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ミズナラ樽熟成ウイスキーが人気な理由とは?おすすめの銘柄と特徴

2021.07.28 / 最終更新日:2022.05.19

ミズナラ樽で熟成されたウイスキーが希少価値が高く、中々手に入らないということをご存知でしょうか。

ミズナラ樽のウイスキーは白檀(びゃくだん)伽羅​(きゃら)のといったお線香でも慣れ親しんでいる香木のような香りを想わせます。

日本人の好みにマッチしていながら、深みのある味わいで人気を博していますが、熟成には時間がかかるため中々流通量が少ないのが実情です。

ミズナラ樽はサントリーが保有する全100万樽のうち、1%未満しかないと言われています。

ウイスキーファンであれば一度は味わってみたいものです。

この記事のポイント

  • ミズナラ樽のウイスキーの特徴や歴史を紐解きます
  • ミズナラ樽のウイスキーが人気の理由を解明!

1.ミズナラ樽とは

1-1.ミズナラの木

ミズナラ樽に使用されるミズナラという木の特徴をみていきましょう。

ナラ(楢)」の木は耐久性が非常に高いので家具などにもよく使われています。

硬く、上部なため曲木の細工に向いているため、中世の西洋でも家具材として愛用されてきました。

ナラ(楢)は英語でオークとも呼ばれています。

日本では家具で使われるときはナラ材と呼んでいますが、通常はミズナラと呼ばれます。

その名の由来でもあるように、水を多く含んでいて、燃えにくい性質があります。

ミズナラはドングリのなる落葉広葉樹として知られています。

ナラの木は北海道やロシアなどの寒い地域で生育されますが、木目の美しさだけでなく、丈夫で良質な北海道産のミズナラは「ジャパニーズオーク」と呼ばれ、数も少なく貴重です。

ジャパニーズオークの持つ特徴として「斑(ふ)」と呼ばれる美しい木目が入っているのが国内外から人気を博している理由の一つです。

1-2.ミズナラ樽ウイスキーはスイーツとの相性も抜群!

お酒に合わせるおつまみはチーズやサラミといった塩気の強い乾き物をイメージする方が多数だと思います。

しかし、ウイスキーはスイーツにもぴったりなのです。

甘いものが好きな女性の方にもおすすめです。

チョコレートとウイスキーの味わいは類似している点が多いため、特にチョコレートとは相性がいいです。

ミズナラ樽ウイスキーで有名な「サントリー シングルモルト ウイスキー 山崎」はミルクチョコレートに合わせるのがおすすめ。

「山崎」はフルーティな香味でまろやかな甘味を感じられるといった味の特徴があります。

ロック・ストレートでウイスキーを飲む時は濃厚でコクがあるチョコレートチーズケーキのような洋菓子がおすすめです。

チョコレートボンボンやパウンドケーキにもウイスキーが使われていますので、違和感はなく堪能できると思います。

脂肪分が少ない和菓子などのスイーツであれば、水割りの方が相性がいいでしょう。

苦味成分の濃いコーヒーと洋菓子、和菓子には煎茶がマッチするのと似ています。

また、ウイスキーと合わせることでスイーツの食べ過ぎを抑えられる点もあるでしょう。

ウイスキーに合わせるおすすめスイーツ
ロック・ストレート チョコレートやチーズケーキ
水割り 和菓子

1-3.ミズナラ樽の誕生の歴史

今では大人気のミズナラ樽のウイスキーですが、樽としての活用を始めたばかりの頃は美味しいといえる代物ではありませんでした。

ウイスキーが日本に伝わったのは江戸時代末期のペリー来航に遡りますが、洋酒は大変高価なもので、その後も暫くは流通せず

浸透しませんでした。

庶民に手に入るようなウイスキーはアルコールに香りをつけただけのウイスキーに似せたお酒の流通の方が一般的でした。

しかしその後、サントリーの創業者 鳥井信治郎は

「日本人の味覚に合ったウイスキーをつくりたい」

という強い想いから、1923年(大正12)に「サントリー山崎蒸溜所」の建設に着手します。

国産ウイスキーの製造の始まりです。

しかし、国産ウイスキーの製造は順風満帆には進みませんでした。

スコッチウイスキーをお手本としてウイスキーの製造を手掛けており、熟成に使う樽はアメリカや連合国からの輸入に頼っていました。

シェリー樽で熟成させるのが主流だったのです。

しかし、第二次世界大戦の最中で国交が悪化し、樽の輸入が困難になりました。

そこで、国内でのウイスキー樽としてミズナラを使ってみようということになったのです。

ミズナラ樽はそもそもシェリー樽の代用品として採用されたということになります。

ミズナラ樽のウイスキー製造にたどり着くまでも試行錯誤を重ねました。

ミズナラは水分を吸収しやすい特徴があるため、樽詰した原酒が漏れ出てしまうといった欠点があったのです。

樽材としては非常に加工が難しい木材であるだけでなく、肝心なウイスキーの味は木の香りが強すぎて敬遠されていました。

しかし、年月を重ねて調査・研究を続けていくうちに、発見が生まれます。

新樽では強さがきつかった木香ですが、2回、3回と繰り返し使用され、熟成を重ねていくと香木の白檀(びゃくだん)伽羅(キャラ)を想わせる独特なオリエンタルな香りになったのです。

2.ミズナラ樽ウイスキーの人気の高さ

2-1.ミズナラ樽のウイスキーが希少な理由

ミズナラ樽に加工されるミズナラの木は樹齢200年から300年程度まで育成します。

更に水を吸収しやすいミズナラを熟成樽仕様に加工するのも高い技術を要するのでコストも上昇。

また、樽木の選定も常に高品質のウイスキーを追求し続けるサントリーにはこだわりがあります。

「シングルモルトウイスキー山崎」などはブレンダー自らがミズナラ森へ足を運び樽木の選定をします。

熟成においては長期間がないと独特のオリエンタルな香味を出せないため、ジャパニーズウイスキーになるまでに12年~50年の歳月を要します。

熟成期間が長いほどまろやかで、香味深い味わいになりますが、期間が長い分だけ手間もかかります。

ウイスキーは樽の全てが同じような熟成過程をたどるわけではありません。

置く場所が数メートル違うだけでスピリット(蒸留酒)の状態が変わることもあるので、想像の域を遥かに超える場合もあります。

そのため、熟成期間中は樽の熟成状態を樽一つひとつにおいて定期的に確認する作業をし、大切に育てて世に出しています。

ジャパニーズウイスキーの繊細できめ細やかな味わいはブレンダーや貯蔵工程の職人の下支えにより作られているわけです。

貴重なミズナラの少ない資源、ウイスキー熟成にこだわりを持ったプロ集団の高い技術と長い年月、これらを考えると手に入れたい人は多く人気が出るのは必然です。

ミズナラ樽も数量・加工の困難さのために安価の海外産オーク樽に頼ることもしばしばです。

ミズナラ樽で造られているウイスキーは非常に希少かつ貴重なのです。

2-2.ジャパンウイスキーの品薄状態はまだ続く!

ウイスキーの原酒造りは、熟成に時間がかかるため大量生産ができません。

急に需要が増えても、供給が間に合わないのが現実。

しかし、ミズナラ樽で熟成したような高級ジャパンウイスキーの品薄状態は依然として続くといっていいでしょう。

その理由はウイスキーの受給バランスの調整にありました。

1971年のウイスキーの輸入自由化で、舶来ウイスキーブームがの後押しもあり、「水割り」で飲むスタイルが大流行しました。

バーやスナックでは「ボトルキープ」という日本独自のサービスも導入され、常連であるあかしのようなステイタスが欲しい客はこぞって利用していました。

そのような華々しいバブルの時代にウイスキーの需要も鰻のぼりでしたが、84年からはバブル崩壊と同調するごとく需要が下がり続けました。

2009年頃から持ち直してきてはいたものの、1984年~2008年頃まで需要が低迷していた時に大量の在庫を抱えていたので、生産量を増やすためにペースをあげていくことに慎重になる必要がありました。

しかし、その後もサントリーを筆頭とした企業努力によってウイスキー人気は現在も続いています。

ウイスキー生産の稼働ペースを上げても熟成に年数がかかり、すぐに市場にでることはなく、品質に重点を置いているのでこれからも品薄状態は続くといっていいでしょう。

2-3.世界でも人気のミズナラ樽ウイスキー

日本で最初にミズナラ樽ウイスキーの生産に成功したサントリー山崎蒸溜所は2003年に「山崎12年」が初めて世界の酒類コンペティションで入賞したのを皮切りに約20年もの間数多くの受賞をとっています。

また、ミズナラ樽は日本だけではなく、アメリカ産のウイスキーでも高い評価を得ています。

2020年にワールドベスト・ウィートウイスキーを受賞したアメリカ産のウイスキーは、2年連続で日本産のミズナラ樽で熟成した原酒を使用しています。

「天猫国際(Tmall Global)」というは2013年に開設された越境EC専用のプラットフォームではミズナラウイスキーの代表格である「山崎」が数秒で売り切れ、中国人にも人気でした。

3.ミズナラ樽ウイスキーの人気銘柄

ミズナラ樽で熟成させたウイスキーでよく知られている代表的な人気銘柄をご紹介します。

ミズナラウイスキーの人気銘柄

  • サントリー シングルモルト山崎 ミズナラ
  • シーバスリーガル12年 ミズナラ
  • イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ

3-1.サントリー シングルモルト山崎 ミズナラ

言わずと知れた日本を代表するシングルモルトウイスキーです。

長期間の仕込みと熟成で丹精を込めた高品質のウイスキーなので香味は強くしっかりと感じられます。

酒屋では中々お目にかかることがなく、ネットでも高値で取引されるなど入手困難です。

3-2.シーバスリーガル12年 ミズナラ

シーバスリーガルはモルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーを、ブレンド後、日本原産のミズナラ樽で熟成させたお酒です。

名誉マスターブレンダーのコリン・スコットが日本人のために生産し、日本で限定販売されたウイスキーです。

日本人の味覚に合うような味わいが計算されているため、木樽独特のスモーキーな香りは抑えられています。

果実感が感じられる甘味で飲みやすい仕上がりと言えます。
シーバスリーガルとは?種類や味わい、おすすめの飲み方

3-3.イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ

株式会社ベンチャーウイスキーは2004年に肥土伊知郎氏が創業し、埼玉県の秩父市に秩父蒸留所が建設されています。

2010年、ワールドウイスキーアワード(WWA)で、熟成年数無しのカテゴリーで「ベストジャパニーズ・ブレンデッドモルト」を受賞しました。

創業者の名前を取ったこちらのウイスキーは柑橘系の果実とチョコレートを混ぜたような甘い香りです。

口にすると甘味が抜けた後にミズナラのスモーキーなピートの味わいが広がります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ミズナラ樽のウイスキーはたくさんの日本人の苦難と発見の連続の末にたどり着いた幻の味です。

日本人の真面目で勤勉な性格を体現したとも言うべきウイスキーは今や世界中に認められました。

現在もウイスキー人気をけん引し続けているミズナラ樽のウイスキーですが、入手困難なのが残念なところです。

近い将来により多く市場に出ることを期待したいですね。

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