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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーのレパートリーを増やしていきたいのであればテイスティングノートを作ることをおすすめします。
テイスティングとは飲み物や食べ物の味や香りを試してみること。
試食・試飲といえば分かりやすいでしょうか。
ウイスキーにはたくさんの種類があり、味や香りの説明も専門的で難しく表現されていることが多いです。
また、1本のウイスキーを語るにおいても、ウイスキー熟練者コメントは千差万別です。
人種により、飲む人により味覚の違いがあるので、自分でウイスキーを飲んでみたら全然違った!
などということもあるかもしれません。
やはり、一番信じられるのは自分の舌で味わって確かめることが大事。
そこで、便利なのがテイスティングノートです。
今回はテイスティングノートの有効活用についてご紹介します。
この記事のポイント
ウイスキーのテイスティングノートはその銘柄の味や風味などの特徴などを詳細にまとめた記録です。
ウイスキーノートには大きく分けて以下のような項目が記されます。
テイスティングノートの内容 | |
銘柄の情報 | メーカー・銘柄名・蒸留日・価格・熟成年数・アルコール度数・飲んだ場所・飲んだ日の日付等 |
香り | 通称アロマとも呼ばれる。(例)ピートの香り、ミント・バニラ・フラワー・その他様々な表現あり |
味わい | 通称フレーバーとも呼ばれる。甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の詳細を記載 |
ボディ | 舌の上にのせた時や喉を通ったときのコクやテクスチャの感じなどを表現します。 |
フィニッシュ | ウイスキーの後味のこと。フレーバーの内容の他に長さを記録するとわかりやすい |
上記は一例ですが、この他に自分なりの項目を加えてみてもいいでしょう。
例えば、銘柄別に自分の評価やコメントを付け加えておくと好みの味が具体的に分かってきてウイスキーを選別する時のいい判断基準になるかもしれません。
「ウイスキーは1度飲んだことがあるけどあまり合わなかった、飲めるようになりたいけど自分には無理かもしれない。」
そのように感じている方もいらっしゃると思います。
一度飲んだだけなのに次のような苦手意識をもっていないでしょうか。
初心者にありがちなウイスキーの苦手意識
初めて飲んだウイスキーが強い個性をはなっていてトラウマになっていたり、飲んだ時のエピソードが悪印象で残ってしまうとずっとひきずってしまうものです。
でも、ウイスキーは沢山の種類があり、飲み方を変えることによっても味は大きく変わります。
ウイスキーを好きになるのに役立つのがテイスティングノートです。
自分が好みの味、嫌いな味を細かく記録しておけば、再び苦手なテイストの銘柄を選んでしまうこともないですし、より一品に出会える可能性もあります。
もう一度飲みたい、またはおすすめのウイスキーを人に教えたい!でも味や香りというのは画像で表せるものではありません。
ウイスキーの味を記録しておくには自分が飲んだ時の感じ方を記録しておくという方法しかないのです。
ウイスキーを自分だけでなく、誰かと一緒に飲むときに
テイスティングノートは見返した時に自分で銘柄別の特徴が明瞭に分かるようするのが目的です。
でも、たくさんの種類のテイスト、更には微妙な誤差の範囲で違うような味わいのニュアンスを言葉で表すのは至難の業です。
何となく自分で書いてみたら、全部似たような味の記録になってしまって何の参考にもならない!ということもあります。
ウイスキー初心者が陥りがちな失敗はこちら
テイスティングノートをつけ始めたばかりなのであれば恰好をつけて無理に難解な表現を使う必要はありません。
例えば香りの専門的な表現でモルティー、エステリー、ウッディー等普段聞きなれないような言葉を耳にすることもありますが後で忘れてしまったり、覚えられないようであれば避けるべきでしょう。
ウイスキーを飲んだ時、鼻に抜ける香りと舌で感じる味わいで違うことがある場合もあります。
混同しないように香りとフレーバーを分けて考えましょう。
その上でウイスキーのテイスト別に以下のような分類をあてはめます。
味の系統 | 使われる言葉 |
木材 | ピート・ウッディー・森林の香り・木片・香木の伽羅・樹脂・ニス・タンニン・ポリフェノール |
お菓子・甘味 | 蜂蜜・ジャム・ミルクチョコレート・ビターチョコレート・バニラ・キャラメル・クッキー |
穀物 | トウモロコシ・大麦麦芽・シリアル・モルティー・クラッカー・ビスケット |
ナッツ | ヘーゼルナッツ・クルミ・アーモンド |
花、ハーブ | カモミール・ジャスミン・ミント・ハーブ・バラ・ユーカリ・ローズマリー |
果物 | ライム・柑橘系・オレンジ・グレープフルーツ・チェリー・リンゴ・トロピカルフルーツ・マンゴー |
香辛料 | ブラックペッパー・シナモン・ジンジャー |
薬品 | 正露丸・ヨード香・ヨードチンキ・薬品・アルコール・除光液 |
塩気 | 潮の香り・潮風 |
薬品や塩気などは一見おいしくなさそうな印象を受けますが、他よりもインパクトが強いので、飲みなれたツウの方ほど好まれていたりもします。
また、ウイスキー初心者はピートの香りが苦手という人もいますが、これもまた飲みなれていくとハマってしまう味わいなのです。
ピートの香りについては以下の記事でもご紹介しています。
ウイスキーのピートとは? ピート香の強いウイスキーの飲み方も解説!
ボキャブラリーが浮かばないという方はこのような分類に自分の感じた味と香りをあてはめてから、5種類の基本的な味覚「甘味、塩味、酸味、苦味、うま味」を思うままに表現してみましょう。
味覚を表現する時はあいまいな言葉で何にでもあてはまるような表現ではなく、できるだけはっきりと断言したようなワードがいいです。
上記の図のように好きだ、美味しいといった感情を表すワードを使用して表現すると自分の気に入ったウイスキーの表現が全て似たような印象になり、分類付けが分かりにくくなってしまいます。
美味しくても不味くても具体性を持った表現方法をするように心がけましょう。
ウイスキーの香り・味を系統にわけることが難しい、味覚の表現が同じになってしまいがち、言葉が出てこないという方はサポートツールを使ってみるといいでしょう。
「フレーバーホイール」とは、飲み物や食べ物の特徴を専門用語で表した円の形の図表です。
出典:フレーバー・ホイール | WHISKY Magazine Japan
ウイスキーを味わった時に感じる味覚の類似性や専門性を考慮に入れて香りと味の両面の表現をまとめています。
上記の図表では香り/味わいを8つのグループに分けています。
これらのグループにはそれぞれ、見合った表現の言葉が書かれています。
例えばPEATY(泥炭)であれば「煙っぽい」・「お香のような香り」などです。
フレーバーホイールは類似の代替物を表現に用いることで、ウイスキーをたしなむ人同士の共通認識を深めコミュニケーションをとりやすくするのにも有効です。
FEINTY(後留臭)というのはあまり聞いたことがないかと思いますが、ウイスキーを造る工程を指します。
蒸留液で、最初に出てくるアルコールの強い部分を前留(=フォアショッツ、ヘッズ)、最後に出てくる弱い部分を後留(=フェインツ、テール)といいます。
弱いアルコールの香味ということでハチミツ、皮革系:革張りの家具、タバコ系、汗臭系、プラスチック系の表現がされます。
SULPHURY(硫黄)の香りもウイスキーと結びつかない香りに見えますが、ゴムのような香りとあらわすこともありどちらかというと美味しくなさそうなマイナスイメージといえます。
誰かに紹介する時には不味いウイスキーを紹介する機会も少ないですから、聞きなれないのかもしれませんね。
調べたいウイスキー銘柄の味がどの範囲の位置づけかを具体化した図がフレーバーマップです。
こちらはスコッチのシングルモルトのフレーバーマップです。
縦軸は、ウイスキーの香りの強弱、横軸は、ウイスキーの口当たりの軽さやまろやかさといった視点で構成しています。
フレーバーホイールと違い、視点を小規模に絞っているので、使いやすいのではないでしょうか。
テイスティングノートの記録するにはベストな状態でテイスティングを行うことが重要です。
テイスティングの方法や注意点を確認しておきましょう。
順序 | ウイスキーのテイスティングの流れ |
① | ウイスキーボトルのラベルなどを確認し、内容を読む |
② | ウイスキーをグラスに適量(約15~30ml)注ぎ、目線より若干高い位置に持ち上げ、色を見る |
③ | グラスの脚の部分を持って、鼻から若干離れた位置で香りをかいだ後、軽く回してもう一度香りをかぐ |
④ | 口に含み舌の上でころがしながら味わう。 |
テイスティングではウイスキーを視覚と嗅覚で観察をします。
視覚:色からの情報で熟成年数や使用していた熟成樽を感じ取ることができます。
グラスを傾けてゆっくりと回すした時に、内側を伝って落ちるウイスキーの状態を「涙」と呼びます。
涙がゆっくり落ちるほどアルコール度数が高く、濃厚で熟成年数も比較的長いウイスキーが多いと言われています。
嗅覚:ウイスキーを口に含む前の香り、第一香を存分に楽しんだ後でもグラスの回し方・口に含んだ時、鼻を抜ける時など様々な複雑な香りを持ち合わせています。
香りの違いや変化を試してみましょう。
アルコール度数の高いウイスキーをストレートでテイスティングすると悪酔いする危険性があります。
口の中をリフレッシュして少量で長く味わうためにもチェイサーに水や炭酸水を用意しましょう。
ウイスキーの味わいを損ねないためにもチェイサーは常温のものがベストです。
ウイスキーが入っているグラス部分を持つと手の温度でウイスキーが温まってしまい、味わいが変わってしまう可能性があります。
テイスティンググラスはなるべくステム(脚)を持って、グラス部分に触れずに飲むようにしましょう。
テイスティングノートは地道な作業で面倒なこともありますが、銘柄が増えていくとスタンプラリーのように楽しくなってきて、付随していつの間にかウイスキー熟練者になっているかもしれません。
経験を味方につけ、試行錯誤しながら自分好みの味を見つけていくのには非常に便利なツールといえます。
ノートに記録することで飲むだけではなく、五感をフルに使う醍醐味も生まれます。
テイスティングノートは市販でも色々な種類が販売されていますが、出先で急にウイスキーを飲むことになったとか後で記録するのを忘れそうだ、面倒だという方は常に携帯しておける便利なサイズがいいでしょう。
最近ではテイスティングノートのスマホアプリもあるので便利です。