アルマニャックのおすすめ銘柄は? コニャックとの違い、美味しい飲み方を解説
- ウイスキー基礎知識
アイラウイスキーの中でも香りが非常に強いラフロイグはアイラの王とも呼ばれ、代表的なアイラウイスキーの1つです。
スコットランドのアイラ島で製造されたアイラウイスキーに見られる最大の特徴はスモーキーな香りであり、この香りは多くの愛好家から親しまれてきました。
「好きになるか嫌いになるか」という強烈なキャッチコピーのラフロイグは、あのチャールズ皇太子からも評価されました。
しかし、好き嫌いが分かれやすく、ネガティブな意見としては正露丸のような香りと比喩する人もいます。
この記事ではラフロイグについて紹介し、その種類や風味の特徴も解説します。
この記事のポイント
ラフロイグはスコットランドのアイラ島で製造されるウイスキーです。
単一のモルト原酒で製造されるシングルモルトウイスキーの一つであり、数あるシングルモルトの中でもより強い個性を持つのがラフロイグになります。
ラフロイグの個性は、燻製のようなスモーキーな香りや、薬品のようなヨード香とも形容されるほど強烈で特徴的な強い香りです。
この香りから「好きになるか嫌いになるか」というキャッチコピーで知られており、飲んだ人はラフロイグのことを大好きになるか、大嫌いになるかの2択しか存在しないという意味で使用されています。
クセが非常に強く好みは分かれますが、口当たりがマイルドなウイスキーに物足りなさを感じている方は、ラフロイグを一度飲んでみることをおすすめします。
ラフロイグ以外のモルトウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてください。
ウイスキーのモルトとは?モルトウイスキーの種類と飲み方を紹介!
ラフロイグの個性は独特の風味になりますが、その特徴について解説します。
スモーキーな香りの中でも良質な香りはピーティーと呼ばれます。
ラフロイグはピーティーな香りと形容される一方で、薬品のようなヨード香と形容されることも多く、ネガティブな意見としては正露丸のようなニオイといわれることも。
ウイスキーのスモーキーな香りの強さを数値化する基準にはフェノール値があります。
この香りは大麦の乾燥過程で使用する燃料によって発生するフェノール化合物が原因であり、その濃度を測定することで香りの強さの目安を知ることができます。
ラフロイグのフェノール値は約40~45ppmであり、スモーキーな香りが特徴といわれるアイラウイスキーの中でもトップクラスの値です。
フェノール値はウイスキーの完成時ではなく製造過程で計測されるため、フェノール値の高いウイスキーの香りが必ずしも強くなるわけではありませんが、ラフロイグの香りが強烈である裏付けは数値から計ることができます。
ラフロイグは一口飲むだけでオイリーで濃厚な味わいが広がり、鼻腔にスモーキーな香りが突き抜けます。
また、ドライで塩っぽい後味はラフロイグの重要なアクセントといえるでしょう。
ラフロイグは海の近くで製造・熟成されていることから、少しだけ磯のような香りを感じられるのも特徴です。
アイラ島のラフロイグ蒸留所は、すぐ近くから海を見ることができる美しい景観が特徴になります。
ラフロイグを飲む際は大海原の香りも感じながら、アイラ島の自然を想像して飲むとより深く楽しめるでしょう。
上記の写真は左からラフロイグ10年、ラフロイグ トリプルウッド、ラフロイグ クオーターカスク、ラフロイグ ロアになります。
これらの銘柄はラフロイグの中でも代表的な種類になりますが、上記の銘柄を含めて11種類のラフロイグについて解説していきます。
さまざまな種類があるラフロイグの中でもスタンダートとなる銘柄がラフロイグ 10年です。
バーボン樽による10年以上の熟成期間を経て製造されたシングルモルトウイスキーになります。
スモーキーな香りだけでなく、バーボン樽による熟成によってほのかにバニラの甘みを感じられるのが特徴です。
ラフロイグを初めて飲む方には、入手しやすいことも含めてラフロイグ 10年がおすすめになります。
バーボン樽による18年以上の熟成によって、10年と比較すると少しだけ落ち着いた味わいに仕上がっています。
ラフロイグの個性は損なわず、果実のような甘みを感じることができるので、少し優しい風味を堪能するなら18年物を選択するのがよいでしょう。
スタンダードなラフロイグの2倍以上熟成させたウイスキーになりますが、ラフロイグ蒸留所では毎年販売しており、年度によって味や香りが多少異なるようです。
25年以上の熟成期間を経たラフロイグは特有の磯の香りに円熟味が増しています。
長期熟成特有の複雑で奥深い味わいは25年ものにおいても例外なく楽しめます。
30年以上の熟成期間を経たラフロイグの高級ボトルであり、流通数が少なく入手が難しいウイスキーの1つでもあります。
濃厚な味わいにラフロイグの個性的な香りに深みが増しており、上品な印象まで感じられるのが魅力です。
愛好家の間でも人気の種類ではありますが、購入できる店を見つけたなら一度試してみるのもよいでしょう。
ラフロイグ トリプルウッドはバーボン樽、クォーター樽、シェリー樽の3つの樽を利用して熟成したラフロイグのことです。
3つの樽を利用して熟成させたことから、バーボン樽以外の甘みも感じられます。
栓を抜いてからしばらくすると味が変化する特徴があり、変化を楽しめるウイスキーです。
ラフロイグ クオーターカスクは従来のラフロイグよりもクセが強いウイスキーになります。
通常の樽の4分の1サイズで熟成させ、原酒と樽の接地面積を増やすことにより熟成をより早めています。
スタンダードなラフロイグよりも味や香りが濃くなっていますが、バニラのようなほのかな甘みも感じることができる商品です。
QAカスクのQAはクエルカス・アルバのことであり、クエルカス・アルバはラテン語でアメリカンホワイトオーク樽のことを指します。
ラフロイグ 10年はアメリカンホワイトオーク樽によって熟成しますが、こちらの商品では熟成回数を2回にすることにより、ラフロイグ特有のバニラの甘みがより濃厚になります。
スモーキーな香りもより強くなっているので、さらに濃厚なラフロイグを楽しみたい人におすすめのウイスキーです。
PAカスクとはシェリー樽の中でもペドロヒメネスカスクのことを指しますが、ペドロヒメネスとはワインのことを指し、ペドロヒメネスカスクはこのワインの熟成に使用された樽を再利用しているということになります。
バーボン樽で5~7年熟成させた後にクオーターカスクで熟成をして、最後にPXカスクで熟成させたのがこちらの商品です。
色は赤みを帯びており、ラフロイグ 10年にペドロヒメネスの甘みが加わることで、ラフロイグの新たな味わいを引き出します。
ラフロイグ セレクトカスクはトリプルウッドよりも多くの樽を利用して熟成させたウイスキーになります。
ペドロヒメネスとヨーロピアンオークのシェリー樽、バーボン樽、アメリカンホワイトオーク樽による4つの樽を用いた熟成工程です。
厳選された4つの樽による熟成により、スモーキーな香りを損なうことなく、従来のラフロイグよりもフルーティーな味わいに仕上がっています。
ラフロイグ ロアはラフロイグの中でも特殊な味わいが堪能できるお酒になります。
ヨーロピアンオークの新樽での熟成から、バーボン樽で熟成させた後に複数のモルト原酒をブレンドして、再びバーボン樽で熟成させる特殊な製造工程を経ています。
ラフロイグ特有のスモーキーな香りに加えて、ナッツの香ばしさとフルーティーな香りが特徴の新しいラフロイグといえるでしょう。
1960年に蒸留を開始し、2001年に瓶詰をした2,400本限定生産のプレミア価値のあるラフロイグです。
40年とありますが、正確には41年の間、ラフロイグ蒸留所の中でも最も海岸に近い第一貯蔵庫で熟成されました。
ラフロイグ 40年ではバーボン樽は使用せず、ヨーロピアンオーク樽によって熟成されたのが特徴です。
2,400本のうち現存するボトルがいくつ存在するのかは不明ですが、プレミア価値のあるウイスキーとして高額で取引されています。
ラフロイグのスモーキーな香りは、ウイスキーの製造過程における大麦を乾燥させる際に使用される燃料のピート(泥炭)によって生まれます。
ピートは低温多湿のスコットランドの環境では無尽蔵に取れる燃料であったため、スコッチウイスキーの製造において使用されてきました。
ウイスキーの原材料である大麦をモルトにするモルティング(製麦)の工程では、大麦を水で浸して発芽させた後に乾燥させる必要がありますが、乾燥させるために使用される燃料がピートです。
この乾燥の工程によって、モルトにピート特有のスモーキーな香りが付着します。
ラフロイグ特有のスモーキーな香りは、スコットランドの環境によって確立された製造工程によって生まれたのです。
ウイスキーのピートについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーのピートとは? ピート香の強いウイスキーの飲み方も解説!
上の写真はラフロイグを製造しているラフロイグ蒸留所の風景になります。
ラフロイグの歴史について年表形式にして簡単にまとめました。
年度 | 内容 |
1815年 | ジョンストン兄弟によってラフロイグ蒸留所が設立 |
1920年 | アメリカの禁酒法時代でもラフロイグは薬用酒として輸入が認められる |
1954年 | ベッシー・ウィリアムソンが経営権を持ち、現在の製造方法が確立 |
1994年 | チャールズ皇太子がラフロイグを王室御用達のウイスキーに認定 |
ラフロイグという言葉は「広い入り江の美しい窪地」という意味であり、ラフロイグ蒸留所はアイラ島において言葉通りの意味の場所に建てられています。
設立したのは家畜業を主におこなっていたジョンストン兄弟であり、蒸留所の設立をきっかけに本格的にラフロイグの生産が始まりました。
ラフロイグはアメリカの禁酒法時代でも薬用酒としての輸入が認められていたウイスキーでした。
1954年に経営権を持っていたスコッチウイスキー業界で初めての女性オーナーであるベッシー・ウィリアムソンが製造方法を確立したことで、現在のラフロイグがあります。
1994年にはチャールズ皇太子がラフロイグを高く評価したことをきっかけに王室御用達のウイスキーに認定されます。
チャールズ皇太子からお墨付きを得たことによって、ラフロイグはアイラの王と呼ばれるようになったのです。
ラフロイグの個性を十分に楽しむならストレートで飲むのが一番です。
独特のスモーキーな香りを損なわずに、ラフロイグの魅力を十分に楽しめるので、まずはストレートに挑戦してみることをおすすめします。
しかし、ソーダ割りやハイボールもラフロイグの代表的な飲み方の一つであり、ラフロイグ特有の香りは弱くなりますが、酸味と甘みを感じやすくなるので飲みやすいです。
ウイスキーの飲み方に絶対の正解はありませんが、まずはストレートを飲んだ上で別の飲み方を試してみるのがおすすめになります。
ラフロイグに合うつまみは薫香が強いことから、燻製食品が合います。
スモークチーズや、燻製卵をつまみにして飲むことで、よりラフロイグの魅力が感じられることでしょう。
ウイスキーの飲み方について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーのおすすめの飲み方はこちら!さらにウイスキーを楽しもう!
アイラウイスキーのラフロイグについて解説しました。
個性が強く、好き嫌いが分かれやすいウイスキーですが、ウイスキー好きならスコットランドの伝統的な製法で製造されるラフロイグを一度は飲んでみたいところです。
今飲んでいるウイスキーに物足りなさを感じているなら、気分を変える意味でもラフロイグに挑戦してみましょう。