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- ウイスキー基礎知識
日本で世界5大ウイスキーの一つに数えられているスコッチウイスキーはスコットランドで生まれました。
ウイスキーはこれから試してみたい、でも日本の銘柄もわからないのにスコットランドなんて、という方もいらっしゃるでしょう。
ウイスキー初心者の方でも、サントリーホールディングス株式会社はご存知かと思います。
サントリーは日本で初めてウイスキーを発売しましたが、今や、ウイスキーだけではなく多様な種類の酒類や飲料水、食品にまで及びホールディングス株式会社として世界的に有名です。
シングルモルトウイスキー『山崎』といえば、国内外より高い評価を得ており、名だたる賞を受賞しています。
ここまでサントリーウイスキーの評価を押し上げられたのはスコッチウイスキーをお手本として飽くなき探求を重ねたという基盤がありました。
日本となじみの深いスコッチウイスキーですが、種類によって製造方法・原材料・飲み方も様々です。
また、スコットランドではスコッチのシングルモルトウイスキーは6つの地域別に分けられています。
スコットランドは日本の北海道程度の面積があり、広大な地域なのでエリア別の個性も様々です。
今回は自分に合ったスコッチの味わいを選ぶヒントをご紹介いたします。
この記事のポイント
スコッチウイスキーはスコットランド原産のウイスキーを指します。
スコッチウイスキーとして販売していい商品には定義があり、以下を遵守することが定められています。
スコッチウイスキーの定義 | |
① | 糖化から発酵、蒸留、熟成まで. スコットランドで行う |
② | 蒸溜酒はアルコール度数40%以上で瓶詰めする |
➂ | 700L以下のオーク樽で最低3年以上熟成させる |
こちらは定義されている表記を記したラベル表示の例です。
2009年にスコッチウイスキー協会はスコッチの定義の明確な法改正をしました。
ラベル表記においても決められた項目の表記が義務付けられています。
ウイスキーの種類はブレンデッドウイスキーのラベルを例に挙げましたが、シングルモルトの場合はエリア名の表記も必要になります。
また、定義付けされているわけではありませんが、製造メーカーのロゴが描かれていることが多いです。
内容量は70clとと記載がありますが、clはセンチリッター(centiliter)の略です。
1センチリッターは1リッター(1,000ml)なので、70clは70 x 10 = 700mlの量を示しています。
前章でラベルにウイスキーの種類の記載、とありますがスコッチウイスキーは製法の違いにより3種類に分けられます。
スコッチウイスキーの種類
スコッチウイスキーの原材料は以下の通りです。
スコッチウイスキーの原材料 | |
モルトウイスキー | 大麦麦芽 |
グレーンウイスキー | トウモロコシ、ライ麦、小麦などの主原料に糖化のための大麦麦芽を15%程度くわえたもの |
ブレンデッドウイスキーは複数の蒸留所のモルトウィスキーとグレーンウイスキーを混ぜたウイスキーです。
モルトウイスキーの製造工程は以下のように進みます。
モルトウイスキーの工程 | |
① | 発芽した麦を乾燥させて、麦芽を作る・仕込み水の用意 |
② | 麦芽を細かく砕き、仕込み水に混ぜてお粥状にする(糖化) |
➂ | ②に酵母を加えて発酵させ、もろみをつくる(発酵) |
④ | もろみを2回蒸留する(蒸留) |
⑤ | 蒸留で生成されたニューポットを樽で熟成させる |
モルトウイスキーはこちらのようなポットスチル単式蒸留器で蒸留します。
蒸留とは液体を気体化させた後、また液体にもどすことです。
蒸留前のもろみの中に水とアルコールが含まれていますが、アルコールだけを蒸留させることでアルコールが凝縮し、原液よりも度数の高いアルコールとなります。
発酵後のもろみのアルコール濃度は7%程度ですが、蒸留後は、65%~70%にまでいっきに濃縮されるのです。
ちなみに樽で熟成される前のできたばかりのウイスキーの原酒はニューポットと呼ばれています。
ウイスキーの蒸留は2回行われますが、蒸留の都度もろみ溶液を入れ替える必要があり、手間がかかるため、大量生産には不向きですが、ポットスチルで蒸留することで原材料のモルト、つまり大麦麦芽の個性的な味が残りやすいという特徴があります。
ウイスキーらしさを堪能したいのであればモルトウイスキーをおすすめいたします。
ウイスキーの蒸留については以下の記事もご参考ください。
ウイスキーの熟成期間による味の変化とカスク(樽)の役割について
原材料に大麦麦芽のみを使ったウイスキーがモルトウイスキーですが、その中でも1つの蒸留所のみで製造されたウイスキーをシングルモルトといいます。
その土地の気候や風土、熟成樽によってもモルトウイスキーの味わいに多様さはありますが、シングルモルトは単一の蒸留所で製造されることもあり、蒸留所の特性が特に強くウイスキーに反映されます。
どちらかといえば伝統的な職人気質を思わせるシングルモルトの製造ですが、その中でもより貴重な「シングルカスク」と呼ばれるウイスキーはご存知でしょうか。
シングルカスクとは1つの樽だけで熟成したウイスキーをボトル詰めした商品です。
プレミアムな商品となっており、ウイスキーファンなら一度は手に入れたいウイスキーとされています。
グレーンウイスキーの製造工程は以下のように進みます。
グレーンウイスキーの工程 | |
① | トウモロコシは蒸す。糖化に加える大麦麦芽はピートを使わずに発芽させる |
② | トウモロコシを粉砕し、大麦麦芽をブレンド。仕込み水に混ぜてお粥状にする(糖化) |
➂ | ②に酵母を加えて発酵させ、もろみをつくる(発酵) |
④ | 連続式蒸溜器(パテント・スチル)で蒸留(蒸留) |
⑤ | 蒸留で生成されたニューポットを樽で熟成させる |
グレーンウイスキーは連続式蒸溜器で蒸留します。
単式蒸留と違い、蒸留の度にもろみの入れ替えをする必要がなく、連続で投入できるのでアルコール度数を一気に上げることができます。
連続投入されたもろみが短時間で大量に蒸留されるので効率的にポットスチルが生成されます。
イメージすると、たくさんの単式蒸留器が入った大型蒸留器といえるでしょう。
連続式蒸留はアルコール度数が90度と単式蒸留より高いですが、お酒として飲めるようにするために水で薄められるので雑味が少なくクリアな舌触りになります。
糖化に使用される大麦麦芽もピートを使用しないで乾燥させたものを使うので、ウイスキー特有のスモーク臭もありません。
グレーンウイスキーは単体で販売されることもありますが、どちらかというとモルトウイスキーとブレンドしたブレンデッドウイスキーの方が主流といえます。
複数のモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜたのがブレンデッドウイスキーです。
ちなみにモルト同士・グレーン同士を混ぜることはヴァッティングといい、ブレンデッドウイスキーではありません。
個性が強く、深みのある味わい、独特の燻製の香り豊かなモルトウイスキーとすっきりとしていて飲みやすく強い主張がないグレーンウイスキーが合わさることで互いの長所を引き出した調和のとれたウイスキーとなります。
スコッチウイスキーの特徴は何と言ってもピート(泥炭)のスモーキーな香りです。
銘柄の持っている風味を殺さずに味わう飲み方がおすすめ。
現在、ウイスキーには様々な飲み方が紹介されていますが、スコッチウイスキーに合う飲み方をご紹介します。
スコッチウイスキーのおすすめの飲み方
そのまま、ウイスキー原液でいただく飲み方です。
スコッチの風味や香りをダイレクトに味わいたいならこの飲み方がおすすめです。
チェイサーという口直し用の水や炭酸水を用意して、ウイスキーと交互に飲むことで一口ごとに口がさっぱりするので、芳醇な味や香りを飽きることなく存分に感じることができ、悪酔いも避けることができます。
悪酔いを防ぐこともできます。
少量ずつ口につける程度の量をゆっくりと味わう調子で飲みます。
ピートの香りの強いウイスキーであれば、燻製のおつまみやドライフルーツが合うでしょう。
聞きなれない飲み方ですが、トワイスアップは水で割る飲み方です。
水割りとの違いは常温の水のみで氷入れません。
「トワイス」とは二倍という意味で、水割りと同様にウイスキーの倍量の水を入れます。
ウイスキーは10度以下に冷たくしてしまうことで、特有の芳醇な香りを感じにくくなりますが、トワイスアップは常温なので香りを損ねることなく、更に水を加えることより、香りを引き立たせる効果もあるのです。
全ての道具は常温で用意し、飲む際にはマドラーなどでかき混ぜないようにしましょう。
空気がはいってしまい、香りや味わいが変わってしまう恐れがあります。
スコッチの深みのあるコクが炭酸水の爽快感と合わさるとともに、熟成樽の香味を感じることができます。
ウイスキー1:ソーダ3の配合で少し濃いめに作ればより風味を味わえるでしょう。
トワイスアップと同様に炭酸ガスが逃げてしまわないように1回さっと縦に混ぜる程度にしておきましょう。
詳しいウイスキーの飲み方は以下の記事でもご紹介しています。
ウイスキーのおすすめの飲み方はこちら!さらにウイスキーを楽しもう!
スコッチウイスキーの特徴として、シングルモルトの生産地による味わいの違いです。
世界5大ウイスキーにも入っているスコッチウイスキーは各地域のこだわりも強いため、スコットランド内でも明確に産地で分けられています。
エリア別のシングルモルトウイスキーをご紹介します。
ハイランド地方はスコットランドの北側の大部分を占めます。
広大な敷地に比例して、スコットランドの蒸留所のうち約4割の蒸留所がハイランドに集まっており、東西南北4つの地域に分類されています。
ハイランド地方で造られるシングルモルトウイスキーをハイランドモルトと言いますが、4つのエリア内でも個性の際立った特徴が見られます。
以下の記事でも東西南北各エリアのおすすめ銘柄を詳しくご紹介しています。
ハイランドモルトウイスキーのおすすめ銘柄は?味や特徴の違いについて
ハイランドモルトで代表的なウイスキーがグレンモーレンディです。
スコッチウイスキー特有のピートの香りが比較的少ないグレンモーレンディはウイスキー初心者にも飲みやすい銘柄です。
スコットランドの北東部にある、スペイ川の周辺エリアということからこの名前が付けられています。
スコットランド全体の約半分、51の蒸留所がこのスペイサイドに存在します。
ヘザーの花の産地としても有名なスペイサイドは6つのエリアの中でもフローラルで甘やかなヘザーハニー(ヘザーの花から採れる蜂蜜)を感じさせる味わいを得意とします。
ザ・マッカランはこの特徴が色濃く反映されており、世界にも名を馳せているウイスキーです。
スコットランドの南部のエリアです。
ローランドモルトの種類は少なく、グレーンウイスキーの生産のほうに強みをおいてきた歴史があります。
気候が穏やかなこともあり、味わいも軽めなものが多いです。
ローランドモルトで代表的なウイスキーがオーヘントッシャンです。
モルトウイスキーの蒸留は通常2回ですが、オーヘントッシャンはローランド地方の伝統でもある3回蒸留を続けています。
3回蒸留でアルコール度数を高くすることで、独特のすっきりとした爽やかな味わいを作り出しています。
スコットランドの南方にあるキンタイア半島の先端にある都市です。
味わいは潮っぽさとピートの香りがブレンドされたような感じが特徴です。
プリングバンクとグレンスコシア、スプリングバンクの3つの蒸留所が存在します。
キャンベルタウンモルトで代表的なウイスキーがスプリングバンクです。
蜂蜜やキャラメルのような甘い香りの風味の後に潮の後味が感じられます。
港町のエリアでしか作り出せない複雑な味わいはウイスキーファンからの評価も高いです。
ハイランドを囲む諸島の中で一番南に位置しているのがアイラ島です。
販売量が世界No.1 を誇るスコッチのブレンデッドウイスキー、『ジョニーウォーカー』はアイラエリアで生産されています。
ジョニーウォーカーとは?種類や味わい、おすすめの飲み方
蒸留所は海沿いにあり、アイラモルトの特徴として強い潮の香りとピートの香りの絡み合いが非常にクセのある香りを放ちます。
好き嫌いの分かれるアイラモルトですが、ウイスキー愛好家等の玄人には好まれているようです。
アイラモルトで代表的なウイスキーがラフロイグです。
薬品臭?!のような香りで、 味わいはオイリーで濃厚、後味は磯っぽさを感じますが、突き詰めていくとその魅力にはまってしまう不思議さがあります。
ウイスキー特有のスモーキーさの先にある甘味も見つけられればウイスキーエキスパートです。
スコットランド周辺のアイラ島を除く諸島です。
・オークニー諸島
・ルイス島
・スカイ島
・マル島
・ジュラ島
・アラン島
島ということで共通するアイランズモルトの味わいとしては潮っぽさがありますが、それ以外は島によって味の個性は様々です。
【タリスカー】
スカイ島でもっとも歴史のある蒸留所は1830年に創業してから、様々な荒波を乗り越えて現在までウイスキー造りを続けてきました。
スカイ島周辺の荒れる海を思わせる強い塩っぽさが一番の特徴的な味わいです。
また、潮っぽさのみならず、ブラックペッパーの風味とスモーキーさ、穀物の甘味などが三味一体となって調和されてタリスカーにしか生み出せない味わいを作っています。
【ハイランドパーク】
オークニー諸島最も北寄りに位置するハイランドパーク蒸溜所のシングルモルト。
蜂蜜の甘味とスモーキーさの割合が調度よく、飲みやすさが人気を博しています。
スコッチのシングルモルトはエリアにおいても蒸留所別にしても味わいに大きな個性が見られます。
個性によって飲み方を工夫してみるなど楽しみ方も広がります。
様々なスコッチを試せば、自宅にいながらスコットランドを巡る旅出ているような疑似体験もできてしまうかもしれませんね。