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- ウイスキー基礎知識
ウイスキーはブレンドが重要なお酒であり、基本的には熟成年数や種類が異なる原酒を混ぜたものをボトル詰めして販売します。
特にブレンデッドウイスキーはブレンドによって完成度を高め、安定して生産しやすくする狙いがあります。
また、既製品を混ぜることでブレンデッドウイスキーは自作できるので、ブレンダーになったつもりでブレンドしてみるのもウイスキーの楽しみ方の1つです。
この記事ではウイスキーにおいてブレンドする意味や重要性について解説し、ブレンデッドウイスキーを自作する方法も解説します。
この記事のポイント
ブレンデッドウイスキーはさまざまな種類の原酒をブレンドして作ったウイスキーであることが名前から分かるかと思います。
しかし、シングルモルトウイスキーは1つ樽から抽出された原酒のみを使用して作られた銘柄であると勘違いしている方もいるかもしれません。
シングルモルトは単一の蒸留所で製造された原酒のみを使用したウイスキーのことを指し、熟成年数の異なる原酒をブレンドしてボトル詰めしています。
モルトウイスキー同士を混ぜてボトル詰めすることをヴァッティングとも呼び、12年物のウイスキーであれば熟成年数が12年以上の原酒のみを混ぜていきます。
そのため、ウイスキーはブレンデッドウイスキーに限らず、基本的にブレンドすることが前提のお酒です。
また、1つの樽から抽出された原酒のみをボトル詰めした銘柄はシングルカスクと呼びます。
シングルカスクは例外になりますが、1つの樽から抽出できる原酒は少ないので記念品として限定生産されることが多く一般的でありません。
シングルカスクも含めてウイスキーに関する用語について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウイスキーをブレンドする意味と重要性は下記の通りです。
それぞれ詳しく解説します。
原酒を正しく組み合わせることで、個々の原酒よりも完成度の高いウイスキーを目指すのがウイスキーをブレンドする大きな意義になります。
特にブレンデッドウイスキーは個性の強いモルト原酒と、クセのがなく飲みやすいグレーン原酒をブレンドして、飲みやすく複雑な味わいを持つ完成度の高いウイスキーに仕上げているのです。
シングルモルトも熟成年数の異なる原酒をブレンドして味を調えています。
ブレンドによって完成度の高いウイスキーを作れるかどうかは、専門家であるブレンダーの腕の見せ所といえます。
ブレンダーによってブレンドのレシピが確立すると、安定して製造しやすくなります。
ブレンデッドウイスキーの価格が安くなりやすいのは、大量生産が容易であるからです。
ブレンドはコストパフォーマンスを上げる意味も持っており、ウイスキーを安く大量に生産し、低価格で消費者に届けることが可能になります。
ブレンデッドウイスキーのレシピは混ぜる原酒の比率を変えるだけで、香りや味わいが大きく変化してしまうことも珍しくはありません。
ブレンドする原酒の種類や、比率によって多彩なレシピを生み出すことが可能です。
つまり、ウイスキーの種類も非常に多様化しやすいということになります。
スコットランドだけで100以上の蒸留所がありますが、100種類の原酒の中からウイスキーを選び、自由な比率で混ぜることができるのであれば無限に思えるような選択肢があります。
多くのブレンダーが多様な選択肢の中から至高の組み合わせを選ぶことで、さまざまな商品が店に並ぶのです。
ブレンデッドウイスキーはスコッチウイスキーの売上の90%を占めており、市場に出回っているウイスキーのほとんどがブレンデッドウイスキーになります。
スーパーマーケットやコンビニのウイスキーコーナーに行くと、バランタインやジョニーウォーカーなどの銘柄は見ることが多いかと思いますが、シングルモルトを見ることは少ないかもしれません。
バランタインやジョニーウォーカーなどのブレンデッドウイスキーはシングルモルトと比較しても価格が安く、気軽に購入しやすいことも売上の大半を占めている理由であると考えられます。
また、スコットランドの蒸留所ではブレンデッドウイスキー用の原酒のみを製造しており、シングルモルトはほとんど生産していないことも多いので、現在はブレンデッドウイスキーを中心にウイスキー市場が回っているといえます。
ブレンデッドウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
しかし、シングルモルトの人気がけっして低いわけではありません。
流通量ではブレンデッドウイスキーに負けていますが、需要が高く価格が高騰している銘柄も多くあります。
愛好家からの人気は高く、高値でボトルが落札された場合は、基本的にヴィンテージ物のシングルモルトになります。
2018年にシングルモルトのマッカラン60年が1億2,500万円で落札されましたが、ウイスキーボトルの落札価格としては最高額を記録しています。
また、山崎をはじめとするジャパニーズウイスキーのシングルモルトは品薄状態が続いており、入手が難しい状況です。
需要に対して供給が追いついていない状況にあるため、シングルモルトは人気の高い銘柄が多く、ヴィンテージ物は愛好家向けの商品となっています。
ブレンデッドウイスキーは自宅で自作することもできます。
既製品のウイスキー同士をブレンドして、ブレンデッドウイスキーを作る方法です。
ボトル詰めされたウイスキーはブレンダーによって味のバランスが整えられているため、ブレンドの難易度は高くないため初心者でも簡単にできます。
ブレンデッドウイスキーを自作して世界で一つだけのウイスキーを作るのもウイスキーの楽しみ方の1つです。
ブレンデッドウイスキーを作る手順は下記の通りです。
ブレンデッドウイスキーにおいてベースとなるのはグレーンウイスキーです。
そのため、ブレンデッドウイスキーにおいて主役はモルトウイスキーではなく、グレーンウイスキーといわれることもあります。
グレーンウイスキーはクセがなく飲みやすい味わいが特徴ですが、味に深みがないので単調な味わいになりやすいです。
モルトウイスキーと比較しても単体で飲まれることは少なく、ブレンデッドウイスキーの原酒として利用されるのが一般的です。
グレーンウイスキー単体で流通することは少ないですが、スコッチウイスキーではキャメロンブリッジ、日本で探すなら知多が入手しやすいです。
種類も少ないので選択肢は必然的に狭まってしまいますが、土台となるウイスキーであるため吟味して選びましょう。
グレーンウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
グレーンウイスキーとは? 製造方法や飲み方、おすすめの種類について
次にアクセントとなる複数のモルトウイスキーを選びます。
ブレンデッドウイスキーの作り方は土台となるグレーンウイスキーを選び、深みのある複雑な味わいにするために複数のモルトウイスキーをブレンドしていくイメージです。
例えば、フルーティーな味わいにしたい場合はマッカランやグレンリベットなどのスペイサイドモルト、スモーキーで個性的な味わいする場合はラフロイグやアードベッグなどのアイラモルトを混ぜると狙った味わいになりやすくなります。
選んだモルトの風味を強くしたいなら比率を多めに、微かな風味を加えたいなら比率を少なめにブレンドするとよいでしょう。
シングルモルトウイスキーの選び方やおすすめの銘柄を知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
最後にグレーン原酒とモルト原酒をブレンドします。
必要に応じてハーブなどのスパイスも加えると、より魅力的なウイスキーになるかもしれません。
基本的にはグレーン1:モルト1の比率でブレンドするため、グレーンウイスキーの風味が強くなります。
その中でブレンドしたモルトの個性が絡み合い、想像していた味わいに仕上げられれば成功といえるでしょう。
最初は思うような味わいにならないかもしれませんが、ブレンドするウイスキーを変えながら挑戦することをおすすめします。
また、自作したブレンデッドウイスキーは必ず個人(一緒に住んでいる家族も含む)で消費するようにしてください。
個人の消費以外の目的でウイスキーをブレンドする行為は酒税法に抵触します。
ブレンドの仕方によっても抵触する可能性があるので、必ず下記の事項を守って作るようにしましょう。
酒税法 | 概要 |
① | 消費者が自分で飲むための酒類であること(同居親族の消費も含む) |
② | 漬け込む酒のアルコール度数が20度以上で、酒税が課税済みのものであること |
③ | 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ、でんぷんは使用不可 |
④ | ぶどう(山ぶどう)は酒の材料に使用できない |
⑤ | アミノ酸、ビタミン類、核酸分解物、有機酸、無機塩類、色素、香料は使用不可 |
参考:国税庁 【自家醸造】
ウイスキーにおいてブレンドは重要な工程であり、最終的な味わいはブレンダーの腕にかかっているといえるでしょう。
安定した品質で大量生産するならブレンデッドウイスキーのほうが効率面のみで考えるなら優れているのが現状です。
また、ブレンデッドウイスキーは自作できるのでブレンダーのように1からウイスキーを選んで、比率も考えて作るのも楽しいですよ。