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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーは基本的にボトラーズウイスキーとオフィシャルボトルの2種類に分類されます。
オフィシャルボトルは蒸留所が製造し、瓶詰をおこなっているので風味に安定感があります。
しかし、ボトラーズウイスキーはインディペンデント・ボトラーズが作ったオリジナルであるため、ボトラーズウイスキーでしか楽しめない独自の味を追求可能です。
ボトラーズウイスキーは供給量が少ないので、商品によっては非常に価値のある物も存在します。
今回の記事ではボトラーズウイスキーの特徴とボトラーズウイスキーの製造業者である7つのブランドを紹介していきます。
この記事のポイント
ボトラーズウイスキーは、インディペンデント・ボトラーズ(独立瓶詰業者)が蒸留所から原酒を買い取り、独自に瓶詰されるウイスキーのことです。
反対に蒸留所が製造から瓶詰のすべてをおこなうウイスキーのことをオフィシャルボトルと呼びます。
ボトラーズウイスキーは種類が非常に多く、1つの商品の供給量はオフシャルボトルに大きく劣りますが、商品の種類においてはボトラーズウイスキーのほうが豊富です。
また、規模が小さく、ブランドイメージが出来上がっていないので、オフィシャルボトルを販売しても売れない蒸留所もあります。
ボトラーズはこのような蒸留所からも原酒を買い取り、瓶詰と商品化をおこなって販売しています。
蒸留所はボトラーズに原酒を買い取ってもらった上に、ボトラーズの商品に名前を載せることで知名度の向上にもつながるのでメリットが大きいです。
このように様々な蒸留所から原酒を買い取り、オリジナル商品を製造しているため、商品の種類は豊富ですが1つの商品の供給量は少なくなります。
ここからはオフシャルボトルにはないボトラーズウイスキー特有の特徴を見ていきましょう。
ボトラーズウイスキーの特徴は3つあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
ウイスキーの熟成はカスク(タル)によっておこなわれ、長い期間に渡って熟成されます。
オフィシャルボトルでは10年程度の熟成期間を経た商品も多く、中には20年以上の熟成期間を経た商品も存在します。
「このウイスキーをオフィシャルボトルより、さらに熟成させると味はどのように変化するのか?」ウイスキー愛好家であれば多くの人が持つ好奇心を満たしてくれるのがボトラーズウイスキーです。
ボトラーズウイスキーではオフィシャルボトルにはない長期的な熟成期間を経たオリジナルのウイスキーを製造しているので、愛好家の好奇心を満たしてくれます。
一方で、オフィシャルボトルにはない短期間での熟成で瓶詰をおこなうボトラーズウイスキーも存在します。
ボトラーズウイスキーはオリジナルの商品を製造できるので、熟成期間を自由に設定できるのが最大の特徴といえるでしょう。
ウイスキーの熟成期間による味の変化と、カスクについて知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーの熟成期間による味の変化とカスク(樽)の役割について
ボトラーズウイスキーとの出会いは一期一会と言われており、同じ商品を購入したとしても同じ味を楽しめるとは限りません。
例えば、スコットランドのアイラ島で生産されるアイラウイスキーという特徴的なウイスキーがあります。
その香りは燻製のようなスモーキーな香りと比喩されますが、人によっては正露丸のような香りと呼ぶ人も多いので、好き嫌いが分かれるウイスキーです。
アイラウイスキーをボトラーズウイスキーとして販売されると、ラフロイグというスモーキーな香りが強いことが特徴のウイスキーのバランスの良い風味が落ち着いている場合があります。
反対にアイラウイスキーの中でもスモーキーさが控えめで、バランスがいいとされているボウモアのクセが強くなることも考えられます。
オフィシャルボトルは蒸留所のブランドのイメージがあるので、安定して同じ風味を持つように生産されますが、ボトラーズウイスキーは必ずしも安定していません。
よって、オフィシャルボトルとは異なる風味が楽しめるだけでなく、同じ商品を購入してもその都度、新しいウイスキーと出会えるのです。
ただし、常に安定した味を求めるのであれば、オフィシャルボトルのほうがおすすめになります。
ボトラーズウイスキーは種類が豊富ですが、1つの商品の生産量は少なく、限定生産になることが多くなります。
人気の蒸留所で製造された原酒を使ったボトラーズウイスキーが販売されれば、すぐに売り切れになり、その価値は販売価格よりも大きく高騰することも。
生産量が少ないことから、人気のあるウイスキーはプレミア価格になりやすいです。
世界のウイスキーコレクターは自分が欲しいウイスキーを手に入れるために、常にアンテナを張っています。
人気のボトラーズウイスキーを集めるなら、コレクターよりも早く情報を入手して購入する必要があるでしょう。
ボトラーズウイスキーの代表的なブランドは7つあります。設立年とブランドの種類を年表にまとめました。
設立年 | ブランド |
1842年 | ケイデンヘッド |
1895年 | ゴードン&マクファイル |
1948年 | タグラスレイン(ハンターレインは2013年) |
1962年 | ハートブラザーズ(イアン・G・ハート) |
1988年 | シグナトリー |
1989年 | キングスバリー |
2014年 | ザ・ウイスキーフープ |
それぞれ詳しく紹介していきます。
1842年に創業したスコットランドで最も古いボトラーズであり、正式名称はウイリアム・ケイデンヘッドです。
1972年にJ&Aミッチェル社に買収されていますが、ケイデンヘッドの代表的なシリーズである黒ケイデンと金ケイデンシリーズのリリースは続いており、古くから愛好家に愛され続けてきました。
チルフィルターやカラーリングなどの加工をおこなわなず、昔ながらの製造方法を守り続けています。
イギリスで生まれた老舗のボトラーズであり、1895年に創業しています。
蒸留所とのコネクションが強いためボトラーズの中でも味が安定しているのが特徴です。
オフィシャルボトルに近いので、初めてボトラーズウイスキーを購入するならおすすめのブランドになります。
製造しているウイスキーは主にシングルモルトウイスキーであり、代表作は1968年にリリースされたコニサーズチョイスです。
1948年にタグラスレインが設立され、2013年にタグラスレインのスチュワート・レイン氏が立ち上げたブランドがハンターレインです。
分社される形で立ち上げられたボトラーズですが、どちらもタリスカー蒸溜所との関係が深く、短期間で熟成されたタリスカーが販売されることもあります。
タグラスレインの主力商品はリマーカブルリージョナルモルトシリーズとオールドパティキュラーシリーズです。
ハンターレインはアイラ島に独自の蒸留所を保有しています。昨今ではボトラーズに対して有名な蒸留所が原酒を買い取らせないこともあるので、ボトラーズが自社で蒸留所を保有するケースもあります。
1962年に前身となるイアン・G・ハートを設立し、1988年からハートブラザーズに改名してからはシングルモルトを主力にしたボトラーズです。
2007年に売却されていますが、ハートブラザーズの名前は現在も引き継がれています。
ファイネストコレクションが同社の主力ブランドになります。
1988年に創業したボトラーズの中でも新しいブランドです。
シングルカスクにこだわりを持っており、製造するボトラーズウイスキーのほとんどがシングルカスクになります。
シングルカスクは1つの原酒のみを用いてウイスキーを製造する方法ですが、1つの樽から生成できるウイスキーは少ないので生産量が少なく、希少価値が高いウイスキーです。
ラベルには蒸留年月、ボトリングした日、カスクに関する情報などの詳細な情報を細かく確認できます。
シングルカスクなどのカスクの専門用語について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
シグナトリーの翌年の1989年にシングルモルトのボトリングを始めたボトラーズです。
シングルモルトは現在高騰していますが、キングスバリーには価格が控えめに設定されているボトラーズウイスキーもあるので、手を出しやすくなっています。
蒸留直後に加水によるアルコール度数の調整をおこなわないカスクストレングスシリーズを販売しているのが特徴です。
ザ・ウイスキーフープは2014年に日本で生まれた会員制のボトラーズです。
スコットランドの蒸留所などにもコネクションがあるシングルモルトに精通したバーテンダーがボトリングをおこない、会員のみに販売しているようです。
海外ではなく、日本生まれのボトラーズであっても会員制であるため購入しにくいですが、一部のボトルは一般に販売されることもあります。
以上が代表的な7つのブランドになりますが、最後に人気のボトラーズウイスキーを購入するおすすめの方法について解説していきます。
人気のボトラーズウイスキーを購入するなら、通販で購入するのがおすすめです。
ボトラーズウイスキーは様々な通販サイトで販売されているので、お店を探すよりも効率的に好みのボトラーズウイスキーが見つけられます。
持ち運びも考える必要がないので、欲しいウイスキーがあれば買い過ぎてしまうかもしれませんね。
また、店頭では流通量の少ない人気のボトラーズウイスキーを置いているのはめずらしいです。
店頭や蒸留所に直接訪れてウイスキーを選ぶ楽しみはありますが、ボトラーズウイスキーを購入するなら通販が最適な方法になります。
限定生産であるため流通量が少ないボトラーズウイスキーについて解説しました。
オフィシャルボトルしか飲んだことがない方は、ぜひ有名ブランドのボトラーズウイスキーから挑戦してみてください。
また、限定生産で人気のボトラーズウイスキーは購入機会を逃すと二度と購入できない可能性もあります。
ボトラーズウイスキーとの出会いは味の変化以外でも一期一会といえますので、どうしても欲しい銘柄と巡り合えたのであれば機会を逃して後悔しないようにしましょう。