山崎 ノンエイジ/NV(ノンヴィンテージ)とは? 味わいとおすすめの飲み方を紹介
- ウイスキー銘柄
トマーティンはスコッチウイスキーですが、日本の宝酒造が蒸留所のオーナーとなっており、宝酒造が販売するブレンデッドウイスキーの原酒でもあります。
1970年代には年間1,000万リットルも生産されたトマーティンでしたが、スコッチウイスキーの低迷と共に生産量の維持が難しくなり規模を縮小することとなりました。
一時期はスコットランドで最も生産されたウイスキーとして知られていたトマーティンですが、過去の栄光に囚われることなくピーテッドタイプの新ウイスキー「Cu Bocan」を発売するなど挑戦を続けています。
この記事ではトマーティンの種類と味わいについて解説し、おすすめの飲み方も紹介します。
この記事のポイント
画像引用:https://www.tomatin.com/
トマーティンとは、スコットランド北部の広大なハイランド地方で作られるハイランドモルトです。
ハイランドモルトは、スペイサイドを除いたハイランド地方で作られたシングルモルトのことを指します。
地域が広大であるため、ハイランドモルトに共通する特徴を上げるのは難しく、ハイランドの中でも東ハイランド、北ハイランドといったように東西南北に分類して考えることもあります。
その中でも北ハイランドは香りと味わいのバランスがいい銘柄が多く存在しており、トマーティンも北ハイランドで製造されるウイスキーです。
北ハイランドはトマーティンだけでなく、ハイランドモルトの中でも高い人気を誇るグレンモーレンジィも北ハイランドで製造されるウイスキーの1つになります。
それでは、ハイランドの中でも評価の高いウイスキーが生産されやすい北ハイランド出身のトマーティンについて見ていきましょう。
ハイランドモルト(ハイランドウイスキー)について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ハイランドウイスキーのおすすめ銘柄8選と地域ごとの特徴について
トマーティン蒸留所は1897年に設立され、1906年に一度操業を停止しますが、1909年に新たな経営体制を元にスタートし、一時期はスコットランド最大の蒸留所となります。
1956年には2基の蒸留器が4基になり、1958年には6基に増築、その後増改築を続けた結果、1974年には合計23基の蒸留器が稼働し、生産能力は1,000万リットルになりました。
しかし、1970年代からスコッチウイスキーは低迷期を迎えており、この流れには逆らえずトマーティン蒸留所は1986年に清算されました。
現在では全盛期の半分以下の生産能力で再開され、多くの蒸留器が停止されている状況です。
最盛期はブレンデッドウイスキーの原酒の生産が中心でしたが、近年ではシングルモルトの生産にも力を入れており、新たな方針で生産が続けられています。
トマーティン蒸留所について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください
トマーティン蒸留所 - Tomatin DISTILLERY
一度は清算されたトマーティンですが、こちらの蒸留所を新たな方針で再開させたのは日本企業の宝酒造と現在は丸紅が全株式を取得した大倉商会でした。
この蒸留所は日本がオーナーとなった最初のスコットランドの蒸留所であり、他にはニッカウヰスキーがオーナーとなったベン ネヴィス蒸留所が有名です。
宝酒造の所有となったトマーティンは、同社のブレンデッドウイスキー「アンティカリー」の原酒として重用されています。
このような経緯からトマーティンは日本になじみ深いスコッチウイスキーの1つとなっています。
トマーティンは、販売されている多くの銘柄が世界的に認められたウイスキーの品評会で賞を受賞しています。
銘柄ごとに主な受賞歴を下記にまとめました。
銘柄 | 概要 |
トマーティン レガシー |
International Wine and Spirit Competition(IWSC):金賞(2022年) |
World Spirits Competition:ダブルゴールド(2019年~2021年) | |
The Spirits Business:金賞(2021年) | |
トマーティン 12年 |
International Spirits Challenge(ISC):金賞(2021年) |
World Spirits Competition:ダブルゴールド(2019年~2021年) | |
The Spirits Business:銀賞(2021年) | |
トマーティン 14年 |
World Whiskies Awards(WWA):金賞(2016年) |
World Spirits Competition:金メダル(2016年) | |
トマーティン 18年 | World Whiskies Awards(WWA):金賞(2017年) |
World Spirits Competition:ダブルゴールド(2018年) | |
トマーティン 30年 | World Whiskies Awards(WWA):金賞(2019年) |
World Spirits Competition:ダブルゴールド(2019~2021年) | |
トマーティン 36年 | World Spirits Competition:ダブルゴールド(2017年) |
トマーティン カスクストレングス |
International Wine and Spirit Competition(IWSC):銀賞(2016年) |
World Spirits Competition:金メダル(2018年) |
参考:トマーティン 公式サイト
ここまで世界的に権威のある酒類品評会の受賞歴を紹介しましたが、まったく知らない方もいると思いますので品評会の概要についてもまとめます。
品評会 | 概要 |
International Spirits Challenge(ISC) | 『ドリンクス・インターナショナル』が主催 |
International Wine and Spirit Competition(IWSC) | イギリスで開催される大規模な酒類品評会 |
World Whiskies Awards(WWA) | 『ウイスキーマガジン』主催のコンペティション |
The Spirits Business | 『The Spirits Business』が決定するアワード |
World Spirits Competition | サンフラシスコで開催する米国最大の酒類品評会 |
世界中のウイスキーファンが読む雑誌によるコンペティションや、イギリス、アメリカにおいて最大規模の酒類品評会、合計5つの品評会から賞を受賞しており、トマーティンは受賞歴から世界中で評価されているシングルモルトといえるでしょう。
それでは、トマーティンの種類とその味わいについて紹介します。
※ボトル画像は引用元の記載がない場合は公式サイトから引用
トマーティン レガシーはトマーティンのノンエイジボトルであり、現在は同銘柄のスタンダードボトルの立ち位置にあります。
バーボン樽で熟成させた原酒とアメリカンオークの新樽で熟成させた原酒をブレンドしてボトリングしています。
バニラビーンズとシナモンのアロマな香りに、フレッシュさを感じるフルーティーな味わいの中に生姜のスパイシーさが感じられ、すっきりしたほどよい長さのフィニッシュが特徴です。
トマーティンの中では最も入手難易度が低く、飲みやすいウイスキーであるため、ウイスキー初心者や、トマーティンを初めて飲む方はこちらの銘柄から試してみるのもよいでしょう。
トマーティン12年はレガシーが出るまではスタンダードボトルであったウイスキーであり、こちらもトマーティンの入門酒の立ち位置にあります。
バーボン樽とシェリー樽で熟成された原酒をブレンドしたこちらのウイスキーは、フルーツの甘い香りと植物のアロマ、マンゴーとカスタードプリンの甘みとレーズンの熟した果実味が感じられます。
レガシーよりも高い価格で販売されていますが、大きく価値に差があるわけではないので、初めて飲む方はレガシーと12年でどちらかを好みで選ぶのがおすすめです。
酒齢14年以上のバーボン樽で熟成させたトマーティンとポートワイン樽で熟成させたトマーティンがブレンドしたボトルです。
ハチミツと濃厚なタフィーの香りと、フレッシュでライトな口あたりのフルーツのバランスの取れた味わいが特徴になります。
レガシーや、12年物のトマーティンを飲んでからこちらのボトルと飲み比べてみるのもいいかもしれません。
トマーティンを18年以上熟成させたボトルで、こちらは樽を移し替えオロロソシェリー樽で追熟させた原酒のみを使用しています。
レーズンやドライフルーツなどシェリー樽由来の強い香りが鼻腔を満たし、そのフルーティーな味わいは長期熟成によりアルコールの刺激がなくなり、まろやかなものに変化しました。
その飲みやすさから完成度の高い銘柄です。
酒齢30年以上のトマーティンのみを使用してボトリングした長期熟成ボトルです。
トマーティン蒸留所のグラハム・ウンソンは、「エレガントで風味豊かであること、飲む人の感覚を楽しませるための味覚を備えていること、すべてを詰め込んだウイスキー」と表現しています。
トロピカルフルーツとバニラの香りが融合し、フルーティーさの中に深みを与えるスパイスが豊かな味わいをもたらしているのが特徴です。
価格はここまで紹介した銘柄と比較すると非常に高価ですが、スタンダードなトマーティンの味わいが好きなら一度は飲んでみたいウイスキーといえるでしょう。
トマーティン36年は、2015年にラインナップに追加された現状の一般販売のボトルでは最高酒齢のシングルモルトです。
36年以上熟成させたバーボン樽とシェリー樽の原酒をブレンドしたこちらのボトルは、12年物の口当たりをより滑らかでクリーミーにしたものであり、非常に高い完成度を誇ります。
販売されてからWorld Spirits Competitionで金賞・銀賞を連続受賞しており、世界からも高い評価を受けています。
バーボン樽とシェリー樽の組み合わせで熟成させた原酒をあえて、加水処理をほとんどせずにボトリングしたのがこちらのカスクストレングスです。
トマーティンの特徴であるフルーティーな香りと味わいをより強く感じられ、スパイシーさも強化されています。
より強い香りと風味を求める人におすすめの銘柄です。
画像引用:https://www.kokubu.co.jp/brand/101/7740096.html
スコッチ特有のスモーク香をピートによる乾燥により付与したトマーティンの原酒をバーボン樽で熟成させたのが、新たにトマーティンから販売されたシリーズであるCù Bòcan(クボカン)です。
従来のトマーティンの香りと味わいにバランスのいいスモーク香が加わり、伝統的なスコッチの味わいを想起させる銘柄に仕上がりました。
トマーティンにピートによるスモーク香を求めるなら、こちらのシリーズを飲むのがよいでしょう。
トマーティン50年は、1967年に蒸留を開始した酒齢50年以上の原酒のみを使用しボトル詰めした長期熟成銘柄であり、限定70本が販売されました
公式サイトではリンゴ、ナシ、プラムの果樹園で伐採されたばかりのオーク香が広がり、口に含むと、エキゾチックなトロピカルフルーツとドライアプリコットがはじけ、バニラタフィー、クリームキャラメル、フレームレーズンの甘いフレーバーが感じられると説明されています。
非常に希少価値の高いボトルであり、日本では見かけることはまずない幻の銘柄といえるでしょう。
最後に、トマーティンのおすすめの飲み方を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
トマーティンはクセが少なく飲みやすいウイスキーであるため、ストレートがおすすめになります。
元々ライトな味わいであるため、炭酸水などで割ってしまうと軽すぎて物足りなく感じてしまうかもしれません。
基本的に割らずにストレートで楽しむことを推奨される銘柄です。
トマーティンは加水すると、ナシとハチミツの風味が強くなります。
トワイスアップによりトマーティンの香りを引き立て、加水により甘みが増すのでおすすめです。
ただし、加水し過ぎると水っぽくなりますので、トワイスアップで使用する水は適量にとどめ、適切なバランスで作ることが重要です。
トマーティンは代表的なハイランドモルトであり、ウイスキー初心者でも飲みやすいウイスキーとなっているので、ハイランドモルトに挑戦したい方におすすめの銘柄です。
最初に飲むならレガシーと12年の選択になるので、好みの銘柄を選びましょう。
また、割らずにストレートで楽しみやすいことも特徴であるため、ストレートで飲めるシングルモルトを探している人にも適した銘柄といえるでしょう。