとわかりやすいでしょう。
梅酒をつくる場合、ホワイトリカーを使うのが一般的です。
しかし、梅を漬け込むお酒はホワイトリカーでなくても構いません。
実はアルコール度数が20度以上のお酒なら何を使ってもよいのです。
ただし、自家製で漬け込み酒を造る際には、酒税法の規定を守らなければなりません。
まず、自家製の漬け込み酒は、自ら消費するためのものであって、販売してはならないという決まりがあります。
ただし、「自ら消費」といっても、同居の親族が一緒に飲むのは構いわないというのが一般的な法令解釈です。
漬け込みに使用するお酒に関しては、アルコール度数20度以上という規定があります。
しかし、それに当てはまればよく、お酒の種類は規定されていません。
ウイスキーはほとんどがアルコール度数40度以上なので、軽くクリアしています。
漬け込むものに関しても、酒税法の規定に違反していなければ自由です。
果実酒としては、ぶどうとやまぶどうだけ漬け込みの原料にすることが禁止されています。
それ以外には、米や麦など穀類を原料にすることができません。
穀類は禁止されているものが多いので、最初から避けるようにしておけば違反を避けられるでしょう。
つまり、自分で楽しむためのお酒としてなら漬け込み酒をつくることが酒税法でも認められており、使用するお酒の種類や漬け込むものも規定の範囲内なら自由だということです。
わざわざ手間をかけて漬け込みウイスキーにして飲むことに何かメリットがあるのでしょうか。
真っ先にメリットとして挙げられるのは、飲みにくいウイスキーが飲みやすくなるという点です。
ウイスキーは甘い香りや味わいがあっても、蒸留酒なので糖分由来の甘味はほとんどありません。
それがウイスキーの飲みにくさにつながっていることが多いのですが、漬け込みウイスキーはつくる際に甘味のあるフルーツや砂糖などを使用します。
適度な甘味がプラスされることで、飲みやすくなるわけです。
自分好みの味に仕上げられる点もメリットといえるかもしれません。
何を漬け込むか、どのくらい甘味をプラスするかを自分で決められます。
ウイスキーにフレーバーは付けたいけれど、甘味はほとんどいらないということなら、砂糖をかなり減らせばよいという具合です。
自分のオリジナルレシピで、自分好みの味に仕上げられる点は、市販のお酒では満足できない人の取って大きなメリットでしょう。
普段インスタグラムなどSNSの投稿をしている人にとっては、見栄えのよい写真をたくさん撮れる点もメリットになるはずです。
ガラス瓶を使用して色鮮やかなフルーツをと漬け込むので、その様子を撮るだけでも見栄えの良い写真になるでしょう。
フルーツの切り方や瓶への詰め方などを工夫するだけでも、かなり写真の見栄えを変えられます。
金色や琥珀色のウイスキーの中に赤やオレンジ、黄色などのフルーツが詰められているガラス瓶は、棚やキッチンカウンターなどに飾っておいてもきれいです。
漬け込みウイスキーが巷で流行るきっかけになったのはイチゴでした。
フレッシュなイチゴでも冷凍イチゴでもおいしくつくれます。
漬け込みの時間を短くしたいのであれば、アルミホイルなどに巻いてイチゴを急速冷凍してから使うとよいでしょう。
丸のままイチゴを漬け込むよりも、縦に半分に切って漬け込んだ方がよいでしょう。
水洗いして水気をしっかりとったあと、ヘタを丁寧に取り除いてから漬け込みます。
見た目の美しさと香り、甘酸っぱさ、どれをとってもウイスキーとの相性が抜群です。
好みで砂糖やレモンスライスを加えて漬け込み、4日程度で飲めるようになります。
赤リンゴ、青リンゴ、オレンジ、カシス、南国のフルーツなど、ウイスキーの甘味や爽やかさを表現する際にはフルーツを用いるのが定番です。
ですから、風味の表現に使われるフルーツなら相性が悪いはずがありません。
たとえば、リンゴやオレンジなどは甘味も酸味も漬け込みウイスキー向きでしょう。
ブルーベリーや金柑は丸ごと漬け込めて、色もきれいです。
レモンやライムを漬け込むときは、厚めの輪切りにします。
長く漬け込むときは、皮を厚めに剥いて白いワタの部分しっかり取り除くようにしましょう。
漬け込み時間が長くなると苦味が出てくるためです。
レモンやライム漬け込みが1カ月から1カ月半程度なら皮が付いたままの輪切りで構いません。
少し渋みが出ますが、深い味わいに仕上がります。
もちろん、梅酒をウイスキーでつくるというのもありです。
甘酸っぱい梅はウイスキーとも相性がよいので、より芳醇でコクのある梅酒に仕上がります。
梅酒を漬け込む際には氷砂糖を使うことがよく知られていますが、他のフルーツを漬け込む際も氷砂糖がおすすめです。
砂糖は甘味を付けるためだけでなく、浸透圧を上げ、フルーツのエキスを出やすくするために用います。
糖度を高めることでカビ防止にもなるので、漬け込み日数の長いフルーツを付ける際には、純度の高い氷砂糖を使うようにしましょう。
甘味だけが強いものよりも、適度な酸味のあるフルーツの方が漬け込みには向いているようです。
赤肉メロンやいちじくのように甘味が強く酸味が少ないものは、レモン果汁を加えたり、レモンスライスを一緒に漬け込んだりするとよいでしょう。
ウイスキーは甘味や酸味の他に、かすかな苦みやスパイスの辛味なども感じるお酒です。
フルーツと一緒に苦みのあるシソやゴーヤ、辛味のある山椒、胡椒などを漬け込むと風味が増します。
梅酒をつくる際には、新鮮で傷がなく、粒がそろっているものを選ぶようにしますが、漬け込みウイスキーの場合、傷がついていても粒がそろっていなくても特に問題はありません。
極端に古いものでなければ、ウイスキーに漬け込んでも大丈夫でしょう。
ウイスキーの味わいを表現する言葉としてドライフルーツが登場することもあります。
ですから、ドライフルーツとウイスキーの相性も良いでしょう。
ドライフルーツを漬け込む際には、種類別に漬け込むのがおすすめです。
ドライフルーツにはオイルコーティングしてあるものがあるので、湯通ししてから使いましょう。
ざるにドライフルーツを入れ、熱湯を回しかけます。
その後、ペーパータオルなどでしっかり水気を取るのがおいしく作るコツです。
くれぐれも長時間お湯につけっぱなしにしておくことがないように注意しましょう。
下処理の時点でふやけてしまうと、ウイスキーをしっかり吸わせることができません。
ウイスキーと相性がよいドライフルーツは、パイナップル、リンゴ、クランベリー、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、イチジクです。
デーツのドライフルーツがあったら、甘味料代わりに使ってみましょう。
甘味が強いので、砂糖代わりに加えてみると優しい味に仕上がります。
ドライフルーツの漬け込みには、シナモンスティックやバニラビーンズ、スターアニスなどのスパイスを一緒に漬けるのがおすすめです。奥深い味に仕上がります。
取り出したフルーツは、パウンドケーキにして食べましょう。
ウイスキーに合うドライフルーツについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーに合うドライフルーツは?おすすめの種類を5つご紹介
漬け込みウイスキーにしておいしいのはフルーツだけではありません。
実は、コーヒーや紅茶とも相性がよいのです。素材の苦味や渋みがウイスキーの持ち味と合うのでしょう。
漬け込む紅茶の種類はアールグレイがおすすめです。
不織布のティーバッグに茶葉を入れ、ウイスキーを注ぎ入れたら、ガムシロップで甘味を足します。
冷暗所に置いて3~6時間程度がちょうどよい飲み頃です。
漬け込み時間が長くなりすぎると渋くなってしまうので、頃合いを見てティーバッグを取り出しましょう。
ストレートやロックでもおいしく飲めますが、ソーダ割りや牛乳割りが向いています。
コーヒーを漬け込むときは粉ではなくて豆です。
豆の種類にこだわっても構いませんが、コーヒーに関しては、銘柄を選ばなくてもよい塩梅に仕上がります。
ウイスキー150mlに対してコーヒー豆20gくらいで試してみましょう。
コーヒー豆と砂糖を入れたボトルにウイスキーを注ぎ込んで、ふたをしたら1週間ほど冷暗所に置いておきます。
飲み頃になったらコーヒー豆を取り出して完成です。
こちらも、ストレートやロックで飲む以外に、ソーダ割や牛乳割りが合います。
ウイスキーにはさまざまな種類があり、それぞれクセが違います。
スモーキーフレーバーが強めなアイラモルト、シェリー樽の香りが強いスペサイドモルト、オイリーなアイリッシュウイスキー、樽の影響が強いアメリカンウイスキーなど個性豊かです。
同じフルーツ例えばイチゴを、異なる種類のウイスキーで漬け込んだとき、どのような違いが出るでしょうか。
イチゴなどフルーツと相性がよいのは、やはりシェリー樽で熟成させるスペサイドモルトです。
シェリー樽でなくてもよいのですが、甘味を強く感じるウイスキーはフルーツとの相性がよいといえます。
元々シェリーカスクのウイスキーは、フルーティで華やかな香りが特徴です。
漬け込み期間4日でもおいしく飲むことができ、20日以上寝かせたら更にまろやかかつなめらかになります。
アイリッシュウイスキーも甘みがあるので、フルーツとの相性は悪くありません。
しかし、漬け込み期間が長くなるとアイリッシュの個性が失われてしまいます。
ウイスキーよりも漬け込んだフルーツの香りや甘味が勝ってしまうからです。
漬け込みウイスキーというよりも、フルーツリキュールに近くなってしまいます。
逆に4日程度の漬け込みで飲むと、今度はオイリーさが強く、味わいも軽めです。
他のウイスキーで漬け込んだときよりも物足りなく感じるかもしれません。
バーボンはボディが軽いものならフルーツの漬け込みに使えますが、アルコール度が高く、樽香が強いものはバーボンのクセが勝ってしまいます。
漬け込みに使用するのはやめておいた方が無難です。
漬け込み日数を長くしても、木樽独特の焦げた木の香りが消えません。
バニラやカラメルのほろ苦い甘さはフルーツと合うのですが、タンニンが邪魔します。あえてアメリカンウイスキーを選ぶなら、樽感の薄い銘柄を選ぶとよいでしょう。
スモーキーなアイラ系モルトは、短期間の漬け込みには向いていません。
フルーツの甘酸っぱい香りと独特のスモーキーフレーバーがケンカしてしまいます。
しかし、20日以上しっかり熟成させるとガラッと香りも味わいも変わるので不思議です。
表面的なものが取り払われて、中心にあったものが表面に浮き出てくるように表情が変わります。
アイラ系はクセが強く、漬け込みによって浮き出てくるクセも人によっては評価が分かれるかもしれません。
熟成日数による変化を楽しむなら、アイラ系よりは個性が穏やかなアイランズウイスキーにしておいた方がよさそうです。
ジャパニーズウイスキーは、スコッチの流れを組むものの個性は強すぎないので、フルーツを漬け込んでもまずくて飲めなくなるようなことはないでしょう。
しかし、繊細さと複雑な味わいを売りにする高級な銘柄は漬け込みに使うのはもったいないといえます。
フルーツや紅茶、コーヒーなどのフレーバーを足さずにそのまま飲んだ方がよいでしょう。
国産のウイスキーを漬け込みに使うなら、元々割って飲むことを想定してつくられている銘柄や手ごろな価格で購入できるブレンデッドウイスキーを漬け込みに使うのがおすすめです。
ウイスキーを飲みなれていない人ほど、ウイスキーはストレートやロックで飲むお酒だと思い込んで、かえって飲む機会を失ってしまうようです。
しかし、実際は、さまざまな飲み方ができます。
短時間の漬け込みでも飲みやすくなるので、気になるものは一通り漬け込んで変化を確かめてみましょう。
意外な発見があるかもしれません。